半導体製造装置業界の市場規模・主要企業・動向
日本の半導体製造装置・材料業界は世界の半導体生産を支える上流産業で、装置販売高はFY2025に4.91兆円、EUV検査やシリコンウェハなど特定領域で高い世界シェアを保っています。
半導体製造装置・材料業界とは、世界の半導体生産を支える上流産業です。装置は前工程と後工程に分かれ、材料はシリコンウェハ、フォトレジスト(露光用の感光材料)、CMPスラリー(研磨用の化学溶液)、特殊ガスなど多種にわたります。装置販売は2025年に世界1,351億ドル、日本製は4.91兆円で、AIと先端ロジックの需要が2027年の世界1,560億ドルへの成長を牽引します。EUVマスク検査のレーザーテック、シリコンウェハの信越化学・SUMCO、フォトレジストの4強、CMPスラリーのレゾナックなど、領域ごとに日本企業が世界トップシェアを保持しています。本ページでは、市場規模と需給サイクル、装置メーカー、材料メーカー、日本の競争優位とAI、政策と経済安全保障の5軸で整理します。なお主要プレイヤーは上場大手15社と非上場のJSRを合わせた16社を中心に扱いますが、業界全体には他にもプレイヤーが存在します。
業界サマリ
業界概要
半導体製造装置・材料とは、半導体デバイスを製造するために必要な装置と材料の総称です。装置は前工程と後工程に大別され、材料はシリコンウェハ・フォトレジスト・CMPスラリー・封止材・特殊ガスなど多種にわたります。日本企業は装置・材料の両領域で世界市場の主要なシェアを保持し、半導体デバイス産業の上流として戦略的な位置にあります。本ページでは上場大手の装置8社と材料7社を主要プレイヤーとして扱いますが、業界全体には他にもプレイヤーが存在します。
- 半導体製造装置・材料は半導体デバイスの製造に必要な装置と材料の総称です。装置は前工程・後工程・検査計測に細分され、材料はウェハ・レジスト・スラリー・封止材・特殊ガス・前駆体など多種にわたります。
- 世界の装置販売額は2025年に1,351億ドル(前年比15%増)で、2027年は1,560億ドルが見込まれます。AIと先端ロジックの需要が成長を牽引し、半導体デバイス側の設備投資サイクルに連動する循環構造です。
- 日本企業は装置・材料の両領域で、領域ごとに少数のプレイヤーが高い世界シェアを保持します。EUVマスク検査の実質独占、シリコンウェハ世界2強、フォトレジスト世界4強、CMPスラリー世界トップなどが代表例で、上場大手15社と非上場のJSRが中心ですが業界全体には他にもプレイヤーがいます。
市場動向
市場はAIと先端ロジックの需要を主なドライバに拡大が続く見通しです。SEMIの年末予測では世界市場が2027年に1,560億ドルへ到達し、SEAJの予測では日本製装置の販売高がFY2026に5.50兆円へ続伸する見通しです。半導体デバイス側の設備投資サイクルに連動する循環構造で、調整局面のリスクも併せ持ちます。
- 世界の装置販売は2024年の1,171億ドルから2025年に1,351億ドル、2027年に1,560億ドルへ拡大する見通しです(SEMI)。2024年から2025年は前年比15%増で、2027年予測は過去最高の見通しです。
- 日本製装置の販売はFY2025の4.91兆円からFY2026に5.50兆円へ拡大する見通しです(SEAJ予測)。前年比はFY2025が3%増、FY2026が12%増の続伸です。
- 地域別では2025年に中国493億ドル(6年連続首位)、台湾315億ドル、韓国258億ドル、北米109億ドルです。シリコンウェハの世界出荷面積は12,973百万平方インチ(5.8%増)で、数量は回復した一方、単価は調整局面にあります。
競争環境
