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証券会社の業態と主要プレイヤー|対面・ネット・メガバンク系の違い【2026年版】

日本の証券会社は、独立系大手・メガバンク系・ネット専業・中堅対面・外資系の5つの業態に大別され、対面とネットの二極で競い合います。独立系大手の野村ホールディングスは純営業収益18,925億円と国内の証券グループで最大規模、ネット専業のSBI証券はグループ口座1,500万を超えるなど、業態ごとに顧客層と収益モデルが異なります。本ページでは、証券会社の業態区分と主要プレイヤー、そして共通する4つの機能を整理します。

証券会社の業態区分

日本の証券会社は、チャネルと顧客層、収益モデルの違いから5つの業態に大別されます。下表は主要プレイヤーを業態別に整理したもので、各社の業態とチャネル・顧客の位置づけを示します。会社名から各社の詳細ページに移動できます(メガバンク系の証券会社は非上場のため親会社の持株会社にリンクします)。

独立系大手 — 野村・大和の総合証券

独立系大手は、銀行グループに属さない総合証券で、野村ホールディングス大和証券グループ本社の2社です。営業(ウェルスマネジメント)、引受やM&A助言を担う投資銀行・ホールセール、資産運用までを自前で抱え、富裕層・法人・機関投資家を主な顧客とします。チャネルは対面が中心で、運用提案や相続・事業承継、資金調達の助言で価値を出します。

野村ホールディングスは、米国会計基準(連結)で純営業収益18,925億円・当期純利益3,407億円(2024年度、自社開示で過去最高)、自己資本利益率(ROE)10.0%です。純営業収益・当期純利益とも国内の証券グループで最大規模で、ウェルスマネジメント・インベストメントマネジメント・ホールセールの3部門と、米州・欧州・アジアの海外3地域を展開します。

大和証券グループ本社は、日本基準(連結)で純営業収益6,460億円・親会社株主に帰属する当期純利益1,543億円、ROE9.8%で、独立系の2番手です。ウェルスマネジメントと投資銀行を二本柱とし、大和ネクスト銀行を通じた銀証連携も進めています。野村と大和は会計基準が異なるため、規模は基準の違いを踏まえて捉える必要があります。

メガバンク系 — 親銀行の基盤と銀証連携

メガバンク系は、3大銀行グループの証券子会社で、SMBC日興証券(三井住友フィナンシャルグループ傘下)、みずほ証券(みずほフィナンシャルグループ傘下)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下)の3社です。いずれも非上場の子会社で、財務は親グループの連結に含まれ、単独での開示は限られます。

強みは、親銀行の広大な顧客基盤と銀証連携(銀行と証券が顧客を相互に紹介し、預金から投資への移行を促す連携)です。法人の資金調達を支える引受やホールセール、富裕層向けのリテールに厚みがあります。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、米モルガン・スタンレーとの提携で投資銀行業務を強化しています。

親グループの信用力と店舗網を背景に、対面で法人・富裕層を取り込む一方、グループ内の銀行・信託・証券をまたぐ一体的なサービスが特徴です。銀証連携をめぐる規制(顧客情報の共有ルール等)の緩和が、各グループの戦略に影響しています。

ネット専業 — 低コストと経済圏で個人を取り込む

ネット専業は、店舗を持たず非対面の低コストで個人の取引を取り込む業態で、SBI証券(SBIホールディングス傘下)、楽天証券(楽天グループ傘下)、マネックスグループ松井証券などが並びます。株式売買手数料の無料化を集客の入口とし、信用取引の金利、投資信託、外国株、ポイント経済圏との連携で収益を確保します。主な顧客は若年層と新規投資家です。

SBI証券はネット最大手で、グループの証券口座は2025年に1,500万を超えました。親会社のSBIホールディングスは国際会計基準(IFRS)・グループ連結で当期純利益1,621億円・ROE12.8%ですが、これは銀行・保険・暗号資産を含むグループ全体の数値で、証券単体ではありません楽天証券はNISA口座が700万を突破し、楽天経済圏と連携しますが、楽天グループの連結は電子商取引・通信を含むため証券単体の財務とは異なります。

