重工業機械業界の市場規模・主要企業・動向
日本の産業機械受注は2025年に7兆3,445億円と過去最高となり、外需と設備投資が牽引する重工業機械の市場です
重工業機械業界とは、発電・化学・鉄鋼・環境などの産業設備や大型プラントを構成する、ボイラ・原動機、化学機械、運搬機械などを製造する産業です。日本産業機械工業会の産業機械受注は2025年に7兆3,445億円 (前年比+32.4%) と過去最高に達し、外需は2兆8,586億円と前年比+53.9%で伸びました。三菱重工・IHI・川崎重工などの重工系メーカーと、住友重機械や荏原などの専業メーカーが、機種ごとに機械を供給しています。受注は設備投資の循環、海外のプラント需要、脱炭素関連の投資に左右されます。本ページでは、重工業機械業界を、市場規模、機種別構成、主要プレイヤー、需要構造、プラント輸出・脱炭素の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
重工業機械業界とは、発電・化学・鉄鋼・環境などの産業設備や大型プラントを構成する、ボイラ・原動機、化学機械、運搬機械などを製造する産業です。設備投資の循環や海外のプラント需要に連動して受注が増減し、2025年の産業機械受注は過去最高となりました。
- 産業機械受注は2025年に過去最高となりました。コロナ禍の2020年を底に回復し、2025年は7兆3,445億円に達しています。設備投資の回復と外需の拡大が背景にあります。
- 重工系メーカーと機種別の専業メーカーが供給を担っています。三菱重工・IHI・川崎重工などが幅広い機械・プラントを手がける一方、ポンプや環境装置などでは専業メーカーが活動しています。
- 受注は設備投資の循環や海外プラント、脱炭素に左右されます。大型プラントは単年の大口案件で金額が動きやすく、近年は脱炭素・GX関連の投資も需要に加わっています。
市場動向
産業機械受注は2025年に7兆3,445億円 (前年比+32.4%) と過去最高に達しました。コロナ禍の2020年 (4兆6,022億円) を底に回復し、2021年から2024年は5兆円台で推移していました。2025年は外需 (2兆8,586億円、前年比+53.9%) とボイラ・原動機の伸びが牽引しています。
- 産業機械受注は2025年に7兆3,445億円 (前年比+32.4%) で過去最高となりました。2018年から2024年は4兆6,000億〜5兆5,000億円の範囲で推移しており、2025年の伸びが際立っています。
- 外需は2兆8,586億円 (前年比+53.9%) と大きく伸びました。受注総額の約4割を占め、海外の発電・化学プラントなどの大型案件が押し上げています。
- 機種別ではボイラ・原動機が2兆6,445億円で最大です。化学機械や運搬機械、ポンプが続き、発電・産業用の原動機が業界の中心となっています。
競争環境
重工業機械業界では、三菱重工・IHI・川崎重工などの重工系メーカーと、ポンプ・環境装置などの機種別専業メーカーが活動しています。各社は領域ごとに事業を展開しており、発電プラント、化学・環境装置、運搬機械などの分野で供給を担っています。航空・船舶・建設機械などは別の産業分野です。
- 重工系メーカーは幅広い機械・プラントを手がけています。三菱重工・IHI・川崎重工・住友重機械などが、エネルギー・プラント・産業機械の各分野で事業を展開しています。
- 機種別では専業メーカーが強みを持っています。ポンプや圧縮機では荏原、環境装置や廃棄物発電ではカナデビアやタクマ、水処理では栗田工業などが活動しています。
- 重工系メーカーの連結売上には機械以外の事業も含まれます。航空・防衛・宇宙、船舶、二輪車などが含まれるため、連結売上をそのまま機械市場とは見なせず、機械・プラントのセグメント単位で捉える必要があります。
市場規模推移
2018-2025 · 内需 + 外需産業機械受注額の推移 (2018-2025年、内需・外需、兆円)
産業機械受注は2025年に7兆3,445億円 (前年比+32.4%) となり、統計史上の過去最高を記録しました。これは1997年の6兆7,419億円を約28年ぶりに上回る水準です。コロナ禍で落ち込んだ2020年の4兆6,022億円を底に回復し、2021年から2024年は5兆円台で推移していました。
2025年の伸びは、ボイラ・原動機の増加 (前年比+63.7%) と外需の拡大が押し上げた面が大きく、この2つで受注増の過半を占めます。発電や化学などの大型プラントは単年の大口案件で金額が動きやすいため、過去最高は一段の構造的な拡大というより、大口案件が集中した単年の変動として読むのが実態に近いといえます。
機種別ではボイラ・原動機が2兆6,445億円で最大となり、化学機械、運搬機械、ポンプなどが続きます。発電プラントや産業用の原動機が業界の中心的な機種となっています。
需要部門別では、内需4兆4,859億円のうち製造業向けが1兆5,984億円を占め、化学・石油石炭・鉄鋼・造船などの設備投資が牽引しています。電力・運輸などの非製造業や、官公需も内需を構成します。設備投資の循環に連動して受注が増減する点が、重工業機械の需要構造の特徴です。
2025年の外需は2兆8,586億円 (前年比+53.9%) と大きく伸び、受注総額の約4割を占めました。海外の発電・化学プラントなど大型案件が外需を押し上げており、重工業機械は国内の設備投資だけでなく、世界のプラント需要にも左右される産業です。