半導体製造装置・材料業界は、装置と材料の細分領域ごとに少数のプレイヤーが高い世界シェアを占める構造です。装置では米Applied Materials・米Lam Research・米KLA・蘭ASML・東京エレクトロンの世界5社が市場の大半を占め、EUV露光はASMLが単独で世界供給します。材料はシリコンウェハで信越化学とSUMCOの世界2強、フォトレジストで4強、CMPスラリーでレゾナックが世界トップと、領域ごとに2〜5社が高シェアを保持します。本ページでは上場大手15社と非上場のJSRの合計16社を中心に整理しますが、業界全体には他にもプレイヤーが存在します。なお会計期は3月決算・12月決算・1月決算の各社が混在し、富士フイルムはIFRS適用のため数値比較には注意を要します。
- 装置では世界5社が市場の大半を占めます。米Applied Materials・米Lam Research・米KLA・蘭ASML・東京エレクトロンで、EUV露光はASMLが単独供給します。日本企業は前工程のエッチ・成膜・洗浄、後工程のテスタ・ダイサ・モールディング、EUVマスク検査(レーザーテックが実質独占)など各領域で世界トップシェアを持ちます。
- 材料のシリコンウェハは信越化学とSUMCOの世界2強、フォトレジストは信越化学・JSR・東京応化工業・富士フイルムの世界4強です。海外ではSiltronic・SK Siltron・環球晶圓(ウェハ)やDuPont・Merck KGaA(レジスト)が競合します。
- 後工程材料・特殊ガス・前駆体では、CMPスラリー世界トップのレゾナック、フッ素特殊ガスの関東電化工業、CVD/ALD前駆体のトリケミカル研究所がニッチ高シェアを保ちます。JSRは2024年6月に産業革新投資機構の傘下で非上場化しましたが、フォトレジスト世界トップクラスの地位を維持しています。
市場規模推移
2024-2025 · 世界半導体製造装置Billings| 年度 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|
| 世界半導体製造装置Billings(10億ドル) | 117 | 135 |
| 前年比 | — | +15.4% |
半導体製造装置の世界市場は、半導体デバイスメーカーの設備投資サイクルに連動して、拡大と調整を繰り返します。SEMIの2025年確報では世界販売額は1,351億ドルで前年比15%増、2024年の1,171億ドルから大きく回復しました。地域別では中国が493億ドルで6年連続の首位、台湾が先端ロジック投資に牽引され315億ドル、韓国258億ドル、北米109億ドルと続きます。
日本製の販売高はSEAJの予測でFY2025が4.91兆円、FY2026が5.50兆円と続伸する見通しです。SEMIは2025年12月の年末予測で2027年に過去最高の1,560億ドルへの到達を見込み、AIと先端ロジックの需要が成長を牽引する構図を示しています。なおSEMIとSEAJの数値は集計定義が異なる別の系列です。
日本企業は装置・材料の両領域で、領域ごとに高い世界シェアを保持しています。装置では前工程の成膜・エッチング・洗浄、後工程のテスタ・ダイサ・モールディング、EUVマスク検査などで世界トップシェアを持ち、材料ではシリコンウェハの世界2強、フォトレジストの世界4強、CMPスラリーの世界トップなど、領域ごとに少数のプレイヤーで世界市場を構成します。参入障壁が高く、長年の研究開発と半導体デバイスメーカーとの緊密な技術連携が競争優位の源泉です。
生成AIと広帯域メモリの需要拡大は、装置・材料双方の受注に波及しています。SEMIの2025年確報でも、台湾90%増・韓国26%増という地域別の伸びに先端ロジック・メモリ投資の影響が表れています。日本企業は世界への装置・材料の出荷を通じて海外のAI需要を直接捉えており、HBMのように日本勢のデバイスが弱い領域でも、その上流の装置・材料では受益が広がる構造です。
半導体製造装置・材料は、経済安全保障の観点からも重要性が増しています。経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」は令和7年12月に最新改定され、装置・部素材は日本の競争優位として位置づけられています。内閣府の経済安全保障推進法サプライチェーン強靱化では、半導体が令和4年12月、先端電子部品が令和6年2月に特定重要物資として指定されました。
