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資産運用業界の市場規模・主要企業・動向

資産運用業は公募投信352兆円・投資一任605兆円規模で、新NISAと資産運用立国を背景に、低コストのインデックス投信を軸に拡大しています。

資産運用業とは、投資家から預かった資金を株式や債券で運用し、投資信託や投資一任という形で提供することを柱とする金融業です。公募投資信託の純資産総額は352兆円(2026年5月末)、私募投信119兆円、投資一任契約605兆円の規模で、2024年1月の新NISA開始以降、個人マネーの流入が続いています。運用会社は野村・三菱UFJ・大和などの系列大手(証券・銀行・信託・生保系)に独立系・外資系が並び、低コストのインデックス投信を軸に競争しています。証券会社・銀行が担う「販売」に対し、本ページでは「運用」を主役に、市場規模、競争構造、投資信託市場とNISA、インデックス化、資産運用立国政策の5軸で整理します。

最終更新

業界サマリ

業界概要

資産運用業とは、投資家から預かった資金を株式・債券などで運用することを柱とする金融業です。運用の器は、不特定多数から集める公募投資信託、適格機関投資家向けの私募投信、年金や機関投資家から運用を一任される投資一任に大きく分かれます。証券会社や銀行が商品を売る「販売」に対し、資産運用会社は「運用」を担い、両者は分業の関係にあります。運用会社は、証券・銀行・信託・生保を親に持つ系列大手に、独立系外資系が並ぶ構造です。

  • 資産運用業の規模は、公募投信352兆円・私募投信119兆円・投資一任605兆円(2026年)です。新NISAと資産運用立国を背景に、とくに公募投信への個人マネーの流入が続いています。3つは投資一任が投信を組み入れるなど集計範囲が重なるため、単純合算はしません。
  • 運用会社別の公募純資産では、野村85兆円・三菱UFJ56兆円・大和43兆円が上位で、上位5社で約7割を占めます。系列大手に独立系のスパークス、外資系のブラックロック・フィデリティなどが続きます。
  • ETFは132兆円で株式投信の約4割を占め、その多くを日本銀行が保有してきました。一方、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信(217兆円)は別の競争軸で、運用会社の収益構造を変えつつあります。
基礎データ: 投資信託協会 (公募・私募 純資産、運用会社別、商品分類別) / 資産運用業協会(旧投資顧問業協会) (投資一任) / 金融庁 (NISA・資産運用立国) / 各社IR

市場動向

資産運用業の市場規模は、公募投信352兆円・私募投信119兆円・投資一任605兆円(2026年)です。公募投信は2025年11月末の297兆円から半年で約18%拡大しました。これは株価上昇による運用益と、2024年1月の新NISA開始以降の個人の資金流入が同時に効いた結果です。投資一任は、GPIF(公的年金)や企業年金などの巨額資金を運用するため3つのなかで最も大きく、2011年の126兆円から605兆円へ長期的に拡大しています。

  • 公募投信の純資産は352兆円(2026年5月末、5,823本)で、株式投信335兆円・公社債投信17兆円の内訳です。NISAのつみたて投資枠を通じた個人マネーが、株式型インデックス投信に継続的に流入しています。
  • 投資一任契約は605兆円(2026年3月末)で、年金基金・機関投資家から運用を一任される資金が中心です。投資助言を加えた契約資産は681兆円規模で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などが主要な委託元です。
  • NISA口座は2,826万・累計買付額71兆円(2025年12月末)です。2025年の新規買付18.8兆円のうち、つみたて投資枠は低コストのインデックス投信に向かい、「貯蓄から投資へ」の流れを支えています。
基礎データ: 投資信託協会 / 資産運用業協会(旧投資顧問業協会) / 金融庁NISA利用状況調査 / 日本銀行 資金循環統計

競争環境

日本の資産運用業は、野村・三菱UFJ・大和・アモーヴァ(旧日興)・アセットマネジメントOneなどの系列大手(証券・銀行・信託・生保系)を中心に、スパークスなどの独立系ブラックロック・フィデリティなどの外資系が並ぶ構造です。運用会社別の公募純資産では野村が85兆円で首位ですが、これはETF(多くを日本銀行が保有)を含む規模で、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信ではeMAXIS Slimの三菱UFJアセットマネジメントが先行するなど、機関投資家向けと個人向けで競争の構図が異なります。

