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引受・IPO・投資銀行業務|資金調達の仲介と引受手数料【2026年版】

証券会社の投資銀行業務は、企業や国が発行する株式・債券を引き受け、投資家に販売することで、資金調達を仲介する仕事です。会員合算の引受手数料は2024年度に2,322億円、募集・売出しの取扱手数料は2,716億円でした。資金調達の象徴である新規公開(IPO)は、2025年に東証の国内新規上場で66社と、前年から減少しています。本ページでは、引受・IPO・投資銀行業務の仕組みと、証券会社の引受収益を整理します。

引受手数料(2024年度)
2,322億円
株式・債券の引受で得る手数料収益。会員合算(手数料ベース、取扱高ではない)
出典: 日本証券業協会 会員の決算概況
募集・売出しの取扱手数料
2,716億円
募集・売出しの取扱いで得る手数料収益(2024年度)。会員合算
出典: 日本証券業協会 会員の決算概況
IPO件数(2025年・東証国内)
66
東証の国内新規上場。前年(86社)から20社減少
出典: 東京証券取引所 新規上場会社情報

引受・募集手数料の推移 (FY2020-2024年度、億円)

会員合算の引受手数料と募集・売出しの取扱手数料。いずれも手数料収益で、相場環境や大型案件で年ごとの振れが大きい
読み解き

投資銀行業務の手数料(引受手数料+募集・売出しの取扱手数料)は、2024年度に合計5,038億円でした。内訳は引受手数料2,322億円、募集・売出しの取扱手数料2,716億円です。2024年度は株式市場の上昇を背景に、引受手数料が前年度の1,827億円から増えました。

年ごとの振れが大きいのが投資銀行業務の特徴です。2022年度は引受手数料1,215億円・募集取扱手数料1,656億円と落ち込みました。大型のIPOや公募増資、債券発行があるかどうかで、引受収益は大きく変動します。これらは引き受けた株式・債券の発行額(取扱高)ではなく、その仲介で得る手数料収益である点に注意が必要です。

このグラフに関連するトピック

引受・投資銀行業務の主な類型

証券会社が企業・国の資金調達を仲介する主な形
読み解き

投資銀行業務は、大きくエクイティ(株式)の引受債券の引受に分かれます。エクイティでは、未上場企業を上場させる新規公開(IPO)、上場企業の公募増資、既存株主の売出しを扱います。債券では、国債・地方債・社債などの引受を担います。

いずれも、証券会社が発行体(企業・国)と投資家の間に立ち、発行する株式・債券を引き受けて投資家に販売します。中心的な役割を担う証券会社を主幹事と呼び、引受審査・価格決定・販売を主導します。主幹事は大型案件ほど大手証券の投資銀行部門が担うことが多く、引受は規模と信用が問われる業務です。

主要論点

引受・投資銀行業務とは何か?

投資銀行業務(引受)は、企業や国の資金調達を仲介する仕事です。企業が新株を発行して資金を集める公募増資やIPO、国・企業が債券を発行する場合に、証券会社がその株式・債券を引き受け(アンダーライティング)、投資家に販売します。発行体は確実に資金を調達でき、証券会社は引受や売出しの取扱いに応じた手数料を得ます。

会員合算では、2024年度の引受手数料は2,322億円、募集・売出しの取扱手数料は2,716億円でした。委託売買の手数料が無料化で細るなか、引受・投資銀行業務は、対面の大手証券にとって重要な収益源です。ただし、引き受ける案件の規模や件数は相場環境に左右されるため、年ごとの振れが大きい収益です。

IPOはなぜ減っているのか?

