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アパレルのEC化と販売チャネル|ECの拡大と百貨店・店舗の変化【2026年版】

アパレルの販売チャネルは、店舗からECへの移行が続いています。衣類のEC化率は2024年に23.38%へ上昇し、各社は店舗とECを連携させるOMOを進めています。一方、長期的に縮小してきた百貨店の衣料品売上は2024年に前年比+6.2%と回復しました。EC化がなぜ進むのか、百貨店や専門店などのチャネルはどう変化しているのか、店舗とECの組み合わせ(OMO)までを順に整理します。

衣類のEC化率(2024年)
23.38%
2021年21.15%から上昇。靴・かばん等を含む「衣類・服装雑貨等」の区分
出典: 経済産業省 電子商取引に関する市場調査
百貨店の衣料品売上 前年比(2024年)
+6.2%
婦人服+8.5%・紳士服+3.6%、5年ぶりに食料品を上回る
出典: 日本百貨店協会 全国百貨店売上高
1世帯の衣料品支出(2024年)
124,425
二人以上世帯、購入チャネルを問わない衣料品全体への支出(家計調査)
出典: 総務省統計局 家計調査

近年の衣類のEC化率の推移(2021-2024年、%)

衣類・服装雑貨等(靴・かばん等を含む)のEC化率。コロナ禍の急上昇の後、緩やかな上昇局面
単位: %
0.06.312.518.825.021.12121.62222.92323.424
出典: 経済産業省 電子商取引に関する市場調査(令和4年度・令和6年度報告書、衣類・服装雑貨等)
2021202220232024
EC化率%21.1521.5622.8823.38
読み解き

衣類・服装雑貨等のEC化率は、2021年の21.15%から2024年の23.38%へと、緩やかに上昇してきました。アパレルは試着やサイズ・返品の課題があるものの、品ぞろえの広さや利便性を背景に、他の商品より相対的にEC化が進みやすい分野です。

なお、EC化率は新型コロナ禍の2020-2021年に大きく上昇し、その後は上昇のペースが緩やかになっています。本グラフの起点である2021年は、この急上昇の後にあたります。2021年以降の緩やかな上昇は、コロナ禍で定着したオンライン購入が、平常時の伸びへと移行した局面を示しています。

2021年から2024年の上昇は4年間で約2ポイントで、急拡大というより着実な浸透の局面です。なお、このEC化率は、靴・かばん・宝飾品などを含む「衣類・服装雑貨等」の区分のもので、アパレル業界より広い範囲を集計しています。

このグラフに関連するトピック

なぜアパレルのEC化が進むのか

スマートフォンの普及と利便性

EC化が進む最大の背景は、スマートフォンの普及と購入の利便性です。店舗の営業時間や立地に縛られず、いつでも豊富な品ぞろえから選べることが、アパレルのオンライン購入を後押ししています。サイズ表記やコーディネート提案、レビューの充実、返品のしやすさといった、EC側の使い勝手の改善も購入のハードルを下げています。

コロナ禍での定着と、その後の緩やかな伸び

新型コロナ禍では、外出の自粛を背景にオンライン購入が一気に広がり、EC化率は2020-2021年に大きく上昇しました。その後は、急拡大の局面が落ち着き、平常時の緩やかな上昇へと移行しています。コロナ禍で初めてECを使った層が定着したことが、その後の底上げにつながっています。

モールへの出店と自社ECの使い分け

各社は、ZOZOTOWNなどのモールへの出店と、自社ECを使い分けています。モールは集客力が高く新規顧客に届きやすい一方、自社ECは顧客データを自社で蓄積し、ブランドの世界観を直接伝えられる利点があります。多くのブランドが両方を併用し、モールで認知を広げつつ、自社ECで関係を深める形をとっています。

各販売チャネルはどう変化しているか

百貨店・専門店・ショッピングセンター・ECの分担が変わりつつある
百貨店 — 長期縮小からの2024年の回復

百貨店の衣料品売上は、長期的には構造的な縮小が続いてきましたが、2024年は前年比+6.2%と回復し、5年ぶりに衣料品が食料品を上回りました。婦人服が+8.5%、紳士服が+3.6%で、訪日外国人によるインバウンド需要が下支えしました。ただし、これは長期の縮小局面のなかでの回復で、販売チャネル全体に占める百貨店の比重が長期で低下してきた流れが変わったわけではありません。

専門店・ショッピングセンターとECへの移行

衣料品の販売は、百貨店から専門店やショッピングセンター(SC)、そしてECへと移ってきました。SPA(製造小売)各社の専門店やSCのテナントが日常着の販売の中心を担い、そこにECが加わる形で、消費者は店舗とECを使い分けています。一つのチャネルに集約されるのではなく、複数のチャネルが並存し、相互に補完する構造へと変化しています。

百貨店の衣料品売上 前年比(2024年、%)

5年ぶりに衣料品が食料品を上回る。実額は協会公表が前年比中心のため前年比で整理
衣料品(計)
前年比
+6.2%
婦人服・洋品
前年比
+8.5%
紳士服・洋品
前年比
+3.6%
読み解き

百貨店の衣料品売上は2024年に前年比+6.2%で、なかでも婦人服が+8.5%と牽引しました。訪日外国人の高額品需要や、外出機会の回復が背景にあります。なお、ここで示すのは前年比で、百貨店協会の公表が前年比を中心とするためです。長期では百貨店チャネルの構造的な縮小が続いており、2024年の回復はその局面のなかでの持ち直しとして読む必要があります。

店舗とECをどう組み合わせるのか — OMOと二次流通

OMO — 店舗とECの相互送客

各社は、店舗とECを別々に運営するのではなく、OMO(店舗とECを一体で運営し相互に送客する取り組み)を進めています。ECサイトやアプリで店舗の在庫や商品の場所を確認でき、店舗ではECサイトへ誘導するPOPや、サイズ・色の組み合わせを確認できる仕組みを取り入れる例が増えています。店舗の機能をECと組み合わせることで、消費者の利便性を高め、チャネルの垣根を越えた購入の流れをつくることが狙いです。

二次流通(古着・リユース)への広がり

販売チャネルは、新品の店舗・ECにとどまらず、古着やリユースの二次流通へと広がっています。フリマアプリや古着販売が定着し、消費者は新品の購入と中古の売買を組み合わせるようになっています。企業のなかには、自社ブランドの中古品の買い取りや再販に乗り出す動きもあり、新品と二次流通をつなぐ取り組みが進んでいます。

主要論点

なぜアパレルのEC化が進むのか、限界はあるのか?

