美容・エステ業界の市場規模・主要企業・動向
日本の美容・エステ業界は美容所27万店・美容師58万人が支える超分散市場で、美容室は5年で最大、エステは縮小とジャンルで明暗が分かれています
美容・エステ業界とは、美容室・エステティック・ネイル・アイビューティー・リラクゼーションといったサロンが、技術者の施術を通じて美容関連サービスを提供する産業です。国内では美容所が27万4,070店、美容師が57万9,768人を数える超分散市場で、消費者支出ベースの市場規模はジャンルで明暗が分かれ、美容室は2025年に1兆3,884億円とここ5年で最大に達する一方、エステは脱毛分野の縮小で減少しています。集客はホットペッパービューティーなど予約・口コミプラットフォームへの依存が強まり、経営は技術者の人件費に依存する労働集約型の構造を抱えています。本ページでは、日本の美容・エステ業界を、市場規模、サロン数・事業者構造、集客・予約プラットフォーム、エステ市場、人材・労働の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
美容・エステ業界とは、美容室・エステティック・ネイル・アイビューティー・リラクゼーションといったサロンが、技術者の施術を通じて美容関連サービスを提供する産業です。美容所(美容師法に基づき届け出た店舗)は27万4,070店、美容師は57万9,768人にのぼる超分散市場で、ジャンルごとに市場規模の方向が分かれています。
- 美容所27万店・美容師58万人の超分散市場で、上場している専業はごく僅かです。大半が中小・個人サロンで、大手チェーンから個人経営、フリーランスまで多様なプレイヤーが活動しています。
- ジャンルで市場規模の明暗が分かれています。美容室が2025年に1兆3,884億円でここ5年最大となる一方、エステは脱毛分野の縮小で減少し、リラク・ネイル・アイは拡大しています。
- 集客はプラットフォーム依存、経営は労働集約型です。ホットペッパービューティーなどの予約・口コミサービスへの依存が強まり、技術者の人件費に依存する低利益率の構造を抱えています。
市場動向
消費者支出ベースの市場規模はジャンルで明暗が分かれ、美容室が2025年に1兆3,884億円とここ5年で最大に達する一方、エステは脱毛分野の縮小で減少しています。リラクゼーション3,798億円・ネイル1,455億円・アイビューティー1,384億円はいずれも拡大しています。
- 美容室は2021年の1兆3,129億円から2025年に1兆3,884億円へ拡大し、ここ5年で最大となりました。アイビューティーは前年比17.4%増の1,384億円、ネイルとリラクゼーションも3年連続で拡大しています。
- 美容室市場は女性が約7割を占めています。女性が1兆343億円・男性が3,542億円で、1回あたり利用金額は女性7,668円・男性4,879円と男女ともにここ5年で最高となっています。
- 供給側の経済センサスでは美容業の事業所売上が1兆6,532億円(2021年)です。これは事業所の売上をとらえる供給側の指標で、消費者支出から推計する市場規模とは集計の立場が異なります。理容室を含む美容サロン市場全体は2兆6,820億円が参考値です。
競争環境
日本の美容・エステ業界では、大手チェーン・中小サロン・個人経営サロン・フリーランス美容師など多様なプレイヤーが活動しています。美容所27万店・美容師58万人という超分散市場で、サロンを運営する上場企業は田谷やヤマノホールディングスなどごく僅かにとどまり、サロン向け卸ではビューティガレージが上場しています。集客プラットフォームへの対応、技術者の確保と定着が業界共通の論点となっています。
- サロンを運営する上場企業はごく僅かです。田谷やヤマノホールディングスが上場する一方、大半は非上場の中小・個人サロンで構成され、業務委託や面貸し(シェアサロン)で独立するフリーランス美容師も増えています。
- サロン向け卸のビューティガレージは一貫して成長しています。サロンへ美容機器や材料を卸すBtoB事業者で、サロン運営とは業態が異なり、サロン経済の傍証となっています。
- 集客プラットフォームへの対応が競争を左右しています。ホットペッパービューティーへの送客依存が強まるなか、リピートや指名による依存度の引き下げ、技術者の確保と定着が共通の経営課題です。
市場規模推移
2021-2025 · 美容室 / エステサロン美容室の市場規模の推移 (2021-2025年、億円)
| 年度 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|
| 美容室(億円) | 13,129 | 13,445 | 13,558 | 13,543 | 13,884 |
| 前年比 | — | +2.4% | +0.8% | -0.1% | +2.5% |
エステサロンの市場規模の推移 (2021-2025年、億円)
| 年度 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|
| エステサロン(億円) | 3,956 | 3,971 | 3,384 | 3,948 | 3,360 |
| 前年比 | — | +0.4% | -14.8% | +16.7% | -14.9% |
消費者支出ベースの市場規模は、ジャンルによって明暗が分かれています。美容室は2021年の1兆3,129億円から2025年に1兆3,884億円へと拡大し、ここ5年で最大となりました。リラクゼーションは3,798億円、ネイルは1,455億円、アイビューティーは1,384億円(前年比17.4%増)といずれも拡大する一方、エステは消費者支出ベースで3,956億円から3,360億円へ減少しています。美容室市場は女性が約7割を占め、1回あたり利用金額も男女ともにここ5年で最高となりました。
ジャンル別に把握できる消費者支出ベースが業界規模を測る基本の統計で、本ページの市場規模はこれを主に用います。これとは別に、供給側の事業所売上をとらえる経済センサスでは美容業が1兆6,532億円(2021年)、事業者売上高ベースの矢野経済研究所ではエステが3,043億円となり、いずれも集計の立場が異なる補助的な指標です。理容室を含む美容サロン市場全体は2兆6,820億円が参考値ですが、理容室は別業態のため本ページでは美容5ジャンルを対象とします。
