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建設コンサルの主要企業|上場各社の連結業績を比較【2026年版】

建設コンサルの上場各社の連結業績を比べると、建設技術研究所(CTI)が売上高1,010億円で上場する建設コンサルの最大手、オリエンタルコンサルタンツホールディングスが954億円でこれに次ぎます。各社の数値は海外事業や他分野を含む連結全社のもので、国内の建設コンサルタント市場(業界団体の会員企業の部門売上で約1.1兆円)とは範囲が異なります。上場各社のほかにも、パシフィックコンサルタンツなどの非上場大手や、2025年に非公開化したID&E(旧日本工営)・パスコが業界の中核を担っています。

上場主要企業の連結業績と事業構成(最新通期)

各社の連結全社ベース。海外事業・他分野を含み、国内の建設コンサルタント事業のみの数値ではありません。会計期が社ごとに異なるため決算期を併記しています

連結売上では、CTIが1,010億円、オリエンタルコンサルタンツHDが954億円と上位2社が突出し、応用地質(763億円)が続きます。営業利益はCTIが91億円で最大です。一方、売上規模が中位のNJS(249億円)やいであ(246億円)は、上下水道・環境という分野を絞った専門性を背景に営業利益率が1割を超え、収益性で存在感があります。各社の得意分野と規模は下表のとおりです。

売上高
1,010億円
営業利益
91億円
決算期
2025年12月期
得意分野
総合(河川・道路・防災)
売上高
954億円
営業利益
56億円
決算期
2025年9月期
得意分野
総合(道路・都市・海外)
応用地質
東証プライム
売上高
763億円
営業利益
41億円
決算期
2025年12月期
得意分野
地質調査・防災・計測
売上高
460億円
営業利益
27億円
決算期
2025年9月期
得意分野
橋梁・道路
売上高
427億円
営業利益
45億円
決算期
2025年5月期
得意分野
総合(復建調査設計 ほか)
アジア航測
東証スタンダード
売上高
416億円
営業利益
29億円
決算期
2025年9月期
得意分野
航空測量・空間情報
DNホールディングス
東証スタンダード
売上高
370億円
営業利益
27億円
決算期
2025年6月期
得意分野
橋梁・地質
NJS
東証プライム
売上高
249億円
営業利益
33億円
決算期
2025年12月期
得意分野
上下水道
いであ
東証スタンダード
売上高
246億円
営業利益
32億円
決算期
2025年12月期
得意分野
環境・海洋・河川
オオバ
東証プライム
売上高
181億円
営業利益
19億円
決算期
2025年5月期
得意分野
都市開発・区画整理
川崎地質
東証スタンダード
売上高
127億円
営業利益
7億円
決算期
2025年11月期
得意分野
地質調査

建設技術研究所(CTI)— 上場最大手の総合コンサル

河川・道路・防災など社会資本の調査・計画・設計・施工監理(施工監理は、工事が設計どおり進むかを発注者側で確認・監督する業務)を総合的に手がける、上場する建設コンサルの最大手です。国土交通省の直轄事業をはじめとする大型業務の実績が厚く、とくに河川・防災分野の技術力に定評があります。英国の建設コンサルWatermanなどを傘下に持ち、連結売上には海外案件も含まれます。

連結売上は1,010億円・営業利益91億円と上場各社で最大です。ただし2025年12月期は営業利益が前年を下回り(純利益は60億円)、業務量や個別業務の採算によって単年の利益は変動します。規模と技術力で業界を代表する存在ですが、公共の発注動向に業績が左右される点は各社に共通します。

オリエンタルコンサルタンツHD — 総合大手・売上は上場2位

道路・交通・都市分野に強い総合建設コンサルの持株会社です。中核のオリエンタルコンサルタンツが国内の社会資本を担い、海外はオリエンタルコンサルタンツグローバルがODA(政府開発援助)や相手国のインフラ整備を手がけます。国内の設計・計画に海外事業を組み合わせた事業構成が特徴です。

