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生命保険の資産運用|総資産の規模と国債・外国証券・株式の構成【2026年版】

生命保険会社は、契約者から預かった保険料を長期で運用する国内有数の機関投資家です。2024年度末の業界の総資産は418兆5,222億円で、その82.9%にあたる347兆1,507億円を有価証券で運用しています。有価証券の中心は国債と外国証券で、長期の保険負債に対応した安定運用と、利回りを求めた運用を組み合わせる構造です。本ページでは、総資産の推移、資産の構成、有価証券の内訳までを順に整理します。

総資産(2024年度末)
418.5兆円
業界全社合計、4,185,222億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
有価証券(2024年度末)
347.2兆円
総資産の約82.9%、3,471,507億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
国債(2024年度末)
163.7兆円
有価証券の約47.2%、1,637,005億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
外国証券(2024年度末)
105.3兆円
有価証券の約30.3%、1,052,761億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版

生命保険業界の総資産の推移(2020-2024年度末、兆円)

業界全社合計の総資産。2024年度末は418兆5,222億円で2年ぶりに減少
読み解き

業界の総資産は、おおむね410〜430兆円の幅で推移しています。2023年度末に428兆6,072億円まで増えた後、2024年度末は418兆5,222億円となり、2年ぶりに減少しました。

総資産は、新規の保険料の流入や運用資産の評価額の変動を映して動きます。金利が上昇する局面では、保有する債券の時価が下がるため、総資産が伸びにくくなる面があります。生保の運用資産は長期の保険負債に対応しているため、短期的な残高の増減よりも、資産の中身(構成)の方が経営の実態をよく表します。

このグラフに関連するトピック

資産の構成(2024年度末、億円)

業界全社合計の総資産を資産の種類別に見た内訳。有価証券が大半を占める
読み解き

総資産418兆5,222億円のうち、有価証券が347兆1,507億円(構成比約82.9%)と大半を占めます。次いで企業などへの貸付金(28兆2,168億円)、運用を信託銀行に委託する金銭の信託(11兆6,758億円)、現金及び預貯金(8兆3,846億円)が続きます。

生保の運用が有価証券に偏っているのは、数十年に及ぶ保険負債に対応するため、長期で安定した利回りを確保する必要があるからです。かつて主力だった企業向けの貸付金は相対的に小さくなり、運用の中心は債券を中心とした有価証券へ移っています。なお、各項目を四捨五入したため、内訳の合計と総資産の表示には数億円の差が生じる年があります。

有価証券の内訳(2024年度末、億円)

有価証券の残高を種類別に見た内訳。国債と外国証券が中心
読み解き

有価証券347兆1,507億円の内訳を見ると、国債が163兆7,005億円(構成比約47.2%)で最も多く、次いで外国証券(105兆2,761億円、同約30.3%)、株式(29兆8,928億円)、社債(24兆7,718億円)が続きます。

国債が中心なのは、満期までの期間が長い国債が、数十年に及ぶ保険負債と期間を合わせやすいためです。外国証券は、国内の低金利のもとでより高い利回りを求めて積み増されてきましたが、為替変動の影響を受けるため、為替ヘッジ(為替変動を抑える取引)のコストが運用成績を左右します。株式は保有額が相対的に小さく、株価の変動が評価額に影響します。なお、各項目を四捨五入したため、内訳の合計と有価証券の表示には数億円の差があります。

有価証券の主要区分の推移(2020-2024年度末、兆円)

国債・外国証券・株式の残高の推移。国債を軸に、外国証券と株式が市況で動く
読み解き

国債は、2020年度末の157.6兆円から2024年度末の163.7兆円まで、おおむね160兆円台で安定して推移しています。長期の保険負債に対応する運用の軸として、残高が大きく維持されています。

一方、外国証券は106.3兆円から105.3兆円の幅で、為替や内外金利差を映して年ごとに増減しています。株式は、2023年度末に株価上昇を背景に33.2兆円まで増えた後、2024年度末は29.9兆円となりました。国債を中心とした安定運用に、外国証券と株式で市況に応じた運用を組み合わせる構造が読み取れます。

主要論点

なぜ生命保険会社の資産は有価証券、とくに国債に偏っているのか?

生命保険会社の総資産418兆5,222億円のうち、有価証券が約82.9%、その中で国債が有価証券の約47.2%を占めます。運用が国債を中心とした有価証券に偏っているのは、生命保険の負債(保険契約)が超長期だからです。

生命保険の契約は、数十年先の保険金支払いを約束するものです。この長期の負債に対して、運用資産の期間が短すぎると、満期が来るたびに低い利回りで再運用するリスク(再投資リスク)を抱えます。そこで、満期までの期間が長い国債を中心に保有し、資産と負債の期間や金利感応度(金利が動いたときに価値がどれだけ変わるかの度合い)を合わせる運用(ALM=資産負債管理)を行います。

ただし、国内の長期金利は長く低水準だったため、国債だけでは十分な利回りを得にくい時期が続きました。このため、より高い利回りを求めて外国証券(外国の国債・社債など)にも配分してきました。国債を軸とした安定運用と、外国証券での利回り追求のバランスが、生保の資産運用の基本的な構図です。

金利上昇は生命保険会社の資産運用にどう影響するのか?

