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独立系・直販の運用会社|スパークス・さわかみ・ひふみの運用哲学と長期投資【2026年版】

運用会社の多くは証券・銀行・信託・生保といった金融グループの系列ですが、そうしたグループに属さず、独自の運用哲学を掲げる「独立系」の運用会社があります。スパークス(東証プライム上場)、さわかみ投信、レオス・キャピタルワークス(ひふみ)、農林中金バリューインベストメンツ(おおぶね)、コモンズ投信、鎌倉投信などです。多くが販売会社を介さず投資家に直接販売する「直販」と、長期投資を打ち出している点で共通します。本ページでは、これら独立系・直販の運用会社の顔ぶれと運用哲学、そして資本面での独立性の濃淡を整理します。

主な独立系・直販の運用会社

旗艦ファンドの純資産は集計対象が異なり、単純な大小比較はしない(各社の公表値・時点は本文のとおり)
スパークス(8739)
旗艦ファンド
日本株式の長期厳選など
資本の独立性
独立系・東証プライム上場
運用の特徴
ボトムアップ・リサーチ
さわかみ投信
旗艦ファンド
さわかみファンド
資本の独立性
独立系・非上場
運用の特徴
長期・バイ&ホールド、直販の先駆け
レオス(ひふみ)
旗艦ファンド
ひふみ投信・ひふみプラス
資本の独立性
SBIグループ傘下
運用の特徴
成長企業中心、守りながらふやす
農林中金VI(NVIC)
旗艦ファンド
おおぶね
資本の独立性
農林中金グループ傘下
運用の特徴
構造的に強靭な企業に集中
コモンズ投信
旗艦ファンド
コモンズ30ファンド
資本の独立性
独立系・非上場
運用の特徴
約30社に30年目線で集中
鎌倉投信
旗艦ファンド
結い2101
資本の独立性
独立系・非上場
運用の特徴
社会性と経済性の両立、直販

スパークス — 独立系の上場運用会社

スパークス・グループ(8739、東証プライム上場)傘下のスパークス・アセット・マネジメントは、阿部修平が1989年に創業した独立系の運用会社です。2001年に独立系運用会社として日本で初めて株式を上場し、現在も親会社を持たない独立系上場運用会社という独自の立ち位置にあります。グループの運用資産は約2.2兆円(2026年3月末、月次の運用資産開示)に達しています。

運用哲学は「マクロはミクロの集積である」という言葉に表れる、個別企業を一社ずつ調べ上げる徹底したボトムアップ・リサーチです。日本株式の長期厳選運用を軸に、アジア株式、再生可能エネルギーなどの実物資産、未公開株(PE/VC)まで運用対象を広げています。系列大手とも、低コストのインデックス投信とも異なる、調査に基づくアクティブ運用を強みとします。

さわかみ投信 — 日本の独立系・直販の先駆け

さわかみ投信は、澤上篤人が1996年に設立した運用会社で、1999年に設定した「さわかみファンド」は、購入時手数料をかけずに販売会社を介さず直接販売する、日本初の独立系・直販の長期投資ファンドとして知られます。現在の代表は澤上龍で、さわかみファンドの純資産は約4,800億円(2026年4月末、月次レポート)です。

運用哲学は、長期で「いい会社」に投資し、買ったら長く持ち続けるバイ&ホールドです。投資家を「ファンド仲間」と呼び、全国での対面の接点を重視するなど、直販ならではの投資家との直接の関係を築いてきました。短期の値動きを追わず、長期目線での運用を貫いています。

レオス・キャピタルワークス(ひふみ) — SBIグループ傘下の成長株運用

レオス・キャピタルワークスは、藤野英人らが2003年に設立した運用会社で、「ひふみ投信」(直販)・「ひふみプラス」(販売会社経由)などのひふみシリーズで知られます。ひふみシリーズ全体の純資産は約1兆円規模(2026年6月)です。成長が見込まれる企業を中心に、相場の下落局面では現金比率を高める「守りながらふやす」運用を掲げてきました。

レオスは独立系として出発しましたが、SBIグループによる段階的な資本参加を経て、現在はSBIグループの傘下にあります。独立系的なアクティブ運用の哲学を掲げつつ、資本面では大手金融グループに属するという、純粋な独立系とは異なる位置づけです。

農林中金バリューインベストメンツ(NVIC) — 農林中金グループの厳選投資

農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)は2014年に設立され、奥野一成が運用責任者(CIO)を務めます。米国株を中心に投資する「おおぶね」シリーズで知られ、おおぶね(米国株)の純資産は約730億円(2026年6月)です。

