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空調業界の主要メーカー|連結売上と空調事業の位置づけ【2026年版】

日本の空調メーカーには、空調に特化したダイキン工業富士通ゼネラルと、空調を総合電機・エレクトロニクスの一事業とする三菱電機・パナソニック・日立があります。ダイキンは連結売上高5兆150億円の約9割が空調・冷凍機事業(4兆6,211億円)で、空調事業では世界首位級とされます。ただし各社の連結売上や開示するセグメントは空調単独の数値ではなく、そのまま並べて比べることはできません。連結と空調事業、世界と国内の違いに注意しながら、各社の位置づけを整理します。

主要メーカーの連結売上と空調事業

連結売上高と、空調を含む開示区分の売上(各社 最新通期)。連結はグループ全体、空調を含む区分はその一部で、区分の範囲は各社で異なる

数値は各社の最新通期の決算短信〔連結〕の報告セグメント情報(外部顧客への売上高/売上収益)に基づきます。「連結売上高」はグループ全体の売上で、「空調を含む開示区分」は各社が開示するセグメントのうち空調事業を含むものです。ただし、その区分の範囲は会社ごとに異なります。ダイキンの空調・冷凍機事業は冷凍機を、三菱電機の「ライフ」は昇降機(ビルシステム)や家電を、パナソニックの「HVAC & CC」はコールドチェーン(業務用の冷凍冷蔵)を含みます。空調単独の売上は、多くの会社で開示されていません

そのため、これらの売上は規模感の目安であって、市場シェアや厳密な順位ではありません。会計基準(日本基準/IFRS)や決算期(多くは3月期、長府製作所は12月期)も各社で異なります。また、これらは各社の連結(世界事業を含む)の数字で、日本の空調市場の規模(国内出荷台数など)とは集計の対象が異なります。表の並びは事業構成の型(空調専業・総合メーカー)でまとめており、売上の大小で順位付けしたものではありません。富士通ゼネラルは2025年8月に上場廃止となったため、数値は上場最終の2025年3月期です。

ダイキン工業
2026年3月期・日本基準
連結売上高
5兆150億円
空調を含む開示区分
空調・冷凍機事業(冷凍機を含む。連結売上高の約9割)
同 区分の売上
4兆6,211億円
三菱電機
2026年3月期・IFRS
連結売上高
5兆8,947億円
空調を含む開示区分
ライフ(ビルシステム(昇降機)と空調・家電を含む事業領域)
同 区分の売上
2兆2,866億円
連結売上高
8兆487億円
空調を含む開示区分
HVAC & CC(空調・空質にコールドチェーン(業務用の冷凍冷蔵)を含む)
同 区分の売上
1兆1,496億円
富士通ゼネラル
2025年3月期・日本基準(上場廃止)
連結売上高
3,541億円
空調を含む開示区分
空調機(連結売上高の約9割が空調機で、海外比率が高い)
同 区分の売上
3,158億円
日立製作所
2026年3月期・IFRS
連結売上高
10兆5,868億円
空調を含む開示区分
空調は単独開示なし(合弁の持分を売却)
同 区分の売上

ダイキン工業 — 空調に特化した世界最大手

ダイキン工業は、空調に特化した総合空調メーカーです。連結売上高5兆150億円(2026年3月期)の約9割を空調・冷凍機事業(4兆6,211億円)が占め、残りはフッ素化学(冷媒などの化学事業)とその他です。家庭用のルームエアコンから、業務用のパッケージエアコン、大型ビル向けのアプライド機(セントラル空調)まで幅広く手がけ、空調機と冷媒の両方を自社で持つ点が特徴です。

ダイキンの空調・冷凍機事業4兆6,211億円のうち、日本は約6,758億円で、残りの約85%は海外です。北米・欧州・アジアなどで現地生産・販売を広げ、170を超える国・地域で事業を展開しています。連結売上は世界事業を含む数字であり、日本の空調市場の規模とは分けて見る必要があります。空調事業では、売上でみて世界首位級とされます。国内では、省エネ性能やヒートポンプ技術、低GWP冷媒(地球温暖化への影響が小さい冷媒、R32など)への対応で存在感を保っています。

