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重工業機械の機種別受注|ボイラ・原動機・化学機械の構成【2026年版】

重工業機械の受注は、機種別に見ると性格の異なる機械の集まりであることが分かります。2025年(暦年)の産業機械受注7兆3,445億円のうち、最も大きいのは発電・産業用のボイラ・原動機で2兆6,445億円(構成比36.0%)、次いで化学機械(冷凍機械を含む)が1兆8,927億円(同25.8%)です。この上位2機種で受注総額の約61.8%を占めます。2025年の受注増は、ボイラ・原動機が前年比+63.7%と大きく伸びたことが牽引しました。機種別の構成、各機種の性格、2025年に伸びた機種まで順に整理します。

ボイラ・原動機(2025年、最大機種)
26,445億円
2兆6,445億円、構成比36.0%、前年比+63.7%
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注 機種別、暦年、受注額ベース)
化学機械(2025年)
18,927億円
1兆8,927億円、構成比25.8%(冷凍機械を含む)
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注 機種別、暦年、受注額ベース)
ポンプ(2025年)
4,995億円
構成比6.8%、風水力機械では最大
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注 機種別、暦年、受注額ベース)
ボイラ・原動機の構成比(2025年)
36.0%
受注総額に占める最大機種の割合。上位2機種で約61.8%
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注 機種別、暦年、受注額ベース)

機種別受注額の推移(2020-2025年、億円)

主要4機種(ボイラ・原動機/化学機械/運搬機械/風水力機械=ポンプ・圧縮機・送風機)とその他の機種の積み上げ。精密な全12機種の内訳は下表
単位: 億円
ボイラ・原動機化学機械運搬機械風水力機械その他の機種
020,00040,00060,00080,00046,0222055,1762152,1462255,5042355,4622473,44525
出典: 日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(産業機械受注 機種別、暦年、受注額ベース、2020-2025)
年度202020212022202320242025
ボイラ・原動機億円12,82711,43912,89017,77916,15926,445
化学機械億円12,08618,69212,75712,80914,62218,927
運搬機械億円4,2134,7985,2714,5554,7194,977
風水力機械億円6,4407,2357,7027,7578,1978,116
その他の機種億円10,45613,01213,52612,60411,76514,980
合計(億円46,02255,17652,14655,50455,46273,445
前年比+19.9%-5.5%+6.4%-0.1%+32.4%
読み解き

機種別の受注額を2020年から2025年で見ると、ボイラ・原動機が2024年の16,158億円から2025年の26,445億円へ前年比+63.7%と急増し、2025年の受注を押し上げました。発電・原動機の大型プラントは大口案件の有無で単年の金額が動きやすく、ボイラ・原動機の受注額は年ごとの振れが大きい機種です。

化学機械も2025年に前年比+29.4%と伸びました。一方、風水力機械や運搬機械などは大型プラント機種に比べて年ごとの振れが小さく、設備投資の循環に沿って動きます。機種によって需要のドライバーと振れ方が異なる点が、機種別構成を見る際のポイントです。

機種別の受注内訳(2025年、全12機種、億円)

受注額の大きい順。各機種は百万円を億円に四捨五入しているため、12機種の合計は受注総額(7兆3,445億円)と最大1〜2億円程度ずれる場合があります。化学機械の内数として化学機械(冷凍機械を除く)が12,816億円ありますが、化学機械(冷凍機械を含む)に含まれるため別計上しません
項目受注額(億円)構成比前年比シェア
ボイラ・原動機26,44536.0%+63.7%
化学機械(冷凍機械を含む)18,92725.8%+29.4%
その他機械9,21812.6%+34.7%
ポンプ4,9956.8%-3.7%
運搬機械4,9776.8%+5.5%
圧縮機2,8553.9%+4.2%
プラスチック加工機械2,1773.0%-10.3%
金属加工機械1,4372.0%+16.4%
タンク1,0581.4%+547.4%
変速機8351.1%-0.3%
送風機2660.4%-2.5%
鉱山機械2560.3%-2.2%
合計73,446100.0%
読み解き

機種別では、ボイラ・原動機(36.0%)と化学機械(25.8%)の上位2機種で受注総額の約61.8%を占めます。発電・原動機と化学プラントが重工業機械の規模の中心です。

前年比を見ると、ボイラ・原動機(+63.7%)や化学機械(+29.4%)など大型プラント機種が大きく伸びた一方、プラスチック加工機械(-10.3%)のように前年を下回った機種もあります。機種ごとに需要のドライバーが異なるため、構成比だけでなく前年比の動きも合わせて見ることで、その年の受注を牽引した機種が分かります。

主要論点

ボイラ・原動機への集中をどう見るべきか?

2025年の産業機械受注のうち、ボイラ・原動機は2兆6,445億円で構成比36.0%と最大の機種です。発電所のボイラやタービン、産業用の原動機などが含まれ、重工業機械の規模はこの機種の動向に大きく左右されます。2025年は前年比+63.7%と急増し、受注全体の伸びを牽引しました。

ボイラ・原動機への集中は、重工業機械が発電・エネルギー関連の大型プラントに支えられていることを示します。大型プラントは1件あたりの金額が大きく受注の時期も偏るため、ボイラ・原動機の受注額は年ごとの振れが大きく、業界全体の受注額の変動要因にもなります。

脱炭素の流れは、この機種の中身を変えていく可能性があります。従来の火力発電向けのボイラ・タービンの需要が中長期的に変化する一方、水素・アンモニアの混焼設備や、二酸化炭素を回収する設備など、新しいタイプの原動機・プラントの需要が生まれています。ボイラ・原動機の規模を維持できるかは、燃料転換への対応にかかっています。

化学機械が2番手を占める構造は何を意味するか?