マネックスグループは国際会計基準(IFRS)・グループ連結で営業収益738億円ですが、2024年度は親会社で51億円の純損失でした(暗号資産交換業のコインチェックの上場に伴う一過性費用が主因)。米国のトレードステーションや暗号資産が中心で、マネックス証券はNTTドコモとの合弁であるドコモマネックスホールディングスの傘下にあり、持分法を通じて反映されます。松井証券は日本基準・非連結で純営業収益371億円・当期純利益105億円・ROE13.8%、ネット専業のパイオニアとして一日信用取引などで個人を取り込みます。

中堅対面・地場 — 地域に根ざしたリテール

中堅対面・地場は、特定の地域や顧客層に根ざして対面営業を続ける証券会社です。上場するものでは、東海東京フィナンシャル・ホールディングス(日本基準で当期純利益110億円・ROE6.1%)が地域金融機関との共同店舗を展開し、岡三証券グループ(同117億円)が独立系のリテールを中心に据えています。

さらに、丸三証券(当期純利益38億円)、極東証券(同44億円)、水戸証券、いちよし証券といった地場の中堅が、地域の個人・法人を対象に対面のリテール営業を行っています。これらは規模こそ大手に及びませんが、対面ならではの関係性を強みとしています。

中堅対面は、手数料無料化の波と人手の確保という課題に直面しつつ、地域の顧客基盤と運用提案で差別化を図っています。地域金融機関との連携や、後継者難を背景とした再編・統合の動きも見られます。

外資系 — ホールセールに特化

外資系は、海外の投資銀行の日本法人で、ゴールドマン・サックス証券、モルガン・スタンレーMUFG証券、JPモルガン証券、BofA証券、UBS証券などです。いずれも非上場で、個人向けのリテールはほとんど持たず、機関投資家向けのホールセール(トレーディング・株式や債券のセールス)と、大型のM&A助言・引受に特化します。

日本企業の海外案件やクロスボーダーのM&A、大型のエクイティ・債券発行で、独立系大手やメガバンク系とホールセールの領域で競合します。グローバルなネットワークと商品組成力が強みで、市場の局面によって収益の振れが大きいのも特徴です。

証券業の4つの機能

全業態が担い、どこに重点を置くかが業態の性格を決める
読み解き

証券会社の業務は、この4つの機能に整理できます。対面の独立系大手・メガバンク系は引受や自己売買を含む総合力で、ネット専業は委託売買と資産運用(投信・積立)で、外資系はホールセールでの委託売買・引受・自己売買で、それぞれ重点が異なります。委託手数料の無料化が進むなかで、各社とも資産運用・販売による継続的な収益への比重を高めています。

主要論点

対面とネットの二極化は、どこへ向かうのか?

証券会社は、対面(独立系大手・メガバンク系・中堅対面)とネット専業に大きく分かれ、手数料無料化がこの二極化を加速させました。ネット専業は低コストで個人の新規口座を取り込み、SBI証券のグループ口座は1,500万、楽天証券のNISA口座は700万に達しています。対面は富裕層・法人の運用提案や引受で価値を出し、野村は純営業収益18,925億円と最大規模を保ちます。

ただし、二極化は固定的ではありません。対面の大手もオンラインのツールを拡充し、ネット専業も対面に近い相談サービスや富裕層向けの取り組みを始めています。中堅対面や外資系は、この二極のどちらにも単純には収まらず、地域密着やホールセール特化という独自の位置を占めます。チャネルの違いよりも、預り資産に応じたストック型の収益をどう積み上げるかという点で、各業態の戦略は接近しつつあります。

銀証連携とグループ再編は、業態をどう動かすか?

業態の境界を動かしている大きな要因が、銀行と証券の連携(銀証連携)とグループ再編です。メガバンク系のSMBC日興・みずほ・三菱UFJモルガン・スタンレーは、親銀行の顧客基盤を生かし、預金から投資への移行を銀行・証券一体で促しています。銀証連携をめぐる規制の緩和が、各グループの一体運営を後押ししています。

ネット専業でも、SBIは地方銀行との連携や証券・銀行・保険を束ねるグループ戦略を進め、マネックスはNTTドコモとの合弁でマネックス証券を経済圏に組み込みました。中堅対面では、後継者難や手数料無料化を背景に、地域金融機関との連携や再編・統合の動きも見られます。資本のつながりと経済圏の囲い込みが、業態の地図を少しずつ描き替えています。

ネット専業の収益モデルは持続するのか?

