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建設コンサルの業界再編|異業種資本の参画と非公開化【2026年版】

2025年、建設コンサル・測量で長く最大手級だった2社が、異業種資本による買収で非公開化しました。ID&Eホールディングス(旧日本工営)は保険の東京海上ホールディングスの傘下に、パスコ(航空測量の大手)はセコムと伊藤忠商事の傘下に入り、いずれも上場を廃止しました。インフラの維持・更新という長期需要と、防災・空間情報とのシナジーを狙った動きとみられます。持株会社化やM&Aと合わせ、業界の資本構成の変化が進んでいます。

なぜ異業種資本が建設コンサル・測量を取り込むのか

インフラの維持・更新という長期の需要

建設コンサルは、道路・河川・橋梁・上下水道といった社会資本の調査・計画・設計・施工監理(施工監理は、工事が設計どおり進むかを確認・監督する業務)を担います。高度成長期に整備されたインフラが更新の時期を迎え、点検・診断・補修設計の需要は長期にわたって続く見通しです。景気に左右されにくく、公共の発注に支えられた安定した長期の事業機会であることが、異業種の資本から見た魅力とみられます。

防災・減災、空間情報とのシナジー

買収した各社の本業との相性も、参画の背景にあるとみられます。保険の東京海上ホールディングスにとって、災害リスクの評価や防災・減災は保険事業と深くかかわる領域です。セキュリティのセコムや商社の伊藤忠商事にとっては、測量・空間情報が防犯・防災や物流・宇宙関連の事業と組み合わせやすい資産です。建設コンサル・測量が持つ社会資本や地理空間のデータ・技術を、自社の事業に生かす狙いがあるとみられます(各社の発表や報道による)。

資本のもとで中長期の投資に取り組む

異業種の資本のもとに入ることで、短期の業績にとらわれず、DX(設計の情報化)や海外展開、人材確保といった中長期の投資に腰を据えて取り組める、という見方もあります。ただし、買収の狙いや効果は各社ごとに異なり、一律に評価できるものではありません。

ホールディングス化とグループ経営はなぜ広がるのか

持株会社体制への移行が広がった

建設コンサルでは、事業会社を傘下に置く持株会社(ホールディングス)体制への移行が広がっています。旧日本工営は2023年に単独株式移転で持株会社ID&Eホールディングスを設立し、コンサルティング(日本工営)・都市空間・エネルギーの各事業をグループとして展開する体制に移りました。橋梁・道路の長大も持株会社人・夢・技術グループへ、総合コンサルの各社もE・Jホールディングス・DNホールディングス・オリエンタルコンサルタンツHDといった持株会社体制をとっています。

グループ経営と多角化のねらい

持株会社化のねらいは、測量・設計・地質・エネルギーなど複数の事業をグループとして束ね、それぞれの専門性を保ちながら経営の効率を高めることにあります。専門会社の買収(M&A)や事業の統合をしやすくし、技術者の確保や事業承継、海外を含む事業の多角化に機動的に対応する狙いもあります。DNホールディングスのように、橋梁の会社と地質の会社が統合して生まれた持株会社もあります。

非公開化という選択は何を意味するのか

上場を続けるか、非公開で投資に集中するか

上場企業は、株式市場からの資金調達や知名度の向上といった利点がある一方、上場を維持するためのコストや開示の負担、短期の株価・業績への意識といった面もあります。2025年に非公開化したID&E・パスコのように、異業種資本の傘下で非公開となることで、こうした上場のコストから離れ、腰を据えて中長期の投資や再編に取り組むという選択もあります。

一律には評価できない選択

ただし、非公開化が常に望ましいわけでも、上場を続けることが劣っているわけでもありません。買収する側とされる側の狙い、資本の出し手との相性、業界での立ち位置によって、適した資本のあり方は異なります。2025年の非公開化は、建設コンサル・測量という業界に異業種の資本が関心を寄せていることを示す、象徴的な出来事として受け止められています。

建設コンサル業界の再編の類型

2020年代に見られる資本・再編の3つの型と、代表的な事例・狙い(いずれも定性)
異業種資本による買収・非公開化
内容
保険・セキュリティ・商社などの異業種が、建設コンサル・測量の大手を買収して非公開化する
代表的な事例
ID&Eホールディングス(東京海上ホールディングス)、パスコ(セコム・伊藤忠商事)
狙い(定性)
防災・減災や空間情報とのシナジー、インフラ維持更新の長期需要の取り込み
持株会社(ホールディングス)化
内容
事業会社を傘下に置く持株会社体制へ移行し、グループとして経営する
代表的な事例
ID&Eホールディングス(旧日本工営)、人・夢・技術グループ(長大)、E・Jホールディングス、DNホールディングス、オリエンタルコンサルタンツHD
狙い(定性)
グループ経営・事業の多角化、機動的なM&Aや事業承継への備え
M&A・事業再編
内容
専門会社の買収や、事業会社どうしの統合で事業領域を広げる
代表的な事例
E・Jホールディングスによる地盤調査会社(東京ソイルリサーチ)の子会社化、大日本コンサルタントとダイヤコンサルタントの統合(DNホールディングス)
狙い(定性)
技術や人材の獲得、専門分野の補完と事業領域の拡大
読み解き

建設コンサルの再編は、異業種資本による買収・非公開化/持株会社化/M&A・事業再編の3つの型に整理できます。これらは互いに重なり合っており、たとえばID&E(旧日本工営)は持株会社化を経て異業種資本の傘下に入り、DNホールディングスは事業会社の統合で生まれた持株会社です。いずれも、インフラ維持更新の長期需要を背景に、規模と専門性、資本の厚みをどう確保するかという課題への対応といえます。

主要論点

なぜ保険・セキュリティ・商社が建設コンサル・測量を買収したのか?

