資産運用業界の市場規模・主要企業・動向
資産運用業は公募投信352兆円・投資一任605兆円規模で、新NISAと資産運用立国を背景に、低コストのインデックス投信を軸に拡大しています。
資産運用業とは、投資家から預かった資金を株式や債券で運用し、投資信託や投資一任という形で提供することを柱とする金融業です。公募投資信託の純資産総額は352兆円(2026年5月末)、私募投信119兆円、投資一任契約605兆円の規模で、2024年1月の新NISA開始以降、個人マネーの流入が続いています。運用会社は野村・三菱UFJ・大和などの系列大手(証券・銀行・信託・生保系)に独立系・外資系が並び、低コストのインデックス投信を軸に競争しています。証券会社・銀行が担う「販売」に対し、本ページでは「運用」を主役に、市場規模、競争構造、投資信託市場とNISA、インデックス化、資産運用立国政策の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
資産運用業とは、投資家から預かった資金を株式・債券などで運用することを柱とする金融業です。運用の器は、不特定多数から集める公募投資信託、適格機関投資家向けの私募投信、年金や機関投資家から運用を一任される投資一任に大きく分かれます。証券会社や銀行が商品を売る「販売」に対し、資産運用会社は「運用」を担い、両者は分業の関係にあります。運用会社は、証券・銀行・信託・生保を親に持つ系列大手に、独立系と外資系が並ぶ構造です。
- 資産運用業の規模は、公募投信352兆円・私募投信119兆円・投資一任605兆円(2026年)です。新NISAと資産運用立国を背景に、とくに公募投信への個人マネーの流入が続いています。3つは投資一任が投信を組み入れるなど集計範囲が重なるため、単純合算はしません。
- 運用会社別の公募純資産では、野村85兆円・三菱UFJ56兆円・大和43兆円が上位で、上位5社で約7割を占めます。系列大手に独立系のスパークス、外資系のブラックロック・フィデリティなどが続きます。
- ETFは132兆円で株式投信の約4割を占め、その多くを日本銀行が保有してきました。一方、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信(217兆円)は別の競争軸で、運用会社の収益構造を変えつつあります。
市場動向
資産運用業の市場規模は、公募投信352兆円・私募投信119兆円・投資一任605兆円(2026年)です。公募投信は2025年11月末の297兆円から半年で約18%拡大しました。これは株価上昇による運用益と、2024年1月の新NISA開始以降の個人の資金流入が同時に効いた結果です。投資一任は、GPIF(公的年金)や企業年金などの巨額資金を運用するため3つのなかで最も大きく、2011年の126兆円から605兆円へ長期的に拡大しています。
- 公募投信の純資産は352兆円(2026年5月末、5,823本)で、株式投信335兆円・公社債投信17兆円の内訳です。NISAのつみたて投資枠を通じた個人マネーが、株式型インデックス投信に継続的に流入しています。
- 投資一任契約は605兆円(2026年3月末)で、年金基金・機関投資家から運用を一任される資金が中心です。投資助言を加えた契約資産は681兆円規模で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などが主要な委託元です。
- NISA口座は2,826万・累計買付額71兆円(2025年12月末)です。2025年の新規買付18.8兆円のうち、つみたて投資枠は低コストのインデックス投信に向かい、「貯蓄から投資へ」の流れを支えています。
競争環境
日本の資産運用業は、野村・三菱UFJ・大和・アモーヴァ(旧日興)・アセットマネジメントOneなどの系列大手(証券・銀行・信託・生保系)を中心に、スパークスなどの独立系、ブラックロック・フィデリティなどの外資系が並ぶ構造です。運用会社別の公募純資産では野村が85兆円で首位ですが、これはETF(多くを日本銀行が保有)を含む規模で、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信ではeMAXIS Slimの三菱UFJアセットマネジメントが先行するなど、機関投資家向けと個人向けで競争の構図が異なります。
- 系列大手は、野村アセットマネジメント(野村HD系、総運用資産146.8兆円)、三菱UFJアセットマネジメント(MUFG系、eMAXIS Slim)、大和アセットマネジメント(大和証券G系)、アモーヴァ(旧日興、三井住友トラスト系)、アセットマネジメントOne(みずほFG・第一生命系)が中心で、親会社の販売網を背景に残高を伸ばしています。
- 独立系では、スパークス・グループが運用資産約1.9兆円で唯一の上場専業運用会社として存在感を示し、さわかみ投信・レオス(ひふみ)・農林中金バリューインベストメンツなどが、独自の運用哲学と直販モデルで個人投資家を集めています。
- 外資系では、ブラックロック・ジャパン(iShares)、フィデリティ投信、JPモルガン・アセット、アライアンス・バーンスタイン(米国成長株投信)などが、グローバルな運用力とETF・米国株ファンドで国内市場に食い込んでいます。
市場規模推移
