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スーパーゼネコン4社の海外戦略|米国Core5・北米・東南アジア展開と海外受注比率【2026年版】

スーパーゼネコン4社の鹿島・大成・大林・清水は海外比率に大きな差があります。鹿島は米国Core5の流通倉庫開発・シンガポール・欧州を軸に4社中で最も海外プレゼンスが大きく、大林は北米子会社の急成長で海外比率が拡大基調にあります。大成は東洋建設の連結化で海洋土木を強化、清水は国内中心で海外比率は限定的です。各社の連結業績は「主要4社業績比較」ページを単一の出典として参照してください。本ページでは米国・東南アジア・欧州・中東の地域別動向を含めて、4社の海外展開と中長期競争軸を整理します。

スーパーゼネコン4社の海外戦略

鹿島 / 大成 / 大林 / 清水の比較

鹿島建設 — 米国Core5・シンガポール・欧州、4社中最大の海外プレゼンス

概要

鹿島の海外展開は4社中で最も先行しており、米国Core5・シンガポール・欧州を軸に4社中で最大の海外プレゼンスを保有します。鹿島FACT BOOK 2025によれば、連結子会社181社・持分法適用会社141社の合計323社からなるグローバル企業です。

業績推移

連結売上規模は「主要4社業績比較」ページを参照(海外は重要な収益源)。FY2026 Q3累計(2025/4-12)では海外建築事業の収益性改善などを背景に通期業績予想を再度上方修正し、決算説明会資料で連結営業利益2,280億円・当期純利益1,700億円と過去最高見込みを示しています。決算説明会の質疑応答では「海外事業全体で当期純利益300億円を上回る水準の早期達成」を表明しており、海外比率の高さが業績変動性と成長余地の両面を担う構造です。

戦略・注力分野

中核は米国子会社Core5を通じた流通倉庫開発で、2025年の米国不動産市場は政策金利引下げで取引量 +3% に転じ、2026年の売却活性化が見込まれます。シンガポールでは大型オフィス・産業施設の建設、欧州(東欧含む)では物流・産業施設の建設が継続的に進行中。米国 + 欧州 + 東南アジアの3軸で展開し、特定地域への依存を分散しています。

大林組 — 北米子会社が急成長、海外比率が拡大基調

概要

大林の海外戦略は北米中心で、北米子会社(流通倉庫・産業施設)の急成長により海外比率が拡大基調にあります。決算説明会資料によれば、FY2026 Q3で海外土木の北米子会社は売上が前年同期比+33.1%(+577億円)・営業利益が同+95.2%(+48億円)の大幅伸長を記録しています。

業績推移

FY2025通期の連結業績(売上・営業利益・ROE)は「主要4社業績比較」ページを参照(中計2022の目標を超過する財務効率)。FY2026通期予想は決算説明会資料で営業利益1,950億円(前回1,650億円から+300億円の上方修正、2026/2/9発表)に引き上げられ、財務効率と海外成長の両立が際立ちます。

戦略・注力分野

北米(流通倉庫・産業施設)が中核で、東南アジア(オフィスビル・物流)・欧州での大型案件獲得も並行進行。為替換算方法の変更による会計の精緻化も進め、データの開示透明性を高めています。中計2022終了後の次期計画では、ROIC・ROEのさらなる引き上げと海外比率拡大が論点となる見通しで、海外比率のさらなる引き上げが中長期目標として議論される段階にあります。

大成建設 — 東洋建設連結で海洋土木強化、TAISEI VISION 2030

概要

大成はFY2026 Q3で東洋建設を新規連結化することで海洋土木分野(埋立工事・港湾工事・洋上風力等)を強化。海外戦略は鹿島・大林より控えめだが、東洋建設連結を通じた海洋土木の海外案件(東南アジアの港湾整備等)への展開機会を確保しています。

業績推移

FY2026 Q3累計の連結業績は「主要4社業績比較」ページを参照(国内事業中心で利益率改善が顕著)。決算説明会資料によれば、単体売上総利益率は土木21.9%(対前期+3.4pt)・建築10.9%(対前期+6.5pt)と採算改善が際立ちます。海外比率は4社の中では中位で、国内建築・土木の収益性改善で利益を伸ばす戦略です。

戦略・注力分野

中期戦略の柱は「TAISEI VISION 2030」で、次世代建設・スマート建設を中核に据える計画。FY2026 Q3の東洋建設新規連結化を通じて海洋土木の強化を進め、洋上風力・港湾整備・港湾の防災機能強化等の海外展開機会を視野に入れています。決算説明会資料では自己株消却と政策保有株式の縮減の継続も示されており、株主還元と資本効率の向上を並行推進しています。