近年は脱炭素やGX (グリーントランスフォーメーション) 関連の投資が新たな需要として加わっています。水素・アンモニアの混焼設備や、二酸化炭素の回収・貯留、廃棄物発電などの環境装置が、国内外で受注の対象となっています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要重工業機械業界は、鉄鋼やベアリングなどの素材・部材を上流に、ボイラ・原動機やプラントを製造する機械メーカーを中核として、据付やエンジニアリング、保守を経て、電力・化学・鉄鋼などの需要産業へと連なる構造です。発電プラントや化学プラントは、機械の製造から建設・運転までが長い時間をかけて進みます。
機械メーカーには、三菱重工・IHI・川崎重工のように幅広い機械・プラントを手がける重工系メーカーと、荏原やカナデビアのように特定の機種を専門とするメーカーがあります。1社が複数の機種・領域にまたがって事業を展開するのが特徴です。
機械メーカーは領域ごとに強みを持つ企業がそろっています。発電プラントや原動機は三菱重工やIHI、化学・環境装置や廃棄物発電はカナデビアやタクマ、ポンプ・圧縮機などの風水力機械は荏原、水処理は栗田工業といった具合です。重工系メーカーは複数の領域を手がけ、専業メーカーは特定の機種を深く担います。
ただし、重工系メーカーの連結売上には機械・プラント以外の事業も含まれます。航空・防衛・宇宙や船舶、二輪車などが含まれるため、各社の比較では機械・プラントのセグメント単位で捉える必要があります。
重工業機械の需要は、電力・化学・鉄鋼・石油などの設備投資に支えられています。発電所や化学プラント、製鉄設備の新設や更新が、ボイラ・原動機や化学機械の受注につながります。廃棄物発電や上下水道は自治体が、海外の発電・化学プラントは外需が需要を構成します。
近年は脱炭素・GX (グリーントランスフォーメーション) が需要を動かしています。水素・アンモニアの混焼設備や二酸化炭素の回収・貯留、廃棄物発電などが新たな需要となる一方、従来の石炭火力は新設需要が縮小する可能性があり、需要構造が転換しています。
業界の3大論点
2025年の過去最高は構造的な拡大か、循環的なピークか?
産業機械受注は2025年に7兆3,445億円と過去最高となりましたが、その伸びをどう読むかは見方が分かれます。2018年から2024年は4兆6,000億〜5兆5,000億円の範囲で推移しており、2025年は前年比+32.4%と大きく上振れしました。
この伸びは、ボイラ・原動機 (前年比+63.7%) と外需 (前年比+53.9%) の拡大に集中しています。発電や化学などの大型プラントは、1件あたりの金額が大きく受注の時期も偏るため、単年の受注額が大口案件の有無で大きく動きます。過去最高は一段の構造的な拡大というより、大口案件が集中した単年の変動という側面が大きいといえます。
一方で、脱炭素やGX関連の設備投資、海外のエネルギー需要、国内の生産設備の更新といった中期的な需要の下支えもあります。単年の受注額だけでなく、設備投資の循環と複数年の受注の流れを合わせて見ることが、業界の実態を捉えるうえで重要です。
多角化した重工各社は機械・プラント事業をどう位置づけているか?
三菱重工・IHI・川崎重工などの重工系メーカーは、機械・プラント以外にも幅広い事業を抱える多角化企業です。連結売上には、航空・防衛・宇宙、船舶、鉄道車両、二輪車などが含まれるため、連結売上をそのまま機械市場の規模とは見なせません。
各社の機械・プラント事業は、エネルギー (発電プラント・原動機)、化学・環境プラント、運搬機械、産業機械などのセグメントに分かれています。近年は航空・防衛や、データセンター向けの電力設備といった成長分野に経営資源を振り向ける動きもあり、機械・プラント事業の位置づけは各社で異なります。
住友重機械やカナデビアのように、機械・環境プラントを中核とする企業もあります。業界を捉えるには、連結ではなく機械・プラントのセグメント単位で各社を比較し、どの領域に強みを持つかを見る必要があります。
脱炭素は重工業機械にとって需要機会か、それとも逆風か?
脱炭素の流れは、重工業機械にとって機会と逆風の両面を持ちます。逆風となるのは、石炭火力など従来の化石燃料プラントで、新設の需要が中長期的に縮小する可能性があります。発電プラントは業界の最大機種であるボイラ・原動機の中心であり、影響は小さくありません。
一方で、脱炭素は新たな需要も生んでいます。水素・アンモニアの混焼設備、二酸化炭素の回収・貯留 (CCUS)、廃棄物発電やバイオマス、洋上風力の関連設備などです。既存の火力発電設備を活かしながら燃料を転換する技術は、重工系メーカーが強みを持つ領域です。
カナデビアやタクマなどは廃棄物発電や環境装置を中核としており、脱炭素を需要機会として取り込んでいます。重工業機械にとって脱炭素は、従来プラントの縮小と環境・脱炭素プラントの拡大が同時に進む構造転換であり、各社の対応力が問われています。
よくある質問 (FAQ)
重工業機械業界の市場規模はどれくらいですか?
産業機械受注はなぜ2025年に過去最高となったのですか?
重工業機械の主なメーカーはどこですか?
産業機械の機種別ではどの分野が大きいですか?
産業機械受注は内需と外需のどちらが大きいですか?
重工各社の連結売上と機械事業の規模は違うのですか?
脱炭素は重工業機械にどう影響しますか?
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