半導体製造装置と部素材は独立した特定重要物資としては指定されていませんが、半導体物資の供給確保計画で「半導体製造装置等・半導体部素材等・半導体原料」を取組類型として包含する構造で、助成金とツーステップローンによる支援対象です。米国の輸出管理やCHIPS法、欧州のChips Actといった各国の政策も、中国向け輸出の比率が高い日本の装置メーカーの事業判断に影響します。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要半導体製造装置・材料業界は、世界の半導体生産を支える上流産業で、装置と材料の細分領域ごとに少数のプレイヤーが高い世界シェアを占めます。装置では米Applied Materials・米Lam Research・米KLA・蘭ASML・東京エレクトロンの世界5社が市場の大半を占め、EUV露光はASMLが単独で世界供給します。
材料はシリコンウェハ・フォトレジスト・CMPスラリー・封止材・特殊ガス・前駆体など多種にわたり、領域ごとに2〜5社の主要プレイヤーが高シェアを保持します。半導体デバイス側の設備投資サイクルに連動する循環構造で、AIと先端ロジックの需要が市場の拡大を牽引しています。
日本企業は装置・材料の両領域で高い世界シェアを保持します。装置では前工程の成膜・エッチング・洗浄、後工程のテスタ・ダイサ・モールディング、そしてEUVマスク検査でレーザーテックが実質独占を維持しています。材料はシリコンウェハで信越化学とSUMCOの世界2強、フォトレジストで信越化学・JSR・東京応化・富士フイルムの世界4強、CMPスラリーでレゾナックが世界トップです。
本ページでは上場大手15社と非上場のJSRを合わせた16社を中心に整理しますが、業界全体には他にもプレイヤーが存在します。JSRは2024年6月に産業革新投資機構の傘下で非上場化したものの、フォトレジスト世界トップクラスの地位を維持しています。
半導体製造装置・材料は、経済安全保障の観点からも重要性が増しています。経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」は令和7年12月に最新改定され、装置・部素材を日本の競争優位として位置づけています。
内閣府の経済安全保障推進法サプライチェーン強靱化では、半導体が令和4年12月、先端電子部品が令和6年2月に特定重要物資として指定されました。半導体製造装置と部素材は独立した特定重要物資としては未指定ですが、半導体物資の供給確保計画で取組類型として包含され、助成金とツーステップローンによる支援対象となっています。
業界の3大論点
SEMIの2025年確報では世界半導体製造装置販売額が1,351億ドルで前年比15%増、2024年の1,171億ドルから大きく回復しました。さらに2025年12月の年末予測では2027年に過去最高となる1,560億ドルへの到達が示されており、AIと先端ロジックの需要が成長を牽引する構図です。
地域別の伸びがこの構図を裏付けます。台湾は先端ロジックファウンドリの投資で前年比90%増の315億ドル、韓国はHBM関連投資で26%増の258億ドル、中国は493億ドルで6年連続の首位を維持しました。AI計算の中核となる先端ロジックとメモリの設備投資が、装置販売の地域別構成を変化させています。
日本製の装置販売も同様に拡大局面にあります。SEAJの予測ではFY2025が4.91兆円で前年比3%増、FY2026は5.50兆円で12%増の続伸見通しです。日本企業が前工程装置・後工程装置・検査計測の各領域で世界トップシェアを保持しているため、海外のAI投資の拡大は日本企業の受注に直接波及します。
ただし設備投資の循環性は本業界の固有のリスクです。AI需要が一巡した後の調整局面、各国の経済安全保障政策による投資地域の変動、ハイパースケーラの設備投資ペースの変化など、複数の不確実性が中期の見通しに影響します。
