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美容業界の美容師の人材と労働|国家試験合格者数と就業者数の推移【2026年版】

美容師は新たに毎年1万5千人以上が国家試験(春期)に合格し、就業美容師は579,768人(令和5年度)と過去最多の水準にあります。新規供給は細っていない一方、賃金は最低賃金に近い水準にとどまり、面貸しや業務委託で独立するフリーランス美容師も増えています。人材の確保と定着、処遇の改善が業界共通の論点です。

就業美容師(令和5年度)
579,768
過去最多、独立・個人開業を含む免許届出ベース
出典: 厚生労働省 衛生行政報告例
国家試験合格者(2026年春)
17,273
第53回(春期)。新規供給は毎年1万5千人以上で安定
出典: 理容師美容師試験研修センター
国家試験合格率(2026年春)
87.0%
受験19,850人。合格率は近年80%台後半
出典: 理容師美容師試験研修センター
最低賃金(2025年)
1,121
全国加重平均。処遇水準の目安(経営コスト視点は別ページ)
出典: 厚生労働省 地域別最低賃金

美容師国家試験(春期)の合格者数の推移 (2013-2026年、人)

新規供給は毎年1万5千人以上で安定、直近は1万7千人前後
単位:
05,00010,00015,00020,00014,6381315,35016,5161516,36516,49815,63515,95614,7092015,50217,10417,26616,88817,4272517,27326
出典: 理容師美容師試験研修センター(美容師国家試験 春期)
年度20132014201520162017201820192020202120222023202420252026
合格者数14,63815,35016,51616,36516,49815,63515,95614,70915,50217,10417,26616,88817,42717,273
前年比+4.9%+7.6%-0.9%+0.8%-5.2%+2.1%-7.8%+5.4%+10.3%+0.9%-2.2%+3.2%-0.9%
読み解き

美容師国家試験(春期)の合格者数は、2013年の14,638人から増減を経て、直近は年1万6千〜1万7千人台で推移しています。第51回(2025年春)は17,427人、第53回(2026年春)は17,273人が合格しました。

合格率は2013年の80.4%から近年は80%台後半へと上がっており、第53回(2026年春)は受験19,850人に対し87.0%でした。毎年安定して1万5千人以上の新たな有資格者が生まれており、新規供給そのものは細っていません。それでも現場で人手不足感が語られるのは、入職後の定着や離職が課題となっているためです。なお秋期試験は受験規模が小さく、新規供給の主軸は春期試験です。

このグラフに関連するトピック

美容師の数をめぐる2つの統計

免許届出ベースの就業者と、事業所ベースの従業者では数え方の範囲が異なる
就業美容師(令和5年度)
集計の対象
美容師免許の届出に基づく就業者(雇用・独立・個人開業を含む)
人数
579,768人
美容業の事業所従業者(2021年)
集計の対象
売上のある美容業の事業所に属する従業者
人数
353,971人
読み解き

美容師の人数は、用いる統計によって水準が異なります。衛生行政報告例の就業美容師は579,768人(令和5年度)で、美容師免許の届出をもとに、サロンに雇用される人だけでなく独立・個人開業した人も含めて数えます。一方、経済センサス(2021年)で美容業の事業所に属する従業者を数えると353,971人で、売上のある事業所の従業者に対象が限られます。

両者の差は、特定の事業所に属さない働き方、すなわち面貸し(シェアサロン)や業務委託、個人開業で働く美容師が相当数いることを映しています。ただし2つの統計は調査年(令和5年度と2021年)も対象の定義も異なるため、差をそのまま「フリーランス美容師の人数」と引き算できるわけではなく、あくまで雇用に属さない働き方の規模感を示すものです。どちらが正しいというより集計の範囲が異なる統計で、就業者の総数をみるなら衛生行政報告例、事業所の雇用規模をみるなら経済センサスが適しています。雇用と独立の境界が流動的になっていることが、数字の差からうかがえます。

主要論点

新規供給は減っていないのに、なぜ人手不足感があるのか?

美容師の新規供給は細っていません。国家試験(春期)では毎年1万5千人以上が合格し、第53回(2026年春)も17,273人が新たに資格を得ました。就業美容師の総数も令和5年度に579,768人と過去最多です。数のうえでは、有資格者は十分に供給されています。

それでも現場で人手不足が語られる背景には、入職後の定着と離職の課題があります。技術習得に時間がかかる一方で、初期の賃金水準は高くなく、長時間労働になりやすいことから、早期に離職したり他業種へ移ったりする人が一定数います。資格取得者は多くても、現場に定着する人材の確保が難しいという構図です。

つまり論点は「供給の量」ではなく「定着と処遇」にあります。賃金・労働環境の改善や、多様な働き方の受け皿づくりが、人材を現場につなぎとめる鍵となっています。

美容師の処遇と働き方はどう変わっているか?

