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エコキュートの出荷動向と脱炭素|累計1,000万台とヒートポンプ給湯【2026年版】

エコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機)は、大気中の熱を利用してお湯を沸かす電気給湯機です。累計出荷台数は2025年3月末に1,000万台を突破しました(2001年の発売開始から到達、日本冷凍空調工業会・ヒートポンプ・蓄熱センター)。単年の国内出荷は近年60万〜70万台規模で、2024年度は約66万台でした。燃焼式の給湯と比べてCO2排出が少ないとされ、給湯の脱炭素技術として位置づけられています。出荷台数の推移と、脱炭素での位置づけを整理します。

累計出荷台数(2025年3月末)
1,000万台
2001年の発売開始から到達した累計(ストック、HPTCJ/日冷工の統計値)
出典: 日本冷凍空調工業会/ヒートポンプ・蓄熱センター
国内出荷台数(2024年度)
66万台7.7% YoY
前年比7.7%増。単年のフロー、近年60万〜70万台規模
出典: 日本冷凍空調工業会 国内需要統計
出荷のピーク(2022年度)
70万台
この期間(2017-2024年度)で単年出荷が最も多かった年度
出典: 日本冷凍空調工業会 国内需要統計

エコキュートの国内出荷台数の推移(2017-2024年度、万台)

近年は年60万〜70万台規模。2022年度の約70万台がこの期間のピークで、2023年度に減少後、2024年度は持ち直し
単位: 万台
02040608044.71748.11852.419542060.82170.42261.72366.424
出典: 日本冷凍空調工業会 冷凍空調機器の国内需要統計(年度、家庭用ヒートポンプ給湯機=エコキュート 国内出荷台数)
年度20172018201920202021202220232024
エコキュート 国内出荷台数万台44.6748.0652.3654.0060.7670.4461.6866.45
前年比+7.6%+8.9%+3.1%+12.5%+15.9%-12.4%+7.7%
読み解き

エコキュートの単年の国内出荷は、2017年度の約45万台から増加傾向で推移し、2021年度から2022年度にかけて伸びて、2022年度に約70万台とこの期間のピークとなりました。その後、2023年度は約62万台へ減少し、2024年度は前年比7.7%増の約66万台へ持ち直しています。近年は年60万〜70万台規模での推移です。

エコキュートの需要は、新築住宅への採用や、既存のガス給湯機・電気温水器からの置き換え、省エネ・脱炭素に向けた政策の後押しなどに支えられています。一方で、住宅着工の動向や電気料金、設置スペースや初期費用、補助制度の有無などによって、単年の出荷は年ごとに増減します。ここで示すのはその年に出荷された台数(フロー)で、これまでに出荷された総数(累計・ストック)とは分けて捉える必要があります。

なぜエコキュートは脱炭素技術とされるのか

大気の熱を利用するヒートポンプの仕組み

エコキュートは、空気中(大気)の熱を「ヒートポンプ技術」で汲み上げ、その熱でお湯を沸かす電気給湯機です。ガスや灯油を燃やしてお湯を沸かす燃焼式と異なり、少ない電力で大気中の熱を移動させて利用するため、投入したエネルギーより多くの熱を得られます。この大気中の熱は再生可能エネルギーとして扱われ、エネルギー効率が高いことが、脱炭素技術として位置づけられる理由です。

CO2排出は燃焼式の約6割とされる(試算)

ヒートポンプ・蓄熱センターは、一定の前提を置いた試算として、エコキュートのCO2排出量が家庭用ガス燃焼式給湯機と比べて約6割程度になるとしています。また、累計1,000万台がすべて従来型のガス燃焼式給湯機から置き換わったと仮定して単純計算すると、約379万t-CO2/年が削減されるとの試算も示しています。いずれも一定の前提に基づく試算値で、実際の削減量は使い方や電源構成などによって変わります。

エネルギー政策上の位置づけ

2025年2月に閣議決定された第七次エネルギー基本計画では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた需要側の省エネ・非化石転換の対策として、ヒートポンプの活用が明記されています。あわせて、太陽光など再生可能エネルギーの拡大にともなう電力需給の調整力として、湯を沸かす時間帯を昼間へ動かす「デマンド・レスポンス」(上げDR)や蓄熱の活用も期待されています。給湯の電化を担う機器として、政策の中で位置づけられている段階です。

主要論点

エコキュートの累計出荷はなぜ1,000万台に達したのか?

エコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機)は、2001年に発売が始まり、2025年3月末に累計出荷台数が1,000万台を突破しました。約24年かけて到達した累計で、これまでに出荷された総数(ストック)を示します。

累計が積み上がった背景には、新築住宅への採用に加え、既存のガス給湯機・電気温水器からの置き換え、省エネ・脱炭素に向けた政策の後押しがあります。近年は年60万〜70万台規模で出荷が続いており、この単年の出荷(フロー)が毎年積み重なることで、累計が伸びてきました。

ただし、1,000万台はあくまで一つの節目です。ヒートポンプ・蓄熱センターは、2050年カーボンニュートラルの達成には約3,650万台までの普及拡大が必要になるとの試算を示しており、累計1,000万台は「通過点」と位置づけられています(いずれも同センターの試算・見解)。

単年の出荷はなぜ年によって増減するのか?

