最終更新
TOPIC DETAIL · EC & OMNICHANNEL

家具・インテリアのネット通販とオムニチャネル|EC化率と店舗×ネットの連携【2026年版】

家具・インテリアは、実物を見て買うことが多いためネット通販が遅れる分野とされてきました。しかし、生活雑貨・家具・インテリアのネット通販の市場規模は2024年に2兆5,616億円EC化率は32.58%と、物販全体の平均9.78%を大きく上回り、いまや物販のなかでも通販が進んだ分野になっています。最大手のニトリは店舗網とネット通販を組み合わせるオムニチャネル化を進め、LOWYAのようにネット通販に特化したプレイヤーも育っています。EC化率の実際と、オムニチャネル・D2Cの動きを整理します。

ネット通販のEC化率の比較(2023-2024年)

生活雑貨・家具・インテリアの物販全体に占めるネット通販の比率と、物販全体の平均
生活雑貨・家具・インテリア
2023年
31.54%
2024年
32.58%
物販全体(平均)
2023年
9.38%
2024年
9.78%
読み解き

生活雑貨・家具・インテリアのネット通販のEC化率は、2023年の31.54%から2024年の32.58%へと上昇し、物販全体の平均(2024年9.78%)の3倍を超える水準にあります。ネット通販の市場規模は2024年で2兆5,616億円(2023年は2兆4,721億円)です。

ここで注意したいのは、このEC化率の分母が生活雑貨・家具・インテリアの物販全体であって、家具単体ではない点です。生活雑貨や日用品といった、もともとネット通販と相性のよい商品を含むため、家具だけのEC化率よりは高めに出ます。とはいえ、実物確認が必要とされてきた家具・インテリアを含む分野が、物販平均を大きく上回るEC化率に達していることは、ネット通販化の進展を示しています。

家具のオムニチャネル化は何を変えるのか

店舗とネット通販を組み合わせる売り方の広がり
店舗とネットの組み合わせ

家具・インテリアの販売では、店舗で実物を確かめてからネットで注文する、あるいはネットで選んで店舗で受け取るといった、店舗とネット通販を組み合わせる買い方が広がっています。大型家具は配送や組み立てを伴うため、店舗での確認とネットの利便性を組み合わせるオムニチャネルが、家具・インテリアと相性のよいチャネル戦略になっています。

ニトリ — 店舗網とアプリ・ネット通販の連携

最大手のニトリは、全国の店舗網とアプリ・ネット通販を連携させたオムニチャネルを進めています。同社の通販事業の売上高は2025年3月期で968億円(うち国内954億円)に達しています(ニトリHD決算説明会資料)。これは1社の通販売上であり、先に見た業界のEC化率(32.58%)とは集計の対象が異なります。ニトリは、店舗とネットの両方を使う顧客ほど来店頻度・購入額が高いとして、アプリ会員を軸に店舗とネットの相互送客を強めています。

ベガコーポレーション(LOWYA) — ネット通販に特化したD2C

一方、ベガコーポレーションが運営する「LOWYA(ロウヤ)」は、実店舗を基本的に持たず、自社で企画したデザイン家具を自社のネット通販サイトやモール経由で販売するD2C(メーカーが消費者に直接販売する形態)です。店舗を持たない分、デザインや価格で勝負し、ネット上での見せ方やレビューを重視します。大手のオムニチャネルとは対照的に、ネット通販に特化することで独自の位置を築いています。

家具のネット通販はどこまで進むのか

配送と実物確認という壁

家具・インテリアのネット通販には、ほかの物販にはない壁があります。大型家具は配送・設置・組み立てのコストと手間が大きく、返品も簡単ではありません。また、サイズ感・色・質感・座り心地といった実物でしか分からない要素が購入の決め手になりやすく、ネットだけで完結しにくい面が残ります。EC化率が物販平均を上回るとはいえ、こうした壁が家具ECの伸びを一定程度抑えています。

レビュー・AR・リユースという広がり

こうした壁を越えるため、各社はさまざまな工夫を進めています。購入者のレビューや写真で実物の印象を補い、AR(拡張現実)で部屋に家具を仮想配置して見せる機能や、動画による紹介(ライブコマース)も広がっています。さらに、中古家具を扱うリユース(二次流通)のネット販売や、サブスクリプション(定額利用)といった、所有にこだわらない新しい売り方も登場しています。家具のネット通販は、配送と実物確認の壁を技術とサービスでどこまで埋められるかが、今後の伸びを左右します。

主要論点

なぜ実物確認が必要な家具でネット通販が進んだのか?

