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業務用空調の市場動向|出荷台数の内訳と金額でみた市場規模【2026年版】

業務用エアコンは、事務所・店舗・工場・倉庫・学校・病院などの非住宅建築物に使われる空調機器です。国内出荷は2024年度に約85万台で、店舗用・ビル用マルチ・設備用の3区分に分かれ、店舗用が約64万台と最も多くを占めます。一方、出荷金額でみた業務用空調設備の市場規模は2024年度に4,997億円(予測、矢野経済研究所)とされ、こちらはチラーなどのセントラル空調も含む広い範囲です。台数と金額の見方を分けながら、業務用空調の動向を整理します。

業務用エアコン計(2024年度)
85万台5.5% YoY
前年比5.5%増。店舗用・ビル用マルチ・設備用の合計(日冷工)
出典: 日本冷凍空調工業会 国内需要統計
店舗用(2024年度)
64万台
事務所・店舗向けのパッケージエアコン。業務用エアコンで最も多い区分
出典: 日本冷凍空調工業会 国内需要統計
ビル用マルチ(2024年度)
16万台
1台の室外機に複数の室内機をつなぐ方式。ビル・オフィス向け
出典: 日本冷凍空調工業会 国内需要統計

業務用エアコンの国内出荷台数の推移(2017-2024年度、区分別、万台)

店舗用・ビル用マルチ・設備用の合計。80万〜95万台のレンジで推移し、店舗用(約64万台)が最も多い
単位: 万台
店舗用ビル用マルチ設備用
025507510082.717881895.11980.92081.92182.32280.62385.124
出典: 日本冷凍空調工業会 冷凍空調機器の国内需要統計(年度、業務用エアコン=店舗用+ビル用マルチ+設備用)
年度20172018201920202021202220232024
店舗用万台64.1467.8573.7462.2362.9963.0661.3864.24
ビル用マルチ万台13.6714.6815.7914.0914.4314.6614.7016.19
設備用万台4.895.445.534.564.454.614.544.64
合計(万台82.7187.9795.0680.8881.8882.3280.6285.07
前年比+6.4%+8.1%-14.9%+1.2%+0.5%-2.1%+5.5%
読み解き

業務用エアコンの国内出荷は、店舗用・ビル用マルチ・設備用の3区分に分かれ、その合計が業務用エアコンの台数となります。2024年度は約85万台で、内訳は店舗用が約64万台、ビル用マルチが約16万台、設備用が約5万台でした。

店舗用は、事務所や店舗に据え付けるパッケージエアコンで、業務用エアコンの中で最も多い区分です。ビル用マルチは、1台の室外機に複数の室内機をつなぐ方式で、オフィスビルなどで使われます。設備用は、工場・倉庫などの大きな空間を冷暖房する大型機です。それぞれ需要先の建物用途が異なります。

台数の推移をみると、コロナ前の2019年度に約95万台まで伸びた後、2020年度は約81万台へ落ち込み、以降は80万台台で推移しました。2024年度は前年比5.5%増の約85万台へ回復しています。業務用エアコンの需要は、事務所・店舗・工場などの建設投資や設備の更新、省エネ・脱炭素への対応に左右されるため、景気や建設需要の動向を映して増減します。

業務用空調設備の金額でみた市場規模(2023年度実績、方式別)

個別空調とセントラル空調の合計で4,831億円(矢野経済研究所)。2024年度は4,997億円と予測
項目市場規模(億円)構成比シェア
個別空調(パッケージ・ビル用マルチ・設備用・GHP等)3,83379.3%
セントラル空調(チラー・ターボ冷凍機・吸収冷温水機・FCU・AHU等)99820.7%
業務用空調設備 計4,831100.0%
読み解き

台数とは別に、出荷金額でみた市場規模の推計もあります。矢野経済研究所は、非住宅建築物向けの業務用空調設備の市場規模を、2023年度の実績で4,831億円としています。方式別にみると、個別空調(建物の部屋ごとに冷暖房する個別熱源方式。店舗・事務所用パッケージやビル用マルチ、設備用、GHPなど)が約3,833億円で全体の約79.3%、セントラル空調(建物全体をまとめて冷暖房する中央熱源方式。チラーや吸収冷温水機など)が約998億円で約20.7%でした。延床面積の目安では、おおむね1万㎡未満の建物で個別空調、1万㎡以上で セントラル空調が使われる傾向があります。

矢野経済研究所は、この市場規模を2024年度に4,997億円、2030年度に5,668億円と予測しています(いずれも予測値)。ここで示した個別・セントラルの内訳は2023年度の実績値で、2024年度以降は総額の予測が公表されています。金額ベースの市場は、建設投資の動向や機器の単価・構成を反映して動きます。