2005-2026 · 株式投信 + 公社債投信 / 投資一任契約(一任のみ、機関・年金中心)公募投資信託の純資産総額の推移(株式投信・公社債投信、兆円)
投資一任契約の契約資産残高の推移(各年3月末、兆円)
資産運用業の規模は、運用の器ごとに3つの数字で表されます。公募投資信託の純資産総額は2026年5月末で352兆円(株式投信335兆円・公社債投信17兆円、5,823本)、適格機関投資家などが対象の私募投信は119兆円、年金や機関投資家向けの投資一任契約は605兆円(2026年3月末)です。この3つは投資一任が投信を組み入れるなど集計範囲が重なるため、単純には合算しません。なお、これらは運用会社が投資家から預かって運用する資産の残高(AUM)を指し、運用会社自身の売上(信託報酬収入)とは別のものです。
公募投信は2025年11月末の297兆円から半年で約18%拡大しました。この伸びは、株価上昇による運用益と、新NISAを通じた個人の資金流入の両方が効いた結果です。2026年3月には市場の調整で運用損が出た月もありましたが、長期では右肩上がりが続いています。
運用会社の規模はAUM(運用資産残高)で測りますが、集計範囲によって順位が変わります。投資信託協会の運用会社別の公募純資産では、野村が85兆円で首位、三菱UFJアセットマネジメント56兆円、大和43兆円、アモーヴァ(旧日興)39兆円、アセットマネジメントOne18兆円と続き、上位5社で全体の約7割を占めます。
ただし、野村の規模はETF(上場投資信託)を含んだもので、その多くを日本銀行が保有してきました。一方、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信では、eMAXIS Slimを擁する三菱UFJアセットマネジメントが先行しています。機関投資家向けのパッシブ運用と、個人向けのインデックス投信という2つの土俵で、競争の構図が異なります。
個人マネーの流入を牽引しているのがNISA(少額投資非課税制度)です。2024年1月の新NISA開始以降、口座数は2,826万、累計買付額は71兆円に達し(2025年12月末)、2025年だけで18.8兆円が新たに買い付けられました。このうち、つみたて投資枠の大半は低コストのインデックス投信に向かっています。
インデックス投信の純資産は217兆円まで拡大し、eMAXIS Slimシリーズは20兆円規模に達しました。運用会社が指数に連動するだけのパッシブ運用は、信託報酬(保有コスト)を年0.1%前後まで下げる競争を生み、運用会社の収益構造とアクティブ運用のあり方に影響を与えています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要資産運用業界は、資金の出し手(アセットオーナー)→運用会社→販売・受託→投資家という流れの中で、「運用」を担う部分です。証券会社や銀行が商品を売る「販売」と、信託銀行が財産を管理する「受託」とは、明確に分業されています。
業界の制度基盤を支えるのが金融庁と業界団体です。金融庁は資産運用立国の旗振り役として、運用力やガバナンス、手数料の透明化を求めています。投資信託協会と投資顧問業協会は2026年4月に資産運用業協会へ統合し、会員約900社・運用資産約1,000兆円規模の自主規制機関となりました。年金基金や生損保などのアセットオーナーが、運用会社に資金を委託する構図です。
運用会社は、親会社の系列によって3つのタイプに分かれます。第一が系列大手で、野村アセットマネジメント(野村HD系)、三菱UFJアセットマネジメント(MUFG系)、大和アセットマネジメント(大和証券G系)、アセットマネジメントOne(みずほFG・第一生命系)、アモーヴァ(旧日興、三井住友トラスト系)など、証券・銀行・信託・生保を親に持つ会社が中心です。公募純資産の上位5社で全体の約7割を占めます。
第二が独立系で、上場専業のスパークス・グループ(運用資産約1.9兆円)、直販のさわかみ投信、「ひふみ」のレオス・キャピタルワークスなどが、独自の運用哲学で個人投資家を集めています。第三が外資系で、ブラックロック・ジャパン(iShares)、フィデリティ投信、アライアンス・バーンスタインなどが、グローバルな運用力とETF・米国株ファンドで国内市場に参入しています。
運用会社が組成した投資信託は、証券会社・銀行・ネット証券・IFA(独立系金融アドバイザー)が販売し、信託銀行が信託財産として管理(受託)します。この販売と受託の分業により、運用会社は運用に専念できます。新NISA以降は、低コストを武器にするネット証券経由の販売が存在感を高めています。
資金の最終的な出し手は投資家です。個人はNISA(口座2,826万)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を通じて投資信託を買い、長期の資産形成を進めています。年金ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や企業年金が、運用会社に投資一任で運用を委託します。これに生損保などの機関投資家が加わり、運用会社の605兆円規模の投資一任マネーを構成しています。
業界の3大論点
なぜ公募投信の純資産は半年で297兆円から352兆円へ拡大したのか?