エコキュートの単年の国内出荷は、近年60万〜70万台規模ですが、年ごとに増減があります。2022年度に約70万台まで伸びた後、2023年度は約62万台へ減少し、2024年度は約66万台へ持ち直しました。

この増減は、新築住宅の着工動向、既存機器の買い替えのタイミング、電気料金や設置費用、補助制度の有無など、複数の要因が重なって生じます。給湯機は住宅設備の一部であるため、住宅市場の動きや世帯の設備投資判断の影響を受けます。単年では前年を下回る年もありますが、累計(ストック)は毎年の出荷が積み重なって伸び続けます。

市場を見るときは、その年の出荷(フロー)と、これまでの総数(累計・ストック)を分けて捉えることが大切です。フローは景気や住宅市場で振れますが、累計はエコキュートがどれだけ社会に普及したかを示します。

脱炭素技術としての普及は、これから何に左右されるのか?

エコキュートは、大気中の熱を利用してお湯を沸かすため、燃焼式の給湯と比べてCO2排出が少ないとされ、給湯の脱炭素技術として位置づけられています。第七次エネルギー基本計画でもヒートポンプの活用が明記され、政策上の追い風があります。

もっとも、今後の普及の進み方には幅があります。新築住宅の着工数が人口減少のもとで緩やかに減ると見られるなか、既存住宅での置き換えをどこまで進められるかが鍵となります。加えて、電気料金の水準、設置スペースや初期費用、補助制度の動向が、世帯の選択を左右します。

ヒートポンプ・蓄熱センターは、2050年カーボンニュートラルに向けて約3,650万台までの普及が必要との試算を示していますが、これは一定の前提に基づく目安です。脱炭素の掛け声だけでなく、コストや住宅市場という現実の条件が、実際の普及ペースを決めていくことになります。

中期見通し

近未来1-2年

単年の出荷は、当面年60万〜70万台規模での推移が見込まれます。日本冷凍空調工業会は、2025年度・2026年度のエコキュートについても、前年並みから微減・微増程度の需要を見込んでいます(見込み・見通しの予測値)。新築住宅の着工動向、電気料金、補助制度の有無が、当面の出荷を左右する要因です。

中期3-5年

中期では、給湯の電化(ヒートポンプ化)が需要の柱として意識されます。第七次エネルギー基本計画でヒートポンプの活用が位置づけられ、既存住宅でのガス給湯機・電気温水器からの置き換えが進むかが焦点です。太陽光の余剰電力を昼間に活用する「上げDR」など、電力システムとの連携も広がる可能性があります。

長期5-10年

長期では、2050年カーボンニュートラルに向けた電化の進み方が方向を決めます。ヒートポンプ・蓄熱センターは、その達成には累計で約3,650万台までの普及拡大が必要との試算を示し、累計1,000万台を「通過点」と位置づけています。ただしこれは一定の前提に基づく目安であり、実際の普及は住宅市場・電気料金・政策の動向に左右されるため、見通しには幅があります(同センターの試算・見解)。

よくある質問

エコキュートの累計出荷台数はどれくらいですか?
エコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機)の累計出荷台数は、2025年3月末に1,000万台を突破しました(日本冷凍空調工業会・ヒートポンプ・蓄熱センター・電気事業連合会の発表)。2001年の発売開始から約24年で到達した累計で、これまでに出荷された総数(ストック)を示します。
エコキュートは年間どれくらい出荷されていますか?
エコキュートの単年の国内出荷は、近年60万〜70万台規模で推移しています。2022年度に約70万台まで伸びた後、2023年度は約62万台へ減少し、2024年度は前年比7.7%増の約66万台でした(日本冷凍空調工業会 国内需要統計)。累計(これまでの総数)とは別の、その年のフローの数字です。
エコキュートはなぜ脱炭素に役立つとされるのですか?
エコキュートは、大気中の熱をヒートポンプ技術で汲み上げてお湯を沸かす電気給湯機です。ガスや灯油を燃やす燃焼式と比べて少ない電力で熱を得られ、CO2排出を抑えられるとされています。ヒートポンプ・蓄熱センターの試算では、CO2排出量は家庭用ガス燃焼式給湯機の約6割程度になるとされています(一定の前提に基づく試算値)。給湯の脱炭素技術として位置づけられています。
エコキュートで実際にどれくらいCO2が減るのですか?
ヒートポンプ・蓄熱センターは、累計1,000万台がすべて従来型の家庭用ガス燃焼式給湯機から置き換わったと仮定して単純計算した場合、約379万t-CO2/年が削減されるとの試算を示しています。これは一定の前提を置いた試算値で、実際の削減量は各家庭の使い方や電源構成などによって変わります。
エコキュートは今後どこまで普及する見込みですか?
ヒートポンプ・蓄熱センターは、2050年カーボンニュートラルの達成には累計で約3,650万台までの普及拡大が必要になるとの試算を示し、累計1,000万台を「通過点」と位置づけています。ただしこれは一定の前提に基づく目安で、実際の普及は住宅着工・電気料金・補助制度・設置費用などの動向に左右されるため、見通しには幅があります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本冷凍空調工業会(JRAIA) 冷凍空調機器の国内需要統計
  2. 2.
    ヒートポンプ・蓄熱センター(HPTCJ) エコキュート累計出荷1,000万台突破 プレスリリース
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