建設機械業界の市場規模・主要企業・動向
日本の建設機械業界は出荷金額3兆4,124億円で約7割を輸出が占め、コマツ・日立建機が世界上位に位置します。ICT施工と電動化が次の競争軸となっています。
建設機械業界とは、油圧ショベル・クレーン・道路機械など、建設・土木・鉱山の現場で使う機械を製造・販売する産業です。2025年の出荷金額は3兆4,124億円で、約7割にあたる2兆3,794億円を輸出が占めます。世界市場ではコマツが2位、日立建機が7位に位置し、首位の米キャタピラーや台頭する中国勢と競合しています。国内の建設投資やインフラ更新への対応、ICT施工・電動化が共通の論点です。本ページでは、建設機械業界を、市場規模、機種別動向、主要メーカー、世界競争、業界構造、需要構造、ICT・電動化の7軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
建設機械業界とは、油圧ショベル・クレーン・道路機械など、建設・土木・鉱山の現場で使う機械を製造・販売する産業です。日本市場ではコマツと日立建機が世界上位に位置し、油圧ショベルを中核に幅広い機種を手がけています。建設機械は輸出が約7割を占めるグローバル産業で、国内のインフラ需要と海外の建設・資源需要の双方が市場を動かします。
- 建設機械は、掘削・整地・運搬・揚重・舗装などの作業を担う機械群です。代表的な機種は油圧ショベル・ミニショベル・建設用クレーンで、ほかにブルドーザ・ホイールローダ・道路機械などがあります。
- 日本市場ではコマツ・日立建機が世界上位に位置し、世界市場では米キャタピラーが首位、中国のXCMG・SANYが台頭しています。日本勢は油圧ショベルと鉱山機械で強みを持っています。
- 顧客は建設・土木会社、レンタル会社、資源開発事業者などで、輸出が出荷の約7割を占めます。国内のインフラ更新と人手不足対応、海外の資源・インフラ投資が需要を支えています。
市場動向
建設機械市場は出荷金額3兆4,124億円(2025年)の規模で、輸出が約7割を占めるグローバル産業です。2021年から2023年にかけて円安と海外需要で記録的な水準まで拡大した後、2024年・2025年は調整局面にあります。世界市場ではコマツが2位、日立建機が7位に位置し、ICT施工と電動化への対応が中長期の競争軸となっています。
- 出荷金額は2025年に3兆4,124億円(前年比1.3%減、CEMA暦年確報)で2年連続の減少です。2021年の2兆7,569億円から2023年に3兆7,912億円まで急増した後、調整が続いています。
- 外需は2兆3,794億円(2025年)で出荷の約7割を占め、2年ぶりに増加へ転じました。油圧ショベルとミニショベルの2機種が本体出荷の過半で、輸出の伸びが牽引しています。
- 世界市場では米キャタピラーがシェア15.9%で首位、コマツが11.2%で2位、日立建機が7位です。中国メーカー13社が世界トップ50に入り、競争が強まっています。
競争環境
建設機械業界では、油圧ショベルからクレーンまで幅広く手がける総合メーカー、特定機種に強い専業メーカー、海外の大手、台頭する中国勢など多様なプレイヤーが活動しています。コマツと日立建機が世界上位に位置し、世界市場での競争、ICT施工・電動化への対応、国内外の需要変動への適応が業界共通の論点となっています。
- 国内では総合メーカーのコマツ・日立建機・コベルコ建機・住友建機に加え、クレーン専業のタダノ、ミニショベルで欧米に強い竹内製作所などが活動しています。それぞれが機種や地域で強みを分けています。
- 世界市場ではキャタピラー(米)、John Deere(米)、Liebherr(独)などの大手と、XCMG・SANY(中)などの中国勢が競合します。コマツ・日立建機は油圧ショベルと鉱山機械で世界的な地位を築いています。
- 競争軸は機械単体の販売から、ICT施工・電動化・自動運転や遠隔操作、部品・サービスへと広がっています。コマツのスマートコンストラクションや無人ダンプ運行システムなど、現場のデータ活用が進んでいます。
市場規模推移
