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インデックス運用とアクティブ運用|信託報酬の低下と217兆円のインデックス投信【2026年版】

投資信託の運用は、市場の指数への連動を目指す「インデックス運用(パッシブ運用)」と、指数を上回るリターンを目指す「アクティブ運用」に大きく分かれます。指数に連動するインデックス投信の純資産は217兆円に達し、公募株式投信の大きな部分を占めるまでに拡大しました。背景には、新NISAを通じた個人マネーが、信託報酬の低い低コスト商品に集中している動きがあります。本ページでは、インデックス化がどこまで進んだのか、信託報酬の低下競争が運用会社に何をもたらすのか、そしてアクティブ運用の存在意義はどこにあるのかを整理します。

インデックス投信の純資産
217兆円
指数連動を目指す投信(パッシブ運用、指数連動のETFを含む)。公募株式投信335兆円の大きな部分を占める(2026年5月末)
出典: 投資信託協会 商品分類別 (インデックス、2026年5月末)
インデックス投信の本数
1,435
指数連動の公募投信の本数(2026年5月末)。指数連動のETFを含む
出典: 投資信託協会 商品分類別 (インデックス、2026年5月末)
eMAXIS Slim残高
20兆円
個人向け低コストインデックスの代表(三菱UFJアセットマネジメント、2025年10月に20兆円突破)
出典: 三菱UFJアセットマネジメントeMAXIS Slimシリーズ残高 (公表値)

インデックス運用とアクティブ運用の違い

運用手法による分類。コストは一般的な傾向
インデックス運用(パッシブ)
運用の目標
市場指数への連動
信託報酬の傾向
低い(年0.1%前後の商品も)
代表的な商品・指数
全世界株式・S&P500・日経225・TOPIX連動
アクティブ運用
運用の目標
指数を上回るリターン
信託報酬の傾向
相対的に高い(年1%を超えるものも)
代表的な商品・指数
運用会社が銘柄を選別する株式・テーマ型
読み解き

2つの運用手法は、目指すものとコストが対照的です。インデックス運用は市場指数への連動を目標とし、銘柄選別をしないため信託報酬が低く、年0.1%前後の商品も登場しています。代表例は全世界株式やS&P500、日経225・TOPIXに連動する投信です。一方のアクティブ運用は、運用会社が独自の調査で銘柄を選び、指数を上回るリターンを目指す手法で、調査・運用のコストがかかるため信託報酬は相対的に高くなります。

重要なのは、どちらが優れているという単純な話ではないことです。インデックス運用は低コストで市場全体の値動きを取り込めますが、信託報酬などのコストを差し引いた分だけ指数をわずかに下回るのが一般的で、市場平均を大きく上回ることは狙いません。アクティブ運用は市場平均を上回る可能性がある一方、下回るリスクとコストを伴います。指数に含まれない中小型株や新興国、オルタナティブ(代替資産)などはアクティブでなければ捉えにくく、両者は役割が異なります。

主要論点

インデックス化はどこまで進んだのか? — インデックス投信217兆円の意味

指数への連動を目指すインデックス投信の純資産は、2026年5月末で217兆円に達しました。公募株式投信335兆円の大きな部分を占めるまでに拡大しており、運用手法の主軸がインデックスに傾いていることを示しています。なお、投資信託協会の統計では指数連動の投信が一つの区分として集計される一方、それ以外の投信はETFやバランス型など分類の仕方が異なるため、「アクティブ運用は何兆円」という形では単純に切り出せません。本ページがアクティブの規模を数字で示していないのはこのためで、217兆円を株式投信335兆円から差し引いてアクティブの残高とみなすこともできません。

ここまで進んだ理由は3つあります。第一に、信託報酬の低さです。インデックス投信は銘柄選別の手間が少なく、年0.1%前後まで信託報酬を下げた商品が個人マネーを集めています。第二に、新NISAのつみたて投資枠です。同枠は信託報酬の低い長期・積立向けの投信を対象とするため、資金が自然と低コストのインデックス投信に向かいます。第三に、長期では指数を上回り続けるアクティブ投信が多くないという実績認識が、個人の間で広がったことです。

業界戦略への示唆: インデックス化の進行は、運用会社の競争の土俵を「運用成績」から「コストと規模」へと移しつつあります。低コスト商品で残高を集められる大手と、運用力で差別化するアクティブ系とで、戦略が二極化していく可能性があります。

信託報酬の低下競争は運用会社に何をもたらすか?

インデックス投信の世界では、信託報酬の引き下げ競争が続いてきました。全世界株式やS&P500に連動する主力商品では、信託報酬が年0.1%を下回る水準まで下がっています。代表例の三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim」は「業界最低水準の運用コストを目指し続ける」ことを掲げ、残高は20兆円規模に達しました。

この低コスト競争は、運用会社に二面性をもたらします。低い信託報酬は個人にとって有利で、残高を大きく集める原動力になります。しかし運用会社にとっては、残高が増えても1本あたりの手数料収入は薄くなる構図です。残高1兆円でも信託報酬が年0.1%なら、年間の収入は10億円規模にとどまります。

業界戦略への示唆: 低コスト競争で生き残るには、規模の経済が欠かせません。十分な残高を集めて薄い手数料率を補える大手に資金が集中し、規模を確保できない運用会社は淘汰されやすくなります。インデックス分野は「規模がものを言う」市場へと向かい、運用会社にとっては残高の拡大とコストの両立が経営課題になっています。

アクティブ運用の存在意義はどこにあるのか?

