トイレタリー業界の市場規模・主要企業・動向
日本のトイレタリー市場は2024年度に2兆1,704億円となり、人口減のなかで数量より付加価値を高める「量から質」への転換が進んでいます。
トイレタリーとは、衣料用洗剤や柔軟剤などのホームケア、石けん・ボディソープ、歯みがき・歯ブラシ、紙おむつ・生理用品、殺虫剤・芳香消臭剤などの、家庭の清潔と衛生を支える日用消費財を指します。民間調査による市場規模は2024年度に2兆1,704億円で、メーカー出荷金額ベースで3年連続のプラスとなりました。経済産業省の生産統計でみると、洗剤の液体化、紙おむつの大人用への移行、歯みがきの高機能化が品目ごとに進んでいます。原材料高を背景とした価格改定、高齢化や猛暑による需要の変化が業界共通の論点です。本ページでは、日本のトイレタリー業界を、市場規模と品目別の供給動向、主要メーカーと事業構造、政策・制度の観点で整理します。
業界サマリ
業界概要
トイレタリーとは、衣料用洗剤や柔軟剤などのホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリー、殺虫剤・芳香消臭剤などの家庭日用品を指す、家庭の清潔と衛生を支える日用消費財です。民間調査による2024年度の市場規模は2兆1,704億円で、人口が減るなかでも金額は底堅く推移しています。
- 市場は5つの分野で構成されています。衣料用洗剤などのホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリー、殺虫剤・芳香消臭剤などの家庭日用品が含まれ、2024年度の市場規模は2兆1,704億円です。
- 数量よりも付加価値で金額を保つ動きが続いています。人口減少で数量の拡大が難しいなか、高機能化や価格改定が進み、家計の支出額も上昇しています。
- 高齢化や猛暑などの環境変化が品目ごとの需要を動かしています。大人用紙おむつやデオドラント、殺虫剤の需要が伸び、サニタリーや家庭日用品が市場を下支えしています。
市場動向
市場規模はメーカー出荷金額でみて2024年度に2兆1,704億円となり、3年連続で前年を上回りました。品目別では、洗剤の液体化、紙おむつの大人用への移行、歯みがきの高機能化が進み、原材料高を背景とした価格改定も金額を押し上げています。
- トイレタリー市場は2024年度に2兆1,704億円となり、3年連続で前年を上回りました。5分野50品目をメーカー出荷金額で集計した民間調査の値です。
- 衣料用洗剤は液体・濃縮へのシフトが進んでいます。洗濯用の粉末洗剤の生産は2018年の16.6万トンから2024年に8.0万トンへ半減し、液体洗剤と柔軟仕上剤が主力になっています。
- 紙おむつは大人用が増え乳幼児用が減っています。少子化と高齢化を背景に、大人用のパンツ式や尿とりパッドの生産が増える一方、乳幼児用は縮小しています。
競争環境
トイレタリー業界では、ホームケアからサニタリーまで幅広く手がける総合メーカー、特定の分野に強みを持つ専門メーカー、外資系メーカーなど多様なプレイヤーが活動しています。花王・ライオン・ユニ・チャーム・大王製紙・小林製薬などの総合大手が分野をまたいで事業を展開する一方、殺虫剤のアース製薬、芳香消臭のエステー、ベビーケアのピジョンなどが特定の領域で存在感を持っています。分野ごとの棲み分けのもとで、高機能化による付加価値の向上、価格改定への対応、高齢化に合わせた商品開発が主要な論点です。
- 花王・ライオン・ユニ・チャーム・大王製紙・小林製薬などが総合的な大手として活動しています。花王はホームケア、ライオンはオーラルケア、ユニ・チャームと大王製紙はサニタリーを中心に事業を展開しています。
- 分野特化のメーカーが特定の領域で強みを持っています。殺虫剤・芳香消臭のアース製薬、芳香消臭・防虫のエステー、ベビーケアのピジョンなどが、それぞれの分野で存在感があります。
- 外資系メーカーも国内市場で事業を持っています。P&Gが洗剤や紙おむつ、ユニリーバがボディケアやデオドラントを手がけていますが、国内単体の業績は公表されていません。
市場規模推移