連結売上は954億円とCTIに次ぐ上場2位で、営業利益は56億円、2025年9月期は増収増益(営業増益)でした。道路・交通・都市の総合力と海外展開を背景に、規模でCTIに迫る総合大手です。

応用地質 — 地質調査の最大手

ボーリングなどで地盤や地質を調べ、その技術を防災・計測・インフラ維持管理へ広げてきた、地質調査業の最大手です。地すべりや斜面の監視、地下の可視化といった計測・センサー技術に強みがあり、防災・国土強靱化の需要を捉えています。米国子会社など海外事業も連結に含みます。

連結売上は763億円で上場3位、純利益は43億円でした(2025年12月期)。営業利益は41億円で前年をやや下回りましたが、地質という専門領域での最大手の地位と、防災・維持管理の追い風は続いています。

E・Jホールディングス — 総合コンサルのプライム大手

復建調査設計・エイト日本技術開発などを傘下に持つ、総合建設コンサルの持株会社(東証プライム)です。道路・河川・防災から地盤調査まで、社会資本を幅広く手がけます。2024年に地盤調査の東京ソイルリサーチを子会社化するなど、M&Aで事業領域を広げてきました。

連結売上は427億円、営業利益は45億円で、同社の開示によれば売上・受注高とも同社として過去最高でした(2025年5月期)。売上に対する営業利益の比率は1割程度と、規模の近い各社のなかで高めで、堅実な収益性が特徴です。

人・夢・技術グループ(長大)— 橋梁・道路に強い

橋梁・道路を中心とする建設コンサルで、長大橋の計画・設計に実績を持ちます。中核の事業会社は長大で、2021年に単独株式移転で持株会社「人・夢・技術グループ」へ移行しました。橋梁や道路といった交通インフラに加え、環境・新エネルギー分野にも事業を広げています。

連結売上は460億円、営業利益は27億円で、2025年9月期は営業利益が大きく伸び、前年の純損失から黒字に転換しました。橋梁の専門技術を軸に、業績は回復の基調にあります。

アジア航測 — 航空測量・空間情報の大手

航空写真測量や航空レーザ計測で地形・空間情報を取得し、防災・インフラ点検・GIS(地理情報システム)に活用する空間情報コンサルの大手です。災害時の緊急撮影による被害把握や、地形の3次元データを使った点検・解析に強みがあり、測量業を軸に計画・点検も手がけます。

連結売上は416億円、営業利益は29億円で、2025年9月期はほぼ横ばいでした。インフラ点検や防災のデジタル化で、地理空間データへの需要は底堅く推移しています。

NJS — 上下水道に特化した高収益コンサル

上下水道分野に特化した建設コンサルです(東証プライム)。水道・下水道施設の計画・設計・維持管理に加え、施設の運営に民間の力を使うPPP/PFI(官民連携)の支援にも取り組みます。特定分野に絞ることで専門性を高めてきた会社です。

連結売上は249億円と中位ながら、営業利益は33億円で増益、売上に対する営業利益の比率は1割を超え、上場各社のなかでも高い水準です。上下水道は施設の老朽化更新や事業の広域化が課題で、専門コンサルへの需要が拡大しています。

いであ — 環境・海洋に強い

環境アセスメント(開発が環境に与える影響の調査・評価)や海洋・河川に強い建設コンサルです。環境の調査・分析から計画・設計までを一貫して手がけ、自社の分析ラボや海域・水域の調査に強みを持ちます。

連結売上は246億円、営業利益は32億円で、2025年12月期は小幅な減益でしたが、売上に対する営業利益の比率は1割を超えます。洋上風力発電や気候変動への対応で、環境分野の調査・評価の需要が広がっています。

