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スーパーゼネコン4社業績比較|鹿島・大成・大林・清水のランキング【2026年版】

日本のスーパーゼネコンは業界一般に「鹿島・大成・大林・清水・竹中」の5社呼称ですが、本記事では決算情報の継続的な比較が可能な上場4社の鹿島・大成・大林・清水に絞って業績比較を行います。4社の合計売上は約9-10兆円で、建設投資75.6兆円の12-13%を占めます。残り87%は許可業者48万社の中小・地場業者が担う零細・分散構造で、4社は再開発・データセンター・洋上風力等の大型案件の獲得力が業界での位置づけを決めています。FY2026 Q3では4社揃って増益基調にあり、本ページでは各社の差別化軸を比較します。

スーパーゼネコン4社の業績比較(FY2025通期)

売上(連結)
鹿島建設
29,118億円
大成建設
21,542億円
大林組
26,201億円
清水建設
19,444億円
売上 前年比
鹿島建設
+9.3%
大成建設
+22.1%
大林組
+12.7%
清水建設
-3%
営業利益
鹿島建設
1,519億円
大成建設
1,202億円
大林組
1,434億円
清水建設
710億円
純利益
鹿島建設
1,258億円
大成建設
1,238億円
大林組
1,461億円
清水建設
660億円
ROE
鹿島建設
10.2%
大成建設
13.8%
大林組
12.6%
清水建設
7.6%
自己資本比率
鹿島建設
36.4%
大成建設
35.7%
大林組
38.1%
清水建設
34.1%
読み解き

4社合計売上は約9-10兆円で建設投資75.6兆円の12-13% に相当し、残り87% は許可業者48万社の中小・地場業者が担う寡占の上層 + 分散の下層という構造です。

鹿島が首位の背景には、海外関係会社(米国Core5・シンガポール・欧州)の収益寄与と国内大型案件(生産施設・再開発・データセンター)獲得力があります。大林はFY2025通期売上 +12.7%・営業利益 +80.7% で4社中2番手の規模に拡大、ROE 12.6% は中計2022目標(10% 以上)を超過しています。清水はFY2024営業損失 △247億円からFY2025 +710億円へのV字回復を象徴的に示しています。

4社の企業プロフィールと戦略

鹿島建設(1812)— 業界首位の歴史的総合建設会社

企業情報・特徴

鹿島建設は1840年(天保11年)創業、1930年(昭和5年)設立の総合建設会社で、東京都港区元赤坂に本社を置きます。事業セグメントは国内土木・国内建築・海外・不動産開発の4本柱で、連結子会社181社・持分法141社の計323社からなるグローバル企業。代表的なプロジェクトに東京駅丸の内駅舎保存・復原(清水建設・鉄建建設との3社JV)、明石海峡大橋(神戸側主塔基礎工事)、黒部ダム(骨材製造工事)など、土木・建築の両面で日本を代表する歴史的案件を多く手がけています。海外関係会社では米国Core5(流通倉庫開発)、シンガポール、欧州での建設事業を展開し、4社中で海外比率が最も高い構造です。

業績推移

FY2025連結売上は2兆9,118億円(前期比 +9.3%)、営業利益1,519億円、純利益1,258億円(+9.4%)、ROE 10.2% で4社中首位。FY2025売上の構成は建設事業2.51兆円・開発事業等0.40兆円。業界首位の背景には、海外関係会社の収益寄与(米国Core5 + 欧州 + 東南アジア)と国内大型案件獲得力(生産施設・再開発・データセンター・宿泊施設)の両輪があります。FY2026 Q3累計(2025/4-12)は売上 +5.9% / 営業利益 +81.6% / 純利益 +64.0% と大幅増益で、通期予想を18.1% 上方修正しました。

戦略・注力分野

単体土木ではFY2025受注高5,200億円目標(洋上風力風車基礎工事・トンネル・河川等)、単体建築では生産施設・再開発・データセンターの重点分野で大型受注を獲得。海外戦略の中核は米国子会社Core5を通じた流通倉庫開発で、2025年の米国不動産市場は政策金利引下げで取引量 +3% に転じ、2026年の売却活性化が見込まれます。FY2026 Q3説明会では「海外開発事業全体で当期純利益300億円超の早期達成」を表明しており、4社中で最も海外関係会社の収益寄与が大きい構造(鹿島KAJIMA FACT BOOK 2025.3 + 統合報告書参照)が業績変動性と成長余地の両面を担う構造です。