清水建設 — 海外比率限定的、国内V字回復後の海外検討

概要

清水の海外比率は4社中で最も低く、建設事業の中心は国内建築・土木。FY2024通期の連結営業損失からFY2025に営業黒字へV字回復した経緯があり、まずは国内事業の収益性確保と次の成長軸の構築が優先順位の高い段階にあります。

業績推移

FY2025通期・FY2026 Q3累計の連結業績は「主要4社業績比較」ページを参照(FY2026 Q3は倍増基調で回復から成長期への移行が鮮明)。海外建設は売上構成比で限定的で、4社中では国内重点という棲み分けです。

戦略・注力分野

FY2024 V字回復後の新中期計画は今後発表が見込まれ、復活した収益性の維持と次の成長軸(DX・脱炭素・海外比率引き上げ)が焦点。技術研究所「シミズ・オープン・アカデミー」を活用した自社開発技術の蓄積に強みがあり、原子力関連施設・大型インフラでの実績を持つため、これらの技術力を海外展開でどう活用するかが中長期の論点となります。

海外展開の地域別動向

北米・東南アジア・欧州・中東

北米 — 流通倉庫・産業施設・データセンター

概要

北米(特に米国)は4社の海外展開で最重要市場。鹿島の米国Core5(流通倉庫開発)、大林の北米子会社(流通倉庫・産業施設)が中核で、海外展開の主軸となっています。EC拡大・データセンター需要・半導体工場の国内回帰(米国側)が需要源です。

動向

2025年の米国不動産市場は連邦準備制度(FRB)の政策金利引下げ局面で取引が回復に転じ、2026年の売却活性化が見込まれます。鹿島Core5は流通倉庫の開発から物件売却までの一貫モデルで、安定的な収益源として機能。大林の決算説明会資料によれば、北米子会社は売上が前年同期比+33.1%・営業利益が同+95.2%(FY2026 Q3)と急成長中で、4社の海外戦略の中核地域として位置付けられます。

背景・要因

(1)米国のEC化率の継続上昇と物流不動産の構造的需要、(2)生成AI・クラウド需要を背景としたデータセンター建設の急増、(3)半導体・電池・自動車等の製造業の北米生産強化(CHIPS Act等の政策後押し)、(4)日本企業の北米進出に伴う日系発注、の4要因。中長期で北米市場は4社の海外展開の最大成長軸として継続する見通しです。

東南アジア — オフィスビル・物流・インフラ

概要

東南アジア(シンガポール・タイ・ベトナム・インドネシア・マレーシア・フィリピン)は4社の伝統的な海外展開地域で、オフィスビル・物流倉庫・インフラ整備が中核。鹿島はシンガポールでオフィス・産業施設、大林はタイ・ベトナムで産業施設、清水はベトナム・インドネシアで建築事業を展開しています。

動向

東南アジア各国の経済成長と都市化を背景に、オフィスビル・商業施設・物流倉庫の建設需要が継続的に拡大。日系企業の現地工場新設に伴う日系発注も底堅く、4社の安定的な海外収益源として機能。一方、現地建設会社(地場大手・中国系)との価格競争は厳しく、技術力・品質・施工管理の差別化が中核競争軸となっています。

背景・要因

(1)東南アジア各国の経済成長と都市化、(2)日系企業の現地進出に伴う工場・物流施設建設、(3)インフラ整備(道路・港湾・空港)の継続的需要、(4)官民連携(PPP)案件の拡大、の4要因。中長期では中国系建設会社との競争が激化する一方、日本の品質・技術・施工管理の優位性で差別化を継続する見通しです。

欧州 — 東欧の事業拡大、産業施設・物流

概要

欧州は4社の海外展開の中で比較的新しい領域で、特に鹿島が東欧(ポーランド・チェコ・ハンガリー等)で産業施設・物流倉庫の事業を拡大中。EU域内の物流ネットワーク整備、自動車・電子部品工場の東欧立地が需要源です。

動向

鹿島は欧州での建設事業を継続的に拡大し、海外関係会社の中核地域の一つに位置付けています。大林も欧州での大型案件獲得を進めており、グローバル展開の地域分散戦略の一環として欧州プレゼンスを高めています。中国・ロシア依存からの脱却に伴う製造業の欧州回帰(EU域内サプライチェーン強化)が中長期の需要源として注目されています。