三菱電機 — 総合電機の一事業として空調を展開

三菱電機は、FA(工場自動化)・社会インフラ・半導体などを幅広く手がける総合電機メーカーで、空調はその一事業です。連結売上高は5兆8,947億円(2026年3月期)で、空調は「ライフ」事業領域(外部売上2兆2,866億円)に含まれます。ただしこの「ライフ」には、昇降機(エレベーター・エスカレーター)などのビルシステムや家電も含まれ、空調単独の区分ではありません。

補足情報の部門別では、「空調・家電」の売上が1兆6,103億円(2026年3月期)と開示されていますが、これも空調と家電を合算したもので、空調だけを取り出した数値ではありません。三菱電機は「霧ヶ峰」などの家庭用エアコンに加え、業務用の空調やビル用マルチにも強みを持ち、海外でも事業を展開しています。総合電機として、FA・パワー半導体・ビルシステムなど他事業との組み合わせが特徴で、空調事業単独の規模は連結から切り出しにくい構造です。

パナソニック ホールディングス — 空調を独立セグメントに集約

パナソニック ホールディングスは、家電・車載・電材・エナジーなどを手がける総合エレクトロニクスメーカーです。連結売上高は8兆487億円(2026年3月期)で、2026年1月のグループ再編により、空調・空質とコールドチェーン(業務用の冷凍冷蔵)を「HVAC & CC」セグメント(外部売上1兆1,496億円)に集約しました。空調・エコキュート単独の売上は開示されず、コールドチェーンを含む区分としての開示です。

HVAC & CCには、ルームエアコン・業務用空調に加え、欧州で伸びるA2W(ヒートポンプ式の温水給湯暖房機)、IAQ(空気質)、エコキュート、業務用の冷凍冷蔵ショーケースなどが含まれます。近年は国内の猛暑によるルームエアコン需要や、欧州のヒートポンプ暖房の回復が業績を支えています。パナソニックにとって空調は、家電(スマートライフ)や電材(エレクトリックワークス)と並ぶ主要事業の一つで、暖房・給湯の電化を成長分野と位置づけています。

富士通ゼネラル — 海外を主力とする空調専業

富士通ゼネラルは、空調を主力とする専業メーカーです。連結売上高3,541億円(2025年3月期)のうち、約9割が空調機(3,158億円)で、5社のなかで最も空調に近い事業構成です。「nocria(ノクリア)」ブランドの家庭用・業務用エアコンを、北米・欧州・豪州・アジアなど海外中心に展開しており、海外での売上比率が高いのが特徴です。専業ゆえに、空調市況の影響を直接受けやすい点にも注意が必要です。

2025年3月期は、北米の空調需要や構造改革を背景に営業利益は改善した一方、事業基盤の改革費用などにより最終損益は赤字となりました。なお、富士通ゼネラルは2025年8月にパロマ・リーム・ホールディングスの傘下入りに伴い上場廃止となり、旧親会社の富士通は資本関係から退きました。本ページの数値は、上場最終の通期である2025年3月期のものです。

日立製作所 — 空調は連結の中核事業ではない

日立製作所は、デジタル・エナジー・モビリティを軸とする社会インフラ企業で、連結売上収益は10兆5,868億円(2026年3月期)にのぼります。ただし、この連結売上を空調事業の規模と見なすことはできません。日立は空調を独立した報告セグメントとして開示しておらず、空調単独の連結売上は分かりません。連結が10兆円を超える大企業でも、空調事業に絞ると規模感は大きく変わる典型例です。

家庭用のルームエアコン(「白くまくん」など)は、日立グローバルライフソリューションズが手がけ、コネクティブインダストリーズ事業に含まれます。かつては空調の合弁事業(ジョンソンコントロールズと日立の合弁)を通じて空調を展開していましたが、その持分を売却するなど、空調は事業ポートフォリオの見直しが進む領域です。日立にとって空調は、社会インフラやデジタルを中核とするグループのなかで、周辺的な位置づけになっています。