2015-2025 · 内需(国内向け) + 外需(輸出向け)建設機械の出荷金額推移(暦年、内需・外需の積み上げ)
2025年の建設機械の出荷金額は3兆4,124億円で、前年比1.3%減と2年連続の減少となりました(日本建設機械工業会の暦年確報)。直近の推移を見ると、2021年の2兆7,569億円から円安と海外需要を背景に輸出主導で急増し、2023年には3兆7,912億円と2015年以降で最も高い水準に達しました。
その後、2024年に4年ぶりの減少へ転じ、2025年も小幅な減少が続いています。ただし2025年は外需が2年ぶりに増加へ転じており、減少幅は前年の8.8%減から1.3%減へと縮小しました。建設機械は輸出が約7割を占めるため、為替や海外の建設・資源需要の変動が市場全体を大きく左右します。
2025年の出荷金額3兆4,124億円のうち、外需(輸出)は2兆3,794億円(前年比0.6%増)で、内需1兆330億円(同5.3%減)を大きく上回ります。内需は2年連続で減少した一方、外需は2年ぶりに増加へ転じ、対照的な動きとなりました。
機種別では、補給部品を除く本体の出荷(約2兆9,664億円)のうち、油圧ショベルが1兆1,497億円(同4.7%増)で最大の機種となり、ミニショベルと合わせたショベル系の2機種でその過半を占めます。油圧ショベルの輸出が10.1%増と伸び、地域別では欧州向けが24.6%増と大きく増加しました。建設用クレーンは内需が中心で、国内のインフラ・物流投資を反映しています。
建設機械の需要は、国内では建設投資とインフラの維持更新、海外では資源開発とインフラ投資に左右されます。国内は人手不足を背景に省人化投資が下支えする一方、資材高や金利環境が設備投資の重しとなっています。
海外では、銅・金などの鉱山開発が鉱山機械の需要を牽引し、資源価格の動向が業績に直結します。北米・欧州のインフラ投資、アジアの建設需要も主要な変動要因です。建設機械はレンタルを通じた利用も広がっており、レンタル会社の保有・更新が国内出荷の一定割合を占めています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要日本の建設機械業界は、油圧ショベルからクレーンまで幅広く手がける総合メーカーと、特定機種に強い専業メーカーで構成されます。総合メーカーのコマツ・日立建機は世界市場でも上位に位置し、コベルコ建機・住友建機が続きます。専業では、クレーンのタダノ、ミニショベルの竹内製作所などが強みを持っています。
上流では、鉄鋼・エンジン・油圧機器・電装品・衛星測位システムなどの部材メーカーが供給を支えます。下流では、メーカー系のディーラー網とレンタル会社が販売・利用を担い、レンタルを通じた建設機械の利用が国内で広く定着しています。
世界市場では米キャタピラーが首位、コマツが2位、日立建機が7位に位置します。中国のXCMG・SANYなどが新興国を中心にシェアを伸ばし、競争が強まっています。日本勢は油圧ショベルと鉱山機械で世界的な地位を築いており、コマツは無人ダンプ運行システム、日立建機は鉱山機械と部品・サービスを強化しています。
各社の収益構造は異なります。コマツは建設機械・鉱山機械・産業機械を持つ多角化・グローバル型、日立建機は油圧ショベルと鉱山向けに強い構造です。連結売上は海外の現地生産を含むため、国内出荷ベースの市場規模とは集計範囲が異なります。日立建機は2027年4月に「ランドクロス」へ商号を変更する予定です。
業界の方向性を左右するのが、ICT施工と電動化です。国土交通省のi-Construction 2.0は2040年度までの省人化3割を掲げ、2025年度から国の直轄工事でICT施工の標準化が進んでいます。コマツのICT建機化率は28.7%まで高まり、各社が衛星測位と3次元設計データを使った施工を広げています。
電動化では、国が電動建設機械の認定制度を整備し、各社が電動ショベルを開発しています。大型機はバッテリー容量と稼働時間が課題で、小型機や都市部の工事から普及が始まる段階です。自動運転・遠隔操作は鉱山機械の無人化で先行し、建設現場への展開が進んでいます。
業界の3大論点
外需依存の市場構造は、国内市場の縮小をどこまで補えるか?