背景・要因

(1)EU域内の物流ネットワーク整備、(2)自動車・電子部品の東欧生産拠点拡大、(3)EUの経済安全保障政策(中国・ロシア依存からの脱却)、(4)西欧と比べた東欧の建設コスト競争力、の4要因。中長期では欧州市場は北米・東南アジアに次ぐ第3の海外展開軸として成長する見通しです。

中東・その他地域 — 限定的、選別的展開

概要

中東・アフリカ・南米等のその他地域では、4社の展開は限定的・選別的。中東ではサウジアラビアのNEOM(ネオム)構想等の大型開発、UAEのインフラ整備等で部分的に参画機会があるものの、4社の海外戦略の中核地域とはなっていません。

動向

中東では政府系発注者(産油国の政府・国営企業)の大型案件が継続的に発生し、4社も選別的に参画。一方、政治リスク・契約リスク・与信リスクが大きいため、リスク管理の観点で慎重なスタンスが続きます。アフリカ・南米でもJICA等のODA案件への参画が中心で、独自の事業展開は限定的です。

背景・要因

(1)中東の政府系発注者の大型案件機会、(2)政治・契約・与信リスクの大きさ、(3)4社のリソース集中(北米・東南アジア・欧州)、(4)ODA案件への選別的参画、の4要因。中長期でも4社の海外戦略の中核は北米・東南アジア・欧州の3軸で、中東・アフリカ・南米は機会案件型の展開が継続する見通しです。

主要論点

なぜスーパーゼネコン4社で海外比率に大きな差があるのか?

4社の海外比率は、鹿島(4社中で最大)→ 大林(北米子会社の急成長で拡大基調)→ 大成(中位、東洋建設連結で海洋土木)→ 清水(限定的、国内中心)の順で大きな差があります。差を生む構造要因は3点に整理できます。

第1に 海外進出開始時期と蓄積差。鹿島は戦後早期から海外プロジェクトに参画し、米国・東南アジア・欧州での実績を長期にわたって蓄積。鹿島FACT BOOK 2025に示される合計323社のグローバルネットワークが他社との差別化要因です。大林・大成・清水は海外進出が比較的後発で、海外案件の蓄積と現地パートナーシップの厚みで鹿島に劣後します。第2に 海外不動産開発の早期参入。鹿島の米国Core5は流通倉庫の「開発 → 売却」モデルで、単なる建設請負ではなく不動産開発業として参入。これにより米国不動産市場の景気循環で大きな利益を享受する構造を確立しました。

第3に 国内事業の収益性と海外投資余力。清水はFY2024の営業損失からV字回復のフェーズで、まずは国内事業の収益性確保が優先順位。一方、鹿島・大林は安定的な国内収益基盤を持ち、海外への投資余力が大きい。中長期では、海外比率引き上げが4社共通の競争軸となるなか、清水の海外戦略の本格化、大成の東洋建設連結を活用した海洋土木の海外展開、が中長期の追走の鍵となります。

北米市場が4社海外戦略の中核となるのはなぜか?

4社の海外戦略の中で、北米(特に米国)は最重要市場として位置付けられています。鹿島の米国Core5、大林の北米子会社が業績を牽引し、FY2026 Q3で4社の海外業績の中核を担う構造です。北米市場が中核となる理由は4つに整理できます。

第1に 米国不動産市場の規模と流動性。米国は世界最大の商業用不動産市場で、流通倉庫・産業施設・オフィスの取引活性度が高く、開発 → 売却モデルが機能。第2に EC・データセンター・半導体の構造的需要。米国のEC化率の継続上昇、生成AI・クラウド需要を背景としたデータセンター建設の急増、半導体・電池・自動車等の製造業の北米生産強化(CHIPS Act等の政策後押し)が、流通倉庫・産業施設の継続的需要を生み出しています。

第3に 政策金利の動向と取引活性化。FRBの政策金利引下げ局面で2025年の米国不動産市場は取引が回復に転じ、2026年の売却活性化が見込まれます。鹿島Core5と大林の北米子会社にとって、売却の活性化は安定的な収益源となります。第4に 日本企業の北米進出に伴う日系発注。トヨタ・パナソニック・東京エレクトロン・キオクシア等の日本企業が北米生産を強化するなか、日系建設会社への発注機会が継続的に発生。日本の品質・施工管理の優位性で差別化できる構造です。中長期で北米市場は4社の海外展開の最大成長軸として継続する見通しです。

海外受注比率の引き上げは中長期でどこまで進むのか?

