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重工業機械の市場規模|産業機械受注の推移と内需・外需【2026年版】

重工業機械の市場規模は、日本産業機械工業会がまとめる産業機械受注(受けた注文の金額)でとらえられます。2025年(暦年)の受注は7兆3,445億円(前年比+32.4%)で、統計史上の過去最高となりました。これは6兆7,419億円を記録した1997年以来、約28年ぶりの更新です。内訳は内需4兆4,859億円・外需2兆8,586億円で、外需が受注総額の約38.9%を占めます。ただし発電・化学などの大型プラントは1件あたりの金額が大きく、2025年の伸びはボイラ・原動機と外需の大口案件に集中した単年の変動という側面があります。市場規模の推移、内需・外需の構成、2025年の伸びの中身まで順に整理します。

産業機械受注 総額(2025年)
7.3兆円
7兆3,445億円、前年比+32.4%、統計史上の過去最高
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、需要部門別)
内需(2025年)
4.5兆円
4兆4,859億円、前年比+21.6%(製造業・非製造業・官公需・代理店の合計)
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、需要部門別)
外需(2025年)
2.9兆円
2兆8,586億円、前年比+53.9%
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、需要部門別)
外需比率(2025年)
38.9%
受注総額に占める外需の割合。内需は61.1%
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、需要部門別)

産業機械受注額の推移(内需・外需別、2018-2025年、兆円)

内需と外需の積み上げ。コロナ禍の2020年(4.6兆円)を底に回復し、2025年は7.3兆円で過去最高
単位: 兆円
内需外需
0.002.004.006.008.005.07184.84194.60205.52215.21225.55235.55247.3425
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、需要部門別、2018-2025)
年度20182019202020212022202320242025
内需兆円3.293.403.223.283.373.883.694.49
外需兆円1.781.441.382.241.841.671.862.86
合計(兆円5.074.844.605.525.215.555.557.34
前年比-4.5%-5.0%+19.9%-5.5%+6.4%-0.1%+32.4%
読み解き

産業機械受注は、2018年の5兆701億円から2024年まで4兆6,000億〜5兆5,000億円台で推移し、2025年に7兆3,445億円(前年比+32.4%)へ大きく伸びました。コロナ禍の影響で2020年は4兆6,022億円まで落ち込みましたが、その後は設備投資の回復とともに持ち直しています。

2025年は内需が4兆4,859億円、外需が2兆8,586億円で、特に外需が前年比+53.9%と大きく伸びました。受注額は受けた注文の金額で、生産や出荷とは時期がずれます。大型プラントは1件あたりの金額が大きいため、単年の受注額は大口案件の集中で振れやすく、複数年の流れで見ることが業界の実態の把握には適しています。

このグラフに関連するトピック

2025年の内需・外需の内訳(金額・構成比・前年比)

内需(製造業・非製造業・官公需・代理店の合計)と外需の構成。合算は受注総額に一致
内需
受注額
44,859
構成比
61.1%
前年比
+21.6%
外需
受注額
28,586
構成比
38.9%
前年比
+53.9%
合計
受注額
73,445
構成比
100.0%
前年比
+32.4%
読み解き

2025年の産業機械受注は、内需4.5兆円(構成比61.1%)と外需2.9兆円(同38.9%)で構成されます。金額では内需が大きいものの、伸び率では外需が前年比+53.9%と内需の+21.6%を大きく上回りました。

外需は海外の発電・化学プラントなどの大型案件が中心で、世界のエネルギー需要やプラント投資の動向に左右されます。受注総額の約4割を外需が占めることは、重工業機械が国内の設備投資だけでなく海外需要にも依存する産業であることを示しています。内需は製造業の設備投資が中心で、化学・鉄鋼・造船などの業種が受注を支えています。

主要論点

2025年の過去最高は構造的な拡大か、循環的なピークか?

2025年の産業機械受注7兆3,445億円は前年比+32.4%で、2024年(5兆5,462億円)から約1.8兆円増えました。この増加分の中身を見ると、機種別で最大のボイラ・原動機が2024年から2025年に前年比+63.7%と急増し、受注増全体の約57%を占めました。さらに外需の増加が受注増全体の約56%に相当します。つまり2025年の伸びは、発電・原動機の大型プラントと海外案件に強く集中しています。

発電プラントやボイラ・原動機は、1件あたりの受注金額が大きく、受注の時期も特定の年に偏ります。このため、大口案件が重なった年は受注額が大きく跳ね上がり、翌年以降に反動が出ることもあります。2025年の過去最高は、需要全体が一段高い水準に移ったというより、大口案件が集中した単年の変動という側面が大きいといえます。

一方で、脱炭素・GX関連の設備投資、海外のエネルギー需要、国内の老朽設備の更新といった中期的な需要の下支えもあります。単年の受注額だけで判断せず、設備投資の循環と複数年の受注の流れを合わせて見ることが、業界の実態を捉えるうえで重要です。

受注額は市場規模としてどう読むべきか?

