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証券業界の再編と銀証連携|経済圏統合とグループ融合【2026年版】

証券業界では、業態の垣根を越えた再編が進んでいます。メガバンク系列では、銀行と証券を一体で運営する銀証連携が深まり、ネット・通信のグループでは、ポイントや決済の経済圏に証券を組み込む動きが広がりました。SBIによる新生銀行の子会社化、NTTドコモとマネックスの合弁など、銀行・証券・保険・通信をまたぐ融合が相次いでいます。本ページでは、証券業界の再編を、銀証連携・経済圏統合・グループ再編という3つの軸で整理します。

証券業界の再編・連携の3類型

銀証連携・経済圏統合・グループ再編の3つの軸で、業態を越えた再編の動きを整理する
読み解き

証券業界の再編は、3つの軸で捉えられます。第1の銀証連携は、メガバンク系の証券会社が親グループの銀行・信託と一体で営業する動きで、2022年の銀証ファイアウォール規制の緩和が後押ししました。第2の経済圏統合は、ネット・通信のグループがポイント・決済の経済圏に証券を組み込み、利用者を投資へ取り込む動きです。第3のグループ再編は、子会社化・合弁・非上場化といった資本再編で、銀行・証券・保険・通信をまたぐ業態融合を進めるものです。

これらは独立した動きではなく、重なり合っています。たとえばSBIによる新生銀行の子会社化は、グループ再編であると同時に、証券と銀行を束ねる経済圏統合でもあります。再編を「2極に集約」といった固定的な枠で捉えるのではなく、顧客基盤(銀行の取引先、通信の利用者)を投資にどう生かすかという観点で、個別の動きを見ていくのが実態に即しています。

主要論点

銀証連携とは何か、なぜ進むのか?

銀証連携は、銀行と証券会社が一体となって顧客に金融サービスを提供する取り組みです。メガバンク系列のSMBC日興証券・みずほ証券・三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、親グループの銀行・信託の顧客基盤を生かして営業します。

連携を後押ししたのが、銀証ファイアウォール規制の緩和です。もともと、銀行と証券の間では、顧客情報の共有や役職員の兼務に制限がありました(利益相反や優越的地位の濫用を防ぐため)。2022年の制度改正で、上場企業などの法人顧客については、本人が拒否しない限り情報を共有できる仕組み(オプトアウト)が導入され、銀行・証券の一体的な提案がしやすくなりました。銀行の取引先に証券のサービスを、証券の顧客に銀行のサービスを、グループ横断で提供する動きが進んでいます。

経済圏統合とは何か?(SBI・ドコモ・au・楽天)

経済圏統合は、ネット・通信のグループが、自社のポイントや決済の経済圏に証券を組み込み、利用者を投資へ取り込む動きです。

SBIは、2021年12月に新生銀行を子会社化(SBI新生銀行)し、証券・銀行・保険・暗号資産を抱える金融グループへと拡大しました。楽天は、楽天証券・楽天銀行・楽天カードを束ねる楽天経済圏を築いています。NTTドコモは、マネックスグループとの合弁でマネックス証券を経済圏に取り込みました(後述)。KDDI(au)は、三菱UFJフィナンシャル・グループと組み、auカブコム証券を「三菱UFJ eスマート証券」(2025年改称)としてau経済圏に位置づけています。ポイントを使った投資や、決済・銀行口座との連携で、これまで投資から遠かった層を取り込むのが狙いです。

ドコモとマネックスの提携では、両社が設立した合弁会社(ドコモマネックスホールディングス)の傘下にマネックス証券が入りました。出資比率はマネックスグループが51%・NTTドコモが約49%で、共同支配の合弁のため、マネックスグループはこれを連結子会社ではなく持分法適用会社として扱います(マネックス証券の収益の51%分を持分法で取り込む)。ドコモの利用者基盤とdポイント経済圏との連携で、口座獲得を進めています。

再編は証券業に何をもたらすのか?