給湯・暖房を主とするメーカー — コロナ・長府製作所

エアコンの主要メーカーとは別に、給湯・暖房を主力とし、空調も手がけるメーカーがあります。コロナ(連結売上高853億円、2026年3月期)は、石油暖房機器や住宅設備機器(エコキュート・石油給湯機など)を中心に、ルームエアコン・除湿機などの空調・家電機器も手がけます。長府製作所(連結売上高465億円、2025年12月期)は、給湯機器(エコキュート・給湯器など)を最大の事業とし、ヒートポンプ式の熱源機や全館空調などの空調機器も供給しています。

両社は、家庭用ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の主要な供給者でもあります。ただし、総合メーカーや空調専業メーカーとは連結売上の規模が桁違いに小さく、事業の軸足も給湯・暖房にあります。エアコンだけでなく、暖房・給湯まで含めて空調・熱の機器を幅広く見ると、こうした専業メーカーも業界の一角を担っていることが分かります。

主要論点

なぜ「連結売上」を空調事業の規模と見なせないのか?

各社の連結売上は、空調事業の規模とは一致しません。理由は二つあります。一つは、連結に空調以外の事業が含まれることです。日立は連結売上収益10兆5,868億円の大企業ですが、空調は中核事業ではなく、単独の売上を開示していません。三菱電機(連結5兆8,947億円)はFA・インフラ・半導体が、パナソニック(連結8兆487億円)は家電・車載・エナジーが大きな比重を占めます。

もう一つは、各社が開示する「空調を含む区分」の範囲が異なることです。ダイキンの空調・冷凍機事業(4兆6,211億円)は冷凍機を、三菱電機の「ライフ」(2兆2,866億円)は昇降機や家電を、パナソニックの「HVAC & CC」(1兆1,496億円)はコールドチェーンを含みます。空調単独の売上を開示する会社は少なく、最も空調に近いのは専業の富士通ゼネラル(空調機3,158億円)です。

そのため、各社の売上を単純に並べて「空調メーカーの順位」とすることはできません。連結売上・空調を含むセグメント・空調単独は、それぞれ集計の範囲が異なるため、どの数字を見ているのかを意識し、規模感の目安として読むことが大切です。

空調専業と総合メーカー、事業構造の違いをどう見るか?

空調メーカーは、事業構造で大きく二つに分かれます。一つは空調専業で、ダイキン工業と富士通ゼネラルが代表です。ダイキンは連結5兆150億円の約9割が空調・冷凍機で、空調に経営資源を集中し、世界で事業を広げています。富士通ゼネラルも連結の約9割が空調機の専業です。専業は空調に特化するぶん、空調市況の影響を直接受けます。

もう一つは、空調を総合メーカーの一事業とするタイプで、三菱電機・パナソニック・日立が該当します。これらは、FA・半導体・家電・社会インフラなど幅広い事業を持ち、空調はそのなかの一つです。総合メーカーは、パワー半導体や制御技術など他事業との組み合わせを活かせる一方、空調事業の規模や採算は連結からは見えにくくなります。

さらに、日立のように空調事業の見直し(合弁持分の売却など)を進める会社もあります。空調を専業として深掘りするか、総合事業の一部として位置づけるかは各社で異なり、その違いが、事業の見せ方や経営資源の配分に表れています。

各社の空調事業は今後どこで競うのか?

各社の空調事業は、国内と海外で異なる論点を抱えています。国内では、家庭用エアコンの買い替え需要や、業務用の設備更新、そして省エネ・脱炭素(ヒートポンプ化)が需要を支えます。猛暑による冷房需要も、家庭用の年ごとの変動要因です。競争軸は、省エネ性能・低GWP冷媒(R32など)への対応・据付やメンテナンスを含むサービスへと広がっています。

海外では、成長市場での事業拡大が焦点です。ダイキンは北米・欧州・アジアで、パナソニックは欧州のヒートポンプ暖房(A2W)で、富士通ゼネラルは北米などで、それぞれ海外事業を伸ばそうとしています。各社の連結売上に占める海外比率は高く、世界での競争が業績を左右します。

共通するのは、暖房・給湯の電化(ヒートポンプ化)と、冷媒規制への対応が、中長期の技術テーマになっている点です。省エネと低GWP冷媒を両立させる技術力が、国内外での競争力を分ける要素になります。各社が空調をどう位置づけ、どこに投資するかが、今後の事業構成を左右します。

