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旅行・宿泊業界の市場規模|コロナ後の回復とインバウンドの牽引【2026年版】

日本の旅行・観光消費額は、2025年に37.6兆円となり過去最高水準に達しました。日本人の国内旅行消費額はコロナ禍の2020年に9兆9,741億円まで半減した後、2025年に過去最高の26兆7,845億円へ回復し、訪日外国人の旅行消費額も9兆4,559億円(前年比16.4%増)と過去最高を更新しました。市場規模の推移・内訳・回復の中身・需要側と供給側で異なる集計まで順に整理します。

旅行・観光消費額(2025年)
37.6兆円
日本国内で発生した旅行消費の総額、過去最高水準
出典: 観光庁「旅行・観光消費動向調査」「インバウンド消費動向調査」
訪日外客数(2025年)
4,268万人
前年比15.8%増、初の4,200万人超で過去最高
出典: 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」
主要旅行業者の旅行取扱額(2024年度)
3.68兆円
旅行会社が販売した旅行の取扱額、43社・グループ集計
出典: 観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況」
延べ宿泊者数(2025年)
6.53億人泊
全国の宿泊施設の延べ宿泊者数、外国人分は過去最高
出典: 観光庁「宿泊旅行統計調査」

日本人国内旅行消費額の推移(2016-2025年、兆円)

コロナ禍前の2019年21兆9,312億円から2020年9兆9,741億円へ半減し、2025年に過去最高の26兆7,845億円へ回復
単位: 兆円
0.007.5015.022.530.020.91621.11720.51821.9199.97209.182117.22221.92325.12426.825
出典: 観光庁「旅行・観光消費動向調査」(2025年 確報)
年度2016201720182019202020212022202320242025
日本人国内旅行消費額兆円20.9521.1120.4821.939.979.1817.1621.9125.1526.78
前年比+0.8%-3.0%+7.1%-54.5%-7.9%+86.9%+27.7%+14.8%+6.5%
読み解き

日本人の国内旅行消費額は、コロナ禍前の2019年に21兆9,312億円でしたが、2020年に9兆9,741億円へと半減し、2021年の9兆1,783億円が底となりました。そこから段階的に回復し、2025年に過去最高の26兆7,845億円(前年比6.5%増)まで戻しています。V字回復の経緯が一目でわかります。

回復の内訳をみると、宿泊旅行(2025年 前年比6.8%増)が日帰り旅行(同5.0%増)を上回って牽引しています。延べ旅行者数の伸びは小さく、回復の多くは宿泊単価の上昇(2025年の宿泊旅行は1人1回あたり72,412円)に支えられている点が特徴です。

旅行・観光消費額の内訳(2025年、兆円)

日本人の国内旅行・海外旅行(国内分)と訪日外国人旅行の合計。四捨五入のため内訳の合計(37.7兆円)は公表総額37.6兆円と僅かにずれます
項目消費額(兆円)構成比シェア
日本人国内宿泊旅行21.757.7%
日本人国内日帰り旅行5.113.5%
日本人海外旅行(国内分)1.43.7%
訪日外国人旅行9.525.1%
旅行・観光消費額37.7100.0%
読み解き

旅行・観光消費額37.6兆円のうち、最も大きいのは日本人の国内宿泊旅行で21.7兆円(構成比57.7%)です。次いで訪日外国人旅行が9.5兆円(同25.1%)、日本人の国内日帰り旅行が5.1兆円と続きます。

日本人の国内旅行(宿泊+日帰り)が全体の7割を占める一方、訪日外国人旅行が約4分の1を占めるまで存在感を高めています。なお「日本人海外旅行(国内分)」は、日本人の海外旅行のうち出発前後に国内で支払った費用(国内の旅行手配や空港までの交通費など)を指します。これと訪日外国人旅行はコロナ禍の影響を含む試算値で、確報で改訂される場合があります。

市場規模を測る主な統計(2024-2025年)

需要側(消費額)と供給側(取扱額・宿泊者数)は集計の対象と単位が異なり、単純に合算・比較はできません
旅行・観光消費額
何を測るか
日本国内で発生した旅行消費の総額(需要側)
最新の水準
37.6兆円(2025年)
集計の主体・出典
観光庁 旅行・観光消費動向調査ほか
主要旅行業者の旅行取扱額
何を測るか
旅行会社が販売した旅行の取扱額(供給側・旅行業)
最新の水準
3.68兆円(2024年度)
集計の主体・出典
観光庁 主要旅行業者の旅行取扱状況
延べ宿泊者数
何を測るか
全国の宿泊施設に泊まった延べ人数(供給側・宿泊業)
最新の水準
6.53億人泊(2025年)
集計の主体・出典
観光庁 宿泊旅行統計調査
読み解き

旅行・宿泊業界の規模は、単一の数字では表せません。需要側の旅行・観光消費額(37.6兆円)は日本国内で発生した旅行消費の総額です。これに対し、供給側の主要旅行業者の旅行取扱額(3.68兆円)は旅行会社が販売した旅行の取扱額で、旅行者が旅行会社を通さずに直接予約・手配した分は含まれません。延べ宿泊者数(6.53億人泊)は宿泊業に泊まった延べ人数で、金額ではありません。

集計の仕方が異なるため、「旅行業界が37.6兆円を売り上げている」「旅行会社が宿泊のすべてを扱っている」といった読み方は誤りです。市場規模を引用するときは、どの統計が何を測っているかを意識し、対象と単位を確認することが出発点になります。

主要論点

国内とインバウンドで、市場の構成はどう変わっているか?

