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アパレル主要企業の業績比較|上場大手を業態別に整理【2026年版】

アパレルの上場大手の連結業績を業態別に比べると、SPA(製造小売)のファーストリテイリングが売上3兆4,005億円と別格の規模で、良品計画・しまむらが続きます。製造卸・小売(EC・セレクト)・スポーツ隣接では規模も収益性も異なります。数値はいずれも連結全社で、ファーストリテイリングとアシックスは国際会計基準(IFRS)の売上収益、他社は日本基準の売上高と基準が異なるほか、決算期も会社によって違います。業態ごとに業績と事業の特徴を順に整理します。

SPA(製造小売)大手の業績比較(FY2025、連結)

企画から販売までを一貫管理する業態。ファーストリテイリングが別格の規模。IFRS社は売上収益
ファーストリテイリング
ユニクロ・GUを国内外で展開(IFRS・売上収益)
売上高
34,005
営業利益
5,643
純利益
4,330
ROE
20.2
決算期
8月期
良品計画
無印良品、家具・生活雑貨も展開
売上高
7,846
営業利益
738
純利益
508
ROE
16.3
決算期
8月期
しまむら
ファッションセンターしまむら、低価格
売上高
6,654
営業利益
592
純利益
419
ROE
8.6
決算期
2月期
アンドエスティHD
マルチブランド、2025年に持株会社化
売上高
2,931
営業利益
155
純利益
96
ROE
13.1
決算期
2月期
パルグループHD
アパレルと雑貨のマルチブランド
売上高
2,078
営業利益
237
純利益
118
ROE
17.6
決算期
2月期
西松屋チェーン
子供服・ベビー用品の専門チェーン
売上高
1,860
営業利益
122
純利益
82
ROE
9.3
決算期
2月期
ハニーズHD
婦人服の低価格チェーン
売上高
577
営業利益
59
純利益
37
ROE
8.3
決算期
5月期
バロックジャパン
婦人服のブランドを展開
売上高
582
営業利益
8
純利益
-26
ROE
-14.7
決算期
2月期
読み解き

SPAは、店頭の売れ行きを企画・生産に反映して在庫や値引きを抑え、利益率を高めやすい業態です。なかでもファーストリテイリングは売上3兆4,005億円・営業利益5,643億円・ROE20.2%と別格で、ユニクロ・GUの国内外展開と高い海外比率が規模を支えています。次いで無印良品の良品計画(7,846億円)、低価格で日常着を扱うしまむら(6,654億円)が続きます。

良品計画の売上には家具・生活雑貨も含まれ、衣料品だけの数値ではありません。しまむらは自己資本比率が高く財務が健全で、アンドエスティHD・パルグループはマルチブランドを束ねる経営です。西松屋チェーンは子供服、ハニーズHD・バロックジャパンは婦人服に特化しています。バロックジャパンはFY2025に純損失となり、低価格帯の婦人服は競争が厳しい状況です。なお、ファーストリテイリングの売上はIFRSの売上収益で、日本基準の他社の売上高とは集計の基準が異なります。

製造卸(アパレルメーカー)の業績比較(FY2025、連結)

企画・生産を担い百貨店・専門店に卸す業態。直販・SPA化への転換期にある
ワールド
多ブランド展開、SPA化を進める
売上高
2,257
営業利益
168
純利益
111
ROE
13.6
決算期
2月期
オンワードHD
23区などを展開、直販・ECを強化
売上高
2,084
営業利益
102
純利益
85
ROE
10.4
決算期
2月期
ワコールHD
インナーウェアの製造卸
売上高
1,739
営業利益
33
純利益
70
ROE
3.5
決算期
3月期
TSI HD
複数ブランドのマルチブランド経営
売上高
1,566
営業利益
16
純利益
152
ROE
14.9
決算期
2月期
三陽商会
バーバリー終了後に自社ブランドを再建
売上高
605
営業利益
27
純利益
40
ROE
9.9
決算期
2月期
読み解き

製造卸は、百貨店向けの卸を起点としてきた業態で、百貨店チャネルの縮小を背景に直販やSPA化への転換を進めています。売上はワールド(2,257億円)・オンワードHD(2,084億円)が上位で、両社とも自社EC・直営店の強化や不採算ブランドの整理に取り組んできました。

ワコールHDはインナーウェアに特化し国内外で展開、TSI HDは複数ブランドを束ねるマルチブランド経営です。三陽商会(605億円)は、バーバリーの取り扱い終了後に自社ブランドの再建を進めてきました。各社とも、卸が在庫リスクの一部を百貨店に委ねていた構造から、リスクを自社で抱える直販へと移行する過程で、収益性の改善が課題となっています。なお、TSI HDやワコールHDのように営業利益より純利益が大きいのは、保有する株式の売却益などの営業外・特別の利益が加わったためで、本業の稼ぐ力は営業利益でみます。

