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証券業の市場規模|純営業収益と売買代金の推移【2026年版】

証券業の事業規模は、証券会社の純営業収益(営業収益から金融費用を差し引いた、証券会社の実質的な稼ぎ)で表されます。日本証券業協会の会員259社合算で、純営業収益は2024年度に4.52兆円となり、2018年度の3.14兆円から拡大しました。舞台となる株式市場は、2025年の年間売買代金が1,510兆円(片道)、時価総額が1,192兆円にのぼります。本ページでは、証券業の規模を、純営業収益の長期推移と市場の活動量から整理します。

純営業収益(2024年度)
4.52兆円
会員259社の合算、2018年度の3.14兆円から拡大
出典: 日本証券業協会 会員の決算概況
株式売買代金(2025年・片道)
1,510兆円
売り買いの一方を数えた金額(片道)、市場の活動量
出典: 日本取引所グループ 統計月報
時価総額(2025年末)
1,192兆円
東証上場の内国株式、預り資産・運用ビジネスの規模を左右
出典: 日本取引所グループ 統計月報
上場会社数(本則3市場)
3,782
2025年、プライム・スタンダード・グロースの合計(TOKYO PRO Marketを除く)
出典: 日本取引所グループ 上場会社数の推移

証券業の純営業収益の推移 (1999-2024年度、兆円)

会員259社合算、2024年度は4.52兆円で1999年度以降で最も高い水準
読み解き

証券業の純営業収益は、株式市場の循環に沿って大きく上下してきました。ITバブル期の2000年3月期(1999年度)には3.47兆円ありましたが、その後のバブル崩壊で2002・2003年3月期には2兆円台まで落ち込みました。2000年代半ばの株式市場の活況で2006年3月期(2005年度)には4.48兆円まで回復したものの、リーマン・ショックの2009年3月期(2008年度)には2.45兆円へ急減しました。

2013年3月期以降はアベノミクスによる株高で持ち直し、その後は3兆円台後半で推移しました。2021年3月期(2020年度)はコロナ禍でも個人の取引が活発化して3.73兆円を確保し、株高と新NISAを追い風に2024年度には4.52兆円へ拡大しました。これは1999年度以降で最も高い水準で、前年度の4.10兆円からも伸びています。

このように証券業の規模は市場環境に強く依存し、活況の年には拡大し、相場の下落局面では大きく縮小します。なお、純営業収益を集計する対象の証券会社数は年により変動し、近年は259社前後です。市場の取引が活発になるほど手数料やトレーディングの収益が増える構造のため、株価や売買の動向が業界規模を左右します。

株式の年間売買代金の推移 (2021-2025年、片道、兆円)

2025年は1,510兆円、株高と取引の活発化で拡大
読み解き

株式の年間売買代金は、証券会社の手数料収益を左右する市場の活動量です。2021年の831兆円から2025年には1,510兆円へ拡大し、株高と取引の活発化を映しています。ここでの売買代金は、売りと買いのうち一方を数えた「片道」の金額です(投資部門別の集計では売りと買いの双方を数えるため、金額はおよそ2倍になります)。

同じ期間に東証の時価総額も753兆円(2021年末)から1,192兆円(2025年末)へ拡大しました。売買代金が日々の取引手数料を、時価総額が預り資産や運用ビジネスの規模を支えるため、市場の拡大は証券会社の収益機会を押し上げます。海外投資家・個人・国内法人といった投資部門別の担い手構造は、売買の動向を読むうえで重要な視点です。

このグラフに関連するトピック

主要局面の純営業収益と会員数

読み解き

主要な局面で並べると、証券業の規模が市場環境に強く連動してきたことが分かります。ITバブル期の2000年3月期は純営業収益3.47兆円でしたが、リーマン・ショックの2009年3月期には2.45兆円へ縮小し、当期純損益は0.35兆円の赤字となりました。続く2011年3月期も赤字が続き、相場の下落が業界全体の損益を直撃したことがうかがえます。

その後はコロナ禍の2021年3月期でも3.73兆円を確保し、新NISA開始後の2025年3月期には純営業収益4.52兆円・当期純利益0.80兆円へ拡大しました。会員数はこの間315社前後から259社へと推移しており、集計の対象会社数は年によって変動します。純営業収益・会員数・当期純損益はそれぞれ別の指標で、合算する関係にはありません。

主要論点

規模が拡大しているのに、なぜ手数料無料化が進むのか?

証券業全体の純営業収益は2018年度の3.14兆円から2024年度の4.52兆円へ拡大しました。一方で、ネット証券を中心に国内株式の売買手数料は無料化が進んでいます。一見矛盾するように見えますが、これは稼ぎ方の組み替えが起きているためです。

無料化が進むのは主に株式の委託手数料で、これは証券会社の収益の一部です。委託手数料が細る代わりに、引受などの手数料、自己売買のトレーディング損益、信用取引の金利や配当などの金融収益、投資信託やラップ口座の預り資産に応じた収益が業界を支えています。手数料の無料化は集客の入口であり、その周辺で収益を確保する戦略への転換が、規模を保ちながら進んでいます。

証券業の規模は、どこまで市場の活況に依存しているのか?

