最終更新
STAT DETAIL · CONTRACT TRENDS

生命保険の契約動向|保有契約の件数増加と契約高の減少【2026年版】

生命保険の契約のストックは、件数と金額で逆方向に動いています。個人保険の保有契約件数は2024年度に1億9,530万件と17年連続で増え続ける一方、保障金額の累計を示す保有契約高は778兆9,902億円まで減少しました。死亡保障から医療・がんなどへ保障の重心が移り、1件あたりの保障金額が小さくなっているためです。本ページでは、保有契約の件数と契約高の推移、保険種類別の内訳、新契約と解約・失効の動きまでを順に整理します。

保有契約件数(2024年度末)
1.95億件
個人保険、1億9,530万件、17年連続増加
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
保有契約高(2024年度末)
779.0兆円
個人保険の保障金額の累計、7,789,902億円
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
新契約件数(2024年度)
1,243万件
個人保険、契約転換による切り替えを除く新規の契約
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
解約・失効率(2024年度)
5.6%
解約・失効高44兆15億円、年度始の保有契約高に対する比率
出典: 生命保険協会「生命保険の動向」2025年版

個人保険の保有契約件数の推移(2018-2024年度、万件)

有効な個人保険の契約数。2018年度の18,129万件から2024年度の19,530万件へ、緩やかに増加が続く
読み解き

個人保険の保有契約件数は、2024年度に1億9,530万件となり、17年連続で増加しました。働く世代の医療保障ニーズや、1人で複数の保険に加入する世帯の広がりを背景に、契約の数そのものは底堅く伸びています。

ただし、増加のペースは緩やかです。近年の伸び率は年1%にも満たない水準で推移しており、人口減少のもとで件数の伸びしろは徐々に小さくなっています。件数が増えても次に見る保有契約高(保障金額)が減るのが、近年の生命保険の特徴です。

個人保険の保有契約高の推移(2018-2024年度、兆円)

有効な個人保険の保障金額の累計。2018年度の848兆6,900億円から2024年度の778兆9,902億円へ減少が続く
読み解き

保有契約高(保障金額の累計)は、件数とは逆に減少が続いています。2018年度の848兆6,900億円から、2024年度は778兆9,902億円まで縮小しました。

背景にあるのが、死亡保障から医療・がんなどへの重心シフトです。高額な死亡保険金を主目的とする契約が減り、入院・手術などに備える医療系の契約が増えると、契約の数は増えても保障金額の累計は伸びにくくなります。保有契約1件あたりの保障額は、2018年度の約468万円から2024年度は約399万円へと小さくなっています。

このグラフに関連するトピック

保険種類別の保有契約件数(2024年度末、万件)

個人保険の保有契約件数を保険種類別に見た内訳。「その他」は変額保険・定期付終身保険・利率変動型積立終身保険・こども保険などを含む
読み解き

保有契約件数を保険種類別に見ると、医療保険が4,545万件(構成比約23.3%)で最も多く、次いで終身保険(3,848万件)、定期保険(2,721万件)、ガン保険(2,522万件)、養老保険(734万件)が続きます。

かつては死亡保障の終身保険・定期保険が中心でしたが、医療保険が件数で首位に立ち、ガン保険と合わせると医療系が大きな塊を占めるようになりました。これが、保有契約件数が増える一方で保有契約高(保障金額)が減るという乖離の中身です。医療系の保険は1件あたりの保障金額が小さいため、件数の増加が金額の累計に直結しないのです。

新契約と解約・失効の推移(2020-2024年度)

個人保険の新契約(契約転換による切り替えを除く新規の契約)と、中途で契約が消える解約・失効の動き
読み解き

新契約(契約転換による切り替えを除く新規の契約)は、新型コロナ禍の2020年度に件数が落ち込んだ後、おおむね1,290〜1,243万件の幅で推移しています。新契約高は2024年度に57兆639億円でした。

解約・失効は、契約者の都合による中途解約(解約)と、保険料の払込が滞って契約の効力が失われること(失効)を合わせたものです。解約・失効率(年度始の保有契約高に対する比率)は2024年度に5.6%で、前年度の5.9%から低下しました。物価上昇のもとで家計の保険料負担が意識される一方、解約の動きは落ち着いています。

主要論点

なぜ保有契約件数は増えているのに保有契約高は減っているのか?

個人保険の保有契約件数は2024年度に1億9,530万件で17年連続の増加ですが、保有契約高(保障金額の累計)は778兆9,902億円まで減少しています。件数(契約の数)と契約高(保障金額)が逆方向に動く、一見すると不思議な現象です。

理由は、保障の中身が死亡保障から医療・がんなどの第三分野へ移っていることにあります。死亡保険は、万一のときにまとまった保険金(数千万円規模になることもある)を支払う設計のため、1件あたりの保障金額が大きくなります。これに対し、医療保険やがん保険は、入院日額や手術給付金など、入院・手術といった出来事に応じて給付する設計で、1件あたりの保障金額(契約高)は小さく計上されます。

このため、医療系の契約が増えると、契約の「数」は増えても保障金額の「累計」は伸びにくくなります。実際、保有契約1件あたりの保障額は2018年度の約468万円から2024年度は約399万円へ縮小しました。契約動向を読むときは、件数(ストックの数)・契約高(保障金額の累計)・収入保険料(フローの保険料)を分けて見る必要があります。

解約・失効率は生命保険業界の何を映しているのか?