小売(EC・セレクト)の業績比較(FY2025、連結)

消費者に販売する層。ZOZOは商品の仕入販売でなく出店ブランドからの手数料収入が中心
ZOZO
ZOZOTOWNを運営(手数料収入が中心)
売上高
2,131
営業利益
648
純利益
453
ROE
49.4
決算期
3月期
青山商事
紳士服を中心に業態転換を進める
売上高
1,948
営業利益
126
純利益
94
ROE
5.3
決算期
3月期
ユナイテッドアローズ
セレクトショップを独自編集で展開
売上高
1,509
営業利益
80
純利益
43
ROE
11.8
決算期
3月期
読み解き

小売(EC・セレクト)では、売上の性質が会社で異なる点に注意が必要です。ZOZO(2,131億円)は、ZOZOTOWNに出店するブランドから受け取る手数料収入が中心で、商品を仕入れて販売する他社とは売上の意味が異なります。手元に在庫を持たない仕組みのため、営業利益648億円・ROE49.4%と高い収益性になりやすいのが特徴です。

青山商事は紳士服のスーツ販売を中心に、需要の縮小を受けて業態転換を進めています。ユナイテッドアローズは、独自の編集によるセレクトショップで、大手SPAとは異なる客層に向けた品ぞろえを強みとします。仕入販売を行う両社と、プラットフォームのZOZOでは、同じ「小売」でも収益の構造が大きく異なります。

スポーツアパレル隣接(参考、FY2025、連結)

シューズ・用具を含む全社売上で、衣料中心の比較とは別系統。アシックスはIFRS・売上収益
アシックス
シューズ・ウェア・用具を展開(IFRS・売上収益)
売上高
8,109
営業利益
1,425
純利益
987
ROE
39.1
決算期
12月期
ゴールドウイン
ザ・ノース・フェイスなどを展開
売上高
1,323
営業利益
219
純利益
244
ROE
23.2
決算期
3月期
読み解き

スポーツアパレルは、衣料(ウェア)に加えてシューズや用具を含む全社売上で、衣料中心の各社とは集計の範囲が異なるため、参考として別に掲げます。アシックス(8,109億円、IFRS・売上収益)は、海外でのランニングシューズの好調などを背景にROE39.1%と高い収益性です。ゴールドウインは、ザ・ノース・フェイスなどのアウトドア・スポーツブランドを展開し、営業外・特別の利益が加わって純利益が営業利益を上回りました。

これらの売上には用具・シューズが含まれ、ウェアだけの数値ではありません。このほか、伊藤忠商事系のデサントもスポーツウェア・用具を手がけています。スポーツ領域は衣料と用具が一体で、純粋なアパレルの比較とは切り分けて捉える必要があります。

主要論点

企業の規模と収益性をどう読むか?

アパレルの上場大手は、業態によって規模も収益性も大きく異なります。SPAのファーストリテイリングは売上3兆4,005億円・営業利益5,643億円と別格で、企画から販売までを一貫管理する垂直統合と海外展開が規模を支えています。良品計画・しまむらが続きますが、これはSPAという業態のなかでの上位集中で、業界全体を少数の企業が占めているわけではありません。

収益性をROEでみると、ZOZOやアシックスが高い水準にあります。ただしこれは事業モデルの違いによる面が大きく、ZOZOは在庫を持たない手数料モデル、アシックスは海外でのシューズ事業が効いています。SPAは在庫・値引きを抑えやすく利益率を高めやすい一方、製造卸は直販への転換途上で収益性に差があります。

規模と収益性は、業態や事業モデルを踏まえて読む必要があります。売上の大きさだけで優劣を判断せず、どの業態でどう稼いでいるか、その収益が在庫リスクや海外事業のどこから来ているかを合わせて見ることが欠かせません。

売上の大きさは事業規模をそのまま表すか?

本ページの数値はいずれも連結全社で、アパレル以外の事業を含むため、売上の大きさが衣料事業の規模をそのまま表すわけではありません。これは比較で最も注意すべき点です。

具体的には、良品計画の売上には家具・生活雑貨が含まれ、無印良品の衣料品だけの数値ではありません。ZOZOの売上はZOZOTOWNの手数料収入が中心で、商品取扱高(出店ブランドの販売額の合計)とは異なります。スポーツ大手の売上はシューズ・用具を含む全社の数値です。同じ「売上高」でも、その中身は会社ごとに異なります。

さらに、ファーストリテイリングとアシックスは国際会計基準(IFRS)の売上収益、他社は日本基準の売上高で、決算期も8月期から5月期まで会社により異なります。売上を比べる際は、何を含む数値か、どの基準・どの期間かを確認することが必要です。衣料事業そのものの規模は、各社のセグメント情報や店舗数と合わせて見る必要があります。

製造卸とSPAの収益性の差は何を示すか?