重工業機械の市場規模としてよく使われる産業機械受注は、メーカーが受けた注文の金額(受注額)です。実際に生産した金額(生産額)や出荷した金額(出荷額)とは、集計のタイミングが異なります。大型プラントは受注から完成・引き渡しまで数年かかることもあり、受注額が伸びた年と、生産・売上が立つ年はずれます。

また、受注額は大口案件の影響を受けやすい指標です。2025年のように発電プラントなどの大型案件が集中すると、受注額は単年で大きく動きます。逆に、受注済みの案件を消化していく時期には、受注額が伸び悩んでも生産は続くことがあります。受注額の単年の増減だけで「市場が拡大/縮小した」と判断すると、実態を見誤ることがあります。

市場規模を読むときは、受注額・生産額・出荷額のどれを見ているかを確認し、受注額については複数年の推移や受注残(未消化の受注)と合わせて見るのが適切です。本ページの数字はすべて受注額ベース・暦年で統一しています。

外需が約4割を占める構造をどう評価するか?

2025年の産業機械受注のうち、外需は2兆8,586億円で受注総額の約38.9%を占めました。前年比+53.9%と内需を上回る伸びで、2025年の受注増を牽引しています。重工業機械は、国内の設備投資だけでなく、海外の発電・化学プラントなどの需要に強く連動する産業です。

外需が大きいことは、世界のエネルギー需要やインフラ投資の拡大を取り込める強みである一方、為替や海外の景気、資源価格、地政学リスクの影響を受けやすいという面もあります。発電・原動機や化学プラントの大型案件は、特定の国・地域のプロジェクトに金額が左右されるため、外需は内需よりも単年の振れが大きくなりがちです。

日本の重工系メーカーにとって、外需は成長の機会であると同時に、受注の変動要因でもあります。脱炭素に向けた世界的なエネルギー転換は、水素・アンモニアの混焼設備や環境プラントなど、新たな外需を生む可能性があります。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、設備投資の循環と大型プラント案件の有無が受注額を左右します。2025年に大口案件が集中した反動で受注額が前年を下回る年が出る可能性もありますが、脱炭素・GX関連の投資や海外のエネルギー需要が下支えとなります。受注額は単年で振れやすいため、複数年の流れで見ることが必要です。

中期3-5年

中期では、脱炭素・GXがもたらすプラント需要が重要になります。水素・アンモニアの混焼設備、二酸化炭素の回収・貯留、廃棄物発電やバイオマスなどの環境・脱炭素プラントが新たな受注の対象となる一方、従来の石炭火力は新設需要が縮小する可能性があります。国内の老朽設備の更新需要も中期の下支えとなります。

長期

長期では、世界のエネルギー転換と新興国のインフラ投資が外需の方向を決めます。国内は人口減少で設備投資の基調が緩やかになる一方、脱炭素関連の投資が需要構造を変えていきます。受注額(フロー)の単年の変動に加え、受注残や中期的な投資計画を合わせて見ることで、重工業機械の市場の実態をより正確に捉えられます。

よくある質問

重工業機械の市場規模はどのくらいですか?
日本産業機械工業会の産業機械受注で、2025年(暦年)に7兆3,445億円(前年比+32.4%)となり、統計史上の過去最高を記録しました。内需が4兆4,859億円、外需が2兆8,586億円です。ボイラ・原動機、化学機械、運搬機械などのプラント・産業機械の受注額を集計した数値です。
なぜ2025年に過去最高となったのですか?
2024年から2025年の受注増のうち、機種別で最大のボイラ・原動機(前年比+63.7%)が約57%、外需の増加が約56%を占めました。発電・原動機の大型プラントと海外案件に集中した伸びです。大型プラントは1件あたりの金額が大きく受注の時期も偏るため、過去最高は構造的な拡大というより、大口案件が集中した単年の変動という側面が大きいといえます。
受注額と生産額・出荷額はどう違いますか?
受注額はメーカーが受けた注文の金額、生産額は実際に生産した金額、出荷額は出荷した金額です。大型プラントは受注から完成まで数年かかることもあり、受注額が伸びた年と生産・売上が立つ年はずれます。受注額は大口案件の影響で単年に振れやすいため、複数年の推移や受注残と合わせて見るのが適切です。本ページの数字はすべて受注額ベース・暦年です。
内需と外需の比率はどのくらいですか?
2025年は内需が4兆4,859億円(構成比61.1%)、外需が2兆8,586億円(同38.9%)で、金額では内需が大きいものの、外需が前年比+53.9%と内需の+21.6%を上回って伸びました。外需は海外の発電・化学プラントなどの大型案件が中心で、受注総額の約4割を占めます。
1997年の前回ピークと比べてどうですか?
産業機械受注の前回のピークは1997年(暦年)の6兆7,419億円で、2025年の7兆3,445億円はこれを約28年ぶりに上回り、統計史上の過去最高となりました(日本産業機械工業会/日本経済新聞)。2018年から2024年は4兆6,000億〜5兆5,000億円台で推移しており、2025年の水準が際立っています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本産業機械工業会「産業機械受注状況」
  2. 2.
    日本産業機械工業会/日本経済新聞「2025年(1〜12月)産業機械受注」
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