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STRUCTURAL DETAIL · REGULATION

クレジットカードの規制|割賦販売法・過剰与信防止・セキュリティ対策の仕組み【2026年版】

クレジットカードは、主に割賦販売法という法律で規制されています。本ページでは、カードの利用枠を設定するときの過剰与信防止、カード番号のセキュリティ対策義務、加盟店の管理といった主な規律と、近年の制度の動きを、割賦販売法を中心に整理します。

クレジットカードに関する主な規制

割賦販売法を中心に、過剰与信防止・セキュリティ対策・加盟店管理が定められている
過剰与信防止
主な内容
利用枠の設定・増額の際に、年収や債務の状況を調べる「支払可能見込額調査」。指定信用情報機関の利用が義務
根拠・制度
割賦販売法(支払可能見込額調査)
セキュリティ対策義務
主な内容
カード番号の適切な管理(非保持化など)、不正利用対策、決済端末のIC化。加盟店とカード会社の双方が対象
根拠・制度
割賦販売法(2016年改正・2018年施行)
加盟店管理・登録制
主な内容
加盟店と契約する会社(アクワイアラなど)の登録制と、加盟店の調査義務。悪質な加盟店を排除する仕組み
根拠・制度
割賦販売法(2016年改正・2018年施行)
少額・AI与信の新制度
主な内容
極度額10万円以下の少額後払いの登録制度と、AIなどで支払見込みを算定する認定制度
根拠・制度
割賦販売法(2020年改正・2021年施行)
読み解き

クレジットカードに関する規制は、割賦販売法を中心に組み立てられています。利用者を守る過剰与信防止、決済の安全を守るセキュリティ対策義務、健全な取引を支える加盟店管理が3本の柱で、近年は少額後払いやAI与信といった新しいサービスに対応する制度も加わりました。以下、それぞれを順にみていきます。

割賦販売法の枠組み — 包括信用購入あっせんと個別信用購入あっせん

割賦販売法は、代金を後払いする取引を規律する法律で、クレジットカードはこの法律上「包括信用購入あっせん」として規律されます。「包括」とは、商品を決める前にあらかじめ利用枠(極度額)を設定し、その範囲で繰り返し利用できる方式を指します。より正確には、リボ払いや分割払いなど、支払いが2か月を超える後払いの部分がこの区分にあたります。

これに対し、住宅リフォームや自動車などの購入時に、その商品ごとに契約するショッピングクレジット(個品割賦)は「個別信用購入あっせん」と呼ばれ、商品を決めた後に取引ごとに審査する点が異なります。クレジットカードは前者、ショッピングクレジットは後者にあたります。

なお、純粋な翌月一括払い(おおむね2か月以内に支払う方式)は、後払いというより単なる決済手段とみなされ、割賦販売法の過剰与信防止の規律は受けません。ただし、カード番号のセキュリティ対策や加盟店の管理といった規律は、支払方法にかかわらずカード取引全体に及びます。

過剰与信防止 — 支払可能見込額調査

過剰与信防止は、利用者が支払える範囲を超えてカードを使い、返済できなくなることを防ぐための規律です。カード会社は、カードを発行するときや利用枠を引き上げるときに、利用者の年収・預貯金・借入や債務の支払い状況などを調べ、無理なく支払える金額(支払可能見込額)を算定する義務を負います。

この調査では、指定信用情報機関(クレジットの契約内容や支払い状況を管理する機関)の情報を使うことが義務づけられています。複数のカード会社が同じ情報を参照することで、利用者が複数のカードで借りすぎることを防ぎ、多重債務に陥らないようにする狙いがあります。算定した支払可能見込額を超える利用枠の設定は、原則として認められません。

セキュリティ対策義務 — カード番号の保護と不正対策

カード番号の漏えいや不正利用を防ぐため、2016年の割賦販売法改正(2018年施行)で、カード会社や加盟店にセキュリティ対策が義務づけられました。具体的には、加盟店がカード番号を自社で保有しない「非保持化」などによるカード情報の適切な管理、決済端末のICチップ対応(IC化)、インターネット取引での本人認証といった対策です。

カード番号を盗んでなりすます不正利用が増えるなかで、加盟店とカード会社の双方が、それぞれの役割に応じて対策を講じることが求められています。これらの義務は、決済の安全性を業界全体で底上げするための枠組みです。

加盟店管理・登録制と、近年の制度の見直し

2016年の改正では、加盟店と契約する会社(アクワイアラや決済代行業者)に登録制が導入され、これらの会社に加盟店を調査する義務が課されました。カード番号の管理や不正利用への対応に問題のある加盟店を見つけ、必要な措置をとることで、悪質な加盟店を取引から排除する仕組みです。

さらに、2020年の改正(2021年施行)では、新しいサービスに対応する制度が加わりました。ひとつは、利用枠が10万円以下の少額の後払いを対象とする登録制度で、もうひとつは、AIなどを使って利用者の支払見込みを算定する新しい与信審査を、国が認定する制度です。スマートフォンを使った少額後払いや、データを活用した与信の広がりに、制度の面から対応する動きといえます。

主要論点

なぜクレジットカードは割賦販売法で規制されるのか?