公募投資信託の純資産総額は、2025年11月末の297兆円から2026年5月末の352兆円へ、半年で約18%拡大しました。この伸びは、資金の流入(フロー)と運用による増減(ストックの時価変動)の2つに分けて見ると理解できます。
第一に、新NISAを通じた個人の資金流入です。2024年1月に始まった新NISAは、つみたて投資枠を中心に毎月コンスタントに資金が流れ込む仕組みで、2025年だけで18.8兆円が新規に買い付けられました。この資金の多くが株式型のインデックス投信に向かい、純資産を底上げしています。
第二に、株価上昇による運用益です。投信の純資産は保有する株式や債券の時価で評価されるため、株式市場が上昇すれば残高も増えます。実際、2026年3月には市場の調整で運用による評価が一時的に大きく減った月もありましたが、その後は反発し、長期では右肩上がりが続いています。公募投信の純資産は2005年末の55兆円から20年あまりで6倍を超える規模になりました。中期的には、相場の変動が残高を上下させる一方で、NISAによる継続的な積立が下支えとなる構図です。
運用会社の「最大手」はどこか? — AUMの集計範囲で答えが変わる
運用会社の規模はAUM(運用資産残高)で測りますが、「どの範囲で集計するか」で順位が変わります。投資信託協会の運用会社別の公募純資産では、野村が85兆円で首位、三菱UFJアセットマネジメント56兆円、大和43兆円が続きます。しかし、この数字にはETF(上場投資信託)が含まれており、ここに大きなからくりがあります。
ETFの純資産は132兆円で株式投信の約4割を占めますが、その大半は日経225やTOPIXに連動するもので、長年にわたり日本銀行が金融緩和の一環として買い入れ、保有してきました。野村はこのETF(NEXT FUNDS)の最大の提供会社であるため、公募純資産の順位を押し上げています。つまり、野村の首位は「機関投資家向け・パッシブ運用の規模」を映したものです。
一方、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信という土俵では、構図が変わります。三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slimシリーズは20兆円規模に達し、全世界株式(オール・カントリー)やS&P500への連動商品が個人マネーを集めて先行しています。「業界最大手はどこか」という問いには、機関投資家向けのパッシブ規模なら野村、個人向けインデックス投信なら三菱UFJアセットマネジメント、という2つの答えが併存します。
新NISAと資産運用立国は資産運用業をどう変えるか?
日本政府は2023年12月に「資産運用立国実現プラン」を策定し、家計の金融資産を「貯蓄から投資へ」と動かし、運用業を銀行・証券・保険に次ぐ柱に育てる方針を打ち出しました。新NISAはその中核で、口座数2,826万・累計買付額71兆円(2025年12月末)まで普及しています。この流れは、運用業に3つの変化をもたらしています。
第一に、低コスト・インデックスへの集中です。つみたて投資枠の資金の大半が信託報酬の低いインデックス投信に向かうため、運用会社は信託報酬を年0.1%前後まで引き下げる競争を強いられています。残高は増えても、1円あたりの手数料収入は薄くなる構図です。
第二に、業界の制度的な後押しです。金融庁は2025年6月に「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート」を公表し、運用力やガバナンス、手数料の透明化を求めるとともに、新興運用業者の参入を促しています。第三に、業界団体の再編です。投資信託協会と投資顧問業協会は2026年4月に「資産運用業協会」へ統合し、会員約900社・運用資産約1,000兆円規模の自主規制機関となりました。中期的な論点は、手数料低下のなかで運用会社がどう収益力を保つか、アクティブ運用が個人にどこまで支持されるか、そして外資系を含めた運用人材の獲得競争です。
よくある質問 (FAQ)
資産運用業界の市場規模はどれくらいですか?
資産運用会社のランキング(AUM)はどうなっていますか?
投資信託と投資顧問(投資一任)の違いは何ですか?
NISAの口座数や買付額はどれくらいですか?
インデックス投信とアクティブ投信の違いは何ですか?
ETFとは何ですか? なぜ純資産が大きいのですか?
独立系の運用会社にはどんな会社がありますか?
資産運用立国とは何ですか? 協会の統合とは?
関連業界
金融 業界の他のカテゴリ
17 業界参考資料 / 一次ソース
- 1.
- 2.
- 3.
- 4.
- 5.
- 6.
- 7.
- 8.
- 9.
- 10.