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TOPIC DETAIL · ICT & ELECTRIFICATION

建設機械のICT施工・電動化|省人化と脱炭素に向けた技術の動向【2026年版】

建設機械の競争軸は、機械単体の性能から、現場の課題を解く技術へと広がっています。中心となるのが、衛星測位と3次元データで施工を自動・半自動化するICT施工、現場の脱炭素を担う電動化、そして鉱山で先行する自動化・遠隔操作の3つです。人手不足と脱炭素という社会の課題を背景に、国の政策と各社の技術開発が、建設機械の使われ方を変えつつあります。それぞれの動向を整理します。

建設機械のICT施工はどこまで進んでいるか

ICT施工とは何か — 衛星測位と3次元設計データ

ICT施工とは、衛星測位(GNSS)や3次元の設計データを使って、建設機械を自動・半自動で制御しながら施工する方法です。たとえば油圧ショベルやブルドーザに3次元の設計データを読み込ませ、刃先の位置を自動で制御すれば、熟練の技術がなくても設計どおりに掘削・整地ができます。測量から施工、出来形の確認までを一連のデータでつなぐことで、作業の手戻りを減らし、少ない人数で正確な施工を可能にします。建設現場の人手不足を補う技術として、普及が進んでいます。

政策が標準化を後押しする — i-Construction 2.0

ICT施工の普及を後押ししているのが、国土交通省の政策です。国交省はi-Construction 2.0を掲げ、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進め、生産性を1.5倍に高める目標を示しています。施工・データ連携・施工管理のオートメーション化を3つの柱とし、国の直轄工事でICT施工の標準化を進めています。公共工事での採用が広がることで、建設会社やメーカーがICT施工へ対応する動きが加速しています。政策が需要を生み、技術の普及を後押しする構図です。

メーカーの対応 — ICT建機化率の高まり

メーカーも、ICT施工に対応した建設機械の開発を進めています。コマツでは、販売する建設機械に占めるICT対応建機の比率(ICT建機化率)が、日米欧豪で28.7%まで高まっています(この比率はコマツの建設機械の比率であり、建設現場でICT施工が行われる割合とは異なる指標です)。3次元のマシンガイダンスやマシンコントロールを標準で搭載した機種の投入が進み、現場のデータを活用して施工計画から運用までを支援する取り組みも広がっています。機械を売るだけでなく、ICTで施工全体の効率を高めるサービスへと、各社の事業が広がっています。

電動化はなぜ小型から始まるのか

脱炭素に向けた電動建機の開発と、大型機に残る技術的な課題
脱炭素と電動建機

建設機械の電動化は、建設現場の脱炭素を目的とした技術トレンドです。従来の建設機械はディーゼルエンジンで動き、稼働時に二酸化炭素を排出します。これをバッテリーや電動モーターに置き換えることで、現場での排出をなくし、騒音や振動も抑えられます。各社が電動の油圧ショベルを開発し、都市部の工事や屋内・夜間の作業など、排出や騒音の制約が大きい現場での活用が期待されています。

大型機の壁 — バッテリー容量と稼働時間

一方で、電動化には技術的な課題が残ります。最大の壁が、バッテリーの容量と稼働時間です。建設機械は重い土砂を掘削・運搬するため大きな動力を必要とし、機械が大型になるほど消費する電力も大きくなります。現在のバッテリー技術では、大型機を一日中稼働させるのに十分な容量を積むことが難しく、充電のための時間やインフラも課題です。このため、電動化はまず消費電力の小さい小型機や、充電環境を整えやすい都市部の工事から普及が始まると見られています。大型機の本格的な電動化には、なお時間を要する見通しです。

制度の後押し — GX建設機械認定制度

電動化を後押しするため、国も制度を整えています。国土交通省はGX建設機械認定制度を設け、電動(バッテリー式・有線式)の油圧ショベルやホイールローダなどを認定の対象としています。カーボンニュートラルに資する建設機械の普及を促す仕組みで、コマツ・コベルコ建機・竹内製作所などが認定を取得しています。補助制度と組み合わせて電動建機の導入を支援する動きもあり、制度面からの普及の後押しが進んでいます。

自動化・遠隔操作はどこで先行するか

鉱山で確立した無人化を起点に、建設現場へ展開が進む
鉱山で先行する無人化 — 無人ダンプの運行システム

建設機械の自動化が最も進んでいるのは、鉱山です。広大な鉱山では、ダンプトラックを無人で走行・運搬させる運行システムが実用化されており、コマツの無人ダンプトラックの累計導入は1,016台に達しています。鉱山は、決まった経路を24時間走行する作業が多く、立ち入りが制限された閉じた環境であるため、自動化と相性がよい現場です。人手をかけずに安全に稼働を続けられる価値が明確で、自動化がいち早く事業として成立しました。

建設現場への展開と遠隔操作

鉱山で確立した自動化の技術は、建設現場へも広がりつつあります。ただし、一般の建設現場は、人や車両が出入りし、作業の内容も多様で、鉱山ほど環境を制御できません。このため、完全な無人化よりも、まずは遠隔操作や、機械が一部の作業を自動で行う半自動化から導入が進んでいます。離れた場所から複数の機械を操作したり、危険な場所の作業を遠隔で行ったりすることで、安全性を高めながら省人化を進めます。災害復旧など、人が立ち入りにくい現場での遠隔操作も実用化されています。

人手不足が後押しする自動化

自動化・遠隔操作の普及を後押しするのが、建設業の人手不足です。技能労働者の高齢化と担い手不足が深刻ななか、少ない人数で、あるいは熟練でなくても工事を進められる技術への期待が高まっています。自動化は、人手不足という構造的な課題に直結するため、コストや技術の課題を越えて導入が進みやすい分野です。鉱山で実績を積んだ技術を建設現場に適応させながら、各社が自動化・遠隔操作を次の競争軸に位置づけています。

主要論点

ICT施工はなぜ普及が進むのか?