そのほかの上場企業 — 橋梁・地質・都市開発など

DNホールディングスは、橋梁の大日本コンサルタントと地質のダイヤコンサルタントが2021年に統合した持株会社(東証スタンダード)で、中核の大日本ダイヤコンサルタントが橋梁・構造物と地質・地盤を手がけます。連結売上は370億円、営業利益は27億円で、2025年6月期は営業利益が大きく伸びました。オオバは都市開発・区画整理など都市計画分野の建設コンサル(東証プライム)で、連結売上181億円・営業利益19億円です。川崎地質は地質調査の専業(東証スタンダード)で、連結売上127億円、2025年11月期は営業利益が前年から大きく増えました。

このほかにも、地盤調査・土質試験の土木管理総合試験所、サンコーコンサルタント、ウエスコホールディングス、協和コンサルタンツ、キタック、メイホールディングスなど、多くの事業者が上場しています。総合型から、地質・測量・環境・上下水道などの専門型まで、規模や得意分野の異なる会社が上場・非上場を問わず分散して競い合っているのが、この業界の特徴です。

非上場の大手と、2025年に非公開化した大手

上場していなくても、業界の中核を担う大手が多数あります。社会資本全般を手がける総合建設コンサルの最大手級であるパシフィックコンサルタンツ、河川・水資源・環境に強い八千代エンジニヤリング、測量・空間情報の国際航業(現在はミライト・ワンの傘下)、電力土木のニュージェック(関西電力系)などで、受注や売上の規模で上場の中位から上位に匹敵する事業者もあります。

また2025年には、長く最大手級だった2社が非公開化しました。ID&Eホールディングス(旧日本工営)は東京海上ホールディングスの傘下に入り、パスコ(航空測量大手)はセコムと伊藤忠商事の傘下に入って、いずれも上場を廃止しました。ID&Eは海外事業を含め建設コンサルの最大手級、パスコは航空測量の大手で、異業種資本(保険・セキュリティ・商社)による大手の取り込みは、業界の資本構成の大きな変化です。

主要論点

なぜ売上の順位と国内の建設コンサル事業の規模は一致しないのか?

本ページの数値はいずれも連結全社のもので、海外案件や環境・エネルギーなど、国内の建設コンサルタント以外の事業も含みます。CTIやオリエンタルコンサルタンツHD、応用地質は海外子会社を持ち、連結売上に海外事業が含まれます。

そのため、売上の順位は各社の全社規模を示すもので、国内の建設コンサルタント事業だけの規模を直接比べたものではありません。業界全体の規模を示す会員ベースの部門売上(約1.1兆円)とも集計の範囲が異なり、各社の連結売上を足し合わせて市場規模とすることはできません。

各社を比べるときは、連結売上の規模に加えて、どの分野に強いか、海外の比重はどうか、営業利益率などの収益性はどうか、といった観点を合わせて見ることが大切です。

規模の大きさと収益性は一致するのか?

必ずしも一致しません。連結売上ではCTI・オリエンタルコンサルタンツHDが突出し、営業利益額もCTIが91億円で最大です。規模の大きい総合大手は、大型業務や海外案件を含めて幅広く受注できる強みがあります。

一方、売上に対する営業利益の比率で見ると、上下水道に特化したNJSや、環境に強いいであなど、分野を絞った専門型の会社が1割を超える高い水準にあります。特定分野で専門性を高め、価格競争になりにくい業務を確保していることが背景にあります。

このように、規模で勝負する総合型と、収益性で強みを持つ専門特化型という、異なる戦略が併存しています。投資家や取引先から見ると、規模と収益性のどちらを重視するかで、注目する会社が変わります。

上場企業だけを見れば業界の全体像は分かるのか?

