最終更新
PLAYER DETAIL · PHOTORESIST

フォトレジスト業界の世界4強|信越化学・JSR・東京応化・富士フイルムHD、東京応化0.2兆円【2026年版】

日本のフォトレジスト業界は信越化学工業・JSR・東京応化工業・富士フイルムHDの世界4強で構成され、4社合計で世界市場の約9割を占める寡占構造です。フォトレジスト ─ 半導体ウエハ露光工程で使用される光感応性材料 ─ は半導体微細化の基幹材料で、EUV (極端紫外線、3nm・2nm世代の先端ロジック) 用、ArF (アルゴンフッ素レーザー、7-14nm世代) 用、KrF (クリプトンフッ素レーザー、28nm以上の成熟世代) 用の世代別に展開されます。4強の事業構造は大きく異なり、信越化学 (電子材料セグメント) + JSR (非上場化、最終公開FY2023) + 東京応化工業 (専業、2025/12期0.2兆円・約2,370億円) + 富士フイルムHD (エレクトロニクスセグメント、IFRS) の組合せで、上場3社の連結売上単純比較は集計範囲・会計基準が異なる点に注意が必要です。

東京応化工業2025/12期連結売上
0.2兆円
2,370億円、前年比+17.9%、フォトレジスト専業 (4強で最も専業性高い)
出典: EDINET経由 連結財務 (有報年次、12月期決算)
信越化学FY2025売上
2.6兆円
電子材料セグメントの一部 (シリコンウェハ + レジスト + マスクブランクス、シリコンウェハページと共有)
出典: EDINET経由 連結財務 (有報年次、3月期決算)
富士フイルムHD FY2025売上
3.2兆円
エレクトロニクスセグメントの一部 (レジスト + CMP + 洗浄液、IFRS適用)
出典: EDINET経由 連結財務 (有報年次、3月期決算)
JSR (旧4185) 最終公開連結売上
0.4兆円
FY2023約4,089億円、2024/6/25上場廃止 (JIC傘下非上場化)、世界トップクラスは維持
出典: JSR有報FY2023 (2024/3期)、上場廃止前の最終開示

フォトレジスト4強 + 海外勢

信越・東京応化・富士フイルム上場3社 + JSR (非上場) で世界市場の約9割、米DuPont・独Merck KGaAで残り約1割

フォトレジスト4強は信越化学 (電子材料セグメント) + 東京応化工業 (専業) + 富士フイルムHD (エレクトロニクスセグメント、IFRS) + JSR (非上場化、業界トップクラス維持) の組合せで、事業構造が大きく異なります。海外勢は米DuPont・独Merck KGaAで残り約1割を構成、新規参入は技術蓄積と先端ロジック顧客との緊密な共同開発関係の重さからほぼ存在しません。

信越化学工業 (4063)
主要製品
EUV/ArF/KrFレジスト + シリコンウェハ + マスクブランクス
事業構造
電子材料セグメント (3月期、シリコンウェハページと共有)
FY2025連結売上
2.6 兆円 (全社)
東京応化工業 (4186)
主要製品
EUV/ArFレジスト + 高純度化学薬品
事業構造
専業 (12月期、ほぼ全社が電子機能材料)
FY2025連結売上
0.2 兆円
富士フイルムHD (4901)
主要製品
フォトレジスト + CMPスラリー + 洗浄液 + プロセスケミカル
事業構造
エレクトロニクスセグメント (3月期、IFRS、多角化)
FY2025連結売上
3.2 兆円 (全社)
JSR (旧4185)
主要製品
EUV/ArFレジスト + CMPスラリー + ARC (反射防止膜)
事業構造
2024/6/25上場廃止 (JIC傘下非上場化、最終公開FY2023)
FY2025連結売上
約0.4兆円 (FY2023 4,089億円)

信越化学工業 (4063) — フォトレジスト世界トップクラス (電子材料セグメント)