大成建設(1801)— TAISEI VISION 2030と海洋土木強化

企業情報・特徴

大成建設は1873年(明治6年)創業の総合建設会社で、本社は東京都新宿区西新宿。事業セグメントは土木・建築・開発の3本柱に加え、FY2026 Q3で東洋建設を新規連結化したことで海洋土木分野が新たに加わりました。代表的なプロジェクトに東京湾アクアライン(風の塔)、新国立競技場(大成・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV、代表会社)、東京スカイツリータウン ウエストヤード(商業施設、2012)などがあり、特に大型土木・建築工事で実績豊富。「人がいきいきとする環境を創造する」を企業理念に据え、ESG・サステナビリティ経営を全社方針として推進しています。

業績推移

FY2026 Q3累計(2025/4-12)売上1兆4,278億円(-6.5%)、営業利益1,224億円(+53.0%)、純利益1,026億円(+22.4%)。売上は微減の一方、営業利益が大幅伸長したのは採算改善の結果で、土木の完成工事総利益率は21.9%(前年同期 +3.4pt)、建築は10.9%(同 +6.5pt)まで改善。背景には、(1)大型工事の竣工に伴う追加・変更工事獲得と原価低減、(2)受注時採算の改善(緩やかながら継続的)、(3)物価スライドを含む追加請負金獲得、の3点があります。工事損失引当金は1,023億円 → 829億円へ改善し、収益性向上が定量的に確認できる状況です。

戦略・注力分野

中期戦略の柱は「TAISEI VISION 2030」で、次世代建設・スマート建設を中核に据える計画。FY2026 Q3で東洋建設の新規連結化を通じて海洋土木(埋立工事・港湾工事・洋上風力等)の強化を進めています。発行済株式183M → 163Mへの減少(自己株消却)と政策保有株式の縮減も継続しており、株主還元と資本効率を高める方針が明確。海外比率は鹿島・大林より低く、国内建築・土木の収益性改善で利益を伸ばす戦略が際立ちます。

大林組(1802)— FY2025 ROE 12.6% / 売上 +12.7% で4社中2番手

企業情報・特徴

大林組は1892年(明治25年)大阪での創業以来130年超の歴史を持つ総合建設会社で、本社は東京都港区港南。事業セグメントは国内建築・国内土木・海外建築・海外土木・不動産の5本柱で、4社中で最も詳細にセグメント開示している点が特徴。代表的プロジェクトに大阪城天守閣再建、瀬戸大橋の一部、阪急電鉄千里線など。経営の柱として「Obayashi Sustainability Vision 2050」を掲げ、ESG経営と財務規律を両立する方針を打ち出しています。

業績推移

FY2025通期確定値で売上2兆6,201億円(+12.7%)/ 営業利益1,434億円(+80.7%)/ 純利益1,461億円(+94.6%)/ ROE 12.6%(中計2022目標10% 以上を超過達成)/ 自己資本比率38.1%。FY2026通期予想は営業利益1,950億円(前回予想1,650億円から +300億円上方修正、2026/2/9発表)で、+18.2% の上方修正幅。+300億円の内訳は、国内建築 +180億円、海外建築 +70億円、海外土木 +30億円、国内土木 +10億円、不動産 +10億円。FY2026 Q3累計(2025/4-12)では海外土木の北米子会社が売上 +33.1% / 営業利益 +95.2% と急成長しています。

戦略・注力分野

海外受注比率はFY2025通期2.6% からFY2026 Q3で7.8% へ拡大しており、北米(流通倉庫・産業施設)・東南アジア(オフィスビル・物流)・欧州での大型案件獲得が中長期成長を担う構造。為替換算方法の変更による会計の精緻化も進め、データの開示透明性を高めています。中計2022終了後の次期計画では、ROIC・ROEのさらなる引き上げと海外比率拡大が論点となる見通しで、財務効率と成長性の両立を継続するスタンスが鮮明です。