  • 系列大手は、野村アセットマネジメント(野村HD系、総運用資産146.8兆円)、三菱UFJアセットマネジメント(MUFG系、eMAXIS Slim)、大和アセットマネジメント(大和証券G系)、アモーヴァ(旧日興、三井住友トラスト系)、アセットマネジメントOne(みずほFG・第一生命系)が中心で、親会社の販売網を背景に残高を伸ばしています。
  • 独立系では、スパークス・グループが運用資産約1.9兆円で唯一の上場専業運用会社として存在感を示し、さわかみ投信・レオス(ひふみ)・農林中金バリューインベストメンツなどが、独自の運用哲学と直販モデルで個人投資家を集めています。
  • 外資系では、ブラックロック・ジャパン(iShares)、フィデリティ投信、JPモルガン・アセット、アライアンス・バーンスタイン(米国成長株投信)などが、グローバルな運用力とETF・米国株ファンドで国内市場に食い込んでいます。
基礎データ: 投資信託協会 運用会社別 純資産 (2026年5月末、80社) / 野村HD IR / スパークス(8739) IR / 三菱UFJアセットマネジメント

市場規模推移

2005-2026 · 株式投信 + 公社債投信 / 投資一任契約(一任のみ、機関・年金中心)

公募投資信託の純資産総額の推移(株式投信・公社債投信、兆円)

単位: 兆円
株式投信公社債投信
0.00100.0200.0300.0400.055.3050607080963.7101112131497.81516171819139.42021222324301.625352.426
出典: 投資信託協会 公募投資信託の資産増減状況 (2026年5月末) / 資産運用業協会(旧投資顧問業協会) 投資一任業の契約状況 (2026年3月末)
年度2005200620072008200920102011201220132014201520162017201820192020202120222023202420252026
株式投信兆円40.8355.6666.7840.8450.2452.4646.7652.9165.0377.1081.7483.0297.4393.55109.91125.16150.03142.75181.35230.29284.68335.56
公社債投信兆円14.5213.2712.9811.3011.2111.2610.5711.1516.5016.4116.0213.6213.7611.6113.2614.2714.4714.4515.5615.7216.9016.86
合計(兆円55.3568.9379.7652.1561.4663.7257.3364.0681.5293.5097.7696.64111.19105.16123.17139.43164.50157.20196.91246.01301.59352.43
前年比+24.5%+15.7%-34.6%+17.9%+3.7%-10.0%+11.8%+27.3%+14.7%+4.5%-1.1%+15.1%-5.4%+17.1%+13.2%+18.0%-4.4%+25.3%+24.9%+22.6%+16.9%

投資一任契約の契約資産残高の推移(各年3月末、兆円)

単位: 兆円
0.00200.0400.0600.0800.0126.011126.0150.0164.5195.415195.7212.1245.2289.1302.220419.6446.4454.3532.1528.225605.526
出典: 資産運用業協会(旧投資顧問業協会) 投資一任業の契約状況(一任のみ。投資助言・ファンド運用業を除く)
2011201220132014201520162017201820192020202120222023202420252026
投資一任契約(一任のみ、機関・年金中心)兆円126.00126.04150.00164.54195.43195.66212.10245.18289.15302.16419.65446.43454.33532.06528.16605.52
市場規模の読み解き
市場規模と資金の流入

資産運用業の規模は、運用の器ごとに3つの数字で表されます。公募投資信託の純資産総額は2026年5月末で352兆円(株式投信335兆円・公社債投信17兆円、5,823本)、適格機関投資家などが対象の私募投信は119兆円、年金や機関投資家向けの投資一任契約は605兆円(2026年3月末)です。この3つは投資一任が投信を組み入れるなど集計範囲が重なるため、単純には合算しません。なお、これらは運用会社が投資家から預かって運用する資産の残高(AUM)を指し、運用会社自身の売上(信託報酬収入)とは別のものです。

公募投信は2025年11月末の297兆円から半年で約18%拡大しました。この伸びは、株価上昇による運用益と、新NISAを通じた個人の資金流入の両方が効いた結果です。2026年3月には市場の調整で運用損が出た月もありましたが、長期では右肩上がりが続いています。

⇒市場規模・主要KPIを詳しく見る

運用会社の競争構造とAUM

運用会社の規模はAUM(運用資産残高)で測りますが、集計範囲によって順位が変わります。投資信託協会の運用会社別の公募純資産では、野村が85兆円で首位、三菱UFJアセットマネジメント56兆円、大和43兆円、アモーヴァ(旧日興)39兆円、アセットマネジメントOne18兆円と続き、上位5社で全体の約7割を占めます。

