アパレル・装飾品業界の市場規模・主要企業・動向
日本のアパレル市場は2024年に8兆5,010億円とコロナ前の2019年比で約9割まで回復し、SPA大手への集中とEC・二次流通の拡大が進む構造転換期にあります。
アパレル業界とは、衣料品とファッション雑貨を、製造卸・SPA(製造小売)・百貨店やECなどの小売が企画・生産・販売する産業です。国内アパレル総小売市場は2024年に8兆5,010億円で、コロナ前の2019年比で約9割まで回復し、矢野経済研究所の調査では4年連続のプラス成長となりました。製造卸からSPA・直販への転換、衣類のEC化(EC化率23.38%)、百貨店の構造的な縮小とその後の回復、古着など二次流通の拡大、輸入依存とサステナビリティへの対応が業界共通の論点です。本ページでは、日本のアパレル業界を、市場規模、業態構造、主要企業、EC・販売チャネル、二次流通・サステナビリティの5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
アパレル業界とは、衣料品とファッション雑貨を、製造卸・SPA(製造小売)・百貨店やECなどの小売が企画・生産・販売する産業です。市場は1990年代をピークに長期的に縮小したのち、コロナ禍からの回復局面に入り、SPAの上位集中とEC・二次流通の拡大による構造転換が進んでいます。
- 市場はコロナ前の水準近くまで回復しています。国内アパレル総小売市場は2024年に8兆5,010億円で、矢野経済研究所の調査ではコロナ前の2019年比で約9割まで戻り、4年連続のプラス成長となりました。
- 製造卸・SPA・小売の各層が混在し、SPA上位への集中が進んでいます。ファーストリテイリングが突出した規模を持ち、しまむらや良品計画などのSPAが続く一方、百貨店向けの製造卸やセレクトショップも各層を構成しています。
- ECと二次流通の拡大が業界を変えつつあります。衣類のEC化率は2024年に23.38%へ上昇し、古着などのリユース市場も拡大しており、店舗中心の流通構造が見直されています。
市場動向
アパレル市場は長期縮小からの回復局面にあります。国内アパレル総小売市場は2024年に8兆5,010億円となり、コロナ前の2019年比で約9割まで戻りました。集計範囲の異なる公的統計や、EC化の進展、百貨店チャネルの回復が、市場の動きを多面的に示しています。
- 国内アパレル総小売市場は2024年に8兆5,010億円で、4年連続のプラス成長となりました。矢野経済研究所の調査によるもので、コロナ前の2019年比で約9割まで回復しています。
- 経済産業省の統計では集計範囲が異なります。商業動態統計の織物・衣服・身の回り品小売業は、履物やかばんなどを含む事業所ベースの販売額で、2024年は約8.75兆円でした。矢野の総小売市場とは対象範囲が異なるため別々に扱います。
- 衣類のEC市場は2024年に2兆7,980億円へ拡大し、EC化率は23.38%へ上昇しました。靴・かばんなどを含む衣類中心の区分で、店舗からECへの移行が続いています。
競争環境
日本のアパレル業界では、製造卸(アパレルメーカー・商社)、SPA(製造小売)、百貨店・量販・EC・セレクトショップなどの小売といった各層のプレイヤーが活動しています。SPA上位への集中、製造卸の直販・SPA化、EC・二次流通の拡大が業界共通の論点となっており、各社が販売チャネルの再編を進めています。
- SPAでは上位への集中が進んでいます。ファーストリテイリングがユニクロ・GUを展開して突出した規模を持ち、しまむら、良品計画、アンドエスティHD、パルグループなどが続いています。製品の企画から販売までを一貫して管理する業態が成長しています。
- 製造卸とセレクトショップが各層を構成しています。オンワードHD・TSI HD・ワールド・三陽商会などの製造卸は百貨店向けを起点に直販・SPA化を進め、ワコールHDはインナーウェアを手がけ、ユナイテッドアローズなどのセレクトショップが独自の品ぞろえで展開しています。
