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生命保険業界の市場規模|収入保険料の推移とコロナ後の動き【2026年版】

日本の生命保険業界の市場規模は、業界全社合計の収入保険料で2024年度に36兆8,037億円(前年比98.1%)となり、4年ぶりに減少しました。新型コロナ禍の2020年度に29兆1,978億円まで落ち込んだ後、2023年度の37兆5,217億円まで回復し、2024年度はその反動で微減した格好です。保険種類別では個人保険が28兆3,219億円と中心で、業界の総資産は418兆5,222億円に達します。収入保険料の推移・保険種類別の内訳・損益の状況まで順に整理します。

収入保険料(2024年度)
36.8兆円
業界全社合計、368,037億円、前年比98.1%
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
個人保険 収入保険料(2024年度)
28.3兆円
保険種類別で最大、283,219億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
総資産(2024年度末)
418.5兆円
業界全社合計、4,185,222億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
経常利益(2024年度)
3.2兆円
業界全社合計、31,527億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版

生命保険業界の収入保険料の推移(2018-2024年度、億円)

業界全社合計の収入保険料。2020年度の29兆1,978億円を底に2023年度の37兆5,217億円まで回復し、2024年度は36兆8,037億円(前年比98.1%)
単位: 億円
0100,000200,000300,000400,000339,15918314,11319291,97820298,24721344,97822375,21723368,03724
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2023-2025年版(図表34、業界全社合計)
年度2018201920202021202220232024
収入保険料億円339,159314,113291,978298,247344,978375,217368,037
前年比-7.4%-7.0%+2.1%+15.7%+8.8%-1.9%
読み解き

収入保険料は2018年度の33兆9,159億円から、新型コロナ禍の2020年度に29兆1,978億円まで落ち込みました。一時払いの貯蓄性商品の販売が落ち込んだことなどが背景です。その後は外貨建て保険などの販売回復を受けて2023年度に37兆5,217億円まで戻し、2024年度は反動で36兆8,037億円(前年比98.1%)と4年ぶりに減少しました。

収入保険料は、一時払い商品の販売動向や金利・為替の影響を受けて年ごとに変動します。コロナ禍の谷からは大きく回復しており、足元の微減は2023年度の高水準の反動という側面があります。

保険種類別の収入保険料(2024年度、億円)

個人保険・個人年金保険・団体保険・団体年金保険・その他(受再保険料等)の内訳。合計は収入保険料にあたる
項目収入保険料(億円)構成比前年比シェア
個人保険283,21977.0%+0.8%
個人年金保険46,13312.5%-9.1%
団体保険11,6283.2%+1.9%
団体年金保険23,9636.5%-13.4%
その他(受再保険料等)3,0910.8%
収入保険料 計368,034100.0%
読み解き

収入保険料36兆8,037億円のうち、最も大きいのは個人保険で28兆3,219億円(構成比約77.0%)です。次いで個人年金保険(4兆6,133億円)、団体年金保険(2兆3,963億円)、団体保険(1兆1,628億円)が続きます。個人向けの保険が市場の中心であることがわかります。

なお、保険種類別の内訳の合計(368,034億円)は、公表されている収入保険料(368,037億円)と3億円の差がありますが、これは各項目を四捨五入したことによるものです。「その他」には他社から引き受けた再保険の保険料などが含まれます。

損益状況の推移(2020-2024年度、兆円)

業界全社合計の経常収益・収入保険料・経常利益。経常収益は収入保険料に資産運用収益などを加えた全体の収益
2020年度
経常収益
49.0
収入保険料
29.2
経常利益
3.2
2021年度
経常収益
50.3
収入保険料
29.8
経常利益
3.2
2022年度
経常収益
58.2
収入保険料
34.5
経常利益
2.5
2023年度
経常収益
66.6
収入保険料
37.5
経常利益
3.2
2024年度
経常収益
62.8
収入保険料
36.8
経常利益
3.2
読み解き

生命保険会社の収益は、契約者から受け取る収入保険料と、保険料を運用して得る資産運用収益が柱です。両者などを合わせた全体の収益が経常収益で、2024年度は62兆8,162億円でした。経常収益が収入保険料(36兆8,037億円)を上回るのは、総資産418兆5,222億円を運用する資産運用収益が大きいためです。

本業の費用などを差し引いた経常利益は2024年度に3兆1,527億円でした。金利の上昇局面で運用環境が改善し、近年は利益が確保されています。損益の中身(基礎利益や各社の収益力)は、大手生保の比較で詳しく扱います。

主要論点

収入保険料はなぜコロナ禍で落ち込み、2023年度に回復したのか?

収入保険料は、新型コロナ禍の2020年度に29兆1,978億円まで落ち込みました。背景には、対面営業が制約され、銀行窓口などで販売される一時払いの貯蓄性商品(まとまった保険料を一度に払う商品)の販売が大きく減ったことがあります。一時払い商品は1件あたりの保険料が大きいため、その増減が収入保険料全体を大きく動かします。

その後、2023年度には37兆5,217億円まで回復しました。金利の上昇を受けて、円建てや外貨建ての貯蓄性商品の魅力が高まり、販売が戻ったことが寄与しています。2020年度の底(29兆1,978億円)に対して2023年度は約128.5%の水準まで戻した計算です。

2024年度は36兆8,037億円(前年比98.1%)と4年ぶりに減少しましたが、これは2023年度が高水準だった反動の側面が大きく、市場が構造的に縮小したというよりは、一時払い商品の販売の変動による振れと整理できます。

収入保険料が増えても保有契約高が減るのはなぜか?

