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建設コンサルの受注構造|公共依存の度合いと調達制度【2026年版】

建設コンサルタントの発注者は、国や自治体などの公共が中心です。動態調査による建設コンサルタント上位50社の受注高は2025年度に約7,367億円で、そのうち公共発注が約77.7%(公共の受注高を総計で割った比率、上位50社が対象)を占めます。社会資本が公共財であることが背景にあり、公共投資の方針が受注に影響します。発注の調達は、価格だけで決める方式から、技術提案を評価する総合評価落札方式やプロポーザル方式へと広がっています。ここでは発注者別の受注構造と、調達制度の仕組みを整理します。

受注高(上位50社)
7,367億円
建設コンサルタント上位50社の受注高(2025年度)
出典: 国土交通省 建設関連業等の動態調査
うち公共(上位50社)
5,725億円
国・自治体など公共発注、受注高の約77.7%(公共÷総計)
出典: 国土交通省 建設関連業等の動態調査
うち民間(上位50社)
1,210億円
民間発注、2025年度は前年より伸びた
出典: 国土交通省 建設関連業等の動態調査
うち海外(上位50社)
432億円
海外発注、年による変動が大きい
出典: 国土交通省 建設関連業等の動態調査

建設コンサルタント上位50社の発注者別受注高(2020-2025年度、億円)

公共 / 民間 / 海外の内訳、公共が中心(上位50社が対象、業界全体ではない)
単位: 億円
公共民間海外
02,0004,0006,0008,0006,360206,329216,291226,859237,041247,36725
出典: 国土交通省 建設関連業等の動態調査(建設コンサルタント上位50社、発注者別・国内海外別)
年度202020212022202320242025
公共億円5,0785,1655,0305,5395,7045,725
民間億円8718259461,0361,0711,210
海外億円411339315284266432
合計(億円6,3606,3296,2916,8597,0417,367
前年比-0.5%-0.6%+9.0%+2.7%+4.6%
読み解き

建設コンサルタント上位50社の受注高を発注者別にみると、公共が中心の構造がはっきりします。2025年度は総計約7,367億円のうち、公共が約5,725億円、国内の民間が約1,210億円、海外が約432億円でした。公共の比率は約77.7%(公共÷総計)です。

公共の比率は年によって動きます。2020年度の約79.8%から2024年度の約81%まで高まった後、2025年度は77.7%へやや低下しました。これは2025年度に民間や海外の受注が伸びたためで、公共への依存が強まっているわけではありません。むしろ公共が受注の柱として安定していることが、この推移から読み取れます。

この数値は上位50社を対象としたもので、業界全体の受注高ではありません。それでも、発注者の中心が公共であるという建設コンサルタントの構造を示す指標として有用です。公共発注が中心であるため、受注は公共投資の方針の影響を受けやすくなります。

建設関連業3業種の発注者別受注高(2025年度・上位50社)

建設コンサルタント
受注高
約7,367億円
うち公共
約5,725億円
うち民間
約1,210億円
公共比率
約77.7%
測量業
受注高
約904億円
うち公共
約700億円
うち民間
約189億円
公共比率
約77.4%
地質調査業
受注高
約757億円
うち公共
約502億円
うち民間
約254億円
公共比率
約66.3%
読み解き

建設関連業3業種の受注高を発注者別にみると、いずれも金額では公共の比重が大きいのが共通します(各業種の上位50社が対象、公共比率は公共÷総計)。建設コンサルタントは公共比率が約77.7%、測量業も約77.4%と高く、公共の調査・設計・測量が中心です。

地質調査業は公共比率が約66.3%で、3業種のなかでは民間の比重がやや高くなっています。地盤調査は、公共のインフラだけでなく、民間の建築物や開発でも必要とされるためです。とはいえ、金額でみれば地質調査業も公共が過半を占め、公共からの発注(官公需)への依存という点は建設関連業に共通する構造です。