解約・失効率は、年度の始めにあった保有契約高に対して、その年度に解約・失効で消えた契約高がどれだけあったかを示す比率です。解約は契約者の都合による中途解約、失効は保険料の払込が滞って契約の効力が失われることを指します。2024年度の個人保険の解約・失効率は5.6%で、前年度の5.9%から低下しました。

この比率は、家計の状況や保険の見直し行動を映します。物価が上昇する局面では、家計の固定費として保険料が見直され、解約が増える要因になり得ます。一方で、保険ショップやインターネットを通じた乗り換え(新しい契約への切り替え)も解約・失効に含まれるため、必ずしも保障そのものをやめたとは限りません。

業界にとって解約・失効は、いったん獲得した契約からの収入が途中で失われることを意味するため、契約を長く継続してもらう取り組み(契約者向けのサービスやアフターフォロー)が重視されます。新契約の獲得と既存契約の維持の両面が、保有契約の規模を左右します。

人口減少のなかで契約件数の増加はいつまで続くのか?

保有契約件数の17年連続の増加は、医療・がんなどの保障ニーズの高まりと、1人で複数の保険に加入する世帯の広がりに支えられてきました。ただし、近年の伸び率は年1%にも満たない水準にとどまり、増加のペースは緩やかになっています。

中長期では、人口減少と高齢化が件数の基調を左右します。新規契約の母数となる現役世代が細る一方、高齢層の医療・介護・就業不能などへの備えは引き続き厚く、保障内容の重心が変わりながら契約が維持・更新されていく構図です。死亡保障の大型契約が減り、医療系の中小口の契約が積み上がる流れは続くとみられます。

このため、件数の伸びがいずれ頭打ちになっても、保障内容の質的な変化(第三分野へのシフト)は続く可能性が高いと考えられます。業界各社は、既存契約の維持や、医療・介護・資産形成といった新しいニーズに応える商品で、保有契約の規模を支えようとしています。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、保有契約件数の緩やかな増加と、保有契約高の減少傾向が並行して続くとみられます。医療・がんなどの第三分野の契約が件数を下支えする一方、死亡保障の大型契約の減少が契約高を押し下げる構図です。物価上昇下でも解約・失効率は落ち着いており、既存契約の維持が当面の焦点になります。

中期3-5年

中期では、死亡保障から医療・介護・就業不能などへのシフトが一段と進む見通しです。1件あたりの保障金額が小さい医療系の契約が積み上がるため、保有契約件数は底堅く推移する一方、保有契約高は伸びにくい状態が続きます。保障内容の質的な変化が、商品開発と既存契約のフォローの両面に影響します。

長期

長期では、人口減少と高齢化が契約件数の基調を決めます。新規契約の母数となる現役世代が細るため、件数の増加はいずれ頭打ちになる可能性があります。一方、高齢層の医療・介護ニーズは厚く、保障の重心が死亡から生存リスク(医療・介護・長生き)へ移る流れが続くと考えられます。

よくある質問

個人保険の保有契約件数はどのくらいですか?
2024年度末で1億9,530万件です(生命保険協会「生命保険の動向」)。2018年度の18,129万件から増え続けており、17年連続の増加となっています。医療・がんなどの保障ニーズの高まりや、1人で複数の保険に加入する世帯の広がりが背景です。
保有契約件数が増えているのに保有契約高が減るのはなぜですか?
保障の中身が死亡保障から医療・がんなどへ移っているためです。死亡保険は1件あたりの保障金額が大きい一方、医療保険やがん保険は入院・手術などに応じて給付する設計で1件あたりの保障金額が小さくなります。このため医療系の契約が増えると、契約の数は増えても保障金額の累計(保有契約高)は伸びにくくなります。保有契約1件あたりの保障額は2018年度の約468万円から2024年度は約399万円へ縮小しました。
保有契約高は2024年度にいくらですか?
個人保険の保有契約高は2024年度末で778兆9,902億円です。これは有効な契約の保障金額(主に死亡保障の金額)の累計で、2018年度の848兆6,900億円から減少が続いています。保険種類別では、定期保険や終身保険などの死亡保障が大きな割合を占めます。
新規契約と新契約は何が違いますか?
生命保険の統計では、契約転換制度(既存の契約を下取りして新しい契約に切り替える仕組み)による契約の扱いで2つに分かれます。「新規契約」は転換後の契約を含み、「新契約」は転換後の契約を含みません。本ページの新契約件数(1,243万件、2024年度)は、純粋に新しく引き受けた契約の指標です。
解約・失効率とは何ですか?
年度の始めにあった保有契約高に対し、その年度に解約・失効で消えた契約高の比率です。解約は契約者の都合による中途解約、失効は保険料の払込が滞って契約の効力が失われることを指します。2024年度の個人保険の解約・失効率は5.6%で、解約・失効高は44兆15億円でした。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    生命保険協会「生命保険の動向」2025年版
  2. 2.
    生命保険協会「生命保険の動向」2023・2024年版
📄 資料DL💬 無料相談