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石けん・ボディソープの生産量・生産金額動向|コロナ後に定着した手洗い需要【2026年版】

石けん・ボディソープの分野では、新型コロナ下で急増した手洗いが、その後も定着しています。経済産業省の生産動態統計でみると、手洗い用の液体石けんの生産は2020年に11.1万トンへ急増し、ピークからは落ち着いたものの、2024年も8.5万トンとコロナ前の6.4万トンを上回る水準にあります。固形石けんから液体・ボディソープへのシフトも続いています。身体用の石けん・洗浄剤の品目別の推移、生産量と生産金額、薬用石けん(医薬部外品)や家計支出まで順に整理します。

手洗用液体石けんの生産量
8.5万トン
2024年。コロナで2020年に11.1万トンへ急増、ピークから落ち着くもコロナ前の6.4万トン超で定着
出典: 経済産業省 生産動態統計(化学工業統計編)
洗顔・ボディ用洗浄剤の生産量
16.5万トン
2024年。石けん・ボディで最も生産量が多い。2018年は14.8万トンで緩やかに増加
出典: 経済産業省 生産動態統計(化学工業統計編)
薬用石けんの生産金額
1,071億円
2024年・医薬部外品(薬用)。2023年は1,062億円。一般石けんとは集計基準が異なる薬事統計
出典: 厚生労働省 薬事工業生産動態統計年報(令和6年)
浴用・洗顔石けんの年間支出
9,014
二人以上の世帯、2024年。2018年は5,291円で需要側の家計支出は上昇
出典: 総務省 家計調査(二人以上の世帯)

身体用石けん・洗浄剤の品目別生産量の推移 (2018-2024年、万トン)

浴用固形・手洗用液体・洗顔ボディの積み上げ。合計が身体用石けん・洗浄剤の総生産。2020年の手洗用液体の伸びがコロナ下の手洗い急増を映す
単位: 万トン
浴用固形手洗用液体洗顔・ボディ
07.51522.53023.91824.71927.72022.82124.42225.92327.324
出典: 経済産業省 生産動態統計(化学工業統計編、悉皆調査による品目別の生産量)
2018201920202021202220232024
浴用固形万トン2.702.702.902.402.302.202.30
手洗用液体万トン6.407.1011.106.707.408.308.50
洗顔・ボディ万トン14.8014.9013.7013.7014.7015.4016.50
合計(万トン23.9024.7027.7022.8024.4025.9027.30
読み解き

身体を洗うための石けん・洗浄剤は、浴用の固形石けん・手洗い用の液体石けん・洗顔やボディ用の身体洗浄剤(ボディソープ)に分かれます。生産量を積み上げてみると、2020年に手洗い用の液体石けんが11.1万トンへ急増し、新型コロナ下で手洗いの需要が一気に高まったことがわかります。

その後、手洗い用の液体石けんはピークから落ち着いたものの、2024年も8.5万トンとコロナ前の6.4万トンを上回る水準にあり、手洗いの習慣が定着したことを示しています。最も生産量が多いのは洗顔・ボディ用の身体洗浄剤で、緩やかに増えています。これらはメーカー出荷金額でとらえた市場規模(矢野経済研究所)の内訳ではなく、経済産業省が品目別の生産量を網羅的に集計した別の生産統計です。

身体用石けん・洗浄剤の品目別生産金額の推移 (2018-2024年、億円)

浴用固形・手洗用液体・洗顔ボディの生産金額の積み上げ。生産量の推移とは分けてみると、2020年の手洗用液体の金額の伸びがコロナ下の手洗い急増を金額でも映す
単位: 億円
浴用固形手洗用液体洗顔・ボディ
05001,0001,5002,0001,382181,362191,621201,362211,434221,472231,43224
出典: 経済産業省 生産動態統計(化学工業統計編、悉皆調査による品目別の生産金額)
2018201920202021202220232024
浴用固形億円230234248212206214216
手洗用液体億円337366618378401448426
洗顔・ボディ億円815762755772827810790
合計(億円1,3821,3621,6211,3621,4341,4721,432
読み解き