運用哲学は「株式長期厳選投資」で、高い付加価値・圧倒的な競争優位・長期的な潮流という条件を満たす「構造的に強靭な企業」を20〜30社程度に絞り込んで投資します。NVICは農林中金グループの傘下にあり、独立系的な厳選・長期の運用思想を掲げつつ、資本は大手金融グループに属します。

コモンズ投信 — 30年目線の集中投資

コモンズ投信は、渋澤健(会長)と伊井哲朗(社長)らが2008年に設立した独立系・非上場の運用会社です。旗艦の「コモンズ30ファンド」(2009年運用開始)は、国内のおよそ30社に長期で集中投資するファンドで、純資産は約950億円(2026年5月末、月次)です。

「30年の長い目線」を掲げ、投資先企業との対話を重視し、直販を中心に個人投資家との直接の関係を築いています。信託報酬の一部を社会的活動に充てる取り組みなど、長期投資と社会とのつながりを意識した運用が特徴です。

鎌倉投信 — 社会性と経済性の両立

鎌倉投信は2008年に設立された独立系・非上場の運用会社で、神奈川県鎌倉市の古民家を拠点とします。代表は鎌田恭幸で、旗艦の「結い2101」(2010年運用開始)の純資産は約550億円(2026年6月)です。

「これからの社会に必要とされる会社」「全ステークホルダーの幸せを大切にする会社」を「いい会社」と位置づけて投資する、社会性と経済性の両立を掲げる運用が特徴です。受益者総会などを通じて投資家・投資先と直接向き合う直販モデルで、社会的インパクトを意識した投資の先駆けの一つとされます。

主要論点

独立系・直販モデルの強みは何か?

独立系・直販の運用会社の強みは、販売会社の事情に縛られずに長期運用を貫ける点にあります。系列大手の投信は、証券会社や銀行といった販売会社を通じて売られるため、販売側の都合(売れ筋商品の入れ替えなど)の影響を受けやすい面があります。これに対し直販は、運用会社が投資家に直接販売するため、短期の販売事情に左右されにくく、長期の運用方針を貫きやすくなります。

もう一つの強みは、投資家との直接の関係です。運用報告会や受益者総会などを通じて、投資先や運用の考え方を顔の見える形で伝えられます。購入時手数料をかけない(ノーロード)ファンドが多いことも、長期で積み立てる個人投資家にとっての利点です。

業界戦略への示唆: 独立系・直販は、規模では系列大手に及ばないものの、運用哲学への共感と長期の信頼関係で個人投資家を集める戦略です。新NISAで投資に関心を持つ層が広がるなか、「どこに、どんな考えで投資するか」を重視する個人にとって、独立系・直販は選択肢の一つとなっています。

「独立系」の独立性には濃淡がある

「独立系」とひとくくりにされますが、資本面での独立性には濃淡があります。スパークスは親会社を持たない独立系の上場運用会社で、さわかみ投信・コモンズ投信・鎌倉投信は非上場ながら特定の金融グループに属さない独立系です。これらは資本の面でも運用哲学の面でも独立しています。

一方、レオス・キャピタルワークス(ひふみ)はSBIグループの傘下に、農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)は農林中金グループの傘下にあります。両社は独立系的な運用哲学(成長株のアクティブ運用、構造的に強靭な企業への厳選投資)を掲げ続けていますが、資本は大手金融グループに属しており、純粋な独立系とは位置づけが異なります。

業界戦略への示唆: 独立系の運用会社が成長して規模を求める段階で、上場(スパークス)、大手グループ入り(レオス・NVIC)、非上場のまま独立を保つ(さわかみ・コモンズ・鎌倉)という、複数の道が併存しています。投資家にとっては、「運用哲学が独立しているか」と「資本が独立しているか」を分けて見ることが、独立系を理解する手がかりになります。

インデックス全盛のなかで独立系アクティブはどう生き残るか?