上場企業は業界の一部にすぎません。建設コンサルには、上場していなくても業界の中核を担う大手が多数あります。総合建設コンサルの最大手級であるパシフィックコンサルタンツや、八千代エンジニヤリング、国際航業などがその例で、受注・売上の規模で上場の中位から上位に匹敵する事業者もあります。

さらに2025年には、長く最大手級だったID&E(旧日本工営)とパスコが、異業種資本による買収で非公開化しました。上場の最大手級が市場から退出したことは、上場企業だけを見ていては捉えきれない、業界の資本構成の大きな変化です。

加えて、全国には数多くの中小・地場の事業者があり、地域のインフラを支えています。上場企業の業績は業界を映す一つの窓ですが、非上場の大手や地域の事業者を含めた全体像とあわせて見る必要があります。

中期見通し

近未来1-2年

各社の業績は、国土強靱化やインフラ老朽化対策を背景とする公共の発注動向に左右されます。防災・維持管理の需要が底堅いなか、受注の採算や業務量によって各社の単年の利益は変動します。分野特化の会社は、専門領域の需要を捉えて堅調な収益を確保しやすい状況が続きます。

中期3-5年

技術者の確保とDX(BIM/CIMなどの設計の情報化)への対応力が、各社の競争力を左右します。規模のある総合大手はM&Aや海外展開で成長を狙い、専門型は特定分野での強みを深めます。担い手の確保が難しい環境で、規模の拡大や連携を通じて技術者をそろえる動きが続きます。

長期5-10年

社会資本の維持管理・更新が本格化するなか、上場・非上場を問わない再編が長期の論点です。2025年のID&E・パスコの非公開化のように、異業種資本の参画や大手同士の連携が進む可能性があります。分散した業界で、各社が規模と専門性をどう組み合わせるかが問われます。

よくある質問

建設コンサルの上場企業で最大手はどこですか?
連結売上でみると、建設技術研究所(CTI)が1,010億円で上場する建設コンサルの最大手です(2025年12月期)。次いでオリエンタルコンサルタンツホールディングスが954億円、応用地質が763億円と続きます。ただしこれらは海外事業などを含む連結全社の数値で、国内の建設コンサルタント事業だけの規模ではありません。
建設コンサルにはどんな上場企業がありますか?
総合型のCTI・オリエンタルコンサルタンツHD・E・Jホールディングス、地質の応用地質・川崎地質、航空測量・空間情報のアジア航測、橋梁・道路の長大(人・夢・技術グループ)や大日本ダイヤコンサルタント(DNホールディングス)、上下水道のNJS、環境のいであ、都市開発のオオバなど、規模や得意分野の異なる会社が上場しています。このほかにも地盤調査・地域密着の会社が多数上場しています。
なぜ売上の順位と国内の建設コンサル市場の規模が結びつかないのですか?
各社の数値が連結全社のもので、海外案件や環境・エネルギーなど他分野を含むためです。CTIや応用地質などは海外子会社を持ち、連結売上に海外事業が含まれます。業界全体の規模を示す会員ベースの部門売上(約1.1兆円)とも集計の範囲が異なるため、各社の連結売上を足して市場規模とすることはできません。
規模が大きい会社ほど儲かっているのですか?
必ずしもそうではありません。営業利益額は規模の大きいCTIが最大ですが、売上に対する営業利益の比率でみると、上下水道に特化したNJSや環境に強いいであなど、分野を絞った専門型の会社が1割を超える高い水準にあります。規模で勝負する総合型と、収益性で強みを持つ専門特化型が併存しています。
2025年に非公開化したID&E・パスコとは何ですか?
ID&Eホールディングス(旧日本工営)は、海外事業を含め建設コンサルの最大手級だった会社で、2025年に東京海上ホールディングスの傘下に入って上場を廃止しました。パスコは航空測量の大手で、同じく2025年にセコムと伊藤忠商事の傘下に入って上場を廃止しました。いずれも異業種資本(保険・セキュリティ・商社)による大手の取り込みで、業界の資本構成の変化を象徴する動きです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    上場各社 決算短信(連結、最新通期)
  2. 2.
    各社 適時開示・M&A公表(ID&E・パスコ)
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