清水建設(1803)— V字回復から成長期への移行

企業情報・特徴

清水建設は1804年(文化元年)創業、220年超の歴史を持つ日本最古級の建設会社で、本社は東京都中央区京橋。持株会社制ではなく直接の事業会社で、建設事業と非建設事業(不動産開発・エンジニアリング)の2軸構成。代表的プロジェクトに東京駅周辺の再開発、首都高速道路の一部、原子力関連施設など。経営理念は「子どもたちに誇れるしごとを。」で、技術研究所「シミズ・オープン・アカデミー」など研究開発投資も継続しています。

業績推移

FY2024通期で連結営業損失 △24,685百万円(△247億円)の赤字転落から、FY2025で +71,030百万円(+710億円)へV字回復した象徴的事例。FY2025売上1兆9,443億円(前期比 -3.0%)、純利益660億円(+284.6%)、ROE 7.6% / 自己資本比率34.1%。V字回復の要因は、(1)FY2024の大型不採算案件の工事損失引当金計上の一巡、(2)建設事業の完成工事総利益率の改善、(3)持分法投資損益の正常化、の3点。FY2026 Q3累計は売上1兆4,293億円(+7.6%)、営業利益745億円(+108.6%)、純利益810億円(+99.6%)と倍増基調で、回復から成長期への移行が鮮明です。

戦略・注力分野

事業の中心は国内建築・土木で、海外建設は4社中で最も比率が低い構造。FY2024 V字回復後の新中期計画は今後発表が見込まれ、復活した収益性の維持と次の成長軸(DX・脱炭素・海外比率引き上げ)が焦点となります。FY2026通期予想は売上1兆9,100億円(-1.8%)/ 営業利益780億円(+9.8%)と保守的ですが、Q3進捗から見ると上振れ余地が大きく、4社の中では「再成長フェーズの入り口」に位置する企業として注目されます。

主要論点

4社の規模差はなぜ生まれているのか?

FY2025通期確定値で連結売上は 鹿島2.91兆 / 大林2.62兆 / 大成2.15兆 / 清水1.94兆 と、最大の鹿島と最小の清水で約1兆円の差があります。差を生む構造要因は3点に整理できます。

第1に 海外関係会社の規模・収益寄与の差。鹿島は米国Core5(流通倉庫開発)・シンガポール・欧州を通じて海外建設事業比率が約25% に達する一方、清水は海外比率が限定的で国内中心。第2に 大型案件獲得力の差。鹿島は生産施設・再開発・データセンターでの重点取り組みでFY2025売上 +9.3% を達成、大林は売上 +12.7% で2番手規模に拡大、一方で清水はFY2024の大型不採算案件損失計上で一時的に縮小。第3に 創業期からの事業ポートフォリオの違い。鹿島は土木・建築・開発・海外の4セグメント、大成は土木・建築・開発の3セグメント、大林は国内建築・国内土木・海外建築・海外土木・不動産の5セグメント、清水は建設・非建設の2軸構成、と多角化の度合いが異なります。

中長期では、FY2026 Q3で4社揃って増益基調にあることから、規模差は維持されつつも4社全体としての底上げが進む構造。海外比率の引き上げと大型案件獲得が継続的な競争軸となります。

なぜFY2026 Q3で4社揃って増益基調なのか?

FY2026 Q3累計(2025年4-12月)で4社揃って大幅増益基調にあるのは、4つの共通要因が並列して効いた結果です。

第1に 物価スライド対応の浸透。労務費・資材費の上昇を発注者へ転嫁する「物価スライドを含む追加請負金獲得」が4社決算で増収要因として明示されており、これは2024年問題(時間外労働上限規制)を背景とした業界全体の交渉力強化の表れ。第2に 大型工事の竣工タイミング。生産施設・再開発・データセンター等の大型工事がFY2025-2026で集中的に竣工し、追加・変更工事獲得と原価低減が一斉に効きました。

第3に 受注時採算の継続的改善。4社いずれも工事損失引当金の縮小(大成は1,023 → 829億円)と完成工事総利益率の改善が確認でき、「採算重視の受注」が定着しつつあります。第4に 海外建築事業の収益性改善。鹿島・大林の北米子会社で手持ち工事の進捗と高採算案件の積み上げが利益貢献し、海外比率の高い社ほど恩恵が大きい構図です。短期的には増収増益要因ですが、構造的には業界の質的変化(採算重視 + 物価対応)として整理できます。

スーパーゼネコンの中長期競争軸はどこにあるか?

