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トイレタリーの薬機法と環境規制|医薬部外品の区分と容器・紙おむつの資源循環【2026年版】

トイレタリーの製品は、効能・効果や成分によって薬機法(医薬品医療機器等法)上の区分が分かれ、容器や使用済み製品をめぐる環境規制の対象にもなります。歯みがきや石けんには、化粧品に分類されるものと「薬用」と表示できる医薬部外品があり、虫歯予防や殺菌などの効能をうたえるかどうかは承認の有無で決まります。容器の詰め替え・軽量化はプラスチック資源循環促進法のもとで進み、高齢化で増える使用済み紙おむつの再生利用も課題です。薬機法の区分、容器包装とプラスチック、紙おむつの再生利用という3つの制度の軸で整理します。

トイレタリーに関わる主な制度

薬機法による区分、容器包装・プラスチックの資源循環、使用済み紙おむつの再生利用の3つの軸

トイレタリーに関わる制度は、製品の区分を定める薬機法と、容器・使用済み製品をめぐる環境規制に大きく分かれます。同じ歯みがきや石けんでも、効能をうたう医薬部外品か、化粧品かで手続きや表示が変わり、洗剤や紙おむつのように薬機法の対象外で景品表示法などの表示規制を受ける製品もあります。下表は、薬機法上の3つの区分とトイレタリーの主な例を整理したものです。

化粧品
規制上の位置づけ
効能・効果の表示は限定的。製造販売業の許可と品目ごとの届出が必要
トイレタリーの主な例
一般の歯みがき、一般の石けん・ボディソープ(ヘアケアのシャンプー等を含む)
医薬部外品
規制上の位置づけ
有効成分を配合し、虫歯予防・殺菌などの効能・効果を表示できる。厚生労働省の承認が必要
トイレタリーの主な例
薬用歯みがき、薬用石けん、生理用品、入浴剤(浴用剤)、殺虫剤、制汗剤(腋臭防止剤)
雑貨(化粧品・医薬部外品以外)
規制上の位置づけ
薬機法の対象外。景品表示法などで表示が規制される
トイレタリーの主な例
洗濯用・台所用洗剤、柔軟剤、芳香消臭剤、紙おむつ、ティッシュ

1. 薬機法と医薬部外品 — 「薬用」と表示できるかどうかの境界

薬機法(医薬品医療機器等法)は、医薬品・医薬部外品・化粧品などの区分を定める法律です。トイレタリーで重要なのが、化粧品と医薬部外品の境界です。医薬部外品は、虫歯予防・歯周病予防・殺菌・制汗などの効能を持つ有効成分が一定量配合され、医薬部外品として厚生労働省に承認されたもので、その効能・効果を製品に表示できます。

「薬用」と表示できるのは医薬部外品で、化粧品に分類される一般の歯みがきや石けんは、虫歯予防や殺菌といった効能をうたうことができません。厚生労働省の薬事工業生産動態統計でみると、医薬部外品としての生産金額は薬用歯みがき剤が2024年に1,562億円、薬用石けんが1,071億円、生理用品(生理処理用品)が736億円、殺虫剤が682億円でした。これは医薬部外品の生産金額で、メーカー出荷金額でとらえた市場規模(矢野経済研究所)とは集計の基準が異なります。配合する成分と承認の有無は、製品の訴求や価格にも関わる論点です。

2. 容器包装とプラスチック資源循環 — 詰め替え・軽量化・再生材

トイレタリーは、洗剤・柔軟剤・ボディソープなどで詰め替え用が定着している分野です。容器包装をめぐっては、分別収集と再商品化を定める容器包装リサイクル法に加え、2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法が、プラスチック製品の設計から排出・再資源化までの3R+Renewable(再生可能資源への転換)を促しています。

この流れのなかで、各社は本体ボトルより少ないプラスチックで済む詰め替え用パウチへの置き換え、容器の薄肉化・軽量化、再生プラスチックやバイオマス由来素材の利用を進めています。濃縮タイプの普及も、少ない容量で同じ効果を得られることから、容器の小型化と輸送・保管の効率化につながります。容器包装の環境対応は、コストや使い勝手とのバランスをとりながら、今後も強まる見通しです。

3. 使用済み紙おむつの再生利用 — 高齢化で増える廃棄への対応

高齢化で大人用紙おむつの使用が増えるなか、使用済み紙おむつの処理が新たな課題になっています。環境省は、一般廃棄物に占める使用済み紙おむつの割合が2020年度の約5%から、2030年度ごろには約7%へ高まると見込んでおり、既存の処理施設での対応が難しくなる地域も想定されます。

これを受けて環境省は、2020年に「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」を定め、市町村による分別収集・滅菌処理・再生利用・熱回収の検討の流れや事例、関連技術を整理しました。紙おむつから再びパルプを取り出して使う水平リサイクルや、固形燃料化などの取り組みが一部の自治体・メーカーで進んでいます。回収・処理のコストや、再生材の品質・安全性の確保が課題で、自治体とメーカーの連携が再生利用を広げる鍵となります。

主要論点

「薬用」と表示できるかどうかは、何で決まるのか?

歯みがきや石けんが「薬用」と表示できるかどうかは、医薬部外品として承認されているかで決まります。医薬部外品は、虫歯予防・歯周病予防・殺菌・制汗などの効能を持つ有効成分が一定量配合され、薬機法のもとで厚生労働省に承認されたものです。化粧品に分類される一般の歯みがきや石けんは、こうした効能をうたうことができません。

厚生労働省の薬事工業生産動態統計でみると、医薬部外品としての生産金額は薬用歯みがき剤が2024年に1,562億円、薬用石けんが1,071億円にのぼります。歯みがきの大半は医薬部外品にあたり、虫歯予防のフッ化物などの有効成分を訴求できることが、製品の付加価値につながっています。

「薬用」「医薬部外品」と表示できるかは、配合する有効成分と承認の有無で決まり、製品の訴求や価格に直結します。各社にとって、どの成分を配合し、どの区分で製品を設計するかは、競争力に関わる重要な判断です。

容器の環境対応は、どこまで進むのか?

