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建設コンサルの需要を支える政策|国土強靱化とインフラ老朽化【2026年版】

建設コンサルの需要は、国土強靱化・インフラ老朽化対策・防災減災といった政策に支えられています。2026年度からは、防災・減災や老朽化対策を進める「第1次国土強靱化実施中期計画」(5年間で事業規模20兆円強)が始動しました。高度成長期に整備されたインフラが更新の時期を迎え、点検・診断・長寿命化の調査・設計需要が続きます。これらは整備・維持の政策全体の枠組みで、建設コンサルはその前段の調査・計画・設計を担います。

国土強靱化とは何か

防災・減災と老朽化対策を進める国の取り組み

国土強靱化とは、大規模な災害が起きても被害を最小限にとどめ、社会の機能を保てるように、インフラの整備・維持を計画的に進める国の取り組みです。2018〜2020年度の「3か年緊急対策」、2021〜2025年度の「5か年加速化対策」を経て、2025年6月に閣議決定された第1次国土強靱化実施中期計画(2026〜2030年度)へと引き継がれました。この計画では、推進が特に必要な施策の事業規模を5年間で20兆円強と見込んでいます。

建設コンサルはその「前段」を担う

国土強靱化の事業規模は、道路・河川・砂防・上下水道などの整備・維持を含む政策全体の見込み額であり、工事費なども含みます。建設コンサルの仕事は、こうした事業の前段にあたる調査・計画・設計や、対策の検討です。したがって、政策の事業規模がそのまま建設コンサルの市場規模になるわけではなく、建設コンサルはこうした政策に支えられて調査・設計の需要を得る立場にあります。

インフラの老朽化に、点検・診断・長寿命化でどう対応するのか

高度成長期に整備したインフラが更新期を迎える

日本の道路橋・トンネル・上下水道などの多くは、1960〜70年代の高度成長期に集中して整備されました。これらが一斉に建設から数十年を経て更新の時期を迎えており、今後、建設後50年を超える施設の割合が急速に高まります。老朽化した施設をどう点検し、補修・更新していくかが、社会資本を維持するうえでの大きな課題です。

点検制度と長寿命化計画

橋やトンネルなどの道路施設は、5年に1回、近くで目視して点検することが定められ(2014年度から)、施設ごとに健全性を診断します。さらに、施設を長く使うための長寿命化修繕計画を立て、劣化が進む前に手を打つ「予防保全」への転換が進められています。建設コンサルは、こうした点検・診断、長寿命化計画の策定、補修設計を担い、維持管理の担い手として重要な役割を果たします。

維持管理の需要が調査・設計の継続需要に

新しく造る(新設)よりも、既にある施設を維持・更新する業務の比重が高まっています。壊れてから直す「事後保全」から、劣化を予測して計画的に手を打つ「予防保全」へと考え方が移るなかで、点検・診断・計画・設計という一連の業務が、途切れずに続く需要となっています。

防災・減災と気候変動に、どう備えるのか

激甚化する災害への事前の備え

近年、地震や豪雨などの災害が激甚化・頻発化しています。2024年の能登半島地震や各地の豪雨災害は、インフラの防災・減災の重要性を改めて示しました。被害が起きてから対応するだけでなく、あらかじめ備える「事前防災」の考え方が広がり、河川・砂防・海岸などの整備や、施設の耐震化の需要が高まっています。

流域治水と気候変動への対応

気候変動により、豪雨の激しさや頻度が増すと見込まれています。これに対し、川の流域全体で水害を防ぐ流域治水の考え方のもと、河川・遊水地・排水施設などを組み合わせた対策が進められています。建設コンサルは、こうした防災・減災の計画づくりや、施設の調査・設計を通じて、気候変動への対応を技術面から支えます。

建設コンサルの需要を支える主なドライバー

需要の背景となる政策・課題と、それぞれで建設コンサルが担う役割(いずれも定性)
インフラの老朽化・維持管理
背景
高度成長期に整備した道路橋・トンネル・上下水道などが更新の時期を迎え、点検・補修が欠かせない
建設コンサルの役割
施設の点検・診断、長寿命化修繕計画の策定、補修・更新の設計を担う
防災・減災
背景
地震・豪雨などの災害が激甚化・頻発化し、被害を防ぐ事前の備えが求められる
建設コンサルの役割
河川・砂防・海岸の整備計画や、防災施設の調査・計画・設計を担う
国土強靱化
背景
大規模災害に備え、インフラの整備・維持を計画的に進める国の取り組み(実施中期計画)
建設コンサルの役割
各分野の事業の前段となる調査・計画・設計や、対策の検討を担う
上下水道の更新・広域化
背景
老朽化した水道・下水道施設の更新や、事業の広域化・官民連携が課題となっている
建設コンサルの役割
施設の更新計画・設計、広域化やPPP/PFI(官民連携)の検討支援を担う
読み解き

建設コンサルの需要は、インフラの老朽化・維持管理/防災・減災/国土強靱化/上下水道の更新といった、いずれも公共の社会資本にかかわる課題に支えられています。これらは互いに重なり合っており、たとえば老朽化対策は国土強靱化の一部でもあります。いずれの分野でも、建設コンサルは事業の前段となる調査・計画・設計や、点検・診断を担い、社会資本の維持・更新を技術面から支えています。

主要論点

なぜ建設コンサルの需要は底堅いといえるのか?