- ECと二次流通で新たなプレイヤーが存在感を高めています。ZOZOがZOZOTOWNを運営し、フリマアプリや古着販売を通じた二次流通も広がるなかで、各社が店舗とECを組み合わせた販売を進めています。
市場規模推移
2019-2024 · 織物・衣服・身の回り品小売業の販売額| 年 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 織物・衣服・身の回り品小売業の販売額(億円) | 109,880 | 86,380 | 86,100 | 87,070 | 85,160 | 87,500 |
| 前年比 | — | -21.4% | -0.3% | +1.1% | -2.2% | +2.7% |
日本のアパレル市場は、1990年代をピークに長期的な縮小が続いてきました。矢野経済研究所の調査では、国内アパレル総小売市場は2024年に8兆5,010億円で、コロナ禍で落ち込んだ2020年から持ち直し、コロナ前の2019年比で約9割の水準まで回復しています。4年連続のプラス成長となり、百貨店や専門店などの実店舗が堅調に推移しました。
市場規模は集計範囲によって異なります。矢野経済研究所の総小売市場が紳士・婦人・子供服を中心とした小売金額で中古を含まないのに対し、経済産業省の商業動態統計でみる織物・衣服・身の回り品小売業は、履物やかばんなどの身の回り品を含む事業所ベースの販売額で、2024年は約8.75兆円でした。両者は対象とする範囲が異なるため、単純に比較せず別々に扱う必要があります。
販売チャネルは、店舗からECへの移行が続いています。経済産業省の調査では、靴・かばんなどを含む衣類中心の区分のEC市場は2024年に2兆7,980億円となり、EC化率は2023年の22.88%から23.38%へ上昇しました。各社は店舗とECを連携させ、相互に送客するOMOの取り組みを広げています。
伝統的な百貨店チャネルは、長期的な構造縮小から2024年に持ち直しました。百貨店の衣料品売上は前年比6.2%増となり、婦人服が8.5%増、紳士服が3.6%増と回復し、5年ぶりに衣料品が食料品を上回りました。訪日外国人によるインバウンド需要が下支えとなった一方、ショッピングセンターや専門店、ECへの構造的な移行は続いています。
供給面では、国内に供給される衣料品の数量の98.5%(2022年)が輸入によるもので、海外生産に大きく依存しています。一方で、国内に新たに供給される衣類は2022年に約79.8万トンと推計され、使用後に手放される量のうち約6割が廃棄されており、供給過剰と廃棄への対応がサステナビリティの課題となっています。
こうしたなかで、古着など衣料・服飾品の二次流通が拡大しています。環境省の調査では、衣料・服飾品のリユース市場は2023年に約5,900億円と推計され、リユース市場全体のなかで最も大きい品目です。フリマアプリや古着販売の広がりを背景に、循環型への移行が業界の新たなテーマとなっています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要アパレル業界は、製造卸・SPA(製造小売)・小売の各層が混在する業態です。製造卸は企画・生産を担って百貨店や専門店に卸し、SPAは企画から生産・販売までを一貫して手がけ、小売は百貨店・量販店・EC・セレクトショップなど多様な形態で消費者に販売しています。
近年は、層の境界が流動的になっています。百貨店向けを起点としてきた製造卸が自社の店舗やECで直販を進め、SPA化する動きが広がる一方、ECや量販が独自の企画品を増やしており、企画から販売までのどの段階を自社で担うかが各社で変化しています。
SPAでは、ファーストリテイリングがユニクロ・GUを展開して突出した規模を持ち、良品計画(無印良品)、しまむら、アンドエスティHD、パルグループなどが続いています。製造卸では、オンワードHD・TSI HD・ワールド・三陽商会が百貨店向けを起点に直販・SPA化を進め、ワコールHDがインナーウェアを手がけています。
小売では、ZOZOがECのZOZOTOWNを運営し、ユナイテッドアローズなどのセレクトショップが独自の品ぞろえで展開しています。百貨店や量販店も販売の場を担い、ECと二次流通の広がりのなかで、各社が販売チャネルの再編を進めています。