トイレタリーは、洗剤・柔軟剤・ボディソープなどで詰め替え用が主流になっている分野です。2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法のもとで、容器の軽量化や詰め替え用への置き換え、再生プラスチック・バイオマス素材の利用がさらに進んでいます。

詰め替え用のパウチは本体ボトルよりプラスチックの使用量が少なく、価格も抑えられるため、消費者・メーカーの双方にとって合理的な選択です。濃縮タイプの普及も、少ない容量で同じ効果を得られることから、容器の小型化と輸送・保管の効率化につながります。各社は容器の薄肉化や再生材の配合率の引き上げ、回収・再利用の仕組みづくりに取り組んでいます。

ただし、再生材の品質やコスト、衛生面の制約もあり、環境対応と使い勝手・価格のバランスをどうとるかが課題です。容器包装をめぐる制度は今後も強まる見通しで、製品設計に与える影響は大きくなっています。

使用済み紙おむつの再生利用は、なぜ課題なのか?

高齢化で大人用紙おむつの使用が増えるなか、使用済み紙おむつの処理が課題になっています。環境省は、一般廃棄物に占める使用済み紙おむつの割合が2020年度の約5%から2030年度ごろには約7%へ高まると見込んでおり、廃棄量の増加が処理施設の負担となります。

環境省は2020年にガイドラインを定め、市町村による分別収集・滅菌処理・再生利用・熱回収の検討を後押ししています。紙おむつから再びパルプを取り出して使う水平リサイクルや、固形燃料化などの取り組みが一部の自治体・メーカーで進んでいますが、全国的な広がりにはなお時間がかかります。

課題は、回収・処理にかかるコストと、再生材の品質・安全性の確保です。使用済み紙おむつは汚れや感染リスクを伴うため、滅菌・洗浄の工程が欠かせません。自治体とメーカーが連携し、回収の仕組みと再生材の用途を広げられるかが、再生利用を定着させる鍵となります。

中期見通し

近未来1-2年

当面は、プラスチック資源循環促進法のもとでの容器の環境対応が進みます。詰め替え用への置き換え、容器の軽量化、再生材の配合率の引き上げが各社で広がります。薬機法の区分(化粧品・医薬部外品)に応じた製品設計と、有効成分を訴求した医薬部外品の高付加価値化も続きます。

中期3-5年

中期では、使用済み紙おむつの再生利用の取り組みが、高齢化を背景に各地で広がる見通しです。環境省のガイドラインを踏まえた市町村とメーカーの連携が進み、水平リサイクルや固形燃料化の実証・実装が増えます。容器包装の環境規制も強まり、再生材の利用や回収の仕組みづくりが課題となります。

長期5-10年

長期では、資源循環と高齢社会への対応が制度の軸になります。プラスチックの再生材利用や使用済み紙おむつの再生利用が定着に向かう一方、回収・処理のコストや品質確保が引き続き論点です。薬機法の区分のもとで、成分の安全性や表示の適正化を保ちながら、環境対応と製品の機能・価格をどう両立するかが問われます。

よくある質問

化粧品と医薬部外品は何が違うのですか?
医薬部外品は、虫歯予防・殺菌・制汗などの効能を持つ有効成分が一定量配合され、薬機法のもとで厚生労働省に承認されたもので、その効能・効果を表示できます。化粧品に分類される一般の歯みがきや石けんは、こうした効能をうたうことができません。「薬用」と表示できるのは医薬部外品です。
トイレタリーで医薬部外品にあたるのはどんな製品ですか?
薬用歯みがき、薬用石けん、生理用品、入浴剤(浴用剤)、殺虫剤、制汗剤(腋臭防止剤)などが医薬部外品にあたります。一方、洗濯用・台所用洗剤、柔軟剤、芳香消臭剤、紙おむつなどは薬機法の対象外の雑貨です。医薬部外品の生産金額は薬用歯みがき剤が2024年に1,562億円などとなっています。
プラスチック資源循環促進法は、トイレタリーにどう関わりますか?
2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法は、プラスチック製品の設計から排出・再資源化までの取り組みを促す法律です。詰め替え用が定着しているトイレタリーでは、容器の軽量化や再生プラスチック・バイオマス素材の利用、詰め替えの推進が進んでいます。容器包装の環境対応は今後も強まる見通しです。
使用済み紙おむつのリサイクルは進んでいますか?
環境省は2020年に再生利用等に関するガイドラインを定め、市町村による分別収集・滅菌処理・再生利用・熱回収を後押ししています。紙おむつから再びパルプを取り出す水平リサイクルや固形燃料化が一部の自治体・メーカーで進んでいますが、回収・処理のコストや再生材の品質確保が課題で、全国的な広がりには時間がかかります。
なぜ使用済み紙おむつへの対応が必要なのですか?
高齢化で大人用紙おむつの使用が増えているためです。環境省は、一般廃棄物に占める使用済み紙おむつの割合が2020年度の約5%から2030年度ごろには約7%へ高まると見込んでおり、廃棄量の増加が処理施設の負担となります。再生利用や熱回収の取り組みが、その対応策として進められています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    医薬品医療機器等法(薬機法)
  2. 2.
    厚生労働省 薬事工業生産動態統計年報 令和6年(医薬部外品)
  3. 3.
    プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法、2022年4月施行)/容器包装リサイクル法
  4. 4.
    環境省「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」(令和2年3月策定)・令和5年度 調査報告書
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