生産量とは分けて生産金額の推移をみると、品目ごとの違いがより明確になります。手洗用の液体石けんは2020年に金額が618億円へ急増し、その後ピークから落ち着いて2024年は426億円(2018年は337億円)と、量と同じくコロナ前を上回る水準で推移しています。浴用の固形石けんは230億円から216億円へ緩やかに縮みました。

一方、洗顔・ボディ用の身体洗浄剤(ボディソープ)は、生産金額が815億円から790億円とほぼ横ばいです。生産量(§3)が増えているのに金額が伴わない点に、詰め替え・大容量品・低価格帯の競争があらわれています。この金額は生産量(トン)と同じ経済産業省の生産動態統計による供給側の数値で、メーカー出荷金額でとらえた市場規模(矢野)の内訳ではありません。

石けん・ボディ品目別の生産量と生産金額 (2018年と2024年)

浴用固形・手洗用液体・洗顔ボディの品目別。経済産業省 生産動態統計による供給側の生産。品目ごとに量と金額の動きが異なる
浴用・固形石けん
生産量(2018年)
2.7
生産量(2024年)
2.3
生産金額(2018年)
230
生産金額(2024年)
216
手洗用・液体石けん
生産量(2018年)
6.4
生産量(2024年)
8.5
生産金額(2018年)
337
生産金額(2024年)
426
洗顔・ボディ用洗浄剤
生産量(2018年)
14.8
生産量(2024年)
16.5
生産金額(2018年)
815
生産金額(2024年)
790
読み解き

身体用の石けん・洗浄剤は、品目ごとに動きが異なります。手洗い用の液体石けんは量・金額とも増加し、コロナ下の手洗い需要の定着を映しています。浴用の固形石けんは量・金額とも緩やかに縮み、液体・ボディソープへの置き換えが進んでいます。

一方、洗顔・ボディ用の身体洗浄剤(ボディソープ)は、生産量が14.8万トンから16.5万トンへ増えたものの、生産金額は815億円から790億円とほぼ横ばいでした。詰め替えや大容量品、低価格帯の競争が強く、数量が伸びても金額が伴いにくい構図です。衣料用洗剤や歯みがきにみられる「量から質」とは異なり、ボディソープは数量主導の側面があります。なお、生産量(トン)・生産金額は経済産業省の生産動態統計による供給側の数値で、メーカー出荷金額でとらえた市場規模(矢野)とは集計の範囲が異なります。

主要論点

コロナで急増した手洗いの需要は、定着したのか?

新型コロナの感染対策として、手洗いの習慣が一気に広がりました。生産動態統計でみると、手洗い用の液体石けんの生産は2018年の6.4万トンから2020年に11.1万トンへ急増しています。

その後、感染対策が緩むなかでピークからは落ち着きましたが、2024年も8.5万トンとコロナ前の水準を上回っています。手洗いの習慣が一過性のものに終わらず、一定程度定着したことを示しています。除菌・抗菌をうたった製品や、自動で泡が出るディスペンサーなど、利便性や衛生意識に応える製品も広がりました。

ただし、生産量はピークの2020年を超えてはおらず、感染対策の特需が一巡したあとの「定着した水準」で推移しています。今後は、衛生意識の維持と、香りや保湿などの付加価値が需要を支える見通しです。

固形石けんから液体・ボディソープへのシフトは、どこまで進んだのか?

身体を洗う製品の主役は、固形石けんから液体・ボディソープへと移ってきました。浴用の固形石けんの生産は緩やかに縮む一方、洗顔・ボディ用の身体洗浄剤(ボディソープ)は生産量が14.8万トンから16.5万トンへ増え、身体用の石けん・洗浄剤のなかで最も生産量が多くなっています。

液体・ボディソープは、泡で出るタイプや詰め替え、保湿・香りなどの機能を訴求した製品が広がり、使い勝手や好みの幅で固形石けんを上回る支持を集めています。固形石けんは、肌へのやさしさやプラスチックを使わない点を評価する層に一定の支持が残るものの、市場の中心は液体へと移っています。

ただし、ボディソープは生産金額がほぼ横ばいで、数量が伸びても金額が伴いにくい品目です。詰め替えや大容量品、低価格帯の競争が強く、各社は保湿や香り、肌へのやさしさといった付加価値で単価の維持・向上を図っています。

薬用石けん(医薬部外品)は、ふつうの石けんと何が違うのか?