4社合計売上は約9-10兆円で、建設投資75.6兆円の12-13% に過ぎず、残り87% は許可業者48万社の中小・地場業者が担う零細・分散構造です。スーパーゼネコンが大型案件を取り、中小・地場が下請として実工事を担うピラミッド構造のなか、4社の中長期競争軸は3つに集約されます。

第1に 海外受注比率の引き上げ。国内市場は人口減・新設需要頭打ちで構造的に成長率が低い一方、米国流通倉庫・東南アジアのインフラ・欧州大型工事は中長期で拡大局面。鹿島の海外関係会社(Core5)、大林の北米子会社、大成の海外土木(東洋建設連結)が成長エンジンとなる構造です。

第2に 大型案件(DC・再開発・洋上風力・半導体工場)の獲得力。これらは技術要件が高く、許認可・地元調整・大規模JV組成のノウハウが必要で、スーパーゼネコンの専門領域。第3に DXによる省人化(i-Construction 2.0連動)。生産年齢人口減少下での労働生産性向上が業界共通課題で、BIM/CIM原則化や施工自動化の投資余力がある4社が先行する構造。FY2026 Q3で4社が揃って業績予想を上方修正したのは、これら3軸での競争力強化が利益面で結実し始めた結果と整理できます。

中期見通し

近未来1-2年

FY2026通期は4社揃って増益見込みで、特に大林(営業利益 +18.2% 上方修正)と鹿島(営業利益 +50.1% 通期予想)の伸長率が高い。物価スライド対応 + 大型工事竣工 + 海外建築収益性改善の追い風が継続し、Q4でも上方修正の余地があります。清水はFY2024のV字回復から成長期への本格移行、大成は東洋建設連結の統合効果が顕在化するフェーズ。

中長期3-5年

2028-2030年は海外受注比率の競争が本格化する時期。鹿島の米国Core5、大林の北米子会社が安定収益源となる一方、大成・清水も東南アジア・欧州での案件獲得が課題となります。国内では新設からリニューアル(維持修繕)市場へのシフトが本格化(シェア2023年32% → 2030年代に向けて拡大)し、ストック市場での技術力と採算管理が勝敗を分ける構造。i-Construction 2.0連動のDX投資が省人化と利益率改善を両立する軸となります。

関連業界への波及

4社の業績拡大は、建設機械(コマツ・日立建機・コベルコ)、建設資材(鉄鋼・セメント)、電気/設備工事(きんでん・関電工・九電工)、不動産開発(三井・三菱地所等)に波及します。スーパーゼネコンの大型案件は地域経済への乗数効果が大きく、土木では地域建設業者の受注確保、建築では設備系専門工事業者の繁忙度を左右します。物価スライド対応の波及は中堅・地場ゼネコンにも及び、業界全体の交渉力強化が中長期で進む見通しです。

よくある質問

スーパーゼネコン4社の売上規模はどれくらいですか?
FY2025通期確定値で連結売上は鹿島2.91兆円、大林2.62兆円、大成2.15兆円、清水1.94兆円、4社合計は約9.6兆円。建設投資75.6兆円(2025年度)の12-13% に相当し、残り87% は許可業者48万社の中小・地場業者が担う構造です。
4社のうち海外受注比率が高いのはどこですか?
鹿島建設が最も海外比率が高く、米国Core5(流通倉庫開発)・シンガポール・欧州を含む海外関係会社の建設事業比率が約25%。大林組はFY2025通期2.6% からFY2026 Q3で7.8% へ拡大中。大成・清水は国内中心の構造で、海外比率は1桁台に留まります。
4社の戦略の違いは何ですか?
鹿島は海外関係会社(米国Core5)と国内大型案件(生産施設・再開発・データセンター)の両輪。大成はTAISEI VISION 2030 + 東洋建設新規連結(海洋土木強化)+ 採算改善。大林はFY2025 ROE 12.6% で中計2022目標(10% 以上)超過達成、FY2026通期予想 営業利益1,950億円(+300上方修正)と海外受注比率2.6%→7.8% 引き上げ。清水はFY2024 V字回復後、建設・非建設の2軸構成で国内重点という棲み分けです。
データ出典
鹿島・大成・大林・清水の決算短信(FY2025通期 + FY2026 Q3)鹿島FACT BOOK 2025.9各社中期経営計画・統合報告書EDINET(有価証券報告書)
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