純営業収益の長期推移を見ると、証券業の規模は株式市場の循環にきわめて強く連動してきました。ITバブル崩壊後の2002・2003年3月期には2兆円台まで落ち込み、リーマン・ショックの2009年3月期には2.45兆円へ急減して業界全体が赤字になりました。逆に2000年代半ばの活況やアベノミクス以降の株高では大きく拡大しています。

この市場依存は、証券業の収益が売買代金やトレーディングといった相場連動の要素を多く含むことに由来します。各社が預り資産に応じたストック型の収益を強化しているのは、この相場変動の影響を和らげ、収益を安定させるねらいもあります。2025年の年間売買代金1,510兆円という市場の活動量が、引き続き業界規模の大きな変動要因です。

「貯蓄から投資へ」で、証券業の規模は伸び続けるのか?

2024年度の純営業収益4.52兆円は1999年度以降で最も高い水準で、新NISAを起点とした個人マネーの流入と株高がこれを押し上げました。新規口座の獲得と預り資産の積み上げは、証券会社にとって追い風です。

ただし、規模の拡大が今後も続くかは市場環境次第の面が大きいことに注意が必要です。純営業収益は相場の下落局面では大きく縮小する歴史を繰り返してきました。また、低コストのインデックス型投資信託が広がるなかで運用報酬率の引き下げも進んでおり、預り資産を積み増しても収益率は逓減しやすい構造です。個人の資産形成の定着と、相場変動への耐性をどう高めるかが、規模を持続的に伸ばせるかの論点になります。

中期見通し

近未来1-2年

純営業収益は、株式市場の動向に左右される展開が続きます。株高と新NISAによる個人マネーの流入が続けば、手数料・トレーディング・金融収益の各面で規模を支えます。一方、相場が調整すれば売買代金とともに収益が縮小しやすく、年ごとの変動は避けにくい構造です。

中期3-5年

各社が強化する預り資産ベースのストック型収益が定着すれば、相場変動の影響を和らげ、業界規模の振れを小さくする方向に働きます。一方で、運用報酬率の引き下げ競争が進むため、預り資産の積み上げが収益にどう結びつくかが、規模の伸びを左右します。

長期5-10年

「貯蓄から投資へ」が定着し、家計の金融資産に占める証券の比率が高まれば、証券業の規模は構造的に底上げされます。ただし人口減少や運用の低コスト化が逆風となるため、個人の資産形成をどこまで広げ、相場変動に強い収益構造をつくれるかが、長期の規模を決めます。

よくある質問

証券業界の市場規模はどれくらいですか?
証券会社(日本証券業協会の会員259社)の純営業収益は、2024年度の合算で4.52兆円です。純営業収益は、受入手数料・トレーディング損益・金融収益などを合算し、金融費用を差し引いた、証券会社の実質的な稼ぎを表します。2018年度の3.14兆円から拡大しました。
純営業収益と営業収益は何が違うのですか?
営業収益は、受入手数料・トレーディング損益・金融収益などの総額です。純営業収益は、そこから金融費用を差し引いた額で、証券会社の実質的な稼ぎを表します。2024年度の会員合算では、営業収益が6.09兆円、純営業収益が4.52兆円です。業界規模を見るときは、純営業収益を用いるのが一般的です。
証券業の規模は市場の活況にどれくらい左右されますか?
非常に強く左右されます。純営業収益は、リーマン・ショックの2009年3月期には2.45兆円へ急減して業界全体が赤字となり、相場の活況時には拡大してきました。証券業の収益は、売買代金やトレーディングといった相場連動の要素を多く含むためです。各社が預り資産ベースのストック型収益を強化しているのは、この変動を和らげるねらいもあります。
株式の年間売買代金はどれくらいですか?
東証の内国株式の年間売買代金は、2025年に1,510兆円(片道)です。片道とは、売りと買いのうち一方を数えた金額で、投資部門別の集計(売りと買いの双方を数える)ではおよそ2倍になります。同年末の時価総額は1,192兆円です。売買代金は証券会社の手数料収益を左右する、市場の活動量を表します。
証券業の市場規模データの出典は何ですか?
証券会社の純営業収益は、日本証券業協会「会員の決算概況」(全会員集計)が出典で、1999年度から2024年度までの長期データを用いています。株式の売買代金・時価総額・上場会社数は、日本取引所グループの統計月報・上場会社数の推移が出典です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本証券業協会 会員の決算概況
  2. 2.
    日本証券業協会FACT BOOK 2025
  3. 3.
    日本取引所グループ 統計月報・上場会社数の推移
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