最終更新
STAT DETAIL · FORECAST CYCLE

半導体製造装置の需要予測サイクル|SEAJ FY2025 4.91兆円・FY2026F 5.50兆円、Jul→Jan 6ヶ月で +1,506億円上方修正【2026年版】

半導体製造装置の需要予測サイクルとは、SEAJ (一般社団法人日本半導体製造装置協会) が年2回 (1月・7月) 改定する半導体・FPD製造装置需要予測 ─ 装置メーカー20社の市場規模動向調査を集計した業界団体の合意見解 ─ のことで、装置市場の設備投資サイクルを3ヶ年スパンで先読みする業界標準指標です。直近2026年1月発表ではFY2025 4.91兆円 (+3%)、FY2026 5.50兆円 (+12%)、FY2027 5.61兆円 (+2%) と、6ヶ月前の2025年7月予測からFY2026のみで +1,506億円の上方修正です。月次販売高 (3ヶ月移動平均) は2026年3月暫定値で4,801.82億円、前月比+13.5%、前年同月比+11.1%です。なおBBレシオ (book-to-bill比率、受注÷出荷) はSEAJでは直接公表されておらず、本ページではSEAJ World Wide SEMSのbilling集計と需要予測対比で代替評価します。

月次販売高2026年3月
4,801.82億円
SEAJ 3ヶ月移動平均、前月比+13.5%、前年同月比+11.1%
出典: SEAJ「日本製半導体製造装置 月度販売高 (3ヶ月移動平均)」(2026年4月20日発表)
FY2026F SEAJ予測
5.50兆円
+12%、Jul 2025予測5.35兆円 (= 53,498億円) から +1,506億円上方修正
出典: SEAJ「半導体・FPD製造装置需要予測 (2025年度〜2027年度)」(2026年1月15日発表)
Jul→Jan 3年合計改定幅
+2,984億円
FY2025 +477 / FY2026 +1,506 / FY2027 +1,001の全3年上方修正
出典: SEAJ Jul 2025 vs Jan 2026予測比較
2027F SEMI世界市場
156十億ドル
(= 1,560億ドル) SEMI年末予測、過去最高、2026Fは145十億ドル
出典: SEMI「世界半導体製造装置 年末市場予測」(2025年12月15日発表)

SEAJ日本製半導体製造装置 月次販売高の推移 (2025/10-2026/3、億円)

3ヶ月移動平均、6ヶ月推移、2026年3月暫定値4,801.82億円 (前月比+13.5%)
単位: 億円
01,2502,5003,7505,0004,139N4,207N4,235N4,275N4,231N4,802N
出典: SEAJ「日本製半導体製造装置 月度販売高 (3ヶ月移動平均)」(2026年4月20日発表)
年度2025/102025/112025/122026/12026/22026/3
値(億円4138.764206.704234.874275.084231.034801.82
前年比
読み解き

SEAJ月度販売高 (3ヶ月移動平均) は2025年10月の4,138.76億円から2026年3月暫定値の4,801.82億円まで、6ヶ月で約16.0%増の回復モメンタムを示しています。2026年3月暫定値は前月比+13.5%、前年同月比+11.1%と力強い伸びです。途中の2025年12月は前年同月比-4.5%と一時的に対前年マイナスを記録しましたが、2026年1月以降は連続でプラス基調に転じています。 月次販売高は「3ヶ月移動平均」で公表されており、単月の極端な変動を均した上でtrendを示します。SEAJ月度速報は装置メーカー各社の月次出荷を集計したもので、輸出を含む日本企業のグローバル出荷ベース (会計期4-3月の元データ) です。直近6ヶ月のtrendはSEAJ Jan 2026予測のFY2025=4.91兆円 (+3%) の実現に向けた回復軌道と整合的です。 月次データは需給サイクル変化の最も早い先行指標で、年2回のSEAJ需要予測改定の根拠の一つとして用いられます。直近の上方トレンド (2026年3月 +13.5% MoM) は次回7月改定でのFY2026予測の方向性に影響しうる材料です。月次振幅自体は通常 ±5-15% 程度で、本期間の +13.5% は前月比でみると相対的に大きい伸びです。

SEAJ需要予測 改定対比 (2025年7月発表vs 2026年1月発表、兆円)

6ヶ月で3ヶ年予測すべて上方修正、改定幅FY2026が最大 +1,506億円
FY2025
2025年7月予測 (兆円)
4.86兆円
2026年1月予測 (兆円)
4.91兆円
改定幅 (億円)
+477億円
FY2026F
2025年7月予測 (兆円)
5.35兆円
2026年1月予測 (兆円)
5.50兆円
改定幅 (億円)
+1,506億円
FY2027F
2025年7月予測 (兆円)
5.51兆円
2026年1月予測 (兆円)
5.61兆円
改定幅 (億円)
+1,001億円
読み解き