アパレルの供給は、海外生産への依存が大きいのが特徴です。国内に供給される衣料品の数量の98.5%(2022年)が輸入によるもので、商社やメーカーが海外の生産地と国内の販売をつないでいます。安く大量に生産できる一方で、供給過剰と売れ残り・廃棄が課題となっています。
こうした構造への対応として、適量生産や再生素材の利用、回収・リサイクルの取り組みが各社で進んでいます。あわせて、古着などの二次流通が拡大し、リユース市場が広がるなかで、循環型への移行が業界全体のテーマとなっています。
業界の3大論点
国内アパレル市場は1990年代をピークに長期的に縮小し、人口減少も重なって、国内だけでの大きな成長は見込みにくくなっています。2024年はコロナ前の2019年比で約9割まで回復しましたが、これは縮小局面からの戻りの側面が大きく、各社は新たな成長の柱を探しています。
成長の方向性は分かれています。ファーストリテイリングのように海外展開を成長の軸とする道、SPAのモデルで企画から販売までを一貫管理して効率を高める道、ECや自社アプリで顧客と直接つながる道、古着など二次流通に参入する道などがあります。いずれも、国内の店舗販売に依存する構造から脱することを目指しています。
一方で、国内市場のなかで存在感を保つ戦略もあります。しまむらのように低価格で日常着の需要を取り込む道、特定の世代やテイストに特化する道、地域や専門領域で深く展開する道などです。縮小する市場でどの領域に資源を集中するかが、各社の成長を左右する見通しです。
アパレルでは、製品の企画から生産・販売までを一貫して手がけるSPA(製造小売)が成長し、百貨店向けの卸を起点としてきた製造卸も、直販やSPA化を進めています。SPAは、店頭の売れ行きを企画や生産に素早く反映でき、在庫や値引きを抑えて利益率を高めやすいという強みがあります。
転換には課題もあります。製造卸が直販やSPA化を進めるには、自社で店舗網やECを持ち、在庫リスクを引き受ける必要があります。百貨店向けの卸では、百貨店が在庫リスクの一部を負っていたのに対し、直販ではそのリスクが自社に移ります。オンワードHDやワールド、三陽商会などは、不採算ブランドの整理や直販・ECの強化を進めてきました。
各社が取りうる方向性は、ブランドの選択と集中、店舗とECを組み合わせたチャネルの再編、生産から販売までのデータ活用などです。製造から小売までのどの段階を自社で担うかという業態の選択が、収益構造を大きく左右する論点となっています。
アパレルでは、国内に供給される衣料品の数量の98.5%(2022年)が輸入で、海外で安く大量に生産する構造が定着しています。その結果、供給量に対して実際に消費される量が少なく、売れ残りや廃棄が課題となっています。環境省の推計では、使用後に手放される衣類のうち約6割が廃棄されています。
この構造への対応が、業界の新たなテーマとなっています。過剰な生産を抑える「適量生産」、受注生産や在庫の最適化、再生素材の利用、回収・リサイクルの仕組みづくりなどが各社で進められています。EUを中心に繊維製品の環境規制も強まっており、輸出やグローバル展開を行う企業には対応が求められます。
あわせて、古着など二次流通の拡大が、循環型への移行を後押ししています。衣料・服飾品のリユース市場は2023年に約5,900億円と推計され、フリマアプリや古着販売が広がっています。企業にとっては、リユースを脅威とみるか、自社の事業に取り込むかという選択も論点となっています。
よくある質問 (FAQ)
日本のアパレル市場規模はどれくらいですか?
アパレル市場の規模が統計によって異なるのはなぜですか?
SPA(製造小売)とは何ですか?
アパレル業界の主要な企業はどこですか?
アパレルのEC化率はどれくらいですか?
百貨店のアパレル販売は縮小しているのですか?
古着・リユース市場やサステナビリティの動きはどうなっていますか?
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