信越化学工業はフォトレジスト世界トップクラスの一角で、電子材料セグメント (300mmシリコンウェハ / フォトレジスト / マスクブランクス) として供給します。FY2025全社連結売上は2.6兆円 (前年比+6.1%)、半導体関連は電子材料セグメントの一部で全社売上とは異なります。フォトレジスト単独の事業規模はセグメント内訳開示確認が必要です。

信越化学のフォトレジスト事業はEUV (極端紫外線) 用 + ArF (アルゴンフッ素レーザー) 用の先端世代から、KrF (クリプトンフッ素レーザー) 用の成熟世代まで幅広く展開し、TSMC・Intel・Samsung等の世界トップロジック顧客との緊密な共同開発関係を持ちます。本ページは信越化学をフォトレジスト4強の一角として整理しますが、信越のシリコンウェハ事業はシリコンウェハページで深掘り扱い、二重計上回避のため本ページの売上数値はフォトレジスト単独ではなく全社連結ベースである点に注意が必要です。

東京応化工業 (4186) — フォトレジスト世界トップシェアの一角 (専業)

東京応化工業はフォトレジスト・高純度化学薬品で世界トップシェアの一角を持つ専業メーカーです。2025/12期連結売上は0.2兆円 (前年比+17.9%、約2,370億円規模)、ほぼ全社売上が電子機能材料・高純度化学品で、フォトレジスト4強の中で最も専業性が高い構造です。

主力製品はEUVフォトレジスト、ArFフォトレジスト、高純度化学薬品。EUVレジストは3nm・2nm世代の先端ロジック量産で需要が構造的に拡大しており、東京応化工業はEUVレジスト世代移行の直接受益者です。決算期は12月期 (信越は3月期で差異)、専業ゆえに業界cycleの影響を直接受ける構造はシリコンウェハページのSUMCOと同型の事業構造論が成り立ちます。

富士フイルムHD (4901) — エレクトロニクスセグメント (フォトレジスト + CMP + 洗浄液)

富士フイルムHDは半導体材料 (フォトレジスト・CMPスラリー・半導体用洗浄液・プロセスケミカル) をエレクトロニクスセグメントとして展開する多角化企業です。FY2025全社連結売上は3.2兆円 (前年比+7.9%)、半導体材料は全社の一セグメント、ほか医療・写真等の事業も保有します。IFRS適用のため日本基準各社との比較には会計基準差に注意が必要です。

富士フイルムHDのフォトレジスト事業はEUV・ArF世代に対応、CMPスラリーは レゾナック (後工程材料) と並ぶ世界主要playerの一角です。多角化企業ゆえに半導体材料単独の事業規模は本L2範囲外で、エレクトロニクスセグメント開示 (Annual Report / 統合報告書) の確認が必要です。荏原 (装置メーカーページで扱い)・信越 (本ページ + シリコンウェハページ) と同型の「セグメント注記」が必要な多角化企業として整理します。

JSR (旧4185) — フォトレジスト世界トップクラス + CMPスラリー (2024/6/25上場廃止JIC傘下非上場化)

JSRはフォトレジスト世界トップクラス + CMPスラリーの主要メーカーで、2024/6/25に産業革新投資機構 (JIC) のテイクオーバービッドにより上場廃止、JIC子会社傘下で非上場化しました。最終公開連結売上 (FY2023、2024/3期) は約4,089億円規模で、ライフサイエンス事業 (バイオ医薬品CDMO) も多角化展開していました。

非上場化後の財務情報は限定的開示で、本L2のcomparison-tableには含まれていません。JSRのフォトレジスト世界トップクラスの地位は維持されている (各社業界調査ベースの整理) ものの、上場時の四半期開示は終了。フォトレジスト4強構造は非上場化後も維持される一方、業界再編の象徴的事例として装置・材料業界の経営再編可能性を示唆します。本ページの上場3社 (信越/東京応化/富士フイルム) との数値比較は決算期・会計基準・上場有無で対称比較が困難な構造である点に留意が必要です。

上場3社 連結売上推移 (FY2023→FY2024→FY2025、億円、JSRは非上場のため別扱い)

