部材 — 日本勢が競争力を持つ上流
リチウムイオン電池は、大きく正極材・負極材・電解液・セパレータという四つの主要部材から成ります。正極材は電池の容量やエネルギー密度を左右する中核の材料で、住友金属鉱山などが世界の電池メーカーに供給しています。負極材は充電した電気をためる材料、電解液は電気を運ぶ液体で、宇部やクレハなどの化学メーカーが関連材料を手がけます。セパレータは電池の内部で正極と負極を隔てて短絡(ショート)を防ぐ薄い膜で、旭化成や東レが世界大手として供給しています。
これらの部材で日本勢が競争力を保っているのは、素材・化学の技術の蓄積があるためです。部材は、電池の性能・安全性・寿命・コストを直接左右し、わずかな品質の差が電池全体の性能に影響します。長年の素材開発で培った品質と、量産での安定供給が、日本の部材メーカーの強みです。セル製造で中韓勢が先行するなかでも、その電池に使われる材料の一部を日本勢が供給する、という構造になっています。
ただし、部材でも中国・韓国勢の追い上げが進んでいます。セルの量産が中韓に集中するにつれ、部材の現地調達や現地生産も増え、日本の部材メーカーは高付加価値の材料や、顧客であるセルメーカーの立地に合わせた供給体制の構築が課題となっています。部材は日本勢の強みである一方、安泰ではなく、技術と供給網の両面で競争が続いています。