ICT施工の普及を支えているのは、人手不足という現場の課題と、国の政策の二つです。建設業では技能労働者の高齢化と担い手不足が深刻で、少ない人数で正確に施工できるICT施工は、この課題に直結します。熟練の技術がなくても設計どおりの施工ができるため、人材の確保が難しいなかでも品質を保てます。

国の政策も強い後押しです。国土交通省はi-Construction 2.0を掲げ、2040年度までの省人化3割を目標に、国の直轄工事でICT施工の標準化を進めています。公共工事での採用が広がることで、建設会社やメーカーが対応を急ぐ動きが加速しています。

メーカー側も、ICT対応建機の開発を進めています。コマツのICT建機化率は28.7%(日米欧豪)まで高まり、3次元マシンガイダンスを標準搭載した機種が広がっています。現場の課題・政策・技術供給の三つがそろい、ICT施工は普及が進みやすい環境にあります。

電動化はいつ・どこから本格化するのか?

建設機械の電動化は、小型機と、排出や騒音の制約が大きい現場から始まると見られています。電動化の最大の課題は、バッテリーの容量と稼働時間です。建設機械は大きな動力を必要とし、大型になるほど消費電力も増えるため、現在の技術では大型機を一日中稼働させる容量を積むのが難しいのが実情です。

このため、まずは消費電力の小さい小型の油圧ショベルや、都市部・屋内・夜間など排出や騒音を抑えたい現場から普及が始まります。国のGX建設機械認定制度や補助制度が、電動建機の導入を後押ししています。

大型機の本格的な電動化には、バッテリー技術の進歩や充電インフラの整備が必要で、なお時間を要する見通しです。電動化は、現場の特性と技術の制約を踏まえ、対応しやすい領域から段階的に広がっていくと考えられます。

自動化・遠隔操作は、鉱山から建設へどう広がるのか?

自動化は、鉱山で先に実用化され、建設現場へ広がるという順で進んでいます。鉱山は、決まった経路を走行する作業が多く、立ち入りが制限された閉じた環境のため、自動化と相性がよい現場です。コマツの無人ダンプトラックの累計導入は1,016台に達し、人手をかけずに安全に稼働を続ける仕組みが事業として確立しています。

一方、一般の建設現場は、人や車両が出入りし、作業も多様で、鉱山ほど環境を制御できません。このため、完全な無人化よりも、遠隔操作や半自動化から導入が進んでいます。離れた場所から機械を操作することで、危険な作業の安全性を高めながら省人化を進められます。

この展開を後押しするのが、建設業の人手不足です。少ない人数で工事を進める必要があるなか、鉱山で実績を積んだ自動化技術を建設現場に適応させる取り組みが、各社の次の競争軸となっています。

よくある質問

ICT施工とは何ですか?
ICT施工とは、衛星測位(GNSS)や3次元の設計データを使い、建設機械を自動・半自動で制御しながら施工する方法です。設計データに沿って刃先の位置を自動制御すれば、熟練の技術がなくても正確に掘削・整地ができ、少ない人数で施工できます。測量から施工・出来形確認までをデータでつなぎ、手戻りを減らします。建設現場の人手不足を補う技術として普及が進んでいます。
i-Construction 2.0とは何ですか?
i-Construction 2.0は、国土交通省が掲げる建設現場のオートメーション化の方針です。2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進め、生産性を1.5倍に高めることを目標としています。施工・データ連携・施工管理のオートメーション化を3つの柱とし、国の直轄工事でICT施工の標準化を進めることで、ICT施工の普及を後押ししています。
電動の建設機械はどこまで普及していますか?
電動の建設機械は、まず小型機や、排出・騒音の制約が大きい都市部の工事から普及が始まる段階です。各社が電動の油圧ショベルを開発し、国もGX建設機械認定制度を整えています。ただし、大型機はバッテリーの容量と稼働時間が課題として残り、一日中の稼働に十分な電力を積むことが難しいため、本格的な電動化にはなお時間を要する見通しです。
建設機械の自動運転・遠隔操作はどこで使われていますか?
自動化が最も進んでいるのは鉱山です。決まった経路を走行する閉じた環境のため自動化と相性がよく、コマツの無人ダンプトラックの累計導入は1,016台に達しています。一般の建設現場は環境が多様なため、完全な無人化よりも遠隔操作や半自動化から導入が進み、危険な作業や災害復旧などで遠隔操作が実用化されています。
ICT施工や電動化は、建設機械メーカーにどう影響しますか?
機械を売って終わりではなく、ICTで施工全体の効率を高めるサービスや、稼働を支える技術へと、各社の事業が広がっています。コマツのICT建機化率は28.7%(日米欧豪)まで高まり、3次元マシンガイダンスを標準搭載した機種が増えています。価格競争力で攻める新興メーカーに対し、ICT施工・電動化・自動化といった技術とサービスで付加価値を高めることが、各社の競争軸になっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省i-Construction 2.0(令和6年4月)
  2. 2.
    コマツ 決算短信(2026年3月期、米国基準)
  3. 3.
    国土交通省GX建設機械認定制度 / 各社IR
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