美容師、とりわけ経験の浅い層の賃金は高くないとされてきました。美容師に限った賃金の公的統計は限られるため、ここでは処遇の目安として最低賃金を参照します。最低賃金の全国加重平均は2025年に1,121円まで上昇しており、働き手の処遇改善につながる一方、サロン側には人件費の負担となります(経営コストとしての側面はサロン数・事業者構造のページで扱います)。

こうしたなかで広がっているのが、面貸し(シェアサロン)や業務委託による独立です。フリーランスの美容師は、サロンの席を借りて自分の顧客に施術し、報酬体系や働く時間を自分で選べます。雇用される働き方に比べて収入の上限を引き上げやすく、子育てとの両立など柔軟な働き方も可能になります。

一方で、独立には集客や経営を自分で担う負担が伴い、収入が不安定になりやすい面もあります。雇用と独立の中間的な就業形態が広がるなかで、サロンと美容師の双方が、それぞれに合った関係を選べる環境が求められています。

国家試験の合格率の上昇は何を意味するか?

美容師国家試験(春期)の合格率は、2013年の80.4%から近年は80%台後半へと上がっています。第53回(2026年春)は受験19,850人に対し87.0%でした。受験者の多くが養成施設で所定の課程を修めて臨んでいることもあり、合格率は比較的高い水準で安定しています。

これは、資格取得の段階が新規供給のボトルネックにはなっていないことを示します。年1万5千人以上という新たな有資格者の規模は、就業美容師579,768人という母数を支える供給源となっています。

したがって人材政策の力点は、試験の難易度よりも入職後の育成・定着に置かれます。資格を得た人材をいかに現場で育て、処遇を改善してつなぎとめるかが、業界の持続性を左右します。

中期見通し

近未来1-2年

新規供給は安定して続く見通しです。国家試験(春期)で毎年1万5千人以上が合格する構図は変わらず、就業美容師数も高水準を保つとみられます。一方で、賃金と労働環境の改善が進まなければ、入職後の早期離職が引き続き課題となります。

中期3-5年

フリーランス化と多様な働き方がさらに広がる見通しです。面貸し(シェアサロン)や業務委託で独立する美容師が増え、雇用と独立の境界はいっそう流動的になります。サロンは、雇用と業務委託を組み合わせた人材戦略と、処遇の改善を迫られます。

長期5-10年

人口減少が進むなかで、人材の確保と定着が業界の持続性を左右します。新たな有資格者の規模が保たれても、働き手にとって魅力ある処遇・働き方を用意できるかが、サロン経営とサービス水準を支える基盤となります。

よくある質問

美容師は毎年どれくらい誕生していますか?
美容師国家試験(春期)では毎年1万5千人以上が合格しています。第51回(2025年春)は17,427人、第53回(2026年春)は17,273人が合格しました。合格率は近年80%台後半で、新規供給は安定しています。
就業している美容師は何人くらいいますか?
衛生行政報告例によると、令和5年度の就業美容師は全国で579,768人と過去最多です。これは美容師免許の届出をもとに、サロンに雇用される人だけでなく独立・個人開業した人も含めて数えた人数です。
美容師の数が統計で異なるのはなぜですか?
衛生行政報告例の就業美容師は579,768人(令和5年度)ですが、経済センサス(2021年)で美容業の事業所に属する従業者を数えると353,971人となります。前者は免許届出をもとに独立・個人開業も含め、後者は売上のある事業所の従業者に限るため、数え方の範囲が異なります。差は面貸しや業務委託など、特定の事業所に属さない働き方の広がりを映しています。
美容師の働き方はどう変わっていますか?
サロンに雇用される働き方に加え、面貸し(シェアサロン)や業務委託で独立するフリーランス美容師が増えています。報酬体系や働く時間を自分で選べる利点がある一方、集客や経営を自分で担う負担もあり、雇用と独立の中間的な就業形態が広がっています。
美容師の人手不足の原因は何ですか?
新規の有資格者は毎年1万5千人以上生まれており、供給の量が不足しているわけではありません。課題は入職後の定着で、初期の賃金水準や労働環境を背景に早期離職が起きやすいことが、人手不足感の主な要因とされています。処遇と労働環境の改善が論点です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    公益財団法人 理容師美容師試験研修センター「過去の試験実施状況」(美容師国家試験 春期)
  2. 2.
    厚生労働省「衛生行政報告例」令和5年度
  3. 3.
    総務省・経済産業省「経済センサス‐活動調査」令和3年
  4. 4.
    厚生労働省「地域別最低賃金」(全国加重平均)
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