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トイレタリー業界の市場規模|市場の推移と量から質への転換【2026年版】

日本のトイレタリー市場は、メーカーの出荷金額でみると2024年度に2兆1,704億円となり、3年連続で前年を上回りました。衣料用洗剤などのホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリー、殺虫剤・芳香消臭剤などの5分野50品目を束ねた民間調査の値です。人口が減るなかでも金額が底堅いのは、洗剤の液体化や歯みがきの高機能化といった付加価値の向上と、原材料高を背景とした価格改定が進んでいるためです。市場規模の推移、生産・出荷統計でみた品目別の動き、家計支出から読む量から質への転換まで順に整理します。

市場規模(2024年度)
2兆1,704億
5分野50品目、メーカー出荷金額ベース、3年連続プラス
出典: 矢野経済研究所「トイレタリー市場に関する調査」
市場規模(2025年度見込)
2兆2,017億
矢野の見込値、2兆円台を維持する見通し
出典: 矢野経済研究所「トイレタリー市場に関する調査」
浴用・洗顔石けんの年間支出
9,014
二人以上の世帯、2024年。2018年は5,291円で需要側の家計支出は上昇
出典: 総務省 家計調査(二人以上の世帯)
洗濯用洗剤の年間支出
5,537
二人以上の世帯、2024年。2018年は3,559円で需要側の家計支出は上昇
出典: 総務省 家計調査(二人以上の世帯)

トイレタリー市場規模の推移 (2020-2024年度、億円)

メーカー出荷金額ベースの5分野50品目。2021年度に一度前年を下回った後、2024年度は2兆1,704億円と3年連続で増加
単位: 億円
06,25012,50018,75025,00021,2972020,6192121,1962221,4872321,70424
出典: 矢野経済研究所「トイレタリー市場に関する調査」(メーカー出荷金額ベース、5分野50品目)
年度20202021202220232024
トイレタリー市場規模億円21,29720,61921,19621,48721,704
前年比-3.2%+2.8%+1.4%+1.0%
読み解き

トイレタリー市場は、メーカーの出荷金額でみると2024年度に2兆1,704億円となりました。新型コロナ下の掃除・備蓄需要で2020年度に伸びた後、2021年度に一度前年を下回りましたが、2022年度から3年連続で前年を上回っています。2兆円台の規模を5年続けて維持しており、人口が減るなかでも金額は底堅く推移しています。

この数値は、メーカーが日用雑貨のルートへ出荷した金額を集計した民間調査の値で、衣料用洗剤などのホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリー、殺虫剤・芳香消臭剤などの5分野50品目が対象です。シャンプーやリンスなどのヘアケアは化粧品に分類され、この集計には含まれません。集計の範囲が異なる別の民間調査もあり、分野の区分が違うため数字を接続することはできません。

生産・出荷統計でみた品目別の動き

メーカー出荷金額でとらえた市場規模(矢野)とは集計範囲が異なる別の統計。経済産業省 生産動態統計・日本歯磨工業会・日本エアゾール協会による品目別の供給動向
ホームケア (洗剤・柔軟剤)
代表的な品目
洗濯用の合成洗剤・柔軟仕上剤、台所用洗剤
生産・出荷統計でみた近年の動き
洗濯用の粉末洗剤の生産が2018年の16.6万トンから2024年に8.0万トンへ半減し、液体・濃縮タイプや柔軟仕上剤が主力に
石けん・ボディ
代表的な品目
浴用石けん・ボディソープ・ハンドソープ
生産・出荷統計でみた近年の動き
手洗い用の液体石けんの生産が2018年の6.4万トンから2020年に11.1万トンへ急増し、2024年は8.5万トンへ落ち着いた
オーラルケア
代表的な品目
歯みがき・歯ブラシ・洗口液
生産・出荷統計でみた近年の動き
歯みがき類の出荷金額が2024年の1,627億円から2025年に1,692億円へ増え、フッ化物配合の割合は金額ベースで92.3%
サニタリー
代表的な品目
紙おむつ・生理用品
生産・出荷統計でみた近年の動き
乳幼児用テープ式の生産が2018年の75億枚から2024年に21億枚へ減る一方、大人用パンツ式は11億枚から13億枚へ増え、高齢化を映す
家庭日用品
代表的な品目
殺虫剤・芳香消臭剤・入浴剤
生産・出荷統計でみた近年の動き
エアゾール製品の総生産が2024年に5億3,891万缶となり前年から4.3%増、猛暑で殺虫剤が28.6%増
読み解き