ネット専業は、株式の委託手数料を無料化し、その周辺で収益を確保する戦略をとっています。信用取引の金利、投資信託の信託報酬、外国株、暗号資産、ポイント経済圏との連携が収益源です。松井証券は日本基準・非連結で純営業収益371億円・当期純利益105億円と、無料化のなかでも収益を確保しています。

一方で、課題もあります。低コストのインデックス型投資信託が広がるなかで運用報酬率の引き下げが進み、預り資産を積み増しても収益率は逓減しやすい構造です。マネックスグループのように、暗号資産や海外事業の損益が業績を揺らす例もあります(2024年度は一過性費用で51億円の純損失)。無料化した株式売買の周辺で、いかに安定した収益の柱を育てるかが、ネット専業の持続性を左右します。

中期見通し

近未来1-2年

新NISAを起点とした個人マネーの流入が続くなかで、ネット専業の口座獲得競争と、対面各社の預り資産ビジネスの強化が並行します。銀証連携の規制緩和を受けて、メガバンク系の銀行・証券一体運営がさらに進む見通しです。

中期3-5年

手数料無料化の定着で、各業態とも預り資産に応じたストック型の収益への転換が進みます。運用報酬率の引き下げ競争が続くため、規模の確保と顧客基盤の囲い込み(経済圏・銀証連携)が業態の競争力を分けます。中堅対面では再編・統合の動きが続く可能性があります。

長期5-10年

対面とネットの境界はさらに曖昧になり、デジタルと相談を組み合わせたハイブリッドのサービスが各業態で広がる見通しです。資本のつながりと経済圏を軸に業態の再編が進む一方、富裕層向けの運用提案やホールセールといった専門性の高い領域は、独立系大手・外資系の強みとして残ります。

よくある質問

証券会社にはどんな種類(業態)がありますか?
日本の証券会社は、独立系大手(野村・大和)、メガバンク系(SMBC日興・みずほ・三菱UFJモルガン・スタンレー)、ネット専業(SBI・楽天・マネックス・松井)、中堅対面・地場(東海東京・岡三など)、外資系(ゴールドマン・サックスなど)の5業態に大別されます。チャネル(対面かネットか)と顧客層、収益モデルが業態によって異なります。
対面証券とネット証券の違いは何ですか?
対面証券(独立系大手・メガバンク系・中堅対面)は、店舗や担当者を通じて富裕層・法人に運用提案や引受、相続・事業承継の助言を提供します。ネット専業(SBI・楽天・マネックス・松井)は、店舗を持たず非対面の低コストで個人の取引を取り込み、手数料無料化を入口に信用取引・投資信託・ポイント経済圏で収益を確保します。両者とも、預り資産に応じたストック型の収益への転換を進めている点は共通です。
日本で最大の証券会社はどこですか?
独立系大手の野村ホールディングスが、純営業収益18,925億円・当期純利益3,407億円(2024年度、米国会計基準)と、国内の証券グループで最大規模です。大和証券グループ本社(純営業収益6,460億円、日本基準)がこれに続きます。ネット専業ではSBI証券のグループ口座が1,500万を超えますが、SBIホールディングスの財務は銀行・保険を含むグループ全体のため、証券単体での比較はできません。
メガバンク系の証券会社は上場していますか?
SMBC日興証券・みずほ証券・三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、いずれもメガバンクグループの非上場の子会社で、財務は親会社(三井住友フィナンシャルグループ・みずほフィナンシャルグループ・三菱UFJフィナンシャル・グループ)の連結に含まれます。親グループの顧客基盤と銀証連携を強みとし、引受・ホールセールや富裕層向けリテールに厚みがあります。
証券会社はどんな業務(機能)を担っていますか?
証券会社は、投資家の注文を取引所に取り次ぐ委託売買、新規発行の株式・債券を引き受けて販売する引受、自己資金で売買する自己売買、投資信託やラップ口座を通じた資産運用・販売の4つの機能を担います。どの業態もこの4機能を担いますが、ネット専業は委託売買と資産運用、対面の大手や外資系は引受・自己売買にも重点を置くなど、業態によって力点が異なります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 決算短信・決算説明資料(2025年3月期)
  2. 2.
    EDINET提出書類(有価証券報告書)
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