石けんには、化粧品に分類されるものと、医薬部外品に分類される「薬用石けん」があります。薬用石けんは、殺菌や消毒などの効能を持つ有効成分が一定量配合され、薬機法(医薬品医療機器等法)のもとで医薬部外品として承認されたものです。

薬用石けんの生産金額は、厚生労働省の薬事工業生産動態統計で別に集計され、2024年は1,071億円(2023年は1,062億円)でした。これは医薬部外品としての生産金額で、経済産業省の生産動態統計で集計される一般の石けん(固形・液体)とは集計の基準が異なる別の指標です。両者を足し合わせることはできません。

手指の衛生意識の高まりを背景に、殺菌成分を加えた薬用ハンドソープなどの需要は底堅く推移しています。「薬用」「医薬部外品」と表示できるかどうかは、配合する成分と承認の有無で決まり、製品の訴求や価格にも関わる論点です。

中期見通し

近未来1-2年

手洗い用の液体石けんは、コロナ後に定着した水準での推移が続くとみられます。衛生意識の維持に加え、除菌・抗菌や香り、保湿などの付加価値で需要を支える構図です。ボディソープは数量の競争が続く一方、保湿・香りなどの高付加価値品で単価の維持を図る動きが強まります。

中期3-5年

中期では、固形から液体・ボディソープへのシフトと、詰め替え・濃縮による環境対応が続きます。プラスチック資源循環促進法のもとで詰め替えや容器の軽量化が進む一方、固形石けんはプラスチックを使わない選択肢として一定の支持を保つ見通しです。薬用(医薬部外品)の手指衛生製品も底堅く推移します。

長期5-10年

長期では、人口減少が数量の基調を弱めるなかで、衛生意識の定着と高付加価値化が金額を支える方向です。手洗い・身体洗浄は生活に不可欠な分野で需要の振れは小さい一方、低価格帯の競争も根強く、保湿・香り・肌へのやさしさといった付加価値をどこまで深められるかが、各社の収益を左右します。

よくある質問

コロナで増えた手洗い用の液体石けんは、その後も使われていますか?
生産動態統計でみると、手洗い用の液体石けんの生産は2020年に11.1万トンへ急増したあとピークからは落ち着きましたが、2024年も8.5万トンとコロナ前の6.4万トンを上回る水準にあります。手洗いの習慣が一定程度定着したことを示しています。
固形石けんとボディソープ、どちらが多く生産されていますか?
生産量でみると、洗顔・ボディ用の身体洗浄剤(ボディソープ)が16.5万トン(2024年)で、浴用の固形石けんを大きく上回ります。固形石けんは緩やかに縮み、液体・ボディソープへのシフトが続いています。
ボディソープは生産量が増えているのに、金額はなぜ伸びないのですか?
洗顔・ボディ用の身体洗浄剤は、生産量が14.8万トンから16.5万トンへ増えた一方、生産金額は815億円から790億円とほぼ横ばいです。詰め替えや大容量品、低価格帯の競争が強く、数量が伸びても金額が伴いにくい品目です。衣料用洗剤などの「量から質」とは異なる動きです。
薬用石けんと普通の石けんは何が違いますか?
薬用石けんは、殺菌や消毒などの有効成分が配合され、薬機法のもとで医薬部外品として承認されたものです。生産金額は薬事工業生産動態統計で別に集計され、2024年は1,071億円でした。化粧品に分類される一般の石けんとは集計の基準が異なる別の指標で、足し合わせることはできません。
これらの数字の出典は何ですか?
品目別の生産量・生産金額は経済産業省 生産動態統計(化学工業統計編、悉皆調査)、薬用石けんは厚生労働省 薬事工業生産動態統計年報(医薬部外品)、家計の支出は総務省 家計調査が出典です。これらは集計の範囲や基準が異なるため、本ページではそれぞれ別の指標として整理しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省 生産動態統計 化学工業統計編「油脂製品・石けん・合成洗剤等・界面活性剤」
  2. 2.
    厚生労働省 薬事工業生産動態統計年報 令和6年(医薬部外品)
  3. 3.
    総務省 家計調査(家計収支編、二人以上の世帯)
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