日本企業の世界優位は、装置・材料ともに領域別に少数のプレイヤーで世界市場を構成する寡占的構造に支えられています。装置では東京エレクトロンが前工程エッチ・成膜・コータ・洗浄で世界トップ、レーザーテックがEUVマスク検査で実質独占、KOKUSAI ELECTRICがバッチALD・熱処理で世界トップなど、各領域で日本企業が確固たる地位を築いています。
材料も同様の構造です。シリコンウェハで信越化学とSUMCOの世界2強、フォトレジストで信越・JSR・東京応化・富士フイルムの世界4強、CMPスラリーでレゾナックの世界トップ、半導体用フッ素特殊ガスで関東電化のニッチ高シェアなど、領域ごとに2-5社の主要プレイヤーが世界市場を構成し、参入障壁が高い構造です。
持続性を支える要因は技術蓄積と顧客との緊密な連携です。半導体製造の微細化と複雑化に対応するため、装置・材料メーカーは半導体デバイスメーカーと長期にわたる共同開発を行い、技術ノウハウと製造プロセス連携の蓄積が競争優位の源泉となっています。
一方で持続性への論点も存在します。JSRが2024年6月に産業革新投資機構傘下で非上場化したように業界再編が進む可能性、海外企業の参入やM&Aによる競争構造変化、米中対立等の地政学リスクによる供給網再編など、構造的変化の可能性は残ります。
内閣府の経済安全保障推進法サプライチェーン強靱化では、半導体が令和4年12月、先端電子部品が令和6年2月にそれぞれ特定重要物資として指定されました。半導体製造装置と部素材は独立した特定重要物資としては指定されていませんが、半導体物資の供給確保計画施行令第1条で「半導体製造装置等・半導体部素材等・半導体原料」を取組類型として包含する構造です。
支援措置として助成金とツーステップローンが提供され、国内生産基盤と原料供給基盤の強化を支える枠組みが整いつつあります。経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」も令和7年12月の第14回検討会議で最新改定され、装置・部素材は日本の競争優位として戦略文書で明示的に位置づけられています。
国際的な政策動向も日本の装置・材料企業に影響します。米国の輸出管理、米国のCHIPS法、欧州のChips Actなど、各国の半導体政策は日本企業の輸出先選定、製造拠点配置、技術移転判断に波及します。中国向け輸出が販売の大きな比率を占める日本装置メーカーにとっては、米中対立による規制強化のリスクが下方圧力として残ります。
総じて、経済安全保障政策は国内供給網の強化を後押しする一方で、地政学リスクが装置・材料企業の事業判断に影響を与える局面が続きます。特定重要物資の指定と支援措置の運用、各国政策との整合性が、業界の持続的成長の前提条件となります。
よくある質問 (FAQ)
日本の半導体製造装置市場の規模はどれくらいですか?
半導体製造装置メーカーで日本の主要企業はどこですか?
日本の半導体材料の世界シェアはどの程度ですか?
EUVマスク検査装置で実質独占しているレーザーテックの強みは何ですか?
JSRが非上場化した経緯と業界への影響は何ですか?
経済安全保障政策は半導体装置・材料にどのような影響を与えていますか?
AI需要は半導体製造装置市場をどのように牽引していますか?
半導体製造装置市場のサイクル性はどう理解すべきですか?
関連業界
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23 業界参考資料 / 一次ソース
- 1.SEMI「世界半導体製造装置Billings」確報 (2026年4月発表)
- 2.SEMI「世界半導体製造装置 年末市場予測」(2025年12月発表)
- 3.SEAJ「半導体・FPD製造装置 需要予測」(2026年1月発表)
- 4.SEMI SMG「シリコンウェハ世界出荷統計」(2026年2月発表)
- 5.経済産業省「半導体・デジタル産業戦略」(令和7年12月、第14回検討会議)
- 6.内閣府 経済安全保障推進法 サプライチェーン強靱化
- 7.
- 8.財務省 貿易統計 / 経済産業省 生産動態統計 (e-Stat)