建設コンサルの需要は、景気の波よりも、社会資本の維持・更新という構造的な課題に支えられています。高度成長期に整備された道路橋・トンネル・上下水道が一斉に更新の時期を迎え、点検・診断・補修設計の需要が長期にわたって続きます。

加えて、国土強靱化や防災・減災は国の政策として計画的に進められており、2026年度からは第1次国土強靱化実施中期計画(5年間で事業規模20兆円強)が始動しました。こうした政策は、道路・河川などの整備・維持の前段となる調査・設計の需要を支えます。

ただし、これらの政策の事業規模は工事費なども含む政策全体の見込みであり、そのまま建設コンサルの受注額になるわけではありません。建設コンサルは、政策に支えられて調査・設計の需要を得る立場にあり、実際の受注は各年度の予算や発注の動向に左右されます。

新設より維持管理の比重が高まると何が変わるのか?

かつては新しくインフラを造る「新設」が業務の中心でしたが、社会資本が一通り整備された今は、既にある施設を維持・更新する業務の比重が高まっています。点検・診断、長寿命化計画の策定、補修設計といった、維持管理にかかわる業務が増えています。

この変化は、建設コンサルに求められる技術も変えます。新しい施設を設計する力に加え、既存の施設の劣化を正しく診断し、限られた予算のなかで補修の優先順位をつける力が重要になります。点検データの蓄積・活用や、劣化を予測する技術の重要性も高まっています。

維持管理は、いったん始まれば途切れずに続く業務でもあります。壊れてから直す「事後保全」から、計画的に手を打つ「予防保全」への転換が進むなかで、点検・診断・設計という継続的な需要が、業界の底堅さを支えています。

気候変動は建設コンサルの役割をどう広げるのか?

気候変動により、豪雨の激しさや頻度が増すと見込まれ、これまでの想定を超える災害への備えが求められています。被害が起きてから対応するのではなく、あらかじめ備える「事前防災」の考え方が広がり、防災・減災にかかわる調査・設計の需要が広がっています。

とくに、川の流域全体で水害を防ぐ「流域治水」のように、複数の施設や対策を組み合わせて考える計画づくりが重要になっています。河川・砂防・海岸の整備や、施設の耐震化・機能強化など、幅広い分野で建設コンサルの計画・設計が求められます。

気候変動への対応は、単に施設を造り直すだけでなく、将来のリスクを見通して計画を立てる仕事です。建設コンサルには、気象や災害のデータを踏まえて、地域に合った防災・減災のあり方を提案する役割が期待されています。

よくある質問

国土強靱化とは何ですか?
大規模な災害が起きても被害を最小限にとどめ、社会の機能を保てるように、インフラの整備・維持を計画的に進める国の取り組みです。2018〜2020年度の「3か年緊急対策」、2021〜2025年度の「5か年加速化対策」を経て、2025年6月に閣議決定された第1次国土強靱化実施中期計画(2026〜2030年度、推進が特に必要な施策の事業規模は5年間で20兆円強)へ引き継がれました。
国土強靱化の事業規模はそのまま建設コンサルの市場規模ですか?
いいえ。国土強靱化の事業規模(5年間で20兆円強)は、道路・河川・砂防・上下水道などの整備・維持を含む政策全体の見込みで、工事費なども含みます。建設コンサルの仕事は、こうした事業の前段にあたる調査・計画・設計です。政策の事業規模がそのまま建設コンサルの受注額になるわけではなく、建設コンサルはこうした政策に支えられて需要を得る立場にあります。
インフラの老朽化はなぜ建設コンサルの需要につながるのですか?
高度成長期に整備された道路橋・トンネル・上下水道が一斉に更新の時期を迎えているためです。橋やトンネルは5年に1回の近接目視点検が定められ、施設ごとに健全性を診断します。建設コンサルは、これらの点検・診断や、長く使うための修繕計画(長寿命化計画)の策定、補修・更新の設計を担い、維持管理を技術面で支えます。
予防保全とは何ですか?
施設が壊れてから直す「事後保全」に対し、劣化が進む前に計画的に手を打って施設を長持ちさせる考え方を「予防保全」といいます。老朽化するインフラを限られた予算で維持するために、点検データをもとに劣化を予測し、優先順位をつけて補修する予防保全への転換が進められています。建設コンサルは、その計画づくりや設計を担います。
気候変動は建設コンサルの需要にどう影響しますか?
気候変動により豪雨の激しさや頻度が増すと見込まれ、これまでの想定を超える災害への備えが求められています。川の流域全体で水害を防ぐ「流域治水」のように、複数の対策を組み合わせた計画づくりが重要になり、河川・砂防・海岸の整備や施設の機能強化など、防災・減災にかかわる調査・設計の需要が広がっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    内閣官房「第1次国土強靱化実施中期計画」(2025年6月閣議決定)
  2. 2.
    国土交通省 インフラ長寿命化・点検制度
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