中期見通し

近未来1-2年

国内では、猛暑による冷房需要と買い替えが、家庭用エアコンの出荷を支えます。業務用は建設・設備投資の動向に左右されます。各社とも、省エネ機種や低GWP冷媒への置き換えを進めながら、価格上昇のなかで需要を取り込む展開が続きます。海外事業の比率が高い専業・総合メーカーは、北米・欧州・アジアの市況が業績を大きく動かします。

中期3-5年

中期では、暖房・給湯の電化(ヒートポンプ化)と脱炭素対応が、各社の空調事業の方向を決めます。欧州のヒートポンプ暖房、エコキュートなどの給湯の電化、低GWP冷媒への移行が進み、省エネ・環境性能をめぐる競争が強まります。総合メーカーは他事業とのシナジー、専業メーカーは空調への集中で、それぞれの強みを活かす戦略が問われます。

長期5-10年

長期では、世界の空調需要の拡大と、脱炭素に向けた技術転換が競争の軸になります。新興国の冷房需要、先進国の暖房の電化、冷媒規制の強化が、製品と市場を変えていきます。各社を評価するときは、連結売上の規模だけでなく、空調事業の位置づけ(専業か一事業か)、海外での競争力、脱炭素技術への対応を合わせて見ることが重要です。

よくある質問

日本の主要な空調メーカーはどこですか?
空調に特化した専業として、ダイキン工業と富士通ゼネラルがあります。空調を総合メーカーの一事業とする会社として、三菱電機・パナソニック ホールディングス・日立製作所が家庭用・業務用のエアコンを手がけます。エコキュートなどの給湯・暖房では、コロナや長府製作所も活動しています。ダイキンは連結売上高5兆150億円の約9割が空調・冷凍機事業で、空調事業では世界首位級とされます。
なぜ各社の売上を並べて「空調メーカーの順位」にできないのですか?
各社の連結売上には空調以外の事業が含まれ、その比率が会社ごとに異なるためです。また、各社が開示する「空調を含む区分」の範囲も異なります。ダイキンの空調・冷凍機事業(4兆6,211億円)は冷凍機を、三菱電機の「ライフ」(2兆2,866億円)は昇降機や家電を、パナソニックの「HVAC & CC」(1兆1,496億円)はコールドチェーンを含みます。空調単独の売上を開示する会社は少なく、これらは規模感の目安で、市場シェアや順位ではありません。
ダイキンの空調事業の規模はどれくらいですか?
ダイキン工業の空調・冷凍機事業の売上は4兆6,211億円(2026年3月期、冷凍機を含む)で、連結売上高5兆150億円の約9割を占めます。ただし、このうち日本は約6,758億円で、残りの約85%は海外です。連結の空調事業は世界事業を含む数字であり、日本の空調市場の規模(家庭用エアコン約941万台などの国内出荷)とは集計の対象が異なります。
富士通ゼネラルはなぜ上場廃止になったのですか?
富士通ゼネラルは、2025年8月にパロマ・リーム・ホールディングスの傘下入りに伴い上場廃止となりました。これにより、旧親会社の富士通は資本関係から退いています。会社としては空調専業メーカーとして事業を続けており、本ページの数値は上場最終の通期である2025年3月期のものです。連結売上高3,541億円の約9割が空調機で、海外比率が高いのが特徴です。
日立の空調事業はどうなっていますか?
日立製作所は空調を独立した報告セグメントとして開示しておらず、空調単独の連結売上は分かりません。家庭用ルームエアコン(白くまくんなど)は日立グローバルライフソリューションズが手がけ、コネクティブインダストリーズ事業に含まれます。かつての空調の合弁事業の持分を売却するなど、空調は事業ポートフォリオの見直しが進む領域で、社会インフラやデジタルを中核とするグループのなかでは周辺的な位置づけです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 最新通期 決算短信〔連結〕(ダイキン工業・三菱電機・パナソニックHD・富士通ゼネラル・日立製作所・コロナ・長府製作所)
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