収入保険料(毎年受け取る保険料の総額)と、保有契約高(有効な契約の保障金額の累計)は、別の動きをすることがあります。実際、個人保険の保有契約件数は17年連続で増えている一方、保有契約高(死亡保障の金額)は778兆円台へ減少しています。

理由は、保障の中身が死亡保障から、医療・がんなどの第三分野(医療・がん・介護など、死亡保障とは別の保障領域)へシフトしているためです。医療保険やがん保険は、まとまった死亡保険金を支払うのではなく、入院・手術などに応じて給付するため、1件あたりの「保障金額」は小さくなります。件数は増えても、契約高(金額の累計)は伸びにくいのです。

このため、市場の動きを見るには、収入保険料(フロー)、保有契約高(ストックの保障金額)、保有契約件数(ストックの件数)を分けて見る必要があります。件数・契約高の推移は契約動向のページで、商品ごとの構造は商品構造のページで整理します。

金利の上昇は生命保険の市場規模にどう影響するのか?

金利の上昇は、生命保険の市場にいくつかの経路で影響します。まず、運用利回りの改善を見込んで、円建ての貯蓄性商品(個人年金保険や一時払い終身保険など)の予定利率を引き上げやすくなり、貯蓄性商品の販売を後押しします。これは収入保険料を押し上げる方向に働きます。

一方、これまで販売を伸ばしてきた外貨建て保険は、日本と海外の金利差や為替の動向に左右されます。円安や内外金利差が縮まると、外貨建て商品の相対的な魅力が変化し、販売動向に影響します。収入保険料の年ごとの振れには、こうした金利・為替の影響が反映されています。

さらに、金利上昇は保険会社の資産運用にも影響します。新たに購入する国債などの利回りが高まる一方、保有する債券の評価額は下がります。市場規模(収入保険料)だけでなく、損益や健全性(ソルベンシー)への影響も合わせて見る必要があります。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、金利の動向と一時払い商品の販売が収入保険料を左右します。金利上昇で円建ての貯蓄性商品の予定利率を引き上げる余地が生まれており、貯蓄性商品の販売が市場を下支えする一方、外貨建て保険は為替次第で振れます。医療・がんなどの第三分野は、件数ベースで安定した需要が続く見通しです。

中期3-5年

中期では、死亡保障から医療・介護・就業不能などの第三分野へのシフトが続くとみられます。収入保険料(金額)は一時払い商品の販売に左右されて振れる一方、保有契約件数は底堅く推移する見通しです。2026年3月末から始まる経済価値ベースのソルベンシー規制への対応が、商品設計や運用戦略に影響します。

長期

長期では、人口減少と高齢化が国内市場の基調を決めます。現役世代の減少で新規契約の母数は細る一方、高齢層の医療・介護・年金ニーズは厚く、保障内容の重心が変わっていきます。大手各社は海外事業や資産運用ビジネスで成長を補う動きを進めており、国内市場規模の数字とあわせて見る必要があります。

よくある質問

生命保険業界の市場規模はどのくらいですか?
業界全社合計の収入保険料で、2024年度に36兆8,037億円(前年比98.1%)です(生命保険協会「生命保険の動向」)。新型コロナ禍の2020年度に29兆1,978億円まで落ち込んだ後、2023年度の37兆5,217億円まで回復し、2024年度はその反動で4年ぶりに減少しました。業界の総資産は418兆5,222億円に達します。
収入保険料と保険料等収入は何が違いますか?
似た言葉ですが、集計の取り方が異なります。「収入保険料」は生命保険協会が業界全社を合算して集計する指標で、2024年度は36兆8,037億円です。一方「保険料等収入」は各社の決算(損益計算書)の項目で、保険料収入に再保険収入などを加えたもので、業界では43兆円規模になります。本ページの市場規模は収入保険料を用い、各社の比較では保険料等収入を用います。
保険種類別の内訳はどうなっていますか?
2024年度の収入保険料36兆8,037億円の内訳は、個人保険が28兆3,219億円(構成比約77.0%)と最も大きく、次いで個人年金保険(4兆6,133億円)、団体年金保険(2兆3,963億円)、団体保険(1兆1,628億円)です。個人向けの保険が市場の中心です。
なぜ2024年度に収入保険料が減ったのですか?
2024年度の36兆8,037億円(前年比98.1%)は4年ぶりの減少ですが、これは2023年度が37兆5,217億円と高水準だった反動の側面が大きいものです。収入保険料は、銀行窓口などで販売される一時払いの貯蓄性商品の販売動向に左右されやすく、金利や為替の影響で年ごとに変動します。市場が構造的に縮小したというより、販売の振れによる動きと整理できます。
市場規模の出典は何ですか?
収入保険料・保険種類別・損益の数値は生命保険協会「生命保険の動向」(2023-2025年版、業界全社合計)、総資産は同資料の資産運用状況が出典です。本ページでは、業界の標準的な集計である収入保険料を市場規模の指標として用いています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
  2. 2.
    生命保険協会「生命保険の動向」2023・2024年版
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