業態融合の再編は、証券会社の競争のかたちを変えています。かつては独立系の証券会社が中心でしたが、いまは銀行・通信・ネットのどの顧客基盤を生かせるかが競争力を左右します。メガバンク系は銀行の取引先、通信系は携帯・ポイントの利用者という、巨大な顧客基盤を投資の入り口にできます。

一方で、独立系の大手(野村・大和)は、グループの顧客基盤に頼らない分、運用提案や投資銀行業務といった専門性で価値を出します。再編によって、「顧客基盤を生かすグループ系」と「専門性で勝負する独立系」という競争の構図が鮮明になりつつあります。ただし、再編がそのまま収益や顧客の拡大につながるとは限らず、システムの統合や企業文化の違いといった課題も伴います。「貯蓄から投資へ」を背景に、どの陣営が個人マネーを取り込めるかが、今後の焦点です。

中期見通し

近未来1-2年

銀証連携と経済圏統合が並行して進みます。メガバンク系は銀証一体の提案を、通信・ネット系はポイント経済圏との連携を強め、それぞれの顧客基盤を投資へ取り込む競争が続きます。

中期3-5年

「貯蓄から投資へ」で個人マネーが動くなか、顧客基盤の大きいグループ系(銀行・通信)が口座と預り資産を伸ばす可能性があります。独立系大手は、専門性とグローバル展開で差別化を図ります。新たな資本提携や再編の動きも続く見込みです。

長期5-10年

銀行・証券・保険・通信をまたぐ業態融合が一段と進めば、証券業は「総合金融サービスの一部」として再定義される可能性があります。再編の成否は、顧客基盤を実際の投資・預り資産にどれだけつなげられるかで決まります。

よくある質問

銀証連携とは何ですか?
銀行と証券会社が一体となって金融サービスを提供する取り組みです。SMBC日興証券(三井住友FG)・みずほ証券(みずほFG)・三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJ FG)が、親グループの銀行・信託の顧客基盤を生かして営業します。2022年の制度改正で銀証ファイアウォール(銀行・証券間の顧客情報共有の規制)が緩和され、連携が進みました。
SBIはなぜ新生銀行を買収したのですか?
SBIホールディングスは2021年12月に新生銀行を公開買付け(TOB)で連結子会社化し、SBI新生銀行は2023年9月に上場廃止となりました。証券に加えて銀行を傘下に収めることで、証券・銀行・保険・暗号資産を束ねる金融グループへと拡大し、グループの顧客基盤を相互に生かす狙いがあります。
ドコモとマネックスはどういう関係ですか?
NTTドコモとマネックスグループは、2023年10月に資本業務提携を結び、2024年に合弁会社(ドコモマネックスホールディングス)を設立しました。マネックスグループが51%・NTTドコモが約49%を出資する共同支配の合弁で、マネックス証券はその傘下にあります。マネックスグループはこれを持分法適用会社として扱います。ドコモのdポイント経済圏との連携で口座獲得を進めています。
auカブコム証券はなくなったのですか?
auカブコム証券は2025年に「三菱UFJ eスマート証券」へ社名を変更しました。三菱UFJフィナンシャル・グループの傘下で、KDDI(au)との連携によるau/Pontaポイント経済圏を強みとします。メガバンク系と通信系の両方の性格を持つネット証券です。
証券業界の再編は今後どうなりますか?
「貯蓄から投資へ」を背景に、銀行・通信・ネットの顧客基盤を生かせるグループ系と、運用提案や投資銀行業務の専門性で勝負する独立系大手という構図が鮮明になりつつあります。新たな資本提携や経済圏の連携が続く一方、システム統合や企業文化の違いといった課題も伴います。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    SBIホールディングス プレスリリース(新生銀行のTOB・SBI新生銀行の上場廃止)
  2. 2.
    マネックスグループ プレスリリース・FY2025通期 決算説明資料
  3. 3.
    各社・各FG開示(三井住友FG・みずほFG・三菱UFJ FG)/ 制度改正(2022年 銀証ファイアウォール緩和)
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