なぜ「資産運用立国」を掲げるのか?
背景には、家計の金融資産 約2,000兆円の多くが現預金にとどまり、投資に向かってこなかったという課題があります。現預金は安全な一方、長期では物価上昇に目減りしやすく、企業の成長資金としても循環しません。この資金を投資へ動かせば、家計には資産所得が生まれ、企業には成長資金が供給され、運用業も成長するという好循環が期待できます。
もう一つの背景は、日本の資産運用業の国際競争力です。金融庁のプログレスレポートでは、日本の大手運用会社の運用資産や収益性が世界の大手運用会社と比較され、銀行・保険・証券に並ぶ「第4の柱」として、世界の運用会社と質・量ともに伍していけるプレーヤーを育てることが課題として示されています。家計マネーの受け皿となる運用業そのものを、国際競争力のある産業へ育てることがねらいです。
業界戦略への示唆: 資産運用立国は、新NISAによる個人マネーの流入と、運用業の高度化を同時に進める政策です。運用会社にとっては、残高の拡大という追い風と、運用力・ガバナンスの向上という宿題が同時に課されています。低コスト競争のなかで運用の付加価値をどう高めるかが、政策の実効性を左右します。