新NISAを通じて個人マネーが低コストのインデックス投信に集中するなか、運用力で勝負する独立系・直販のアクティブ運用は、難しい環境に置かれています。インデックス投信は信託報酬が年0.1%前後まで下がる一方、独立系のアクティブ投信は調査・運用にコストがかかるため信託報酬は相対的に高く、コスト面では不利だからです。

それでも独立系・直販が支持を集めるのは、指数では捉えられない価値を提供できるかにかかっています。市場指数に含まれない企業への厳選投資、長期目線での企業との対話、社会性を重視した投資など、低コストのインデックスにはない切り口で、運用哲学に共感する個人投資家を引きつけています。

業界戦略への示唆: 独立系・直販の運用会社にとって、生き残りの鍵は運用成績と理念への共感の両立です。インデックスを上回る運用実績を継続的に示せるか、そして「何のために、どんな会社に投資するのか」という物語を投資家と共有できるかが、規模で劣る独立系がコスト競争のなかで存在感を保つ条件になります。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、新NISAで投資に関心を持つ個人の一部が、運用哲学への共感を軸に独立系・直販を選ぶ流れが続く見通しです。低コストのインデックス投信が資金の中心であり続ける一方、長期投資や社会性を重視する層が、独立系・直販のアクティブ投信を選ぶ余地は残ります。運用成績がその評価を左右します。

中期3-5年

2028-2030年は、独立系の運用会社が規模を求める段階で、上場・大手グループ入り・独立維持のどの道を選ぶかが、それぞれの戦略の分かれ目になります。規模の経済が働く低コスト競争のなかで、独立系・直販は運用力と理念での差別化を一段と求められます。

長期5-10年

2030年以降は、家計の長期マネーが運用会社を選ぶ目線が成熟し、「どんな考えで、どこに投資するか」を重視する個人がどこまで広がるかが、独立系・直販の規模を左右します。インデックスが主軸となる市場のなかで、運用哲学への共感を土台に支持を集める独立系・直販が、アクティブ運用の一つの担い手として位置づけられるかが論点になります。

よくある質問

独立系の運用会社とは何ですか?
独立系の運用会社は、証券・銀行・信託・生保などの金融グループに属さず、独自の運用哲学を掲げる運用会社です。多くが販売会社を介さず投資家に直接販売する「直販」を行い、長期投資を打ち出しています。代表例として、スパークス(東証プライム上場)、さわかみ投信、コモンズ投信、鎌倉投信などがあります。
直販の投資信託は何が違うのですか?
直販の投資信託は、運用会社が証券会社や銀行などの販売会社を介さず、投資家に直接販売するものです。販売会社の事情に左右されにくく、長期の運用方針を貫きやすいこと、購入時手数料(販売手数料)をかけないファンドが多いことが特徴です。日本初の独立系・直販投信は、さわかみ投信のさわかみファンド(1999年設定)です。
ひふみ(レオス)や農林中金バリューインベストメンツも独立系ですか?
運用哲学の面では独立系的ですが、資本面では大手金融グループに属します。レオス・キャピタルワークス(ひふみ)はSBIグループの傘下、農林中金バリューインベストメンツ(おおぶね)は農林中金グループの傘下にあります。一方、スパークス・さわかみ投信・コモンズ投信・鎌倉投信は、特定の金融グループに属さない独立系です。「運用哲学の独立」と「資本の独立」は分けて見ると分かりやすくなります。
独立系・直販の主なファンドにはどんなものがありますか?
さわかみ投信の「さわかみファンド」(純資産約4,800億円、2026年4月末)、レオスの「ひふみ」シリーズ(約1兆円規模、2026年6月)、農林中金バリューインベストメンツの「おおぶね」、コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」(約950億円、2026年5月末)、鎌倉投信の「結い2101」(約550億円、2026年6月)などがあります。スパークスは日本株式の長期厳選運用などを手がけ、グループの運用資産は約2.2兆円(2026年3月末)です。
インデックス投信が広がるなかで独立系アクティブに意味はありますか?
あります。独立系・直販のアクティブ運用は、低コストのインデックス投信にはない切り口を提供します。市場指数に含まれない企業への厳選投資、長期目線での企業との対話、社会性を重視した投資などです。信託報酬はインデックスより高いものの、運用哲学への共感や運用成績を通じて、長期で投資したい個人投資家の支持を集めています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    スパークス・グループ 月次の運用資産状況
  2. 2.
    さわかみ投信 さわかみファンド 月次レポート
  3. 3.
    レオス・キャピタルワークス ひふみシリーズ 月次運用報告
  4. 4.
    農林中金バリューインベストメンツ おおぶね 運用報告
  5. 5.
    コモンズ投信 コモンズ30ファンド 月次レポート
  6. 6.
    鎌倉投信 結い2101の月次運用報告
  7. 7.
    SBIグループ / 農林中金 各社 会社・資本情報
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