東証の国内新規上場(IPO)は、2021年をピークに減少基調にあり、2025年は66社と前年(86社)から20社減りました。背景には、新興企業向けのグロース市場の株価が伸び悩んだこと、相場の先行き不透明感からIPOを見送る動きが広がったことがあります。

さらに、東証は2025年4月にグロース市場の上場維持基準を見直し、より高い成長が求められるようになりました。この結果、IPOの件数は減った一方で、IPO時の時価総額は平均・中央値とも上昇し、1件あたりの大型化が進んだとされます(東証)。件数の減少と1件あたりの大型化が同時に進んでいる点が、近年のIPOの特徴です。なお、ここでの件数は東証の国内新規上場で、TOKYO PRO Marketや地方取引所を含む全国の新規上場(より広い集計)とは範囲が異なります。

引受は、どの証券会社が強いのか?

引受・投資銀行業務は、案件が大型になるほど、大手証券の投資銀行部門が主幹事を担うことが多い業務です。野村ホールディングスや大和証券グループ本社などの独立系大手、メガバンク系の証券会社が、企業との関係や審査・販売の体制を生かして引受を手がけます。

たとえば大和証券グループ本社では、機関投資家向けのトレーディングと投資銀行業務を担う「グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング」部門の純営業収益が2,342億円(2024年度)です。引受の強さは主幹事の実績で測られますが、主幹事の件数やシェアは各社の公表ランキングで比較されるもので、ここでは大手の投資銀行部門が中心的な担い手であるという整理にとどめます。

中期見通し

近未来1-2年

IPOは、グロース市場の株価動向と相場環境に左右されます。件数は当面、低めの水準で推移する可能性があり、1件あたりの大型化が進むかが注目されます。公募増資や債券発行を含む引受全体は、金利環境と企業の資金調達需要で変動します。

中期3-5年

「貯蓄から投資へ」で個人マネーが市場に入り、企業の資金調達需要が高まれば、引受・投資銀行業務の機会が広がります。スタートアップの成長資金の供給や、事業再編に伴うエクイティ・債券の発行が、引受収益を左右します。

長期5-10年

委託手数料の無料化でフロー型の収益が細るなか、引受・投資銀行業務は、対面の大手証券にとって預り資産ビジネスと並ぶ収益の柱であり続けます。企業の資金調達を仲介する機能をどれだけ高度化できるかが、大手の競争力を左右します。

よくある質問

証券会社の引受(アンダーライティング)とは何ですか?
企業が発行する株式や、国・企業が発行する債券を、証券会社が引き受けて投資家に販売することです。発行体は確実に資金を調達でき、証券会社は引受や売出しの取扱いに応じた手数料を得ます。会員合算の引受手数料は2024年度に2,322億円、募集・売出しの取扱手数料は2,716億円でした。
IPOとは何ですか? 2025年は何社でしたか?
IPO(新規公開)は、未上場企業が新たに株式を上場し、公募・売出しで資金を調達することです。東証の国内新規上場は2025年に66社で、前年(86社)から20社減りました。なお、この件数は東証の国内新規上場で、TOKYO PRO Marketや地方取引所を含む全国の新規上場とは集計範囲が異なります。
IPOが減っているのはなぜですか?
グロース市場の株価が伸び悩んだこと、相場の先行き不透明感からIPOを見送る動きが広がったことが背景です。東証は2025年4月にグロース市場の上場維持基準を見直し、件数が減る一方でIPO時の時価総額は大型化が進んだとされます(東証)。件数の減少と1件あたりの大型化が同時に起きています。
引受手数料は株式の発行額のことですか?
いいえ。引受手数料は、証券会社が引受や売出しの取扱いで得る手数料収益で、引き受けた株式・債券の発行額(取扱高)とは別の指標です。発行額の何割かが手数料として証券会社の収益になります。会員合算の引受手数料は2024年度で2,322億円です。
引受はどの証券会社が担っているのですか?
案件が大型になるほど、大手証券の投資銀行部門が主幹事を担うことが多い業務です。野村・大和などの独立系大手、メガバンク系の証券会社が中心的な担い手です。主幹事の件数やシェアは各社の公表ランキングで比較されます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本証券業協会 会員の決算概況
  2. 2.
    東京証券取引所 新規上場会社情報
  3. 3.
    大和証券グループ本社 決算短信(2025年3月期)
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