ただし、野村の規模はETF(上場投資信託)を含んだもので、その多くを日本銀行が保有してきました。一方、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信では、eMAXIS Slimを擁する三菱UFJアセットマネジメントが先行しています。機関投資家向けのパッシブ運用と、個人向けのインデックス投信という2つの土俵で、競争の構図が異なります。

⇒主要運用会社のAUM比較を詳しく見る

NISAとインデックス化

個人マネーの流入を牽引しているのがNISA(少額投資非課税制度)です。2024年1月の新NISA開始以降、口座数は2,826万、累計買付額は71兆円に達し(2025年12月末)、2025年だけで18.8兆円が新たに買い付けられました。このうち、つみたて投資枠の大半は低コストのインデックス投信に向かっています。

インデックス投信の純資産は217兆円まで拡大し、eMAXIS Slimシリーズは20兆円規模に達しました。運用会社が指数に連動するだけのパッシブ運用は、信託報酬(保有コスト)を年0.1%前後まで下げる競争を生み、運用会社の収益構造とアクティブ運用のあり方に影響を与えています。

⇒NISA・つみたて投資を詳しく見る

主要トピック

業界トピック

業界構造

主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要
資産運用業界の構造
主要プレイヤー (2026年5月時点)
01
規制当局・業界団体・委託元 (アセットオーナー)
上流
規制当局 (2 機関)
金融庁
資産運用立国の推進 + 運用業の登録・監督 + プログレスレポート + NISA制度
日本銀行
金融政策 (ETF買入・保有) + 資金循環統計、市場環境を左右
業界団体・自主規制
資産運用業協会
2026/4 設立
投資信託協会 + 投資顧問業協会の統合、会員約900社・運用資産約1,000兆円
└ 投資信託協会 (旧)
公募・私募投信の純資産統計、運用会社別・商品分類別データ
└ 投資顧問業協会 (旧)
投資一任・投資助言の契約資産統計、ラップ業務
日本証券業協会
NISA口座状況・投信の販売統計 (販売側)
信託協会
投資信託の受託 (信託財産管理)、信託統計
委託元 (アセットオーナー)
GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)
公的年金の運用、運用会社への投資一任の最大の委託元
企業年金 (DB/DC)
確定給付・確定拠出年金、運用会社に運用を委託
生命保険・損害保険
機関投資家として運用委託、グループに運用会社を保有
機関投資家・事業法人
余資運用を運用会社に投資一任で委託
02
運用会社 (系列大手 + 独立系 + 外資系)
中流
系列大手 (証券・銀行・信託・生保系)
野村アセットマネジメント
公募純資産 85兆円
野村HD系。運用会社別で首位 (ETF含む)、総運用資産146.8兆円、NEXT FUNDS (ETF) 最大手
三菱UFJアセットマネジメント
公募純資産 56兆円
MUFG系。eMAXIS Slimで個人向けインデックス投信を牽引 (シリーズ20兆円)
大和アセットマネジメント
公募純資産 43兆円
大和証券グループ系。iFreeシリーズ・ETF
アモーヴァ・アセットマネジメント
公募純資産 39兆円
旧 日興アセットマネジメント (2025/9改称)、三井住友トラスト系。上場225などETF
アセットマネジメントOne
公募純資産 18兆円
みずほFG (51%) + 第一生命 (49%) 系。たわらノーロード
三井住友DSアセットマネジメント
SMFG系 (三井住友・大和住銀の統合)
三井住友トラスト・アセットマネジメント
三井住友トラスト系、年金運用に強み
独立系 (系列に属さない)
スパークス・グループ
運用資産 約1.9兆円
独立系で唯一の上場専業運用会社、日本株・実物資産・PE、AUM3兆円目標
さわかみ投信
国内初の独立系直販 (1999年)、さわかみファンド (長期投資)
レオス・キャピタルワークス
「ひふみ」シリーズ、SBIグローバルアセットマネジメント傘下
農林中金バリューインベストメンツ
「おおぶね」、長期厳選投資
コモンズ投信・鎌倉投信
直販独立系、長期・対話型の運用哲学
外資系 (日本拠点)
ブラックロック・ジャパン
公募純資産 8兆円
世界最大の運用会社、iShares (ETF) で国内展開
フィデリティ投信
公募純資産 8兆円
アクティブ運用に強み、米国株・グローバル株
アライアンス・バーンスタイン
公募純資産 6兆円
米国成長株式ファンドが個人に人気
JPモルガン / インベスコ / ピクテ
グローバル運用会社、テーマ型・債券・オルタナティブ
03
販売チャネル + 受託 (運用とは分業)
下流
販売チャネル (投信の仲介)
証券会社 (対面)
野村證券・大和証券・SMBC日興など、投信の主要販売チャネル
ネット証券
SBI証券・楽天証券、新NISAで低コスト投信の販売を拡大
銀行 (窓口販売)
メガバンク・地銀の窓販、投信・保険の販売手数料が役務収益に
IFA・ラップ口座
独立系金融アドバイザー、ファンドラップ (一任型の資産管理)
受託 (信託財産の管理)
信託銀行 (受託会社)
投資信託の信託財産を分別管理。三菱UFJ信託・三井住友トラスト・日本マスタートラスト信託など
資産管理専門信託銀行
日本カストディ銀行・日本マスタートラスト信託、機関投資家資産の保管・管理
04
需要側 (投資家)
需要側
個人 (家計マネー)
NISA 利用者
口座 2,826万
新NISA (2024/1〜)、累計買付71兆円。つみたて投資枠で低コストインデックス投信を積立
iDeCo (個人型確定拠出年金)
老後資産形成、運用商品として投信を採用
一般の個人投資家
特定口座・一般口座、直販・対面・ネット経由で投信を購入
年金・機関投資家 (投資一任マネー)
GPIF・公的年金
運用会社に投資一任で委託、国内外の株式・債券で運用
企業年金 (DB/DC)
確定給付・確定拠出年金の運用を委託
生損保・金融法人
機関投資家として運用委託、投資一任605兆円の主要な出し手
業界構造の読み解き
業界の構造