化学機械(冷凍機械を含む)は2025年に1兆8,927億円で構成比25.8%と、ボイラ・原動機に次ぐ2番目の機種です。化学プラントの反応設備や蒸留塔、タンク、冷凍・冷却設備などが含まれます。ボイラ・原動機と合わせた上位2機種で受注総額の約61.8%を占めます。

化学機械の受注は、石油化学・化学工業の設備投資に連動します。国内の化学プラントの新設・更新に加え、海外の化学プラント案件も化学機械の受注を支えています。タンクは2025年に大きく伸びるなど、化学プラント関連の機種は年によって受注額が動きます。

発電・原動機と化学プラントという2つの大型プラント領域が重工業機械の規模の柱であることは、この業界が素材・エネルギー産業の設備投資サイクルに強く結びついていることを意味します。残りの機種(風水力機械・運搬機械など)は、より幅広い産業の汎用的な需要に支えられています。

大型プラント機種と汎用機種で受注の振れ方はどう違うか?

機種別の受注額は、機種の性格によって年ごとの振れ方が異なります。ボイラ・原動機や化学機械などの大型プラント機種は、1件あたりの受注金額が大きく、受注の時期も特定の年に偏ります。このため、大口案件が重なった年は受注額が大きく跳ね上がり、翌年以降に反動が出ることもあります。2025年のボイラ・原動機の前年比+63.7%は、その典型です。

一方、ポンプ・圧縮機・送風機などの風水力機械や、運搬機械は、幅広い産業で使われる汎用的な機械で、1件あたりの金額も相対的に小さいため、受注額の年ごとの振れは大型プラント機種よりも小さくなります。これらの機種は、製造業全体の設備投資の循環に沿って緩やかに動きます。

機種別構成を読むときは、その年の受注を牽引した機種が大型プラント機種なのか汎用機種なのかを見極めることが重要です。大型プラント機種が牽引した年の伸びは単年の変動の側面が大きく、複数年の流れで実態を捉える必要があります。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、ボイラ・原動機などの大型プラント機種の大口案件の有無が機種別構成を左右します。2025年に集中した発電・原動機案件の反動で、ボイラ・原動機の受注額が前年を下回る年が出る可能性があります。一方、風水力機械や運搬機械などの汎用機種は、設備投資の循環に沿って動きます。

中期3-5年

中期では、脱炭素がボイラ・原動機や化学機械の中身を変えていきます。火力発電向けの従来型ボイラ・タービンの需要が変化する一方、水素・アンモニアの混焼設備、二酸化炭素の回収・貯留に関わる化学機械・原動機など、新しいタイプの機種の需要が生まれます。環境関連の設備が機種別構成に与える影響が大きくなります。

長期

長期では、世界のエネルギー転換が機種別構成を大きく変える可能性があります。発電・原動機と化学プラントという2大機種が、脱炭素に対応した設備へと中身を入れ替えながら規模を保てるかが焦点です。汎用機種は、製造業全体の設備投資の基調に沿って推移します。機種別の受注は、それぞれの需要ドライバーと振れ方を踏まえて読むことが必要です。

よくある質問

産業機械で最も大きい機種は何ですか?
発電・産業用のボイラ・原動機です。2025年(暦年)の受注は2兆6,445億円で、産業機械受注総額7兆3,445億円の36.0%を占めます。次いで化学機械(冷凍機械を含む)が1兆8,927億円(25.8%)で、この上位2機種で約61.8%となります(日本産業機械工業会)。
産業機械は何種類の機種に分かれていますか?
日本産業機械工業会は、ボイラ・原動機、鉱山機械、化学機械(冷凍機械を含む)、タンク、プラスチック加工機械、ポンプ、圧縮機、送風機、運搬機械、変速機、金属加工機械、その他機械の12機種で受注を集計しています。本ページの構成比・前年比はこの12機種の集計に基づきます。
化学機械(冷凍機械を含む)とは何ですか?
化学プラントで使う反応設備や蒸留塔、熱交換器などの機械に、冷凍・冷却設備を含めた区分です。2025年の受注は1兆8,927億円で、産業機械の機種別で2番目の規模です。化学機械の内数として冷凍機械を除いた化学機械が12,816億円ありますが、内訳のため別には計上しません。
なぜ2025年にボイラ・原動機が伸びたのですか?
ボイラ・原動機は2024年の16,158億円から2025年の26,445億円へ前年比+63.7%と急増しました。発電・原動機の大型プラントは1件あたりの受注金額が大きく、受注の時期も特定の年に偏るため、大口案件が重なると単年の受注額が大きく跳ね上がります。2025年の産業機械受注全体の伸びも、このボイラ・原動機と外需の増加が牽引しています。
機種別の受注はどの統計に基づきますか?
日本産業機械工業会「産業機械受注状況」の機種別の受注額(暦年・受注額ベース)に基づきます。本ページの数値はすべて受注額で、生産額や出荷額とは集計のタイミングが異なります。需要部門別(製造業・非製造業・官公需など)や内需・外需の内訳は、それぞれ別の指標として整理しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本産業機械工業会「産業機械受注状況」(機種別)
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