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TOPIC DETAIL · TOURISM POLICY

オーバーツーリズムと観光政策|混雑・地方誘客と観光立国推進基本計画【2026年版】

インバウンドの急回復(訪日外客数は2025年に4,268万人で過去最高)の裏で、都市部や有名観光地の混雑、マナーの問題、宿泊価格の高騰といった「オーバーツーリズム」が顕在化しています。客室稼働率も都市部の大阪府(78.8%)と長野県(39.9%)で大きな差があり、需要の地域的な偏りが課題です。政府は観光立国推進基本計画のもと、混雑の分散・地方への誘客・高付加価値化を進めています。オーバーツーリズムの背景、観光立国推進基本計画の3戦略、対策の柱を整理します。

オーバーツーリズムと観光政策

オーバーツーリズムが起きる背景、観光立国推進基本計画の目指す方向、対策の柱を整理します
オーバーツーリズムはなぜ起きるのか

オーバーツーリズムは、観光客が特定の時期・場所に過度に集中することで起きます。訪日外客数が2025年に4,268万人(日本政府観光局)と過去最高を更新するなか、訪日客は東京・大阪・京都などの都市と一部の有名観光地に集中する傾向があります。

需要の偏りは、客室稼働率の地域差にも表れています。観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年)によると、大阪府が78.8%と全国で最も高い一方、長野県は39.9%にとどまります。人気の集まる場所では、交通機関や観光地の混雑、ごみ・騒音などのマナーの問題、宿泊価格の高騰が生じ、住民の生活環境や旅行体験の質に影響します。特定の時期(連休・桜・紅葉の季節など)への集中も、混雑を強めます。

観光立国推進基本計画は何を目指すか

政府の観光政策の基本方針が、観光立国推進基本計画です。観光白書(令和7年版)によると、計画は「持続可能な観光地域づくり」「国内交流拡大」「地方を中心としたインバウンド誘客」の3つの戦略で構成されます。

単に観光客の数を増やすのではなく、消費額の拡大と地方への誘客を重視し、観光の質を高める方向にかじを切っているのが特徴です。地方部の旅行需要は日本人が約9割を下支えしており(観光白書 令和7年版)、国内旅行の実施率向上・滞在の長期化と、地方へのインバウンド誘客の両面で、需要を全国へ広げることを目指しています。

対策の柱:分散・地方誘客・高付加価値・財源

オーバーツーリズム対策の柱は、第一に混雑の分散です。観光白書(令和7年版)によると、受入環境の整備・増強、マナー違反行為の防止・抑制、休暇の取得・分散化による国内旅行需要の平準化が進められています。第二に、地方への誘客と高付加価値化で、高付加価値旅行者の誘致(全国14モデル地域)やMICE(国際会議等)の推進により、都市集中を緩和しつつ消費額を高めます。

第三に、観光の財源づくりです。宿泊税を導入する自治体が広がっており、その財源を混雑対策や観光地の整備に充てる動きが進んでいます。加えて、宿泊業の人手不足対策(人材の確保・育成、設備投資による省人化)も重要な柱です。なお、民泊(住宅宿泊事業)をめぐる自治体の規制も、地域の生活環境との両立をめぐる論点の一つです。これらの対策は、インバウンドの恩恵を全国へ広げつつ、生活環境と両立させることを目指しています。

観光立国推進基本計画の3つの戦略

政府の観光政策の基本方針である3戦略の整理。数の拡大より、消費額の拡大・地方誘客・持続可能性を重視しています
持続可能な観光地域づくり
狙い
観光産業の収益力・生産性を高め、地域社会・経済に好循環を生む
主な施策
DXの推進、人手不足対策、オーバーツーリズムの未然防止・抑制(受入環境の整備、マナー対策)
国内交流拡大
狙い
人口減のなかで国内旅行の実施率を高め、滞在を長期化する
主な施策
ユニバーサルツーリズム、二地域居住・ワーケーション、休暇分散による需要の平準化
地方を中心としたインバウンド誘客
狙い
訪日消費額の拡大と、地方への誘客を進める
主な施策
高付加価値旅行者の誘致(全国14モデル地域)、MICEの推進、特別な体験コンテンツの整備
読み解き

観光立国推進基本計画は、「持続可能な観光地域づくり」「国内交流拡大」「地方を中心としたインバウンド誘客」の3戦略で構成されます(観光白書 令和7年版)。共通するのは、観光客の数を追うのではなく、消費額の拡大・地方への誘客・持続可能性を重視する方向です。

オーバーツーリズムの未然防止・抑制(受入環境の整備、マナー対策、需要の平準化)、高付加価値旅行者の誘致やMICEの推進による都市集中の緩和、人手不足への対応が、各戦略の具体的な施策として進められています。

主要論点

オーバーツーリズムはなぜ問題なのか?