資産運用業界は、資金の出し手(アセットオーナー)→運用会社→販売・受託→投資家という流れの中で、「運用」を担う部分です。証券会社や銀行が商品を売る「販売」と、信託銀行が財産を管理する「受託」とは、明確に分業されています。

業界の制度基盤を支えるのが金融庁と業界団体です。金融庁は資産運用立国の旗振り役として、運用力やガバナンス、手数料の透明化を求めています。投資信託協会と投資顧問業協会は2026年4月に資産運用業協会へ統合し、会員約900社・運用資産約1,000兆円規模の自主規制機関となりました。年金基金や生損保などのアセットオーナーが、運用会社に資金を委託する構図です。

⇒業態構造を詳しく見る

運用会社の競争構造

運用会社は、親会社の系列によって3つのタイプに分かれます。第一が系列大手で、野村アセットマネジメント(野村HD系)、三菱UFJアセットマネジメント(MUFG系)、大和アセットマネジメント(大和証券G系)、アセットマネジメントOne(みずほFG・第一生命系)、アモーヴァ(旧日興、三井住友トラスト系)など、証券・銀行・信託・生保を親に持つ会社が中心です。公募純資産の上位5社で全体の約7割を占めます。

第二が独立系で、上場専業のスパークス・グループ(運用資産約1.9兆円)、直販のさわかみ投信、「ひふみ」のレオス・キャピタルワークスなどが、独自の運用哲学で個人投資家を集めています。第三が外資系で、ブラックロック・ジャパン(iShares)、フィデリティ投信、アライアンス・バーンスタインなどが、グローバルな運用力とETF・米国株ファンドで国内市場に参入しています。

⇒主要運用会社のAUM比較を見る

販売・受託と投資家

運用会社が組成した投資信託は、証券会社・銀行・ネット証券・IFA(独立系金融アドバイザー)が販売し、信託銀行が信託財産として管理(受託)します。この販売と受託の分業により、運用会社は運用に専念できます。新NISA以降は、低コストを武器にするネット証券経由の販売が存在感を高めています。

資金の最終的な出し手は投資家です。個人はNISA(口座2,826万)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を通じて投資信託を買い、長期の資産形成を進めています。年金ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や企業年金が、運用会社に投資一任で運用を委託します。これに生損保などの機関投資家が加わり、運用会社の605兆円規模の投資一任マネーを構成しています。

⇒NISA・つみたて投資を詳しく見る

業界の3大論点

01

なぜ公募投信の純資産は半年で297兆円から352兆円へ拡大したのか?