2025年の旅行・観光消費額37.6兆円のうち、日本人の国内旅行が26兆7,845億円、訪日外国人旅行が9兆4,559億円を占めます。コロナ禍前は国内旅行が大半を占めていましたが、訪日外国人旅行が全体の約4分の1まで存在感を高めています。

訪日消費は2025年に前年比16.4%増と高い伸びを示し、1人あたり消費額も22.9万円に達しています。費目別では宿泊費が最も大きく、買物代・飲食費が続きます。一方、日本人の国内旅行は延べ人数の伸びが小さく、宿泊単価の上昇が消費額を押し上げています。

市場の成長はインバウンドが牽引し、国内は数量より単価・質へと比重を移す——この二つの動きが並行して進んでいるのが現在の構図です。

コロナ前の水準を超えたのか?

回復の度合いは統計によって異なります。日本人の国内旅行消費額は、2019年の21兆9,312億円から2020年に9兆9,741億円へ半減した後、2025年に過去最高の26兆7,845億円へ回復し、金額ではコロナ前を上回りました。

訪日インバウンドはさらに鮮明で、訪日外客数は2025年に4,268万人と過去最高、訪日消費額も9兆4,559億円と過去最高を更新しています。一方、延べ宿泊者数は全体で前年比-0.8%とわずかに減少しており、日本人分が減る半面で外国人分が過去最高という、内訳で方向が分かれる状態です。

金額ベースでは消費額・訪日消費ともにコロナ前を超えた一方、宿泊の延べ人数のような数量指標では国内の戻りが鈍く、回復の中身は指標によって濃淡があります。

インバウンドは国内需要の数量縮小をどこまで補えるか?

日本人の国内旅行は、延べ宿泊者数でみると伸び悩んでおり、人口減少を背景に数量の大幅な増加は見込みにくい状況です。これを補っているのが、訪日インバウンドの拡大と、国内旅行の単価上昇です。

訪日外客数は2025年に4,268万人へ達しましたが、為替や海外景気、特定の国・地域への依存といった変動要因も抱えています。インバウンドが好調なときには市場全体を押し上げますが、外部環境の変化に左右されやすい点には注意が必要です。

国内需要の数量縮小を、インバウンドの拡大と単価・質の向上でどこまで補えるかは、地域や事業者によって差が大きい論点です。都市部や有名観光地と、それ以外の地域とで、回復の実感が分かれています。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、インバウンドの拡大と国内の単価上昇が市場を支える構図が続くとみられます。訪日外客数・訪日消費はともに過去最高を更新しており、当面は回復基調が続く見通しです。一方、為替や海外景気の変化がインバウンドの伸びを左右する要因となります。

中期3-5年

中期では、国内需要の数量縮小をインバウンドと単価上昇でどこまで補えるかが焦点です。人口減少を背景に日本人の国内旅行の延べ人数は伸びにくく、宿泊単価の上昇や高付加価値化、富裕層・長期滞在の取り込みが市場規模を押し上げる要因となります。

長期

長期では、人口減少と高齢化が国内旅行需要の基調を決めます。インバウンドは成長の主な原動力ですが、オーバーツーリズムや宿泊業の人手不足といった供給制約も顕在化しており、地域への分散や受け入れ環境の整備が持続的な成長の前提となります。

よくある質問

旅行・宿泊業界の市場規模はどのくらいですか?
観光庁の調査によると、日本の旅行・観光消費額は2025年に37.6兆円となり過去最高水準に達しました。日本人の国内旅行が26兆7,845億円、訪日外国人旅行が9兆4,559億円などで構成されます。2023年の28.1兆円から2年で大きく回復しています。
旅行・観光消費額と旅行業取扱額は何が違いますか?
旅行・観光消費額(2025年で37.6兆円)は、日本国内で発生した旅行消費の総額です。一方、主要旅行業者の旅行取扱額(2024年度で3.68兆円)は、旅行会社が販売した旅行の取扱額で、旅行者が旅行会社を通さずに直接予約・手配した分は含まれません。集計の対象が異なるため、単純に比較したり合算したりはできません。
コロナ前の水準を超えましたか?
金額ベースではコロナ前を上回りました。日本人の国内旅行消費額は2019年の21兆9,312億円から2025年に過去最高の26兆7,845億円へ回復し、訪日消費額も9兆4,559億円と過去最高です。ただし延べ宿泊者数は全体でわずかに前年を下回っており、数量の指標では国内の戻りが鈍い面もあります。
インバウンドはどのくらい寄与していますか?
訪日外国人旅行は2025年に9兆4,559億円で、旅行・観光消費額37.6兆円の約4分の1を占めます。訪日外客数も4,268万人(前年比15.8%増)と過去最高で、市場全体の回復を牽引しています。1人あたり消費額は22.9万円です。
市場規模の出典は何ですか?
旅行・観光消費額と日本人の国内旅行消費額は観光庁「旅行・観光消費動向調査」、訪日消費額は同「インバウンド消費動向調査」、訪日外客数は日本政府観光局(JNTO)、延べ宿泊者数は観光庁「宿泊旅行統計調査」、旅行取扱額は同「主要旅行業者の旅行取扱状況」が出典です。需要側と供給側で集計が異なるため、本ページでは別の統計として整理しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    観光庁「旅行・観光消費動向調査」(2025年 確報)
  2. 2.
    観光庁「インバウンド消費動向調査」(2025年 暦年速報)
  3. 3.
    日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」(2025年)
  4. 4.
    観光庁「宿泊旅行統計調査」(2025年 速報)
  5. 5.
    観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況」(2024年度 年度総計)
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