2025年7月から2026年1月までの6ヶ月で、SEAJは3ヶ年予測すべてを上方修正しました。FY2025 (前年度比) は +2%→+3% (改定幅 +477億円)、FY2026は +10%→+12% (改定幅 +1,506億円、最大)、FY2027は +3%→+2% (改定幅 +1,001億円) で、3年合計の改定幅は +2,984億円です。 改定の要因はSEAJプレスで明示されており、Jan 2026予測は「台湾ファウンドリーの2nm(GAA) 投資の本格化、HBMを中心としたDRAM投資の底堅さ」(FY2025)、「DRAM投資拡大の継続に加え、AIサーバー向け先端ロジック投資拡大」(FY2026) を上方修正の理由として挙げています。Jul 2025予測時点では「ロジック・ファウンドリー投資に一部で減速感」との慎重表現があったのに対し、Jan 2026予測ではこの慎重表現が消え、AIサーバー向け先端ロジック投資の拡大が確度を高めた構図です。 FY2027の改定幅 +1,001億円はFY2026の +1,506億円より小さく、AI関連需要の高水準継続を見込みつつも、長期の不確実性に対するバランスをとった改定です。年2回の改定サイクルが装置市場のcycle認識を時系列で更新する仕組みとして機能しており、提案書・経営層議論では「最新版がどのtimingの改定か」を必ず確認する必要があります。

SEAJ World Wide SEMS Report 2025年地域別販売額 (十億ドル)

SEMIと協同集計、7地域 + 合計135.06十億ドル (前年比+15%)、日本9.52十億ドル (前年比+16%)
単位: 十億ドル7 カテゴリ・合計 135
012.52537.55049.3中国31.5台湾25.8韓国10.9北米9.5日本5.2その他2.9欧州
出典: SEAJ「World Wide SEMS Report」(2026年4月8日発表、SEMI共同統計、世界95社以上の装置メーカーから月次データ集計)
カテゴリ中国台湾韓国北米日本その他欧州
値(十億ドル49.3131.5025.7510.899.525.232.86
シェア36.5%23.3%19.1%8.1%7.0%3.9%2.1%
読み解き

SEAJ World Wide SEMS ReportはSEMIと共同で世界95社以上の半導体製造装置メーカーから集計する世界統計で、2025年の世界販売額135.06十億ドル (前年比+15%) はSEMI確報の135.06十億ドルと整合します。7地域別では中国49.31十億ドル (前年比+4%、6年連続1位)、台湾31.5十億ドル (+48%、3年ぶり韓国を抜いて2位)、韓国25.75十億ドル (+12%) の上位3地域が前年比増、北米10.89十億ドル (前年比-26%) と欧州2.86十億ドル (-25%) は前年比減です。 日本地域 (国内向け装置販売) は9.52十億ドル (前年比+16%、2024年8.19十億ドルから増加) で、JASM熊本工場やRapidus北海道工場など国内ファウンドリ投資が背景です。市場規模ページでは「その他地域」として括った日本・欧州・ROWの中身がここで分離可視化されており、地域別の景気循環動向を細かく追えます。 本chartの出典SEAJ World Wide SEMS ReportはSEMI確報と同じ統計基盤 (USD・暦年・世界販売額) のため、市場規模ページのchart-1/chart-3と単位整合します。一方でSEAJ需要予測 (JPY・会計年度・日本企業のグローバル出荷) とは集計主体・通貨・期間が異なるため、本chartの数字をSEAJ Jan 2026予測の4.91兆円と連結することはできません。

主要論点

SEAJ月次販売高の振幅 (前月比+13.5%) とSEAJ年予測 (+12%) はどう整合的に解釈できるか?