2020-2024 · トイレタリー市場規模トイレタリー市場規模の推移 (2020-2024年度、億円)
| 年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|---|---|---|
| トイレタリー市場規模(億円) | 21,297 | 20,619 | 21,196 | 21,487 | 21,704 |
トイレタリー市場は、メーカー出荷金額でみると2024年度に2兆1,704億円となり、3年連続で前年を上回りました。衣料用洗剤やホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリーの5分野50品目を束ねた民間調査の値で、人口が減るなかでも金額は底堅く推移しています。
市場規模には集計の範囲が異なる複数の調査があり、生活用品をより広く括った別の民間調査も示されています。いずれもメーカーの出荷金額をもとにしており、家庭で使われる日用品の規模感を測る目安となっています。
品目ごとの動向は、経済産業省の生産統計から読み取れます。衣料用洗剤では、洗濯用の粉末洗剤の生産が2018年の16.6万トンから2024年に8.0万トンへ半減し、液体洗剤や柔軟仕上剤への移行が進みました。石けんでは、新型コロナの流行期に手洗い用の液体石けんの生産が大きく増え、その後は落ち着いています。
サニタリーでは、少子化と高齢化が品目の構成を変えています。乳幼児用の紙おむつの生産が減る一方で、大人用の紙おむつや尿とりパッドが増えました。オーラルケアでもフッ化物配合などの高機能化が進み、歯みがきの大半が薬用の医薬部外品となっています。
数量の拡大が難しいなかで、業界は付加価値を高めて金額を保つ方向に動いています。原材料高や物流費の上昇を背景とした価格改定も進み、家計の支出にも表れています。総務省の家計調査では、二人以上の世帯の浴用・洗顔石けんへの年間支出が2018年の5,291円から2024年に9,014円へ増えました。
洗濯用洗剤や芳香消臭剤への支出も同じように増えており、購入する数量よりも単価の上昇が金額を押し上げています。猛暑による殺虫剤やデオドラント、高齢化による大人用紙おむつの伸びも、金額面での下支えとなっています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要トイレタリーには、衣料用洗剤などのホームケア、石けん・ボディ、オーラルケア、サニタリー、殺虫剤・芳香消臭剤などの家庭日用品の5つの分野があります。多くのメーカーが原材料の調達から製造までを担い、ドラッグストアやスーパーを通じて家庭に届けています。
花王やライオンのように複数の分野を幅広く手がける総合メーカーがある一方、サニタリーや殺虫剤など特定の分野に集中する専門メーカーもあります。1社が分野をまたいで事業を持つことも多く、分野ごとの棲み分けが業界の特徴です。
総合メーカーでは、ホームケアに強い花王、オーラルケアのライオン、紙おむつ・生理用品のユニ・チャームと大王製紙、衛生雑貨の小林製薬が活動しています。分野特化では、殺虫剤のアース製薬、芳香消臭のエステー、ベビーケアのピジョンが特定の領域で存在感を持っています。
比較するときは、事業が多岐にわたる総合メーカーはトイレタリー関連のセグメント、専業に近いメーカーは会社全体でみると実態に近くなります。P&Gやユニリーバなどの外資系メーカーも国内市場で事業を持っていますが、国内単体の業績は公表されていません。
需要側では、高齢化、共働き世帯の増加、節水や詰め替えへの志向、環境への配慮が品目ごとの需要を動かしています。大人用紙おむつやデオドラントが伸びる一方、容器の軽量化や詰め替え製品への移行も進んでいます。
制度面では、薬機法が化粧品と医薬部外品の区分を定めており、「薬用」と表示する歯みがきや石けんは医薬部外品として扱われます。プラスチック資源循環促進法による容器の見直しや、使用済み紙おむつの再生利用も、業界が向き合う課題となっています。
業界の3大論点
数量が伸びないなかで、トイレタリー市場はなぜ規模を保っているのか?