公募投資信託の純資産総額は、2025年11月末の297兆円から2026年5月末の352兆円へ、半年で約18%拡大しました。この伸びは、資金の流入(フロー)と運用による増減(ストックの時価変動)の2つに分けて見ると理解できます。

第一に、新NISAを通じた個人の資金流入です。2024年1月に始まった新NISAは、つみたて投資枠を中心に毎月コンスタントに資金が流れ込む仕組みで、2025年だけで18.8兆円が新規に買い付けられました。この資金の多くが株式型のインデックス投信に向かい、純資産を底上げしています。

第二に、株価上昇による運用益です。投信の純資産は保有する株式や債券の時価で評価されるため、株式市場が上昇すれば残高も増えます。実際、2026年3月には市場の調整で運用による評価が一時的に大きく減った月もありましたが、その後は反発し、長期では右肩上がりが続いています。公募投信の純資産は2005年末の55兆円から20年あまりで6倍を超える規模になりました。中期的には、相場の変動が残高を上下させる一方で、NISAによる継続的な積立が下支えとなる構図です。

02

運用会社の「最大手」はどこか? — AUMの集計範囲で答えが変わる

運用会社の規模はAUM(運用資産残高)で測りますが、「どの範囲で集計するか」で順位が変わります。投資信託協会の運用会社別の公募純資産では、野村が85兆円で首位、三菱UFJアセットマネジメント56兆円、大和43兆円が続きます。しかし、この数字にはETF(上場投資信託)が含まれており、ここに大きなからくりがあります。

ETFの純資産は132兆円で株式投信の約4割を占めますが、その大半は日経225やTOPIXに連動するもので、長年にわたり日本銀行が金融緩和の一環として買い入れ、保有してきました。野村はこのETF(NEXT FUNDS)の最大の提供会社であるため、公募純資産の順位を押し上げています。つまり、野村の首位は「機関投資家向け・パッシブ運用の規模」を映したものです。

一方、個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信という土俵では、構図が変わります。三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slimシリーズは20兆円規模に達し、全世界株式(オール・カントリー)やS&P500への連動商品が個人マネーを集めて先行しています。「業界最大手はどこか」という問いには、機関投資家向けのパッシブ規模なら野村、個人向けインデックス投信なら三菱UFJアセットマネジメント、という2つの答えが併存します。

03

新NISAと資産運用立国は資産運用業をどう変えるか?

日本政府は2023年12月に「資産運用立国実現プラン」を策定し、家計の金融資産を「貯蓄から投資へ」と動かし、運用業を銀行・証券・保険に次ぐ柱に育てる方針を打ち出しました。新NISAはその中核で、口座数2,826万・累計買付額71兆円(2025年12月末)まで普及しています。この流れは、運用業に3つの変化をもたらしています。

第一に、低コスト・インデックスへの集中です。つみたて投資枠の資金の大半が信託報酬の低いインデックス投信に向かうため、運用会社は信託報酬を年0.1%前後まで引き下げる競争を強いられています。残高は増えても、1円あたりの手数料収入は薄くなる構図です。

第二に、業界の制度的な後押しです。金融庁は2025年6月に「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート」を公表し、運用力やガバナンス、手数料の透明化を求めるとともに、新興運用業者の参入を促しています。第三に、業界団体の再編です。投資信託協会と投資顧問業協会は2026年4月に「資産運用業協会」へ統合し、会員約900社・運用資産約1,000兆円規模の自主規制機関となりました。中期的な論点は、手数料低下のなかで運用会社がどう収益力を保つか、アクティブ運用が個人にどこまで支持されるか、そして外資系を含めた運用人材の獲得競争です。

よくある質問 (FAQ)