金利の上昇は、生命保険会社の資産運用に相反する2つの影響を与えます。プラス面は、新たに購入する債券の利回りが高まることです。生保は毎年、満期を迎えた資金や新規の保険料を再運用するため、金利が上がれば新規の運用利回りが改善し、中長期的には収益を押し上げます。

マイナス面は、すでに保有している債券の時価が下落することです。金利が上がると、過去に低い利回りで買った債券の市場価値は下がります。生保は国債を中心に巨額の債券を保有しているため、金利上昇局面では保有債券の評価額が減り、総資産が伸びにくくなります。2024年度末に総資産が2年ぶりに減少した背景にも、こうした評価の動きがあります。

さらに、外国証券での運用は為替の影響を受けます。円安・円高や内外金利差の変化は、外貨建て資産の円換算額や為替ヘッジのコストを左右します。生保各社は、金利・為替の変動に備えて資産と負債のバランスを管理しており、2026年3月末から始まる経済価値ベースのソルベンシー規制も、こうした時価ベースの管理を後押しします。

生命保険会社は機関投資家として市場にどんな影響を持つのか?

生命保険業界の総資産は418兆5,222億円にのぼり、その大半を有価証券で運用する国内有数の機関投資家です。とくに国債は163兆7,005億円を保有しており、日本の国債市場の重要な担い手の一つです。

生保の運用は、長期の保険負債に対応するため、短期的な売買で利益を狙うのではなく、長期保有を前提とした安定運用が基本です。このため、市場の急変時にも国債などを保有し続ける傾向があり、市場の安定に寄与する面があります。一方、外国証券への配分は、円から外貨への資金の流れとして為替市場にも影響します。

近年は、超低金利のもとで利回りを求めて、インフラ投資やプライベート資産(未上場の株式・債券など)への分散も進んでいます。生保の資産運用は、契約者への約束を守るための堅実な運用であると同時に、その規模の大きさから、国内外の金融市場に一定の影響を持つ存在です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、国内金利の動向が資産運用の最大の変数です。金利上昇は新規の運用利回りを高める一方、保有する国債などの評価額を押し下げます。生保各社は、上昇した金利で長期債を積み増し、資産と負債の金利感応度を合わせる動きを進めるとみられます。外国証券は為替次第で配分が振れます。

中期3-5年

中期では、2026年3月末から始まる経済価値ベースのソルベンシー規制への対応が、運用の中身に影響します。資産と負債を時価で評価する枠組みのもとで、金利リスクを抑えるために超長期債を増やす動きや、リスクに見合った資本配分の見直しが進む見通しです。国債を軸とした構成は当面続くと考えられます。

長期

長期では、低金利時代に積み上がった低利回りの資産が、より高い利回りの資産へ徐々に入れ替わっていきます。国債を中心としつつ、外国証券やインフラ・プライベート資産への分散を組み合わせ、長期の保険負債に見合う利回りを確保する運用が続く見通しです。機関投資家としての規模と、堅実な運用姿勢は変わらないと考えられます。

よくある質問

生命保険業界の総資産はどのくらいですか?
2024年度末で業界全社合計418兆5,222億円です(生命保険協会「生命保険の動向」)。おおむね410〜430兆円の幅で推移しており、2024年度末は2年ぶりに減少しました。その大半を有価証券で運用しており、生保は国内有数の機関投資家です。
生命保険会社は資産を何で運用していますか?
2024年度末の総資産418兆5,222億円のうち、約82.9%にあたる347兆1,507億円を有価証券で運用しています。有価証券の中心は国債(163兆7,005億円)と外国証券(105兆2,761億円)で、ほかに株式や社債を保有します。有価証券以外では、企業などへの貸付金や金銭の信託、現金及び預貯金があります。
なぜ生命保険会社は国債を多く保有しているのですか?
生命保険の契約(負債)が数十年に及ぶ長期だからです。この長期の負債に対して、満期までの期間が長い国債を中心に保有することで、資産と負債の期間や金利感応度を合わせる運用(ALM=資産負債管理)を行っています。2024年度末の国債保有額は163兆7,005億円で、有価証券の約47.2%を占めます。
金利が上がると生命保険会社の運用にどう影響しますか?
2つの相反する影響があります。新たに購入する債券の利回りが高まり、中長期的には収益を押し上げる一方、すでに保有している債券の時価が下がり、総資産の評価額を押し下げます。生保は国債を中心に巨額の債券を保有するため、金利上昇局面では保有債券の評価が課題となり、資産と負債のバランス管理が重要になります。
生命保険会社の資産運用のデータはどこで分かりますか?
生命保険協会「生命保険の動向」の資産運用状況の章に、業界全社合計の総資産・資産構成・有価証券の内訳が掲載されています。本ページの数値はこの資料(2025年版、2020-2024年度)に基づいています。各社個別の運用状況は、各社のディスクロージャー誌で開示されています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
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