SEAJ 2026年3月月次速報の前月比+13.5%は単月振幅で、年率換算ではなく、SEAJ Jan 2026予測のFY2026 +12% (年率) と次元が異なります。月次データは3ヶ月移動平均で集計されるため、突発的な大型受注や納期前倒し等の単月要因が緩和されますが、それでも前月比 ±15% 程度の振幅は珍しくありません。

年予測と月次の整合性を読む際は、年予測 (FY2026 = 5.50兆円) を月平均に割り戻した「月平均ペース」(約4,584億円/月) と、直近6ヶ月の月次水準 (約4,131-4,801億円) を比較する方法が標準です。直近6ヶ月平均は約4314.7億円で、FY2026月平均ペースを下回りますが、これはFY2025の月次がFY2026予測より低い水準にあるためで矛盾しません。

月次データの実用は、年予測の確度を裏付けする補助指標としてです。月次が連続で予測月平均を大きく下回り続けた場合は次回改定の下方修正リスク、上回り続けた場合は上方修正の前兆となります。直近2026年3月の +13.5% MoMはFY2025末の急回復で、次回2026年7月改定でのFY2026予測の方向性に影響しうる材料です。

Jul 2025 → Jan 2026の6ヶ月で3年合計 +2,984億円上方修正は何がdriverか?

上方修正の最大driverはSEAJプレス自身が明示する「AIサーバー向け先端ロジック投資拡大」と「HBMを中心としたDRAM投資の底堅さ」です。Jul 2025予測時点では「ロジック・ファウンドリー投資に一部で減速感」との慎重表現があり、不確実性込みの予測でしたが、Jan 2026予測ではこの慎重表現が消え、台湾ファウンドリーの2nm(GAA、Gate All Around) 投資本格化とAIサーバー向け先端ロジック投資の拡大が予測前提化しました。

改定幅の年別パターン (FY2025 +477 / FY2026 +1,506 / FY2027 +1,001億円) は、近い将来 (FY2026) が最大改定で、より遠い将来 (FY2027) と直近 (FY2025) が小幅という形です。これはAI投資の見通しが向上した期間 (FY2026中盤がピーク) と一致し、AI関連投資の社会実装ペースが予測の確度を直接決める構図を示しています。

下方シナリオの定量レンジはSEAJ公式予測には提示されていません (singleベース予測のみ)。代替評価として、過去のサイクル振幅 (例えば2023年の谷から2025年の山まで世界SEAJ-SEMI集計で約10.0% YoY回復) を参考に、AI需要鈍化シナリオではFY2026予測5.50兆円から5-10% 程度の下振れ可能性が想定されます。クライアント提案では「ベースシナリオ ± 10% 程度」を分布範囲として扱う運用が現実的です。

SEAJ予測 (JPY・会計年度) とSEMI年末予測 (USD・暦年) はどう使い分けるか?

SEAJ予測は日本企業 (日本に本社を置く装置メーカー) のグローバル出荷の事業規模把握、SEMI年末予測は世界全市場の規模感把握、というそれぞれ目的別の使い分けが必要です。SEAJは会計年度ベース (4-3月) で円建て、SEMIは暦年ベース (1-12月) で米ドル建てのため、直接比較すると単位・期間ともに整合せず誤読の原因になります。

両者の整合可能性は、SEAJ World Wide SEMS Report (本L2 chart-3) がSEMI確報と同じ統計基盤を共有していることです。SEAJ World Wide SEMSは2025暦年で世界販売額135.06十億ドル (SEMI確報と一致)、地域別の販売内訳もSEMIと同一データを共有します。一方、SEAJ需要予測 (年2回改定) は日本企業のグローバル出荷を会計年度ベースで予測する独立系列で、SEMI年末予測 (世界全体・暦年・USD) とは異なる目的の予測です。

実務的な使い分けは: ① 世界市場規模・予測の議論にはSEMI年末予測 (2027F=156十億ドル) を使う、② 日本企業の事業規模・予測の議論にはSEAJ需要予測 (FY2027F=5.61兆円) を使う、③ 地域別の販売内訳にはSEAJ World Wide SEMS (SEMI共同統計) を使う、という3系列の用途別棲み分けです。提案書では複数系列の数字を1つのチャートに連結することは避け、出典・期間・通貨をそれぞれ明示して並べる構成が標準です。

中期見通し

近未来1-2年 (2026-2027)

SEAJ Jan 2026予測のFY2026 5.50兆円・FY2027 5.61兆円、SEMI年末予測の2026F 145十億ドル・2027F 156十億ドルが、現時点のベースシナリオです。両系列ともにAIサーバー向け先端ロジック投資・HBM中心のDRAM投資の継続が前提で、月次販売高のtrend (2026年3月暫定値4,801.82億円・前月比+13.5%) はベースシナリオ実現を支持します。次回SEAJ改定は2026年7月、SEMI年末予測は2026年12月で、AI投資の見通しがさらに更新されます。

中期3-5年 (2028-2030)