アパレルのEC化が進む背景には、スマートフォンの普及と購入の利便性があります。店舗に行かずに豊富な品ぞろえから選べ、レビューやコーディネート提案、返品のしやすさといったEC側の改善が、購入のハードルを下げてきました。衣類のEC化率は2021年の21.15%から2024年に23.38%へ上昇しています。

一方で、アパレル特有の限界もあります。試着ができず、サイズや色味、素材感が分かりにくいため、返品率が高くなりやすく、その対応コストが課題となります。こうした課題に対し、各社はサイズ計測の支援や、AR(拡張現実)での試着、店舗での試着とECでの購入を組み合わせる工夫を進めています。

EC化率の上昇ペースは、コロナ禍の急拡大の後は緩やかになっています。今後の伸びは、試着・サイズの課題をどこまで技術や仕組みで解消できるか、店舗とECをどう組み合わせるかにかかっています。

百貨店チャネルは回復したのか、構造縮小は続くのか?

百貨店の衣料品売上は、2024年に前年比+6.2%と回復し、5年ぶりに衣料品が食料品を上回りました。婦人服が+8.5%と牽引し、訪日外国人によるインバウンド需要が下支えとなりました。コロナ禍で大きく落ち込んだ水準からの持ち直しが進んでいます。

ただし、これは長期の構造縮小のなかでの回復です。販売チャネル全体に占める百貨店の比重は、専門店・ショッピングセンター・ECへの移行を背景に、長期では低下してきました。2024年の回復が、この長期トレンドを反転させたとまでは言えません。

百貨店が今後どう位置づけられるかは、インバウンド需要の持続性と、店舗ならではの体験価値をどう高められるかにかかっています。EC化が進むなかで、百貨店は高額品やサービス、体験を軸に役割を保てるかが問われています。

店舗とECをどう組み合わせるか(OMO)が競争をどう変えるか?

EC化が進む一方で、店舗が不要になるわけではありません。各社が進めるのは、店舗とECを対立させるのではなく、一体で運営して相互に送客するOMOです。ECで在庫や商品の場所を確認して店舗で受け取る、店舗で試着してECで購入する、といった行き来を設計することが競争の焦点になっています。

OMOの鍵は、店舗・EC・顧客データを一体で扱うことです。どの顧客がどのチャネルで何を買うかを把握し、在庫を全チャネルで共有できれば、機会損失を減らし、顧客一人ひとりに合った提案ができます。企画・生産・販売を一貫管理するSPAは、この点で有利な立場にあります。

さらに、販売チャネルは新品にとどまらず、古着・リユースの二次流通へも広がっています。新品の店舗・ECと中古の売買を、顧客との関係のなかでどうつなぐかが、今後のチャネル戦略の論点になります。

よくある質問

アパレルのEC化率はどれくらいですか?
経済産業省の調査では、衣類・服装雑貨等のEC化率は2024年に23.38%で、2021年の21.15%から緩やかに上昇しています。新型コロナ禍の2020-2021年に大きく上昇した後、その後は緩やかな伸びとなっています。各社はモールへの出店と自社ECを使い分け、店舗とECを連携させるOMOを進めています。
EC化率の「衣類・服装雑貨等」とは何を含みますか?
経済産業省の「衣類・服装雑貨等」は、衣類(インナー・アウター)に加えて、靴・かばんなどの服装雑貨や、宝飾品、子供服、スポーツ用品などを含む区分です。アパレル業界より広い範囲を集計しています。EC化率は、この区分のEC市場規模を同じ区分の商取引総額で割った値で、分母を含めて読む必要があります。
百貨店のアパレル販売は縮小しているのですか?
長期的には構造的な縮小が続いてきましたが、2024年は衣料品売上が前年比+6.2%と回復し、5年ぶりに衣料品が食料品を上回りました。婦人服が+8.5%、紳士服が+3.6%で、訪日外国人によるインバウンド需要が下支えしました。ただし、専門店・ショッピングセンター・ECへの構造的な移行は続いており、長期では百貨店の比重は低下しています。
OMOとは何ですか?
OMO(Online Merges with Offline)とは、店舗とECを別々に運営するのではなく、一体で運営して相互に送客する取り組みです。ECで店舗の在庫や商品の場所を確認できたり、店舗でECサイトへ誘導したり、店舗で試着してECで購入したりと、チャネルの垣根を越えた購入の流れをつくります。店舗・EC・顧客データを一体で扱うことが鍵となります。
1世帯あたりの衣料品への支出はどれくらいですか?
総務省の家計調査によると、2024年の1世帯あたりの被服・服装雑貨の年間支出は124,425円です(二人以上世帯)。これは購入チャネルを問わない衣料品全体への支出で、このうちEC経由の割合が高まっているのが近年の傾向です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省 電子商取引に関する市場調査(令和4年度・令和6年度)
  2. 2.
    日本百貨店協会 全国百貨店売上高
  3. 3.
    総務省統計局 家計調査
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