2025年に非公開化した2社の買収先は、保険(東京海上ホールディングス)、セキュリティ(セコム)、商社(伊藤忠商事)という異業種でした。共通するのは、建設コンサル・測量が持つ社会資本や防災・空間情報のデータ・技術が、自社の事業と親和性が高い点です。

保険にとって災害リスクの評価や防災・減災は保険事業と深くかかわり、セキュリティや商社にとって測量・空間情報は防犯・防災や物流・宇宙関連の事業と組み合わせやすい資産です。加えて、インフラの維持・更新という長期の需要は、景気に左右されにくい安定した事業機会でもあります(各社の発表や報道による)。

ただし、買収の狙いや期待するシナジーは各社ごとに異なります。実際にどのような相乗効果が生まれるかは、今後の事業の進め方によるところが大きく、現時点で一律に評価できるものではありません。

ホールディングス化は業界に何をもたらすのか?

建設コンサルでは、旧日本工営のID&Eをはじめ、長大(人・夢・技術グループ)、E・Jホールディングス、DNホールディングス、オリエンタルコンサルタンツHDなど、多くの大手が持株会社体制をとっています。持株会社化により、複数の事業会社をグループとして束ね、専門性を保ちながら経営を進めやすくなります。

ねらいは、測量・設計・地質・エネルギーなどの事業の多角化や、機動的なM&A、技術者の確保・事業承継への対応です。DNホールディングスのように、橋梁と地質という異なる専門会社が統合して生まれた持株会社もあり、規模と専門性の両立を図る動きといえます。

一方で、持株会社化そのものが業績を高めるわけではありません。グループとしての強みを実際の受注や技術力にどうつなげるかが、各社に問われています。

上場の最大手級が非公開化したことは業界にどう影響するのか?

2025年に非公開化したID&E(旧日本工営)とパスコは、いずれも上場の最大手級でした。上場の大手が相次いで市場から退出したことで、株式市場で各社の業績を横並びに比べられる建設コンサルの範囲は、以前より狭まりました。

一方で、非公開化した2社は、異業種資本のもとで中長期の投資や事業の再編に取り組める立場になりました。防災・空間情報という強みを、保険・セキュリティ・商社の事業と組み合わせられるかが注目されます。上場を続ける各社にとっても、異業種資本の参画は競争環境の変化を意味します。

この動きが業界全体の再編につながるのか、個別の事例にとどまるのかは、まだ見通せません。インフラの維持・更新という長期需要を背景に、資本のあり方をめぐる動きは今後も業界のテーマであり続けそうです。

よくある質問

2025年に非公開化した建設コンサルの会社はどこですか?
ID&Eホールディングス(旧日本工営)とパスコの2社です。ID&Eは海外事業を含め建設コンサルの最大手級で、保険の東京海上ホールディングスの傘下に入り2025年に上場を廃止しました。パスコは航空測量の大手で、セキュリティのセコムと商社の伊藤忠商事の傘下に入り、同じく2025年に上場を廃止しました。
ID&E(旧日本工営)とは何ですか?
ID&Eホールディングスは、建設コンサル大手の日本工営が2023年に単独株式移転で設立した持株会社です。コンサルティング(日本工営)・都市空間・エネルギーの各事業をグループとして展開しています。2025年に東京海上ホールディングスによる買収で完全子会社となり、上場を廃止しました。
なぜ異業種の企業が建設コンサル・測量を買収するのですか?
インフラの維持・更新という長期の需要に加え、建設コンサル・測量が持つ防災・減災や空間情報のデータ・技術が、買収する側の本業と親和性が高いためとみられます。保険にとっては災害リスクの評価、セキュリティや商社にとっては防犯・防災や物流・宇宙関連との組み合わせが期待されます(各社の発表や報道による)。
建設コンサルで持株会社化が広がっているのはなぜですか?
測量・設計・地質・エネルギーなど複数の事業をグループとして束ね、専門性を保ちながら経営の効率を高め、M&Aや事業承継に機動的に対応するためです。旧日本工営のID&E、長大の人・夢・技術グループ、E・Jホールディングス、DNホールディングス、オリエンタルコンサルタンツHDなど、多くの大手が持株会社体制をとっています。
非公開化すると何が変わるのですか?
上場の維持コストや短期の株価・業績への意識から離れ、中長期の投資や事業の再編に腰を据えて取り組みやすくなるという見方があります。一方で、非公開化が常に望ましいわけではなく、資本の出し手との相性や業界での立ち位置によって、適した資本のあり方は異なります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 適時開示・プレスリリース(ID&E・東京海上HD/パスコ・セコム・伊藤忠商事)
  2. 2.
    ID&Eホールディングス「持株会社体制への移行に関するお知らせ」(2023年)
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