建設機械は出荷金額の約7割が輸出向けで、2025年の外需は2兆3,794億円に達します。2021年から2023年にかけては円安と海外の建設・資源需要を背景に輸出が急増し、出荷金額は3兆7,912億円と2015年以降で最も高い水準まで拡大しました。一方、国内向けの内需は1兆330億円で2年連続の減少となり、人手不足を背景とした省人化投資が下支えするものの、資材高や金利環境が設備投資の重しとなっています。
この構造は、海外景気と為替の変動が業績を大きく左右することを意味します。2024年は外需が11.1%減少して市場全体を押し下げましたが、2025年は外需が0.6%増と2年ぶりに回復し、減少幅が縮小しました。北米のインフラ投資、欧州の建設需要、資源国の鉱山開発が外需の柱です。
今後を見るうえでは、海外需要の回復ペース、為替動向、国内のインフラ更新・防災投資の継続が観察軸になります。国内市場が構造的に伸びにくいなか、輸出と海外現地生産をいかに安定させるかが、各社の収益を左右する論点です。
コマツ・日立建機は、台頭する中国勢とどう競争していくか?
世界の建設機械市場では、米キャタピラーがシェア15.9%で首位、コマツが11.2%で2位、日立建機が7位に位置します(KHL Yellow Table)。一方で、中国のXCMG・SANYなどが世界トップ50に13社入り、価格競争力と自国市場の規模を武器に存在感を高めています。中国勢は新興国市場を中心にシェアを伸ばしており、日本勢にとって競争環境は厳しさを増しています。
日本勢が強みを持つのは、油圧ショベルと鉱山機械です。コマツは無人ダンプトラック運行システムを鉱山向けに展開し、累計導入台数は1,000台を超えました。日立建機も鉱山機械と部品・サービス事業を強化し、中期経営計画で世界トップスリーを目指しています。両社とも、機械単体の価格競争ではなく、ICT施工・自動化・アフターサービスを組み合わせた付加価値で差別化を図っています。
論点は、コスト競争力で攻める中国勢に対し、技術とサービスでどこまで優位を保てるかです。資源価格に連動する鉱山機械、データを活用した現場の生産性向上、電動化への対応が、日本勢の競争力を左右する焦点となっています。
ICT施工と電動化は、いつ収益と差別化につながるか?
国土交通省はi-Construction 2.0を掲げ、2040年度までに建設現場の省人化3割(生産性1.5倍)を目標としています。2025年度からは国の直轄工事でICT施工の標準化が進み、衛星測位と3次元設計データを使って建設機械を自動・半自動で制御する施工が広がっています。コマツのICT建機化率は28.7%まで高まり、日立建機も3次元マシンガイダンスを標準搭載した機種を投入しています。
電動化では、国が電動建設機械の認定制度を整備し、コマツやキャタピラーが20トンクラスの電動ショベルを開発しています。ただし、大型機はバッテリー容量と稼働時間が技術課題として残り、現時点では小型機や都市部の工事から普及が始まる段階です。自動運転や遠隔操作は、鉱山機械の無人化で先行しており、建設現場への展開が進みつつあります。
収益化の論点は、ICT施工が現場の人手不足という構造課題に直結する点にあります。省人化のニーズが明確なため、政策の後押しと相まって普及が進みやすい一方、電動化は充電インフラやコストの面で時間を要する見通しです。機械販売とデータ・サービスを組み合わせた事業モデルへの転換が、各社の差別化を左右します。
よくある質問 (FAQ)
日本の建設機械業界の市場規模はどれくらいですか?
建設機械の出荷はどの機種が中心ですか?
建設機械の輸出比率はどれくらいですか?
世界の建設機械メーカーで日本勢はどの位置にいますか?
コマツと日立建機の業績はどうなっていますか?
建設機械業界でICT施工・電動化はどこまで進んでいますか?
建設機械の需要は何に左右されますか?
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