トイレタリーの多くの品目は、人口の減少を背景に数量の拡大が難しくなっています。衣料用洗剤では洗濯用の粉末洗剤の生産が2018年の16.6万トンから2024年に8.0万トンへ半減し、紙おむつでも乳幼児用の生産が縮小しています。数量だけをみれば、市場は頭打ちに近い状況です。
それでも市場規模が保たれているのは、付加価値を高めて単価を上げる動きが広がっているためです。歯みがきではフッ化物配合や知覚過敏への対応など機能を高めた製品が増え、洗剤でも濃縮や詰め替えで使いやすさを訴求しています。原材料高や物流費の上昇を背景とした価格改定も進み、家計調査では浴用・洗顔石けんへの年間支出が2018年の5,291円から2024年に9,014円へ増えました。
加えて、高齢化や猛暑といった環境の変化が一部の品目の需要を押し上げています。大人用紙おむつや尿とりパッド、デオドラント、殺虫剤などが伸び、数量が縮む品目を金額面で補っています。人口減少が続くなかで、各社が「量から質」への転換をどこまで進められるかが、市場規模を左右する見通しです。
高齢化はサニタリー市場をどう変えているのか?
サニタリーの中心である紙おむつでは、少子化と高齢化を背景に、需要の重心が乳幼児用から大人用へ移っています。生産統計でみると、乳幼児用テープ式の紙おむつの生産が2018年の75億枚から2024年に21億枚へ大きく減る一方、大人用のパンツ式や尿とりパッドの生産は増えています。
大人用では、寝たきりの人向けのテープ式だけでなく、自分で歩ける人が使うパンツ式や、軽度の尿もれに対応したパッドの伸びが目立ちます。高齢者人口の増加に加え、外出や就労を続ける高齢者が増えたことが背景にあります。生理用品でも、吸水ショーツなどの新しい製品が登場し、選択肢が広がっています。
紙おむつはサニタリー分野の品目で、ティッシュやトイレットペーパーなどの家庭紙とは別に扱われます。生産の実態は、対象を網羅する経済産業省の生産統計で品目ごとに把握できます。高齢化が続くなかで、大人用紙おむつや軽度失禁用品は、サニタリー市場を支える中心になっていく見通しです。
トイレタリー各社は分野ごとにどう棲み分けているのか?
トイレタリーのメーカーは、扱う分野の広さで性格が分かれます。花王・ライオン・ユニ・チャーム・大王製紙・小林製薬などの総合大手は、ホームケア・ボディ・オーラル・サニタリーといった複数の分野を幅広く手がけています。花王はホームケア、ライオンはオーラルケア、ユニ・チャームと大王製紙はサニタリーに強みを持つというように、得意とする分野はそれぞれ異なります。
一方、特定の分野に集中する専門メーカーもあります。殺虫剤や入浴剤のアース製薬、芳香消臭や防虫のエステー、ベビーケアのピジョンなどが、それぞれの領域で存在感を持っています。さらに、アリエールやパンパースのP&G、ダヴのユニリーバといった外資系メーカーも国内市場で事業を展開しています。
各社を比べるときは、見方をそろえることが大切です。事業が多岐にわたる総合メーカーはトイレタリー関連の事業部門(セグメント)で、専業に近いメーカーは会社全体でみると実態に近くなります。会社全体の売上をそのまま並べると、化粧品やヘルスケアなど他の事業を多く含む企業と、トイレタリーが中心の企業を同じ土俵で比べてしまうため、注意が必要です。
よくある質問 (FAQ)
トイレタリー市場の規模はどれくらいですか?
トイレタリーにはどんな商品が含まれますか?
洗濯洗剤はなぜ液体や濃縮タイプが増えているのですか?
紙おむつは大人用と乳幼児用でどちらが多いですか?
歯みがきはなぜ高機能化が進んでいるのですか?
トイレタリーの主要メーカーはどこですか?
物価高で家計のトイレタリーへの支出はどう変わりましたか?
「薬用」と書かれた商品は普通の商品と何が違いますか?
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