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重工業機械のプラント輸出と外需|海外需要の推移と仕向け先・機種の構成【2026年版】

重工業機械は、国内の設備投資だけでなく海外の発電・化学プラントなどの需要に強く左右される産業です。日本産業機械工業会の産業機械受注のうち、海外向けの外需は2025年(暦年)に2兆8,586億円(前年比+53.9%)と大きく伸び、受注総額の約38.9%を占めました。仕向け先の地域や機種の内訳は、これとは別に集計される産業機械輸出契約(主要約70社・輸出契約ベース)で見ることができ、2025年はアジアが約54.9%で最大、ボイラ・原動機が機種別で最大です。発電・化学などの大型プラントは1件あたりの金額が大きく、外需は内需よりも単年で振れやすい点が特徴です。外需の推移、仕向け先の地域、機種・プラントの構成まで順に整理します。

外需(受注額、2025年)
2.9兆円
2兆8,586億円、前年比+53.9%。海外の発電・化学プラントなどが牽引
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、外需)
受注総額に占める外需(2025年)
38.9%
内需(製造業・非製造業・官公需・代理店)が残りの61.1%
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、外需)
コロナ禍の底(2020年、外需)
1.4兆円
1兆3,825億円。2025年(2兆8,586億円)は約2.07倍の水準
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、外需)
前回の山(2021年、外需)
2.2兆円
2兆2,418億円。2025年はこの直近ピークも上回る
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、外需)

外需(産業機械受注の海外向け)の推移(2018-2025年、兆円)

産業機械受注のうち海外向け(外需)の受注額。コロナ禍の2020年(1.4兆円)を底に、2025年は2.9兆円
単位: 兆円
0.000.751.502.253.001.78181.44191.38202.24211.84221.67231.86242.8625
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注、暦年、受注額ベース、外需、2018-2025)
20182019202020212022202320242025
外需(受注額)兆円1.781.441.382.241.841.671.862.86
前年比-19.2%-4.1%+62.2%-17.8%-9.2%+10.9%+53.9%
読み解き

外需は、2018年の1兆7,845億円から、コロナ禍の影響で2020年の1兆3,825億円まで落ち込みました。その後、2021年に2兆2,418億円まで持ち直した後は年ごとに振れながら推移し、2025年は前年比+53.9%と急増して2兆8,586億円に達しています。

外需は海外の発電・化学プラントなどの大型案件が中心で、世界のエネルギー需要やプラント投資、為替の動向に左右されます。1件あたりの金額が大きい大型案件は受注の時期が特定の年に偏るため、外需は内需よりも単年の振れが大きくなりがちです。2025年の水準は、コロナ禍の底(2020年)の約2.07倍にあたります。

このグラフに関連するトピック

輸出の仕向け地域別の構成(2025年、輸出契約ベース、億円)

産業機械輸出契約(主要約70社・輸出契約ベース、2025年)の仕向け先。輸出契約高の合計は四捨五入で2兆7,197億円(前年比+60.2%。JSIMの概要文では切り捨て表記の2兆7,196億円)。各地域は百万円を億円に四捨五入しているため、合計が総額と最大1〜2億円ずれる場合があります。ヨーロッパとロシア・CISは2025年4月の区分変更(「ロシア・東欧」を「ロシア・CIS」に変更し「旧東欧」をヨーロッパに含む)により前年と連続しないため、前年比は省略しています
項目輸出契約高(億円)構成比前年比シェア
アジア14,93454.9%+61.8%
中東5,07018.6%+35.3%
北アメリカ3,01211.1%+28.0%
ロシア・CIS2,1107.8%
ヨーロッパ1,3004.8%
アフリカ5472.0%+226.4%
オセアニア1170.4%-24.7%
南アメリカ1080.4%-58.4%
合計27,198100.0%
読み解き

2025年の産業機械輸出契約を仕向け先で見ると、アジアが約54.9%で最大、中東が18.6%で続き、北アメリカ、ロシア・CIS、ヨーロッパなどが並びます。アジアと中東で全体の7割超を占め、日本の重工業機械の輸出は、新興国を含むアジアと、資源・エネルギー関連の中東に重心があります。