2028-2030年はSEAJ・SEMIともに公式予測が及ばない期間で、各社IRの中期計画と業界アナリスト推計に依存します。AI関連投資の社会実装ペース、米中対立等の地政学リスク、ハイパースケーラの設備投資ペース、新興AIモデルの計算要件変化の組合せで予測上下振れ幅が大きくなる時期です。下方シナリオではAI需要一巡 + 米中規制強化が組み合わさり、ベースから10-20% の下振れ可能性、上方シナリオではさらなる先端ロジック・HBM投資拡大でベースを5-10% 上回る可能性が、コンサル提案の感応度分析の運用幅として参考になります。

長期

2030年以降は半導体製造装置市場が半導体デバイス市場の拡大に連動して構造的に伸びる段階に入る見通しです。需要予測サイクルは引き続きSEAJ年2回改定 + SEMI年末予測 + 月次販売高の3つの柱で監視され、年1-2サイクルの予測更新が業界の前提となります。新しい先行指標 (AIモデル学習計算需要の集計、ハイパースケーラの設備投資公表データ等) を組み合わせる動きが業界アナリスト側で進む可能性があります。

よくある質問

SEAJの需要予測はいつ発表されますか?
SEAJ「半導体・FPD製造装置需要予測」は年2回 (1月・7月) 改定されます。最新版は2026年1月15日発表 (FY2025-FY2027の3ヶ年予測)、前回は2025年7月3日発表でした。SEAJ半導体調査統計専門委員会とSEAJ理事・監事会社20社による市場規模動向調査を総合的に判断したSEAJ総意で、装置メーカーの事業計画と業界アナリスト推計の基準として参照されます。
SEAJ月度販売高はどこで確認できますか?
SEAJ「日本製半導体製造装置 月度販売高」は毎月 (おおむね翌月20日前後) にSEAJホームページで発表されます。データは3ヶ月移動平均で、単月の極端な変動を均してtrendを示します。最新の2026年3月暫定値は4,801.82億円 (前月比+13.5%、前年同月比+11.1%、2026年4月20日発表) です。月次データは年予測の確度を裏付けする補助指標として活用されます。
Jul 2025からJan 2026への上方修正の要因は何ですか?
SEAJプレスでは「AIサーバー向け先端ロジック投資拡大」(FY2026 driver)、「台湾ファウンドリーの2nm(GAA) 投資の本格化」「HBMを中心としたDRAM投資の底堅さ」(FY2025 driver) と明示されています。Jul 2025時点では「ロジック・ファウンドリー投資に一部で減速感」との慎重表現がありましたが、Jan 2026ではこの慎重表現が消え、AI投資の拡大が予測前提化しました。改定幅はFY2025 +477 / FY2026 +1,506 / FY2027 +1,001億円で、近い将来 (FY2026) が最大改定です。
SEAJ予測とSEMI予測はどう使い分けますか?
SEAJ予測 (JPY・会計年度・日本企業のグローバル出荷) は日本企業の事業規模・予測の議論、SEMI年末予測 (USD・暦年・世界全市場) は世界市場規模・予測の議論、SEAJ World Wide SEMS (SEMI共同統計・地域別) は地域別販売内訳の議論、と3系列を用途別に棲み分けます。直接比較すると単位・期間が整合せず誤読の原因になるため、提案書では出典・期間・通貨を明示して並べ、1つのチャートに連結することは避けます。
需要予測サイクルの下方リスクはどう評価しますか?
SEAJ・SEMI公式予測は単一のベースシナリオのみ提示で、上下シナリオの定量レンジは提示されていません。代替評価としては、過去のサイクル振幅 (2024年から2025年で世界SEAJ-SEMI集計+10.0% YoY回復) を参考に、AI需要鈍化シナリオではFY2026予測から5-10% 下振れ、米中規制強化シナリオでは追加で5-10% 下振れの組合せで、ベース ± 10-20% 程度のレンジが提案書の感応度分析の運用幅として参考になります。詳細な要因分解はAI/HBM需要ドライバーページで扱います。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    2026年1月15日発表 (最新)、2025年7月3日発表 (前回)、年2回改定
  2. 2.
    月次速報、輸出含む日本企業のグローバル出荷ベース
  3. 3.
    2026年4月8日発表、SEMI共同統計、世界95社以上から月次集計
  4. 4.
    2025年12月15日発表 (日本語訳)、2026F・2027F予測
データ出典
SEAJ「半導体・FPD製造装置需要予測 (2025年度〜2027年度)」SEAJ「日本製半導体製造装置 月度販売高 (3ヶ月移動平均)」SEAJ「World Wide SEMS Report 2025年プレス」SEMI「世界半導体製造装置 年末市場予測」
📄 資料DL💬 無料相談