業務用空調を「台数」と「金額」でみる

台数の業務用エアコンと、金額でみる業務用空調設備は、対象とする範囲が異なる
業務用エアコン(台数)
規模
約85万台(2024年度)
対象範囲
店舗用・ビル用マルチ・設備用のパッケージエアコン等(個別空調が中心)
出典・性質
日本冷凍空調工業会の自主統計(一次・台数)
業務用空調設備(金額)
台数の業務用エアコンより対象範囲が広い
規模
4,997億円(2024年度予測)
対象範囲
パッケージ等に加え、チラー・吸収冷温水機などのセントラル空調も含む
出典・性質
矢野経済研究所の出荷金額ベースの推計(二次・予測値を含む)
読み解き

業務用空調を捉える指標には、台数と金額があります。台数の「業務用エアコン(約85万台)」は、日本冷凍空調工業会が集計する国内出荷台数で、店舗用・ビル用マルチ・設備用のパッケージエアコン等(個別空調が中心)を指します。金額の「業務用空調設備(4,997億円、2024年度予測)」は、矢野経済研究所の推計で、パッケージ等に加えてチラーや吸収冷温水機などのセントラル空調も含む、より広い範囲です。

このように、両者は対象とする範囲が異なるため、「約85万台=4,997億円」のように単純に結びつけることはできません。台数は機器の数量、金額はより広い設備の市場規模、と分けて理解することが、業務用空調を正しく捉えるうえで大切です。

業務用空調の需要を動かすもの

建設投資と設備の更新

業務用空調の需要先は、事務所・店舗・工場・倉庫・学校・病院などの非住宅建築物です。新しい建物が建てられれば空調が新設され、既存の建物では老朽化した機器の更新需要が生じます。そのため、業務用空調の市場は、建設投資の動向や、設備の更新サイクルに左右されます。景気が良く建設が活発な時期には需要が伸び、投資が抑えられる時期には落ち込む傾向があります。コロナ前の2019年度に台数が約95万台まで伸び、2020年度に約81万台へ落ち込んだのも、こうした需要環境の変化を映しています。

省エネ・脱炭素への対応

建築物の省エネ基準の強化や、暖房・給湯の電化(ヒートポンプ化)、脱炭素への対応が、業務用空調の需要の中身を変えています。高効率の機種への置き換えや、消費電力の少ない機器への更新が進み、単なる台数だけでなく、機器の性能や構成が競争軸となっています。こうした省エネ・脱炭素の動きは、金額でみた市場規模にも影響します。

台数と金額は動きが一致しないこともある

台数と金額は、必ずしも同じ動きをするとは限りません。金額は機器の単価や構成、設備の規模を反映するため、台数が横ばいでも高効率・大型機の比率が上がれば金額が増えることがあります。矢野経済研究所は、金額でみた業務用空調設備市場を2023年度の4,831億円(実績)から2024年度に4,997億円、2030年度に5,668億円へ緩やかに伸びると予測しています(予測値)。台数の日冷工統計(一次)と金額の矢野推計(二次・予測)は、出所も性質も異なる指標として、それぞれ読み解くことが大切です。

主要論点

業務用エアコンにはどんな種類があり、何が需要先か?

業務用エアコンは、店舗用・ビル用マルチ・設備用の3区分に分かれます。店舗用は事務所や店舗向けのパッケージエアコンで、業務用エアコンの中で最も多く、2024年度は約64万台でした。ビル用マルチは1台の室外機に複数の室内機をつなぐ方式でオフィスビルなどに使われ約16万台、設備用は工場・倉庫などの大空間向けの大型機で約5万台です。

これらの需要先は、事務所・店舗・工場・倉庫・学校・病院などの非住宅建築物です。建物の新築や改修、既存機器の更新に伴って空調が導入されるため、家庭用エアコンとは異なり、建設需要や企業・施設の設備投資の動向に需要が左右されます。

合計の台数は、コロナ前の2019年度に約95万台まで伸びた後、80万台台で推移し、2024年度は約85万台へ回復しました。3区分それぞれが異なる建物用途に対応しており、区分ごとの動きを見ることで、どの用途の需要が強いのかを捉えられます。

業務用空調を「台数」で見るのと「金額」で見るのは何が違うのか?

業務用空調を捉える指標には、台数と金額の2つがあります。台数は、日本冷凍空調工業会の国内需要統計による業務用エアコンの国内出荷で、2024年度は約85万台でした。これはメーカーが出荷した機器の数量です。

金額は、矢野経済研究所による業務用空調設備の市場規模で、2024年度は4,997億円(予測値)とされます。ここで重要なのは、金額が対象とする「業務用空調設備」が、台数の業務用エアコン(パッケージ等、個別空調が中心)に加えて、チラーや吸収冷温水機などのセントラル空調も含む、より広い範囲だという点です。

つまり、台数の約85万台と金額の4,997億円は、対象とする範囲が異なります。両者を単純に結びつけることはできず、台数は機器の数量、金額はより広い設備の市場規模として、分けて理解する必要があります。台数は工業会の自主統計(一次)、金額は調査会社の推計(二次・予測を含む)で、出所も性質も異なります。

業務用空調の市場を左右するのは何か?