品目ごとの動きは、メーカーの市場規模とは別に、対象を網羅する生産・出荷統計から読み取れます。これらは矢野の市場規模の内訳ではなく、集計の範囲も基準も異なる別の統計です。共通するのは、数量そのものよりも、液体化・濃縮、高齢化に伴う大人用への移行、フッ化物配合などの高機能化といった、品目の中身が変化している点です。

ホームケアでは洗濯用の粉末洗剤の生産が16.6万トンから8.0万トンへ半減し、液体・濃縮へ移りました。サニタリーでは乳幼児用テープ式の紙おむつが75億枚から21億枚へ減る一方、高齢化を背景に大人用が増えています。家庭日用品では、猛暑を受けてエアゾール製品の総生産が5億3,891万缶と前年から4.3%増、殺虫剤が28.6%増と伸びました。

主な品目の1世帯当たり年間支出 (2018年と2024年、円)

1世帯当たりの年間支出(二人以上の世帯)。需要側の家計の支出で、メーカー出荷や生産の統計とは別の指標。多くの品目で支出が増え、単価の上昇が金額を押し上げている
浴用・洗顔石けん
2018年
5,291
2024年
9,014
洗濯用洗剤
2018年
3,559
2024年
5,537
歯磨き
2018年
3,036
2024年
4,371
芳香・消臭剤
2018年
1,737
2024年
3,515
紙おむつ
2018年
2,704
2024年
4,539
殺虫・防虫剤
2018年
1,829
2024年
2,779
読み解き

家計調査でみると、トイレタリーの主な品目への支出は2018年から2024年にかけておおむね増えています。浴用・洗顔石けんは年間5,291円から9,014円へ、洗濯用洗剤は3,559円から5,537円へ上がりました。芳香・消臭剤や紙おむつ、歯みがきへの支出も増えています。

これは需要側の家計の支出で、メーカーの出荷金額や生産の統計とは別の指標です。購入する数量が大きく増えているわけではなく、原材料高を背景とした価格改定や、高機能・高付加価値の製品への置き換えが支出額を押し上げています。市場規模が数量の頭打ちのなかでも金額を保っている背景が、家計の支出からも読み取れます。

主要論点

数量が伸びないなかで、市場規模はなぜプラスを保つのか?

トイレタリーの多くの品目は、人口の減少を背景に数量の拡大が難しくなっています。洗濯用の粉末洗剤の生産は16.6万トンから8.0万トンへ半減し、紙おむつでも乳幼児用が縮小しています。数量だけをみれば、市場は頭打ちに近い状況です。

それでも市場規模が保たれているのは、付加価値を高めて単価を上げる動きが広がっているためです。歯みがきではフッ化物配合などで機能を高めた製品が増え、フッ化物配合の割合は金額ベースで92.3%に達しています。洗剤でも濃縮や詰め替えで使いやすさを訴求しています。原材料高を背景とした価格改定も進み、家計調査では浴用・洗顔石けんへの年間支出が5,291円から9,014円へ増えました。

加えて、高齢化や猛暑といった環境の変化が一部の品目を押し上げています。大人用紙おむつや尿とりパッド、デオドラント、殺虫剤などが伸び、数量が縮む品目を金額面で補っています。人口減少が続くなかで、各社が「量から質」への転換をどこまで進められるかが、市場規模を左右する見通しです。

「2兆円」の市場には、どこまでが含まれているのか?

矢野経済研究所のトイレタリー市場規模は、メーカーが日用雑貨のルートへ出荷した金額を集計した値で、対象は5分野50品目です。衣料用洗剤などのホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリー、殺虫剤・芳香消臭剤などの家庭日用品が含まれます。

一方で、シャンプーやリンスなどのヘアケアは化粧品に分類され、この集計には含まれません。サニタリー分野にはティッシュやトイレットペーパーなどの家庭紙も含まれますが、家庭紙は製紙業の側でも扱われる境界の品目です。また、生活用品をより広く括った別の民間調査もあり、こちらは12分野61品目という異なる区分で集計しているため、矢野の数字とは接続・合算できない別の調査です。

市場規模の数字を引用するときは、どの調査の、どの範囲を指しているのかを確認する必要があります。「日用品市場◯兆円」といった表現は、調査によって対象とする品目や集計の基準が異なるため、同じ範囲を指しているとは限りません。

高齢化や猛暑などの環境変化は、市場をどう支えているのか?

