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損害保険の市場規模|正味収入保険料の推移と種目別構成【2026年版】

日本の損害保険の市場規模は、各社が最終的に保有する正味収入保険料でみると、FY2024に9兆5,782億円に達しました。再保険に出す前の元受正味保険料は、前年から増えて10兆円台に乗りました(10兆3,442億円)。種目別では任意自動車保険が46.5%と最大で、火災・新種が続きます。FY2024は火災・新種の二桁成長で前年比+4.9%と伸びが加速しました。市場規模の推移、正味と元受の違い、種目別の構成、再保険に出す割合の種目差まで順に整理します。

正味収入保険料(FY2024)
9兆5,782億円
再保険のやりとり後に各社が保有する保険料。業界規模を示す指標
出典: 損保協会 種目別統計表(FY2024)
元受正味保険料(FY2024)
10兆3,442億円
再保険に出す前の保険料。FY2024に10兆円台へ
出典: 損保協会 種目別統計表(FY2024)
任意自動車保険(FY2024)
4兆4,586億円
最大の種目、構成比46.5%
出典: 損保協会 種目別統計表(FY2024)
火災保険(FY2024)
1兆7,710億円
2番目に大きい種目、前年比+10.5%
出典: 損保協会 種目別統計表(FY2024)

正味収入保険料の推移(FY2018-2024、億円)

再保険のやりとり後に各社が保有する保険料。FY2018の8兆3,928億円からFY2024の9兆5,782億円まで拡大
読み解き

正味収入保険料は、FY2018の8兆3,928億円からFY2024の9兆5,782億円まで、おおむね右肩上がりで推移してきました。コロナ前のFY2019(8兆6,094億円)と比べると約11%の拡大です。FY2020-2021は新型コロナの影響もあって伸びが鈍りましたが、FY2022以降は火災・新種の伸びを背景に回復し、FY2024は前年比+4.9%と加速しました。

このグラフは正味収入保険料(再保険のやりとり後に各社が保有する保険料)の推移です。再保険に出す前の元受正味保険料はこれより大きく、FY2024で10兆3,442億円です。種目別の元受と正味の関係は、このあとの表で整理します。

このグラフに関連するトピック

種目別の正味収入保険料(FY2024、億円)

正味収入保険料を構成する7区分。任意自動車・火災・新種・傷害・自賠責・海上・運送
読み解き

FY2024の正味収入保険料9兆5,782億円のうち、任意自動車保険が4兆4,586億円(46.5%)と最大で、種目別で突出しています。これに火災(18.5%)、新種(17.6%)が続き、上位3種目で全体の8割超を占めます。任意自動車に強制保険の自賠責(6.9%)を加えた自動車関連で、保険料の過半に達するのが日本の損害保険の構成上の特徴です。

FY2024の伸びをみると、火災が前年比+10.5%、新種が+11.3%と二桁で伸び、全体の+4.9%を牽引しました。火災は自然災害の増加を受けた保険料率の改定、新種は賠償責任保険やサイバー保険などを含む区分で、いずれも近年の成長分野です。一方、最大種目の任意自動車は+2.9%にとどまり、自賠責は前年を下回りました。

種目別の元受正味保険料と正味収入保険料(FY2024、億円)

元受(再保険に出す前)と正味(再保険のやりとり後)を種目別に並べたもの。再保険に出す割合は種目で異なる
読み解き

元受正味保険料(再保険に出す前)と正味収入保険料(再保険のやりとり後)を種目別に並べると、再保険に出す割合は種目によって大きく異なります。傷害(元受9,095億円に対し正味6,911億円)や海上、火災(元受2兆550億円に対し正味1兆7,710億円)は再保険に出す割合が大きく、自然災害や大口契約のリスクを別の保険会社に移しています。

一方、任意自動車(元受4兆4,769億円に対し正味4兆4,586億円)はほとんど再保険に出していません。自賠責も元受と正味がほぼ同額ですが、これは選択的に再保険を使わないのではなく、すべての損害保険会社が共同でリスクを引き受けるプール(収支が中立になるノーロス・ノープロフィットのしくみ)のためで、年によっては正味が元受を上回ることもあります。業界全体の差7,660億円の多くは、火災・傷害・新種を再保険に出したことによるものです。

主要論点

損害保険の市場規模は「正味」と「元受」のどちらで語るべきか?

損害保険の市場規模を示す数字には、正味収入保険料(9兆5,782億円)元受正味保険料(10兆3,442億円)の2つがあり、FY2024で7,660億円の差があります。元受正味保険料は契約者から直接引き受けた保険料、正味収入保険料はそのうちリスクの一部を別の保険会社に移す再保険を反映して各社が最終的に保有する保険料です。

業界規模を語るときは、最終的な保有を示す正味収入保険料が主に使われます。元受が10兆円台に乗る一方で正味との差が広がっているのは、自然災害の増加を受けて、火災・傷害・新種などのリスクを再保険に出す動きが強まっているためです。

なお、すべての種目で正味が元受を下回るわけではありません。自賠責は全社共同のプール(ノーロス・ノープロフィット)のしくみで運営されるため正味と元受がほぼ同額で、年によっては正味が元受を上回ることもあります。市場規模を引用するときは、正味か元受か、どちらの値かを確認することが前提となります。

任意自動車保険が約半分を占める構造は、今後どう変わるか?

