農業機械の輸出統計・推移|仕向先別の動向と海外比率32%【2026年版】
輸出額の10年推移を見ます。2025年の輸出向け出荷は1,502億円(前年比 -4.9%)で、出荷総額の約32% を占めました。直近10年のレンジは1,502〜2,332億円で、2021年がピーク(2,332億円)、2025年が底に近い水準です。仕向先は米国・タイ・中国・ASEANが主軸で、中小型トラクター(米国向け)と水田用機械(ASEAN向け)が輸出の柱となっています。
輸出額の推移
| 年度 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 値(億円) | 1,664 | 1,773 | 1,904 | 1,926 | 1,786 | 2,332 | 2,159 | 1,797 | 1,580 | 1,502 |
| 前年比 | -7.5% | +6.5% | +7.4% | +1.2% | -7.3% | +30.6% | -7.4% | -16.8% | -12.1% | -4.9% |
輸出向け出荷は2016年の1,664億円から増加を続け、2021年に2,332億円のピークを記録しました(前年比 +30.6%)。コロナ後の海外需要回復と為替効果が重なった年です。
2022年以降は4年連続で前年割れが続き、2025年は1,502億円(同 -4.9%)まで縮小しました。輸出比率は2021年の44.3% をピークに2025年は32.1% まで低下しています。海外市場の需要調整、現地生産化の進展、為替動向などが複合的に影響していると見られます。
参考: 地域別輸出額の推移(2020-2024、億円)
日農工 出荷統計 (上のchart) と異なり、通関ベースFOB価格、農業機械の品目別合算| 年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北米(億円) | 1,179 | 1,617 | 2,083 | 1,348 | 1,491 |
| アジア(億円) | 627 | 683 | 698 | 725 | 729 |
| 欧州(億円) | 316 | 507 | 493 | 633 | 448 |
| その他(億円) | 123 | 205 | 227 | 201 | 182 |
| 合計(億円) | 2,245 | 3,012 | 3,501 | 2,907 | 2,850 |
| 前年比 | — | +34.2% | +16.2% | -17.0% | -2.0% |
2024年の貿易統計ベース総輸出は2850億円で、北米1491億円(52.3%)が圧倒的シェアを占めます。アジア729億円(25.6%)、欧州448億円(15.7%)が続き、中近東・NIS・中南米・アフリカ・大洋州5地域の合算(その他)は182億円(6.4%)に留まります。
北米は2022年に2,083億円のピークを記録した後、2023年に1,348億円へ急落し、2024年は1,491億円で部分回復。米国不動産・農業機械市場の調整局面とドル円相場の変動が影響しています。アジアは5年間627→729億円と緩やかに増加(中国・タイ・ベトナム向けが安定)。欧州は2023年に633億円までピーク後、2024年は448億円へ縮小しました。
※ 本chartの合計(2850億円)は、上の日農工 出荷統計の輸出額(1,502億円、2025年)と乖離します。両者は集計方法が異なるためで、貿易統計は中古機・部品・他社品も含む通関FOB価格、出荷統計は日農工会員社の出荷時の社内売価ベースです。
2024年 地域別輸出シェア(億円)
北米が過半、アジアが約1/4、欧州が16% の三極構造| 項目 | 輸出額(億円) | 構成比 | シェア |
|---|---|---|---|
| 北米 | 1,491 | 52.3% | |
| アジア | 729 | 25.6% | |
| 欧州 | 448 | 15.7% | |
| 大洋州 | 72 | 2.5% | |
| 中南米 | 82 | 2.9% | |
| アフリカ | 17 | 0.6% | |
| 中近東 | 7 | 0.3% | |
| NIS(旧ソ連) | 3 | 0.1% | |
| 合計 | 2,849 | 100.0% |
北米が1491億円(52.3%)と過半を占める構造で、クボタの中小型トラクター(米国流通網)が主軸です。アジアは729億円(25.6%)でタイ・ベトナム・中国向けの水田用機械(コンバイン・田植機)が中心。欧州は448億円(15.7%)でフランス・ドイツ向けが主軸となります。
仕向先・輸出構造の整理
日本の農業機械輸出は、米国・タイ・中国・ASEANが主要仕向先です。米国向けは中小型トラクター(クボタ製が中心)、ASEAN向けは水田用機械(田植機・コンバイン)が柱で、地域ごとに製品性質が異なります。
財務省貿易統計(HSコード8432-8436)では仕向先別の細かいデータが取得可能で、日農工出荷統計と併用することで業界の輸出構造を立体的に捉えられます。両者は集計方法が異なるため(会員社の出荷ベースvs通関ベースのFOB価格)、同じ「輸出」でも金額帯にずれが出る場合があります。
中長期では、新興国(インド・ASEAN)での農業機械化進展、欧米での電動化対応、現地生産化の進展により、業界全体の輸出構造が再編される可能性があります。クボタのインド・エスコーツ買収(2021年、1,400億円)など、現地生産で対応する動きが各社で進んでいます。
方法論・補足
- 【データソース】日本農業機械工業会の出荷統計に含まれる「輸出向け」系列を採用。会員社集計の暦年ベースで、業界全体の輸出動向を最も継続的に追跡できる一次データです。
- 【財務省貿易統計との関係】財務省貿易統計はHSコード(8432: 土壌・肥料機械、8433: 収穫機、8434: 搾乳機、8436: その他農業機械)で農業機械を集計しており、e-Stat経由で仕向先別の細かいデータが取得可能。日農工統計と財務省統計は集計方法が異なるため、用途に応じて使い分けが必要。
- 【現地生産との切り分け】クボタ北米子会社の現地生産分は、日本からの部品輸出のみが本統計に計上され、完成機の現地販売額は含まれません。グローバル販売台数を見る場合は各社IRの地域別開示と併用が必要。
- 【輸出比率の長期トレンド】2021年の44.3% をピークに、2025年は32.1% まで低下。海外需要の調整、為替動向、現地生産化の進展が複合的に作用していると見られる。
よくある質問
日本の農業機械の2025年の輸出額はどれくらいですか?
農業機械の主要輸出先はどこですか?
輸出比率はなぜ低下しているのですか?
参考資料 / 一次ソース
- 1.日本農業機械工業会 出荷統計
- 2.財務省貿易統計