オーバーツーリズムは、観光客が特定の場所・時期に集中することで、住民の生活環境と旅行体験の質の両方を損なう点が問題です。交通機関や観光地の混雑、ごみ・騒音などのマナーの問題、宿泊価格の高騰が、地域の暮らしと観光の魅力を同時に脅かします。

背景にあるのは需要の偏りです。訪日客は東京・大阪・京都などの都市に集中し、客室稼働率も大阪府(78.8%)と長野県(39.9%)で大きな差があります(宿泊旅行統計調査、2025年)。人気の場所に需要が偏るほど、混雑と地域への負荷が高まります。

インバウンドは地域経済に大きな恩恵をもたらすため、観光を止めるのではなく、混雑を分散させ、需要を全国へ広げながら、生活環境と両立させることが求められています。

混雑をどう分散し、地方へ誘客するのか?

対策の中心は、混雑の分散と地方への誘客です。観光白書(令和7年版)によると、受入環境の整備・増強、マナー違反の防止、休暇の取得・分散化による需要の平準化が進められています。特定の時期・場所への集中を和らげる取り組みです。

地方への誘客では、高付加価値旅行者の誘致(全国14モデル地域)やMICEの推進が進められています。地方部の旅行需要は日本人が約9割を下支えしており(観光白書 令和7年版)、ここに地方へのインバウンド誘客を重ねることで、都市集中を緩和しつつ消費額を高める狙いです。

ただし、地方には宿泊施設・交通・人手の制約があり、受け入れ環境の整備が前提となります。混雑する都市から地方へ需要を移すには、地方の魅力的なコンテンツづくりと、受け入れ体制の強化を同時に進める必要があります。

観光の財源と人手不足にどう対応するのか?

オーバーツーリズム対策や観光地の整備には費用がかかるため、観光の財源づくりが課題です。その一つが宿泊税で、導入する自治体が広がっています。宿泊者から徴収した税を、混雑対策や受け入れ環境の整備に充てる仕組みです。

もう一つの大きな制約が、宿泊業の人手不足です。清掃・接客・調理などの人手が足りず、需要が回復しても十分に受け入れられない施設もあります。観光白書(令和7年版)でも、人材の確保・育成や、設備投資による省人化(スマートチェックイン、キャッシュレス決済など)が施策として挙げられています。

財源の確保と人手不足への対応は、インバウンドの恩恵を持続的なものにするための前提です。需要の拡大に供給と地域の体制が追いつくかが、観光政策の実効性を左右します。

よくある質問

オーバーツーリズムとは何ですか?
オーバーツーリズムは、観光客が特定の場所・時期に過度に集中することで、混雑・マナーの問題・宿泊価格の高騰などが生じ、住民の生活環境や旅行体験の質を損なう状態を指します。訪日外客数が2025年に4,268万人(日本政府観光局)と過去最高を更新するなか、東京・大阪・京都などの都市や有名観光地で顕在化しています。
観光立国推進基本計画とは何ですか?
政府の観光政策の基本方針です。観光白書(令和7年版)によると、「持続可能な観光地域づくり」「国内交流拡大」「地方を中心としたインバウンド誘客」の3つの戦略で構成され、観光客の数を増やすより、消費額の拡大・地方への誘客・持続可能性を重視する方向です。
オーバーツーリズムへの主な対策は何ですか?
混雑の分散(受入環境の整備、マナー対策、休暇の分散化による需要の平準化)、地方への誘客と高付加価値化(高付加価値旅行者の誘致〔全国14モデル地域〕、MICEの推進)、観光の財源づくり(宿泊税の導入自治体の広がり)、宿泊業の人手不足対策などが進められています(観光白書 令和7年版ほか)。
宿泊税とは何ですか?
宿泊者から徴収し、観光の財源に充てる税です。混雑対策や受け入れ環境の整備などに使われます。導入する自治体が広がっていますが、税率や対象は自治体によって異なります。本ページでは具体的な税率・金額には立ち入らず、観光財源づくりの動きとして整理しています。
観光政策のデータの出典は何ですか?
政策の枠組み(観光立国推進基本計画の3戦略、地方部の需要、高付加価値旅行者の誘致、MICE推進など)は観光庁「観光白書(令和7年版)」、訪日外客数は日本政府観光局(JNTO)、客室稼働率の地域差は観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年)」が出典です。なお経済効果の総額など、出典で確認できない数値は本ページでは扱っていません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    観光庁「観光白書(令和7年版)」(citation)
  2. 2.
    日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」(2025年、流用)
  3. 3.
    観光庁「宿泊旅行統計調査」(2025年 速報値、流用)
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