日本の損害保険は、任意自動車保険が46.5%(4兆4,586億円)と最大で、強制保険の自賠責(6.9%)を加えた自動車関連で保険料の過半を占めます。この構造は長く続いてきましたが、いくつかの要因で少しずつ変化しています。

自動ブレーキなど安全装備の普及や自動運転技術は、中期的に事故を減らし保険料を押し下げる方向に働きます。一方で、電子部品を多用した車の修理費の上昇は1件あたりの支払いを押し上げ、保険料の引き上げ要因になります。事故の減少と修理費の上昇という逆向きの力が、自動車保険の規模を左右します。

さらに、FY2024は火災(+10.5%)や新種(+11.3%)が二桁で伸び、任意自動車の伸び(+2.9%)を上回りました。自動車関連が過半を占める構造は当面続く見込みですが、火災・新種の成長が続けば、種目別の構成比は少しずつ変化していく可能性があります。

火災・新種の二桁成長を支えているのは何か?

FY2024に市場全体を牽引したのは、火災保険(+10.5%)と新種保険(+11.3%)の二桁成長です。それぞれ背景が異なります。

火災保険の伸びは、自然災害の増加を受けた保険料率の改定が主因です。台風や豪雨による保険金の支払いが増え、料率の目安となる参考純率は全国平均で引き上げられてきました。契約金額そのものが大きく増えたというより、1契約あたりの保険料が上がったことが規模を押し上げています。

新種保険は、賠償責任保険やサイバー保険など、新しいリスクに対応する保険を含む区分です。企業活動の多様化やデジタル化を背景に需要が広がり、近年の成長分野になっています。火災・新種はいずれも自然災害や社会の変化を映す種目で、自動車に次ぐ業界の伸びをけん引する存在になっています。

中期見通し

近未来1-2年

FY2025-2026は、火災保険の料率改定と新種保険の拡大が続き、正味収入保険料は緩やかな拡大が見込まれます。一方、最大種目の自動車保険は事故減少と修理費上昇のせめぎ合いで伸びが限られ、市場全体の伸び率は火災・新種の動向に左右されます。

中期3-5年

中期では、自然災害の増加を織り込んだ火災保険の料率設計と、賠償責任・サイバーなど新種保険の成長が、市場規模を押し上げる要因となります。再保険のコストや、人口減少に伴う自動車保有の頭打ちが、種目別の構成比を少しずつ変えていく可能性があります。

長期

長期では、人口減少と自動車保有の動向が国内市場の基調を決めます。自動運転や安全技術の普及で自動車保険の規模が頭打ちになる一方、気候変動に伴う自然災害リスクと新しいリスクへの備えが、火災・新種を中心に市場を支える構図が続く見通しです。市場規模を読むときは、正味と元受の違いや、種目ごとの集計範囲を踏まえることが前提となります。

よくある質問

損害保険業界の市場規模はどのくらいですか?
FY2024の損保協会会員会社ベースで、各社が最終的に保有する正味収入保険料が9兆5,782億円、再保険に出す前の元受正味保険料が前年から増えて10兆円台に乗り10兆3,442億円です。正味収入保険料は前年比+4.9%で、火災(+10.5%)と新種(+11.3%)の伸びが牽引しました。
正味収入保険料と元受正味保険料の違いは何ですか?
元受正味保険料は、保険会社が契約者から直接引き受けた保険料(再保険に出す前)です。正味収入保険料は、引き受けたリスクの一部を別の保険会社に移す再保険のやりとりを反映し、各社が最終的に自社で保有する保険料です。FY2024は元受が10兆3,442億円、正味が9兆5,782億円で、差の7,660億円は主に火災・傷害・新種を再保険に出した分です。業界規模は、最終的な保有を示す正味収入保険料が主に使われます。
損害保険で最大の種目は何ですか?
任意自動車保険で、FY2024の正味収入保険料は4兆4,586億円、構成比は46.5%です。これに火災(18.5%)、新種(17.6%)、傷害(7.2%)、自賠責(6.9%)が続きます。任意自動車に強制保険の自賠責を加えた自動車関連で、保険料の過半を占めます。
FY2024はどの種目が伸びましたか?
火災保険が前年比+10.5%、新種保険が+11.3%と二桁で伸び、市場全体の+4.9%を牽引しました。火災は自然災害の増加を受けた保険料率の改定、新種は賠償責任・サイバー保険などの需要拡大が背景です。最大種目の任意自動車は+2.9%、自賠責は前年を下回りました。
市場規模のデータはいつ時点のものですか?
本ページの数値は、損害保険協会「種目別統計表」の会員会社ベース、FY2024(2024年度=2024年4月〜2025年3月)通期の確定値です。同統計は年度単位で公表され、最新の確定値はFY2024です。種目別の構成比や前年比は、公表された保険料から算出しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本損害保険協会「種目別統計表」(会員会社ベース、年度通期)
  2. 2.
    日本損害保険協会「日本の損害保険ファクトブック2025」
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