クレジットカードの中心的な法律が割賦販売法であるのは、クレジットカードが「後払い(信用の供与)」という機能を持つためです。利用者は、その場で代金を払わずに商品を受け取り、後でカード会社にまとめて支払います。この後払いの仕組みには、利用者が支払える以上に使ってしまうリスクや、カード情報が悪用されるリスクがともないます。

割賦販売法は、こうしたリスクから利用者を守り、取引の健全さを保つために、過剰与信の防止、カード番号のセキュリティ対策、加盟店の管理といった規律を定めています。クレジットカードのうち、リボ払いや分割払いなど2か月を超える後払いが「包括信用購入あっせん」として、この法律の対象です。

なお、キャッシング(現金の借り入れ)の金利の上限などは、利息制限法といった別の法律で定められており、割賦販売法とは規律する範囲が異なります。クレジットカードは、複数の法律が役割を分担して規律しているといえます。

過剰与信防止は、どのように多重債務を防いでいるのか?

過剰与信防止の中心が、支払可能見込額調査です。カード会社は、カードを発行するときや利用枠を引き上げるときに、利用者の年収・預貯金・債務の支払い状況などを調べ、無理なく支払える金額を算定します。この金額を超える利用枠は、原則として設定できません。

この調査で重要な役割を果たすのが、指定信用情報機関です。利用者が他社のカードでどれだけ利用枠を持ち、どれだけ債務を抱えているかという情報を、各カード会社が参照します。1社だけを見れば適切な利用枠でも、複数のカードを合わせると過大になる、という事態を防ぐためです。

かつて、複数の貸し手から借りすぎて返済できなくなる多重債務が社会問題となった経緯があり、その反省から、業界横断で与信の情報を共有し、貸しすぎ・使いすぎを防ぐ仕組みが整えられてきました。過剰与信防止は、利用者保護の根幹をなす規律です。

なぜカード会社や加盟店にセキュリティ対策が義務づけられたのか?

カード番号のセキュリティ対策が2016年の改正で義務づけられた背景には、不正利用の増加があります。決済がインターネット上の非対面取引へと広がるなかで、盗まれたカード番号を使ってなりすます不正が増え、被害額が拡大していました。

こうした不正は、カード会社だけの対策では防ぎきれません。加盟店がカード番号を適切に管理していなければ、そこから情報が漏れて悪用されます。そこで、加盟店にはカード番号を自社で保有しない非保持化などの管理を、カード会社や加盟店には決済端末のIC化や本人認証を、それぞれの役割に応じて求める仕組みが整えられました。

セキュリティ対策は、一社が頑張っても、弱いところがあればそこを突かれます。割賦販売法による義務づけは、加盟店からカード会社まで、決済にかかわる事業者全体で安全の水準を引き上げることを目的としています。対策の高度化は、巧妙化する不正への対応として、今後も続く課題です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、決済の安全をめぐる規律の強化が続くとみられます。インターネット取引での本人認証の徹底や、加盟店のセキュリティ対策の底上げが進みます。AIを使った与信や少額後払いといった新しいサービスについても、制度の運用が積み重ねられていきます。

中期3-5年

中期では、クレジットカード以外の後払いサービスや新しい決済手段の広がりに、規律がどう対応するかが焦点になります。コード決済や分割後払いなど、従来のクレジットカードの枠組みに収まりにくいサービスが増えるなかで、利用者保護とイノベーションのバランスをとる制度の見直しが論点となります。

長期

長期では、決済手段の垣根が低くなるなかで、特定の決済手段ごとではなく、後払い・与信という機能に着目した横断的な利用者保護の枠組みが議論される可能性があります。過剰与信の防止と決済の安全という基本的な目的を保ちながら、新しい技術やサービスに制度がどう追随していくかが、長期の課題です。

よくある質問

クレジットカードはどんな法律で規制されていますか?
中心となるのは割賦販売法です。クレジットカードのうち、リボ払いや分割払いなど支払いが2か月を超える後払いを「包括信用購入あっせん」として規律し、過剰与信の防止、カード番号のセキュリティ対策、加盟店の管理などを定めています。所管は経済産業省です。なお、キャッシングの金利の上限などは利息制限法といった別の法律で定められています。
包括信用購入あっせんとは何ですか?
あらかじめ利用枠(極度額)を設定し、その範囲でクレジットカードを繰り返し利用できる仕組みのうち、支払いが2か月を超える後払い(リボ払い・分割払いなど)を指す、割賦販売法上の区分です。商品ごとに契約するショッピングクレジット(個別信用購入あっせん)と区別されます。純粋な翌月一括払いは、過剰与信防止の対象外です。
過剰与信防止とは何ですか?
利用者が支払える範囲を超えてカードを使い、返済できなくなることを防ぐための規律です。カード会社は、カード発行や利用枠の引き上げのときに、年収や債務の状況を調べて支払可能見込額を算定し、それを超える利用枠を設定しないことが義務づけられています。この調査では、指定信用情報機関の情報を使い、複数のカードでの借りすぎを防ぎます。
加盟店のセキュリティ対策義務とは何ですか?
2016年の割賦販売法改正(2018年施行)で、カード会社や加盟店に義務づけられた対策です。加盟店がカード番号を自社で保有しない「非保持化」などによるカード情報の適切な管理、決済端末のICチップ対応、インターネット取引での本人認証などが含まれます。カード番号の漏えいや不正利用を防ぐことが目的です。
クレジットカードのキャッシングの金利の上限は割賦販売法で決まっていますか?
いいえ、キャッシング(現金の借り入れ)の金利の上限は、割賦販売法ではなく利息制限法で定められています(借入額に応じて年20%・18%・15%)。割賦販売法は、主に買い物(ショッピング)にかかわる後払いや、カード番号のセキュリティ、加盟店の管理を規律しており、複数の法律が役割を分担しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    割賦販売法(経済産業省 所管)
  2. 2.
    割賦販売法2016年改正(2018年施行)
  3. 3.
    割賦販売法2020年改正(2021年施行)
  4. 4.
    一般社団法人 日本クレジット協会・経済産業省(制度解説)
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