インデックス運用が広がるなかで、「アクティブ運用に意味はあるのか」という問いがしばしば投げかけられます。しかし、アクティブ運用には固有の役割があります。

第一に、指数に含まれない領域です。市場指数は主に大型株で構成されるため、中小型株や新興国、特定のテーマ(脱炭素・AIなど)、不動産・未公開株といったオルタナティブ(代替資産)は、指数連動では十分に捉えられません。これらはアクティブ運用が担う領域です。第二に、下落局面での銘柄選択の余地です。指数連動の投信は、相場全体が下がれば同じように下がりますが、銘柄を選別するアクティブ運用には値下がりの大きい銘柄を避ける余地があります。ただし実際に指数を上回れるかは運用力次第で、長期では指数に及ばないアクティブ投信が多いのも事実です。第三に、市場の価格形成です。誰も銘柄を分析せず全員が指数に連動すれば、個別企業の価値が株価に反映されにくくなります。銘柄を調査するアクティブ運用は、市場が正しく機能するための前提でもあります。

業界戦略への示唆: 資産運用業の中期的な姿は、低コストで残高を集めるインデックスと、運用力で付加価値を出すアクティブの役割分担です。アクティブ運用は、インデックスでは届かない領域と運用成績で個人・機関投資家の支持をどこまで得られるかが、存在意義を左右します。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、新NISAのつみたて投資枠を通じた低コストのインデックス投信への資金集中が続く見通しです。信託報酬の引き下げ競争も継続し、全世界株式・S&P500連動の主力商品が個人マネーの中心であり続けるとみられます。インデックス投信の純資産は217兆円からさらに積み上がる方向です。

中期3-5年

2028-2030年は、低コスト競争で規模の経済が一段と効き、運用会社の二極化が進む可能性があります。十分な残高を集められる大手がインデックス分野で優位を固める一方、アクティブ系は指数に含まれない領域(中小型・新興国・テーマ・オルタナティブ)や運用成績での差別化が、生き残りの鍵になります。

長期5-10年

2030年以降は、家計の長期マネーがインデックスを軸に厚みを増す一方、運用力で付加価値を出すアクティブとの役割分担が定着するとみられます。インデックスとアクティブは優劣を競うのではなく、低コストの市場連動と、指数では届かない領域・局面での運用力という、異なる役割を担う構図が続く見込みです。

よくある質問

インデックス運用とアクティブ運用の違いは何ですか?
インデックス運用(パッシブ運用)は、日経平均やS&P500などの市場指数に連動することを目指す手法で、運用会社が銘柄を選別しないため信託報酬が低く抑えられます。アクティブ運用は、運用会社が独自の調査で銘柄を選び、指数を上回るリターンを目指す手法で、調査・運用のコストがかかるため信託報酬は相対的に高くなります。インデックスは市場平均並み、アクティブは市場平均を上回る可能性がある一方で下回るリスクも伴う、という違いがあります。
インデックス投信の残高はどれくらいですか?
指数への連動を目指すインデックス投信の純資産は、2026年5月末で217兆円(1,435本)です。公募株式投信335兆円の大きな部分を占めます。新NISAのつみたて投資枠を通じて、信託報酬の低い全世界株式やS&P500連動の商品に個人マネーが集中しています。
なぜインデックス投信が人気なのですか?
主な理由は信託報酬(保有コスト)の低さです。インデックス投信は銘柄選別の手間が少ないため、年0.1%前後まで信託報酬を下げた商品が登場しています。新NISAのつみたて投資枠が信託報酬の低い投信を対象とすることもあり、低コストのインデックス投信に資金が集中しています。三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slim(残高20兆円規模)が代表例です。
信託報酬とは何ですか? インデックスとアクティブでどれくらい違いますか?
信託報酬は、投資信託を保有している間、運用会社などに支払う費用(運用管理費用)で、残高に対して年率で差し引かれます。インデックス投信は銘柄選別をしないため低く、年0.1%前後の商品もあります。アクティブ投信は調査・運用にコストがかかるため相対的に高く、年1%を超えるものも少なくありません。長期保有では、この差がリターンに影響します。
アクティブ運用に意味はあるのですか?
あります。市場指数は主に大型株で構成されるため、中小型株や新興国、特定テーマ、不動産・未公開株などのオルタナティブ(代替資産)は、指数連動では捉えきれません。これらはアクティブ運用が担う領域です。また、相場全体が下落する局面では指数連動がそのまま下落につながるため、運用力で銘柄を選ぶアクティブの価値が問われます。インデックスとアクティブは優劣ではなく、役割が異なります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    投資信託協会 株式投信の商品分類別内訳
  2. 2.
    三菱UFJアセットマネジメントeMAXIS Slimシリーズ
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