建設コンサルタント業務の調達の仕組み

なぜ発注者は公共が中心なのか

建設コンサルタントが扱う道路・河川・橋梁・上下水道などの社会資本は、多くの人が共同で使う公共財です。その整備や維持管理は、採算だけでは判断できない公共的な事業であり、発注者は国・地方自治体・公的機関に集中します。このため、建設コンサルタントの受注は必然的に公共が中心となります。

公共発注が中心であることは、受注が公共投資の方針や予算編成の影響を受けやすいことを意味します。近年は、インフラの老朽化対策や防災・減災を背景に、公共の需要が底堅く推移しています。

価格競争から総合評価・プロポーザルへ

公共の建設コンサルタント業務の調達方式は、大きく変化してきました。かつては価格の安さで落札者を決める価格競争が中心でしたが、価格だけで選ぶと業務の品質が確保しにくいという課題がありました。

そこで、価格と技術提案の両方を評価して落札者を決める総合評価落札方式や、業務内容の提案を求めて最も適した者を選ぶプロポーザル方式が広がりました。公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法。安値の受注で品質が落ちないよう、価格だけでなく技術力を評価して発注することを定めた法律で、建設コンサルタント業務の調達もその対象です)が、こうした品質を重視した調達を後押ししています。技術力のある建設コンサルタントが評価されやすくなる一方、提案書の作成などの負担も増えています。

業務報酬と歩掛の仕組み

建設コンサルタント業務の報酬は、担当する技術者の人件費を積み上げて算定するのが基本です。業務ごとに必要な技術者の種類と人数、作業量の標準(歩掛(ぶがかり)、ある作業に技術者が何人日かかるかの標準的な目安)にもとづいて、設計や調査の費用が見積もられます。

発注者である国や自治体は、この積算の基準を定めており、公共の建設コンサルタント業務の報酬は一定のルールにもとづいて決まります。技術者の確保や働き方改革を進めるうえで、報酬の水準や積算の基準が、業界の関心事となっています。

主要論点

なぜ建設コンサルタントは公共発注に依存するのか?

建設コンサルタント上位50社の受注高のうち、約77.7%が公共発注です(2025年度)。この高い公共比率は、建設コンサルタントが扱う仕事の性質によるものです。

道路・河川・橋梁・上下水道などの社会資本は、多くの人が共同で使う公共財であり、その整備や維持管理の発注者は国・自治体・公的機関に集中します。民間が発注する建築物の設計は建築設計事務所などが担うことが多く、社会資本の調査・設計は公共が主な発注者となります。このため、建設コンサルタントの受注は構造的に公共が中心になります。

公共依存は、受注が公共投資の方針に左右されることを意味します。予算が増えれば受注は増えやすく、逆に緊縮されれば影響を受けます。近年はインフラ老朽化対策で需要が底堅い一方、この安定を活かしつつ、民間や海外の受注をどう広げるかが各社の課題です。

総合評価方式やプロポーザル方式は何を変えたのか?

公共の建設コンサルタント業務の調達は、価格の安さで決める価格競争から、技術を評価する方式へと広がりました。総合評価落札方式は価格と技術提案の両方を点数化して落札者を決め、プロポーザル方式は業務の提案を求めて最も適した者を選びます。

この変化は、技術力のある建設コンサルタントが評価されやすくなる方向に働きました。価格だけの競争では、安値受注が品質の低下を招く懸念がありましたが、技術を評価することで、経験や提案力のある事業者が選ばれやすくなります。品確法が、こうした品質を重視した調達を制度的に支えています。

一方で、提案書の作成には手間がかかり、技術者の負担が増える面もあります。受注のために多くの提案書を作る必要があり、中小事業者には負担が大きいという指摘もあります。調達の透明性と品質確保を保ちつつ、事業者の負担をどう抑えるかが論点です。

公共依存にはどんなリスクがあるのか?