環境の変化は、トイレタリーの一部の品目の需要を押し上げています。最も大きいのが高齢化です。生産統計でみると、乳幼児用テープ式の紙おむつが75億枚から21億枚へ減る一方、大人用のパンツ式や尿とりパッド、軽い尿もれに対応したパッドが増えています。少子化で縮む乳幼児用を、高齢者向けの製品が補う構図です。

気候も品目を動かします。猛暑が続いた2024年は、家庭用エアゾール製品の総生産が5億3,891万缶と前年から4.3%増、なかでも殺虫剤が28.6%増と大きく伸びました。制汗・デオドラントなどの需要も、暑さの長期化を背景に堅調です。

人口の減少で市場全体の数量を増やすことは難しくなっていますが、こうした環境の変化が特定の品目を押し上げ、市場を下支えしています。高齢化に伴うサニタリーや、猛暑に伴う家庭日用品の動向は、それぞれの分野のページで詳しく扱います。

中期見通し

近未来1-2年

市場規模は、価格改定と高付加価値化による金額の下支えが続くとみられます。矢野の見込みでは2025年度の市場規模は2兆2,017億円で、2兆円台を維持する見通しです。原材料高や物流費の上昇を背景に各社が価格改定を進める一方、数量の戻りは品目によって差があり、値上げに対する買い控えをどう抑えるかが課題となります。

中期3-5年

中期では、高齢化に伴うサニタリー需要の拡大と、量から質への転換が金額を支える方向です。大人用紙おむつや軽い尿もれ対応の製品が伸び、乳幼児用の縮小を補う見通しです。一方で、価格改定には家計の負担という上限があり、機能や使い勝手をどこまで高めて単価の上昇を受け入れてもらえるかが、各社の収益を左右します。

長期5-10年

長期では、人口減少と少子化が国内の数量の基調を弱めます。これに対し、高齢化や単身世帯の増加、詰め替えや容器の軽量化といった環境対応が、品目の構成を変えていく見通しです。国内の数量拡大が難しいなかで、高付加価値化をどこまで深められるか、海外市場へどう展開するかが、市場規模を保つうえでの論点となります。

よくある質問

トイレタリー市場の規模はどれくらいですか?
矢野経済研究所の調査によると、トイレタリー市場の規模は2024年度に2兆1,704億円で、3年連続で前年を上回りました。衣料用洗剤などのホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリー、殺虫剤・芳香消臭剤などの5分野50品目を、メーカーの出荷金額で集計した値です。2025年度は2兆2,017億円の見込みで、2兆円台を維持する見通しです。
トイレタリー市場にはどんな商品が含まれますか?
衣料用洗剤や柔軟剤などのホームケア、石けん・ボディソープ・ハンドソープ、歯みがき・歯ブラシ・洗口液、紙おむつ・生理用品、殺虫剤・芳香消臭剤・入浴剤などの5分野50品目で構成されます。シャンプーやリンスなどのヘアケアは化粧品に分類されるため、一般的なトイレタリー市場の集計には含まれません。
なぜ数量が伸びないのに市場規模は増えているのですか?
付加価値の向上と価格改定が進んでいるためです。歯みがきの高機能化や洗剤の濃縮など、機能を高めた製品への置き換えが進み、原材料高を背景とした価格改定も重なっています。総務省の家計調査では、浴用・洗顔石けんへの年間支出が2018年の5,291円から2024年に9,014円へ増えており、購入する数量よりも単価の上昇が金額を押し上げています。
品目ごとに供給はどう動いていますか?
経済産業省の生産動態統計などでみると、洗濯用の粉末洗剤は16.6万トンから8.0万トンへ半減して液体・濃縮へ移り、紙おむつは乳幼児用が減って大人用が増え、歯みがきはフッ化物配合の割合が金額ベースで92.3%まで高まっています。これらはメーカーの市場規模の内訳ではなく、集計の範囲が異なる別の生産・出荷統計です。
市場規模のデータの出典は何ですか?
市場規模は矢野経済研究所「トイレタリー市場に関する調査」(メーカー出荷金額ベース)が出典です。品目別の供給動向は経済産業省 生産動態統計・日本歯磨工業会・日本エアゾール協会、家計の支出は総務省 家計調査が出典です。これらは集計の範囲や基準が異なるため、本ページではそれぞれ別の指標として整理しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    矢野経済研究所「トイレタリー市場に関する調査」(2025年版、2024年度)
  2. 2.
    経済産業省 生産動態統計 化学工業統計編「油脂製品・石けん・合成洗剤等・界面活性剤」
  3. 3.
    経済産業省 生産動態統計 紙・パルプ統計「紙おむつ」
  4. 4.
    日本歯磨工業会 年間出荷統計
  5. 5.
    日本エアゾール協会 エアゾール製品生産実績
  6. 6.
    総務省 家計調査(家計収支編、二人以上の世帯)
  7. 7.
    富士経済「トイレタリー&ライフスタイルグッズマーケティング要覧2024-2025」
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