資産運用業界の市場規模はどれくらいですか?
2026年時点で、公募投資信託の純資産総額が352兆円(2026年5月末、5,823本)、私募投信が119兆円、投資一任契約が605兆円(2026年3月末)です。投資一任は年金・機関投資家向けが中心で、投資助言を加えた契約資産は681兆円規模です。これら3つは投資一任が投信を組み入れるなど集計範囲が重なるため、単純には合算しません。なお、これらの「市場規模」は運用会社が預かって運用する資産の残高(AUM)であり、運用会社の売上(信託報酬)とは別である点に注意が必要です。公募投信は新NISAを背景に、2025年11月末の297兆円から半年で約18%拡大しました。
資産運用会社のランキング(AUM)はどうなっていますか?
投資信託協会の運用会社別の公募純資産(2026年5月末)では、野村が85兆円で首位、三菱UFJアセットマネジメント56兆円、大和43兆円、アモーヴァ(旧日興)39兆円、アセットマネジメントOne18兆円と続き、上位5社で全体の約7割を占めます。ただし、この数字にはETF(多くを日本銀行が保有)が含まれます。個人が新NISAで積み立てる低コストのインデックス投信では、eMAXIS Slimを擁する三菱UFJアセットマネジメントが先行しており、集計範囲によって「最大手」は変わります。
投資信託と投資顧問(投資一任)の違いは何ですか?
投資信託は、不特定多数の投資家から集めた資金をまとめて運用し、その成果を投資家に分配する仕組みで、誰でも少額から購入できる「公募投信」が中心です。一方、投資一任(投資顧問業の中核)は、年金基金や機関投資家など特定の顧客から運用を一任され、個別に運用する契約です。公募投信の純資産は352兆円、投資一任の契約資産は605兆円で、前者は個人マネー、後者は年金・機関マネーが中心という違いがあります。
NISAの口座数や買付額はどれくらいですか?
金融庁の調査によれば、NISA口座は2,826万、累計買付額は71兆円です(2025年12月末)。2024年1月に始まった新NISAでは、2025年だけで18.8兆円(成長投資枠12.6兆円・つみたて投資枠6.2兆円)が新規に買い付けられました。つみたて投資枠の買付の大半は信託報酬の低いインデックス投信に向かっており、「貯蓄から投資へ」の流れと、運用業界へのコンスタントな資金流入を支えています。
インデックス投信とアクティブ投信の違いは何ですか?
インデックス(パッシブ)投信は、日経平均やS&P500などの市場指数に連動することを目指す運用で、信託報酬(保有コスト)が年0.1%前後と低いのが特徴です。アクティブ投信は、指数を上回る成績を目指して運用会社が銘柄を選別する運用で、コストは高めです。インデックス投信の純資産は217兆円まで拡大し、eMAXIS Slimシリーズは20兆円規模に達しました。新NISAのつみたて投資枠を通じて、個人マネーは低コストのインデックス投信に集中する傾向が強まっています。
ETFとは何ですか? なぜ純資産が大きいのですか?
ETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場し、株式のように売買できる投資信託で、多くは日経225やTOPIXなどの指数に連動します。国内ETFの純資産は132兆円で、株式投信の約4割を占めます。これほど大きいのは、日本銀行が金融緩和策の一環として、長年にわたり国内株式ETFを買い入れ、保有してきたためです。運用会社別では野村(NEXT FUNDS)が最大の提供会社で、これが運用会社別ランキングで野村が首位になる主因です。
独立系の運用会社にはどんな会社がありますか?
系列の金融グループに属さない独立系運用会社としては、運用資産約1.9兆円で唯一の上場専業運用会社であるスパークス・グループ、国内初の独立系直販として知られるさわかみ投信、「ひふみ」シリーズのレオス・キャピタルワークス、長期厳選投資の農林中金バリューインベストメンツ、コモンズ投信・鎌倉投信などがあります。独自の運用哲学と、販売会社を通さない直販モデルで、長期投資を志向する個人投資家を集めているのが特徴です。
資産運用立国とは何ですか? 協会の統合とは?
資産運用立国とは、家計の金融資産を「貯蓄から投資へ」と動かし、資産運用業を銀行・証券・保険に次ぐ経済の柱に育てる政府の方針で、2023年12月に「資産運用立国実現プラン」が策定されました。金融庁は運用力・ガバナンス・手数料の透明化を求めるプログレスレポートを公表し、新興運用業者の参入も促しています。その流れの中で、投資信託協会と投資顧問業協会は2026年4月に「資産運用業協会」へ統合し、会員約900社・運用資産約1,000兆円規模の自主規制機関となりました。
証券業界
別industry。投信の販売(仲介)を担う。本ページは運用が主役、販売とは分業
銀行
別industry。投信の窓口販売 + 資産運用立国で役務収益強化
信託銀行準備中
投信の受託(財産管理)を担い、資産運用会社と分業。年金信託でも重複
生命保険準備中
機関投資家として運用を委託、グループに運用会社(アセットマネジメントOne等)
REIT・不動産投資準備中
不動産投信(J-REIT)の資産運用会社、本ページでは投信の一分類として言及
確定拠出年金(iDeCo/DC)準備中
運用商品として投信を採用、家計の長期運用マネーの受け皿

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参考資料 / 一次ソース

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