仕向け先は年によって振れます。中東は発電・化学プラントの大型案件の有無で金額が大きく動き、2025年は前年比+35.3%と拡大しました。なお、ヨーロッパとロシア・CISは2025年4月に地域区分が変更されたため、前年との単純な比較はできません(旧「ロシア・東欧」のうち「旧東欧」がヨーロッパに移されています)。

輸出の機種・プラント別の構成(2025年、輸出契約ベース、億円)

産業機械輸出契約(主要約70社・輸出契約ベース、2025年)の機種・プラント別。単体機械の10機種とプラントの合計が輸出契約高(2兆7,197億円)に一致します。各項目は百万円を億円に四捨五入しているため、合計が総額と最大1〜2億円ずれる場合があります
項目輸出契約高(億円)構成比前年比シェア
ボイラ・原動機12,50746.0%+144.6%
化学機械5,07918.7%+57.4%
プラント2,4869.1%+44.9%
風水力機械2,0857.7%-2.3%
その他1,6856.2%+12.2%
プラスチック加工機械1,2624.6%-8.9%
冷凍機械1,2504.6%+40.5%
運搬機械4871.8%-8.3%
金属加工機械2260.8%-41.0%
変速機860.3%+12.9%
鉱山機械450.2%+128.8%
合計27,198100.0%
読み解き

2025年の輸出を機種別に見ると、ボイラ・原動機(発電・産業用の原動機)が1兆2,507億円と輸出契約高の約46.0%を占め、前年比+144.6%と急増しました。次いで化学機械(5,079億円、前年比+57.4%)、風水力機械(ポンプ・送風機・圧縮機)などが続きます。ボイラ・原動機の輸出の伸びが、2025年の外需の拡大を牽引した中心です。

プラント(発電・化学石化などのプラント案件)は2,486億円で、輸出契約高の9.1%です。残りの90.9%は単体機械(個別の機械)が占めます。プラントは大型案件の有無で構成比が大きく動き、年によって数%から数十%まで振れます。重工業機械の輸出は、単体機械を中心としつつ、大型プラント案件が単年の金額を押し上げる構造です。

主要論点

外需が受注の約4割を占める構造をどう読むか?

2025年の産業機械受注のうち、外需は2兆8,586億円で受注総額の約38.9%を占めました。重工業機械は、国内の製造業・非製造業・官公需の設備投資だけでなく、海外の発電・化学プラントなどの需要に強く依存する産業です。外需は前年比+53.9%と内需を上回って伸び、2025年の受注増を牽引しました。

外需が大きいことは、世界のエネルギー需要やインフラ投資の拡大を取り込める強みである一方、為替や海外の景気、資源価格、地政学リスクの影響を受けやすい面もあります。発電・原動機や化学プラントの大型案件は、特定の国・地域のプロジェクトに金額が左右されるため、外需は内需よりも単年の振れが大きくなりがちです。

コロナ禍の2020年(1兆3,825億円)を底に、2025年は約2.07倍の水準まで回復しました。外需は日本の重工系メーカーにとって成長の機会であると同時に、受注の変動要因でもあります。脱炭素に向けた世界的なエネルギー転換は、新たな外需を生む可能性があります。

輸出の仕向け先はどの地域に偏っているか?

2025年の産業機械輸出契約を仕向け先で見ると、アジアが約54.9%で最大、中東が18.6%で続きます。この2地域で全体の7割超を占め、日本の重工業機械の輸出は、経済成長やインフラ整備が進む新興国を含むアジアと、発電・化学プラントの需要が大きい中東に重心があります。

仕向け先は年によって大きく振れます。とくに中東は、発電所や石油・化学プラントの大型案件が受注された年に金額が跳ね上がり、案件が一巡すると落ち着きます。特定の国・地域の大型プロジェクトに金額が左右されるため、単年の地域別構成は、その年に大型案件があった地域に引っ張られます。

地域別の構成を読むときは、その年に大型案件があったかどうかを踏まえる必要があります。なお、2025年4月に地域区分が変更され、「ロシア・東欧」が「ロシア・CIS」に変更されて「旧東欧」がヨーロッパに移されたため、ヨーロッパとロシア・CISは前年との単純な比較ができない点に注意が必要です。

なぜボイラ・原動機が輸出を牽引しているのか?