エステティック市場は縮小局面にあります。事業者売上高ベースの矢野経済研究所では5年連続で減少し、2024年度は3,043億円となりました。消費者支出ベースでは年により振れがあり、2024年に一時持ち直したものの2025年は3,360億円と2023年並みの水準にとどまります。いずれの統計でも、脱毛サロンの市場規模が2021年から672億円減少したことが縮小を主導しています。
背景には、脱毛サロンの撤退や、高密度焦点式超音波(HIFU)への規制強化(2024年)があります。フェイシャルやボディ・痩身が一定の規模を保つ一方、医療脱毛との競合も続いており、エステは構造的な転換局面にあります。
集客面では、予約・口コミプラットフォームへの依存が強まっています。ホットペッパービューティーの予約取扱額は2024年度に約1.1兆円に達し、ネット予約件数は年間約1.6億件、月間1,200万人以上が利用しています。
利用実態の面でも、美容室を利用する女性のネット予約は計59.2%にのぼり、予約サイト・アプリ経由の比率は20代でさらに高くなっています。サロンにとって、こうしたプラットフォームへの対応と、リピートや指名による依存度の引き下げが集客上の論点となっています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要美容・エステ業界は、美容室・エステティック・ネイル・アイビューティー・リラクゼーションの5ジャンルのサロンで構成されます。全国の美容所は27万4,070店、美容師は57万9,768人にのぼり、1店舗から数店舗規模の中小・個人サロンが大半を占める超分散市場です。
ジャンルによって市場規模の方向は分かれており、美容室は2025年に1兆3,884億円とここ5年で最大となる一方、エステは脱毛分野の縮小で減少しています。サロンを運営する事業者のほか、集客プラットフォームやサロン向け卸など、サロンを支える事業者も業界を形づくっています。
サロンを運営する事業者は、大手・中堅チェーンから個人経営サロン、フリーランス美容師まで多様です。上場している専業はごく僅かで、サロンを運営する田谷やヤマノホールディングスなどにとどまり、大半は非上場の中小・個人で構成されます。
これに対し、サロン向けに商材を卸すビューティガレージは一貫して成長しており、サロン運営とは業態が異なります。近年は業務委託や面貸し(シェアサロン)で独立する美容師も増え、集客ではホットペッパービューティーなどの予約・口コミプラットフォームへの対応が競争を左右しています。
サロンの経営は、技術者である美容師の人件費に依存する労働集約型の構造です。美容師国家試験には毎年1万人台後半が合格し新規供給が続く一方、離職や独立による人材の確保・定着が共通の経営課題となっています。
最低賃金は2015年の798円から2025年の1,121円へ上昇し、人件費が経営を圧迫しています。上場するサロン運営企業でも複数年にわたり純損失を計上する例があり、労働集約・低利益率の構造を映しています。
業界の3大論点
消費者支出ベースの市場規模は、ジャンルによって方向が分かれています。美容室は2025年に1兆3,884億円とここ5年で最大に達し、リラクゼーション・ネイル・アイビューティーも拡大する一方、エステは脱毛分野の縮小で減少しています。アイビューティーは前年比17.4%増と高い伸びを示しており、成長ジャンルと縮小ジャンルが併存しています。
市場規模は集計の仕方によって水準が異なる点に注意が必要です。消費者支出ベース(リクルートHBA)では美容室が1兆3,884億円、供給側の事業所売上(経済センサス)では美容業が1兆6,532億円、事業者売上高ベース(矢野経済研究所)ではエステが3,043億円となります。同じ市場でも集計の立場が異なるため、単純比較はできません。
事業機会の見極めでは、拡大ジャンルへの参入余地と、縮小するエステ分野での医療脱毛との競合や転換を見極めることが求められます。物価高を背景に客単価が上昇している点も、単価戦略を考えるうえでの論点となります。
美容サロンの集客は、予約・口コミプラットフォームへの依存が強まっています。ホットペッパービューティーの予約取扱額は2024年度に約1.1兆円、ネット予約件数は年間約1.6億件に達し、美容室を利用する女性のネット予約は計59.2%にのぼります。20代では予約サイト・アプリ経由の比率がさらに高く、若年層ほどプラットフォーム経由の利用が定着しています。
プラットフォームは新規顧客の獲得に有効である一方、送客手数料や価格競争への巻き込みという課題もあります。サロンにとっては、プラットフォーム経由で獲得した顧客をリピートや指名につなげ、依存度を引き下げることが収益の安定に直結します。
自社予約システムやSNS、口コミを組み合わせ、プラットフォームと自社チャネルのバランスをどう取るかが、集客戦略の中心的な論点となっています。
美容サロンの経営は、技術者である美容師の人件費に依存する労働集約型の構造です。美容師国家試験には毎年1万人台後半が合格し新規供給が続く一方、長時間労働や独立志向を背景とした離職もあり、人材の確保と定着が共通の経営課題となっています。
最低賃金は2015年の798円から2025年の1,121円へと上昇しており、人件費が経営を圧迫しています。上場するサロン運営企業でも複数年にわたり純損失を計上する例があり、労働集約・低利益率の構造を映しています。
近年は業務委託や面貸し(シェアサロン)で独立する美容師も増えており、雇用と独立の中間的な就業形態が広がっています。サロン側は、賃金・働き方の改善と、こうした多様な就業形態への対応を通じて人材を確保することが求められています。
よくある質問 (FAQ)
美容・エステ業界の市場規模はどれくらいですか?
ジャンルごとの市場規模と推移はどうなっていますか?
美容室は全国に何店ありますか?
美容サロンに上場企業はありますか?
美容室の集客はどうなっていますか?
エステ市場はなぜ縮小しているのですか?
美容師の人材や労働環境はどうですか?
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