4社の中長期競争軸の一つとして「海外受注比率の引き上げ」が共通テーマとなっています。各社の現状と中長期見通しを3つの軸で整理できます。

第1に 国内市場の構造的成長制約。日本の建設投資75.6兆円(2025年度)は中長期で安定推移するものの、人口減・新設需要頭打ちで構造的な成長率は限定的。維持修繕(リニューアル)市場へのシフトで質的変化は進む一方、量的拡大は限定的。海外市場の成長機会の取り込みが、4社の中長期成長戦略として不可欠となります。第2に 海外比率の引き上げペース。鹿島は既に海外比率が4社中で最大で、さらなる引き上げ余地は限定的だが安定的な成長軸として継続。大林は北米子会社の急成長で海外比率が拡大中。大成は東洋建設連結を活用した海洋土木の海外展開を進める段階。清水は新中期計画で本格的な海外戦略を打ち出す可能性があり、低いベースからの引き上げ余地が大きい構造。

第3に 競争激化と差別化軸。中国系建設会社(中国交通建設・中国鉄道建設等)のグローバル展開、米国Trimble・欧州系のDX競争、現地建設会社の台頭で、海外市場での競争は激化する見通し。日本のスーパーゼネコン4社は、(1)品質・施工管理の優位性、(2)i-Construction 2.0連動のDX投資、(3)日系発注者との長期信頼関係、(4)開発 → 建設 → 運営の一貫モデル、で差別化を継続する必要があります。中長期で4社の海外比率は緩やかな引き上げが見込まれ、業界全体のグローバル化が進む構造です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は価格転嫁の浸透と海外子会社の好調が海外事業を下支えする見込み。鹿島の米国Core5は政策金利引下げ局面での売却活性化で安定的な収益寄与、大林の北米子会社は売上 +33.1% / 営業利益 +95.2%(FY2026 Q3)の高成長基調が続く見通し。大成は東洋建設連結を通じた海洋土木の海外展開、清水はV字回復後の新中期計画での海外戦略本格化が焦点となります。

中長期3-5年

2028-2030年は4社の海外比率が緩やかに引き上げられ、業界全体での海外展開の本格化が進む時期。鹿島は最大の海外プレゼンスを維持基調、大林は北米子会社の成長で拡大、大成は東洋建設連結を活用した海洋土木の海外展開、清水は新規海外案件の積み上げ、が想定されます。中国系・米国系・欧州系の競合との差別化軸として、品質・施工管理・DX投資余力・日系発注者との関係性が中核となる見通しです。

関連業界への波及

4社の海外展開は、日系製造業の海外進出(トヨタ・パナソニック・東京エレクトロン・キオクシア等)、物流不動産(GLP・プロロジス・三井不動産・三菱地所)、建設機械(コマツ・日立建機の海外売上)、ICT・SaaS(BIM/CIM・施工管理SaaSのグローバル展開)まで広範に波及。日系金融(メガバンク・大手損保)の海外建設事業向け融資・保険も拡大機会となり、産業横断的なグローバル化テーマとして中長期で位置付けられます。

よくある質問

スーパーゼネコン4社の海外比率はどれくらいですか?
4社の海外比率は大きな差があります。鹿島が4社中で最大で米国Core5が成長軸、大林は北米子会社の急成長で海外比率が拡大基調、大成は東洋建設連結で海洋土木を強化中、清水は国内中心で限定的。海外比率の引き上げは4社共通の中長期競争軸となっています。
鹿島の米国Core5とは何ですか?
米国Core5は鹿島建設の米国子会社で、流通倉庫の開発・売却モデルを展開。EC拡大・データセンター需要・半導体工場の国内回帰を背景とした米国の物流不動産市場の構造的需要を取り込む形で、安定的な収益源として機能。鹿島は決算説明会の質疑応答で、2026年の売却活性化を見据え「海外事業全体で当期純利益300億円を上回る水準の早期達成」を表明しています。
なぜ北米が4社海外戦略の中核地域なのですか?
北米が中核となる理由は、(1)米国不動産市場の規模と流動性、(2)EC・データセンター・半導体の構造的需要、(3)FRBの政策金利動向と取引活性化、(4)日本企業の北米進出に伴う日系発注、の4要因です。鹿島の米国Core5、大林の北米子会社が業績を牽引し、FY2026 Q3で4社の海外業績の中核を担う構造となっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    鹿島・大成・大林・清水4社決算短信
  2. 2.
    各社FY2026 Q3決算説明会資料・質疑応答
  3. 3.
    鹿島FACT BOOK 2025.9
  4. 4.
    各社中期経営計画・統合報告書
  5. 5.
    海外建設協会OCAJI統計
  6. 6.
    米国商務省EC統計
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