なぜ国は蓄電池を産業戦略の柱に据えるのか?
国が蓄電池を産業戦略の柱に据えるのは、蓄電池が脱炭素・成長産業・経済安全保障という三つの要請の交点にあるためです。第1に、脱炭素です。再生可能エネルギーを主力電源にするには、その出力変動を支える蓄電池が不可欠で、電気自動車の普及にも車載電池が欠かせません。第2に、成長産業としての期待です。世界の蓄電池市場は今後も拡大が見込まれ、そこで日本企業が地位を確保できれば、雇用や付加価値を国内に生み出せます。
第3に、経済安全保障です。電池のセルの量産と原材料の供給が中国・韓国などに集中する現状は、供給の途絶や価格の変動というリスクを伴います。電池は多くの産業を支える基盤であるため、その供給を他国に大きく依存することは、経済安全保障上の懸念になります。
この三つが重なるからこそ、国は蓄電池を単なる一産業ではなく、政策的に支える戦略分野と位置づけています。かつて日本企業が世界をリードしながらセルの量産で後れをとった経緯もあり、国内に製造基盤を取り戻し、次世代技術で主導権を握ることが、戦略の狙いです。