2025年の産業機械輸出契約のうち、ボイラ・原動機(発電用・産業用のボイラやタービンなどの原動機)が1兆2,507億円と約46.0%を占め、機種別で最大です。前年比+144.6%と急増し、2025年の外需の伸びを牽引しました。発電プラントの中核となるボイラ・原動機は、海外の電力需要やエネルギー投資に連動して受注されます。

ボイラ・原動機は1件あたりの金額が大きく、大型の発電プラント案件が受注された年に輸出額が大きく伸びます。2025年はこうした大型案件が重なり、ボイラ・原動機の輸出が急増しました。次いで化学機械(前年比+57.4%)など、化学・石油化学プラント向けの機械も輸出の柱です。

プラント(発電・化学石化などのプラント案件)は輸出契約高の9.1%で、残りは単体機械が占めます。プラントの構成比は大型案件の有無で年によって振れますが、ボイラ・原動機などの単体機械を含めて見ると、発電・化学関連の機械が日本の重工業機械の輸出の中心であることが分かります。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、海外の大型プラント案件の有無が外需を左右します。2025年に大口案件が集中した反動で、外需が前年を下回る年が出る可能性もあります。一方、新興国の電力需要や、脱炭素に向けたエネルギー投資が下支えとなります。外需は単年で振れやすいため、複数年の流れで見ることが必要です。

中期3-5年

中期では、脱炭素・GX関連の海外プラント需要が外需の方向を左右します。水素・アンモニアの混焼設備、二酸化炭素の回収・貯留、廃棄物発電などの環境・脱炭素プラントが、アジアや中東を中心に新たな輸出の対象となる可能性があります。一方、従来の石炭火力は新設需要が縮小する可能性があります。

長期

長期では、世界のエネルギー転換と新興国のインフラ投資が、日本の重工業機械の輸出の方向を決めます。アジア・中東を中心とした発電・化学プラント需要に加え、脱炭素関連の設備が新たな外需を生む可能性があります。外需は為替・地政学・資源価格の影響を受けやすいため、仕向け先の分散と、大型案件への対応力が重工系メーカーの課題となります。

よくある質問

重工業機械の外需(輸出)はどのくらいの規模ですか?
日本産業機械工業会の産業機械受注で、2025年(暦年)の外需は2兆8,586億円(前年比+53.9%)となり、受注総額の約38.9%を占めました。海外の発電・化学プラントなどの大型案件が外需を押し上げています。仕向け先や機種の内訳は、別に集計される産業機械輸出契約(主要約70社・輸出契約ベース)で2025年は2兆7,197億円でした。
産業機械の輸出はどの地域向けが多いですか?
2025年の産業機械輸出契約(主要約70社・輸出契約ベース)では、アジアが約54.9%で最大、中東が18.6%で続きます。この2地域で全体の7割超を占めます。北アメリカ、ロシア・CIS、ヨーロッパなどが続きます。仕向け先は大型プラント案件の有無で年によって振れます。
輸出の中心となる機種は何ですか?
2025年の産業機械輸出契約では、ボイラ・原動機(発電・産業用の原動機)が1兆2,507億円と約46.0%を占め、機種別で最大です。前年比+144.6%と急増し、外需の伸びを牽引しました。次いで化学機械、風水力機械(ポンプ・送風機・圧縮機)などが続きます。発電・化学関連の機械が輸出の中心です。
外需と輸出契約高は同じものですか?
別の統計です。外需は産業機械受注(約197社が回答、受注額ベース)のうち海外向けの金額、輸出契約高は主要約70社の輸出契約をまとめた金額で、対象企業や集計の取り方が異なります。2025年は外需が2兆8,586億円、輸出契約高が2兆7,197億円で水準は近いですが、別の統計として扱い、足し合わせたり差し引いたりはしません。本ページでは、外需を受注の推移、輸出契約を仕向け先・機種の内訳の把握に用いています。
プラントは輸出のどのくらいを占めますか?
2025年の産業機械輸出契約のうち、プラント(発電・化学石化などのプラント案件)は2,486億円で輸出契約高の9.1%、残りの90.9%は単体機械(個別の機械)です。プラントの構成比は大型案件の有無で年によって大きく振れ、数%から数十%まで変動します。輸出は単体機械を中心としつつ、大型プラント案件が単年の金額を押し上げる構造です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(外需)
  2. 2.
    日本産業機械工業会「産業機械輸出契約状況(2025年1〜12月)」
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