家具・インテリアは実物を確かめて買う商品が多く、ネット通販が遅れる分野とされてきました。それにもかかわらず、生活雑貨・家具・インテリアのEC化率は2024年に32.58%と、物販全体の平均9.78%を大きく上回っています。

背景には、いくつかの要因があります。第1に、この分野には生活雑貨や日用品といった、もともとネット通販と相性のよい商品が含まれることです(EC化率の分母は生活雑貨・家具・インテリアの物販全体です)。第2に、購入者のレビューや写真、ARによる仮想配置など、実物を見られないという弱点を補う仕組みが広がったことです。第3に、コロナ禍の巣ごもりで在宅時間が増え、ネットでの家具・インテリア購入が一段と一般化したことです。

こうして、実物確認が必要という常識は薄れ、家具・インテリアを含む分野が物販のなかでも通販の進んだ部類に入るようになりました。

オムニチャネル化の狙いは何か?

オムニチャネル化は、店舗とネット通販を対立させず、組み合わせて相互に補完させる戦略です。狙いは、顧客がどのチャネルでも同じように買えるようにし、店舗とネットの両方を使ってもらうことにあります。

家具・インテリアは、店舗で実物を確かめたいという需要と、ネットの利便性への需要が併存します。店舗で確認してネットで注文する、ネットで選んで店舗で受け取る、といった行き来を可能にすることで、機会損失を防ぎます。最大手のニトリは、アプリ会員を軸に、店舗とネットの両方を使う顧客ほど来店頻度や購入額が高いとして、相互送客を強めています。

オムニチャネルは、大型家具の配送・設置という家具特有の事情とも相性がよく、店舗網を持つ大手にとって、ネット専業との差別化の軸になっています。

家具のネット通販の今後の論点は何か?

今後の論点は、家具特有の配送・実物確認の壁を、技術とサービスでどこまで埋められるかです。大型家具の配送・設置・組み立てのコストと手間、返品の難しさは、ネット通販の伸びを抑える要因として残ります。

これに対し、レビューやAR、ライブコマースによる「実物を見られない弱点」の補完、中古家具のリユース(二次流通)やサブスクリプションといった新しい売り方が広がっています。所有にこだわらない需要や、単身・若年層のネット中心の購買が、家具ECをさらに押し上げる可能性があります。

大手のオムニチャネルとネット専業のD2Cが、それぞれの強みでどこまで需要を取り込むか、そして配送・物流の効率化をどう進めるかが、家具・インテリアの販売チャネルの行方を左右します。

よくある質問

家具・インテリアのネット通販のEC化率はどのくらいですか?
生活雑貨・家具・インテリアのネット通販のEC化率は、2024年に32.58%です(経済産業省 電子商取引市場調査)。物販全体の平均9.78%の3倍を超える水準で、ネット通販の市場規模は2024年で2兆5,616億円です。
EC化率が高いのはなぜですか?分母は何ですか?
このEC化率の分母は、家具単体ではなく生活雑貨・家具・インテリアの物販全体です。生活雑貨や日用品など、もともとネット通販と相性のよい商品を含むため高めに出ます。加えて、レビューやARで実物を見られない弱点を補う仕組みが広がり、コロナ禍で在宅時間が増えたことも、ネット通販を後押ししました。
オムニチャネルとは何ですか?
店舗とネット通販を組み合わせ、顧客がどのチャネルでも同じように買えるようにする戦略です。家具では、店舗で実物を確かめてネットで注文する、ネットで選んで店舗で受け取る、といった行き来を可能にします。店舗網を持つ大手が、ネット専業との差別化の軸として進めています。
ニトリのネット通販の規模はどのくらいですか?
ニトリの通販事業の売上高は2025年3月期で968億円(うち国内954億円)です(ニトリHD決算説明会資料)。同社は店舗網とアプリ・ネット通販を連携させるオムニチャネルを進めています。これは1社の通販売上で、業界全体のEC化率(32.58%)とは集計の対象が異なります。
データの出典は何ですか?
ネット通販の市場規模とEC化率は経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(生活雑貨・家具・インテリアのBtoC物販、2024年)、ニトリの通販事業の数値はニトリホールディングスの2025年3月期 決算説明会資料が出典です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省「電子商取引に関する市場調査」
  2. 2.
    ニトリホールディングス「2025年3月期 決算説明会資料」
📄 資料DL💬 無料相談