受注の大半を公共に頼る構造は、安定と裏腹のリスクを抱えます。最大のリスクは、公共投資の変動に業績が左右されることです。国や自治体の予算が縮小すれば受注が減り、逆に国土強靱化のような政策が打ち出されれば受注が増えます。事業者は、自らの努力だけでは需要をコントロールしにくい立場にあります。

2025年度は、上位50社の公共比率が前年の約81%から77.7%へやや低下し、民間や海外の受注が伸びました。これは、公共への偏りを和らげる動きとも読めます。民間の再開発やインフラの維持管理、海外のインフラ整備支援など、公共以外の受注を広げることが、リスク分散の方向として意識されています。

もっとも、社会資本の調査・設計という業務の性質上、公共が中心である構造そのものは大きくは変わりません。公共の安定した需要を土台としつつ、民間・海外でどれだけ上積みできるかが、各社の経営の分かれ目となります。

中期見通し

近未来1-2年

公共が受注の中心である構造は続きます。インフラの老朽化対策や防災・減災を背景に、公共の調査・設計の需要は底堅く推移する見通しです。調達では総合評価・プロポーザル方式が定着し、技術力による差別化が受注を左右します。

中期3-5年

発注者である自治体の人手不足を背景に、複数の業務をまとめて委ねる包括的な発注や、維持管理を長期で任せる方式が広がる可能性があります。建設コンサルタントには、調査・設計にとどまらず、維持管理や運営まで含めた提案力が求められます。

長期5-10年

公共依存のリスクを和らげるため、民間・海外の受注拡大が長期の課題です。民間の再開発やインフラ運営、海外のインフラ整備支援など、公共以外の分野をどう広げるかが問われます。ただし、社会資本の調査・設計という業務の性質上、公共が土台である構造は続く見通しです。

よくある質問

建設コンサルタントの発注者は誰ですか?
建設コンサルタントの発注者は、国や自治体などの公共が中心です。動態調査による建設コンサルタント上位50社の受注高(2025年度で約7,367億円)のうち、約77.7%が公共発注です(公共の受注高を総計で割った比率、上位50社が対象)。道路・河川・上下水道などの社会資本が公共財で、その調査・設計の発注者が国・自治体・公的機関に集中しているためです。
建設コンサルタントの公共依存度はどのくらいですか?
建設コンサルタント上位50社の受注高でみると、公共発注の比率は2025年度で約77.7%です(公共÷総計、上位50社が対象)。この比率は2020年度の約79.8%から2024年度の約81%まで高まった後、2025年度は民間・海外の受注の伸びでやや低下しました。年により動きますが、公共が受注の中心である構造は共通しています。
品確法とは何ですか?
品確法は「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の略称で、公共工事や関連する調査・設計の品質を確保することを目的とした法律です。価格だけでなく技術力を評価して発注者を選ぶ総合評価落札方式やプロポーザル方式を後押しし、建設コンサルタント業務でも技術を重視した調達が広がる制度的な背景となっています。
総合評価落札方式とは何ですか?
総合評価落札方式とは、公共の調達で、価格と技術提案の両方を点数化して落札者を決める方式です。価格の安さだけで選ぶ価格競争と異なり、技術力や実績、業務の実施方針なども評価されます。これにより、技術力のある建設コンサルタントが評価されやすくなる一方、提案書の作成などの負担も増えています。
建設コンサルタントの民間の仕事は増えますか?
2025年度は、上位50社の民間・海外の受注が伸び、公共比率がやや低下しました。公共依存のリスクを和らげるため、民間の再開発やインフラ運営、海外のインフラ整備支援など、公共以外の受注を広げることが各社の課題です。ただし、社会資本の調査・設計という業務の性質上、公共が中心である構造そのものは大きくは変わらない見通しです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設関連業等の動態調査
  2. 2.
    国土交通省 公共工事の品質確保(品確法)
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