業務用空調の市場を動かす最大の要因は、需要先である非住宅建築物の建設投資と設備更新です。オフィスや店舗、工場などの新築・改修が活発になれば空調の需要が伸び、投資が抑えられれば落ち込みます。家庭用エアコンが気温に左右されるのに対し、業務用は建設・設備投資のサイクルに左右されるのが特徴です。

加えて、省エネ・脱炭素への対応が需要の中身を変えています。建築物の省エネ基準の強化を背景に、高効率機種への置き換えや、消費電力の少ない機器への更新が進んでいます。これは台数だけでなく、金額でみた市場規模にも影響します。

今後を見るうえでは、建設投資の動向、設備更新のタイミング、省エネ・脱炭素に向けた機種構成の変化が観察軸となります。矢野経済研究所は金額でみた市場が2030年度に5,668億円へ緩やかに伸びると予測していますが(予測値)、実際の動きは建設需要や設備投資の動向に左右されます。

中期見通し

近未来1-2年

業務用エアコンの台数は、当面80万台台での推移が見込まれます。日本冷凍空調工業会は、2025年度・2026年度の業務用エアコンについて、前年並みの需要を見込んでいます(見込み・見通しの予測値)。建設投資の動向や、事務所・店舗・工場などの設備更新のタイミングが、当面の需要を左右します。

中期3-5年

中期では、省エネ・脱炭素への対応が需要の中身を変えていきます。建築物の省エネ基準の強化を背景に、高効率機種への置き換えや、低GWP冷媒への対応が進む見通しです。金額でみた業務用空調設備市場は、矢野経済研究所が2030年度に5,668億円(予測値)と見込んでいます。

長期5-10年

長期では、非住宅建築物のストックの更新と、省エネ・脱炭素の要請が市場を支える構造が続くと見られます。人口減少のもとで新築需要は緩やかに減る一方、既存建物の設備更新や、高効率機種・低GWP冷媒への移行が、市場の中身を変えていきます。台数の規模自体は大きくは変わらなくても、機器の性能や構成の変化が、金額でみた市場を動かす見通しです。

よくある質問

業務用エアコンは年間どれくらい出荷されていますか?
業務用エアコンの国内出荷は、2024年度で約85万台でした(日本冷凍空調工業会)。店舗用・ビル用マルチ・設備用の3区分の合計で、店舗用が約64万台と最も多い区分です。コロナ前の2019年度に約95万台まで伸びた後、80万台台で推移しています。
業務用エアコンの店舗用・ビル用マルチ・設備用は何が違いますか?
店舗用は事務所や店舗に据え付けるパッケージエアコンで、業務用エアコンで最も多い区分です。ビル用マルチは1台の室外機に複数の室内機をつなぐ方式で、オフィスビルなどに使われます。設備用は工場・倉庫などの大きな空間を冷暖房する大型機です。2024年度は店舗用が約64万台、ビル用マルチが約16万台、設備用が約5万台でした。
業務用空調設備の市場規模はいくらですか?
矢野経済研究所によると、非住宅建築物向けの業務用空調設備の市場規模は、出荷金額ベースで2023年度に4,831億円(実績)、2024年度に4,997億円(予測)とされます。2030年度は5,668億円と予測されています。この「業務用空調設備」は、台数でみる業務用エアコンに加え、チラーなどのセントラル空調も含む広い範囲です。
個別空調とセントラル空調はどう違いますか?
個別空調は、建物の部屋ごとに冷暖房する個別熱源方式で、店舗・事務所用パッケージやビル用マルチ、設備用、GHPなどが該当し、延床1万㎡未満の建物で使われることが多い方式です。セントラル空調は、建物全体をまとめて冷暖房する中央熱源方式で、チラーや吸収冷温水機などを使い、延床1万㎡以上の大型ビル等で使われます。金額ベースでは、2023年度実績で個別空調が約79.3%、セントラル空調が約20.7%でした(矢野経済研究所)。
業務用空調の「台数」と「金額」を足し合わせてよいですか?
足し合わせることはできません。台数の「業務用エアコン(約85万台)」と金額の「業務用空調設備(4,997億円、2024年度予測)」は、対象とする範囲が異なります。台数はパッケージエアコン等(個別空調が中心)、金額はチラーなどのセントラル空調も含む広い範囲です。台数は機器の数量、金額はより広い設備の市場規模として、別の指標として読み解く必要があります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本冷凍空調工業会(JRAIA) 冷凍空調機器の国内需要統計
  2. 2.
    矢野経済研究所 業務用空調設備市場の現状と将来展望(2024年版)
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