SPAと製造卸では、収益性に差が出やすい構造があります。SPAは、企画・生産から販売までを自社で一貫管理するため、店頭の売れ行きを生産に反映して在庫や値引きを抑えやすく、利益率を高めやすい業態です。ファーストリテイリングや良品計画、パルグループが相対的に高い営業利益を上げています。

一方、製造卸は百貨店向けの卸を起点としてきたため、店頭情報が得にくく、需要への対応が遅れがちでした。ワールドやオンワードHD、三陽商会などは直販・SPA化への転換を進めていますが、自社で在庫リスクを抱える負担が増えるため、転換の過程では収益性が安定しにくい面があります。

この差は、製造から販売までのどの段階を自社で担うかという業態の選択を反映しています。製造卸がSPA化で店頭に近づくほど、在庫管理や需要予測の精度が収益を左右します。収益性の差は、各社がこの転換をどこまで進められているかの目安にもなります。

中期見通し

近未来1-2年

各社の業績は、ファーストリテイリングの海外成長と、各社のブランドの選択と集中・収益改善が軸となります。製造卸は不採算ブランドの整理や直販・ECの強化を続け、SPAは在庫と値引きの管理で利益率の維持を図ります。物価上昇のなか、価格改定をどこまで売上につなげられるかも収益を左右します。

中期3-5年

中期では、製造卸のSPA化とOMO(店舗とECの一体運営)による収益構造の変化が進みます。卸中心から直販へ移るなかで、在庫リスクを抱えつつ収益性を高められるかが各社の課題です。EC比率の上昇や二次流通の取り込みも、業績に影響します。

長期5-10年

長期では、海外展開とサステナビリティへの対応が各社の業績を左右します。国内市場の縮小を背景に、ファーストリテイリングのような海外比率の高い企業と、国内に軸足を置く企業とで成長の差が広がる可能性があります。適量生産や環境規制への対応も、コストと収益の両面で重みを増します。

よくある質問

アパレル主要企業の業績はどうなっていますか?
FY2025の連結業績(売上高)は、SPAのファーストリテイリングが3兆4,005億円で別格、良品計画が7,846億円、しまむらが6,654億円です。製造卸ではワールド・オンワードHDが2,000億円台、小売ではZOZOが2,131億円(手数料収入が中心)です。スポーツのアシックスは8,109億円(用具を含む)です。
アパレルで一番大きい企業はどこですか?
ファーストリテイリングです。ユニクロ・GUを国内外で展開し、FY2025の連結売上は3兆4,005億円・営業利益5,643億円と、他社と桁が異なる別格の規模です。海外比率が高く、SPA(製造小売)のモデルで企画から販売までを一貫管理しています。ただし業界全体は製造卸・小売も含め多数の企業が競っており、特定の数社が市場を占める構造ではありません。
売上ランキングと事業規模が一致しないのはなぜですか?
各社の数値が連結全社で、アパレル以外の事業を含むためです。良品計画は家具・生活雑貨を含み、ZOZOはZOZOTOWNの手数料収入が中心(商品取扱高とは別)、スポーツ大手はシューズ・用具を含みます。そのため売上の大きさは全社規模を示すにとどまり、衣料事業そのものの規模は、各社のセグメント情報と合わせて見る必要があります。
製造卸とSPAでは収益性が違いますか?
違いが出やすい構造があります。SPAは企画から販売までを一貫管理し、在庫や値引きを抑えやすいため利益率を高めやすく、ファーストリテイリングや良品計画が相対的に高い営業利益を上げています。製造卸は百貨店向けの卸を起点としてきたため、直販・SPA化への転換途上で、自社で在庫リスクを抱える負担から収益性が安定しにくい面があります。
各社の売上は単純に比較できますか?
単純な比較には注意が必要です。ファーストリテイリングとアシックスは国際会計基準(IFRS)の売上収益、他社は日本基準の売上高で、集計の基準が異なります。決算期も8月期・2月期・3月期・5月期・12月期と会社によって違い、対象とする期間がそろっていません。比較の際は、会計基準・決算期と、売上に含まれる事業の範囲を確認することが必要です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET(金融庁) 上場アパレル各社 有価証券報告書
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