信越・富士フイルムは全社売上 (半導体はセグメントの一部)、東京応化は専業 (ほぼ全社が半導体材料)。決算期 + 会計基準差に注意
信越化学工業 (4063)
300mm シリコンウェハ/レジスト/マスクブランクス (電子材料セグメント、世界トップ)
FY2023
28,088億円
FY2024
24,149億円
FY2025
25,612億円
東京応化工業 (4186)
フォトレジスト/高純度化学薬品 (世界トップシェアの一角)
FY2023
1,623億円
FY2024
2,010億円
FY2025
2,370億円
富士フイルム HD (4901)
エレクトロニクスセグメント (レジスト/CMP/洗浄液)、医療・写真も多角
FY2023
28,590億円
FY2024
29,609億円
FY2025
31,958億円
読み解き

上場3社の連結売上推移は事業構造で大きく異なります。東京応化工業 (4186) は専業ゆえに2023/12期1,623億円→2024/12期2,010億円→2025/12期2,370億円と継続成長、フォトレジスト4強の中で最もAI半導体・先端ロジック需要拡大の直接受益を反映する事業構造です。前年比+17.9%は装置メーカーページの装置8社のYoY範囲 (+6 〜 +60%) と比較しても堅調な成長率です。 信越化学 (4063) と富士フイルムHD (4901) は半導体材料を含む全社連結売上のため、フォトレジスト単独の事業規模はセグメント内訳開示の確認が必要です。信越はFY2023→FY2024で売上減 (28,088→24,149億円) 後、FY2025で25,612億円に回復、富士フイルムHDはIFRS適用で28,590→29,609→31,958億円と継続成長を示します。 JSR (旧4185) は2024/6/25上場廃止のため本表に含まれていません。最終公開連結売上 (FY2023、2024/3期) は約4,089億円規模、フォトレジスト世界トップクラス維持。各社の決算期 (信越=3月、東京応化=12月、富士フイルム=3月) + 会計基準 (信越/東京応化=日本基準、富士フイルム=IFRS) の差で対称比較は困難な構造で、フォトレジスト事業単独の世界シェア・売上比較には各社IRの電子材料/エレクトロニクスセグメント開示 + JSR業界調査の照合が前提です。

主要論点

フォトレジスト4強構造 (約9割寡占) は今後も維持されるか?

フォトレジスト4強構造 (信越・JSR・東京応化・富士フイルムHDの合計約9割) は新規参入障壁の高さ (技術蓄積 + 先端ロジック顧客との緊密な共同開発関係) で長期維持される見通しです。海外勢は米DuPont・独Merck KGaAで残り約1割を構成、新規参入はEUVレジスト世代の技術習得負担で実質的に困難な構造です。

リスクは ① 中国勢のフォトレジスト国産化政策 (米中対立による先端ノード装置調達制限への対抗で国内材料ecosystem強化)、② 化合物半導体 (SiC・GaN) の本格普及で次世代パターニング材料の世代交代、③ M&Aによる業界再編 (JSR非上場化は象徴的事例) の3要素です。

中期見通しはAI半導体・先端ロジック・HBM量産拡大によるEUVレジスト需要構造拡大で4強各社の事業規模も同方向に伸びるshared growthシナリオが基本です。シェア構造の大きな変動は技術paradigmシフト (次世代パターニング材料、フォトレジスト以外の手法) やM&Aによる業界再編が起きた場合に限られます。

EUVレジスト世代移行で各社の受益度はどう異なるか?

EUV (極端紫外線) フォトレジストは3nm・2nm世代の先端ロジック量産で需要が構造的に拡大、4強の中でも各社のEUVレジスト事業比重で受益度が大きく異なります。東京応化工業 (4186) はEUVレジストを主力製品の一つとして明示開示、専業ゆえに受益度が直接事業規模に反映される構造です。

信越化学 (4063) もEUVレジストを展開しますが、フォトレジスト事業は電子材料セグメントの一部のためEUV単独の受益度は全社売上に希薄化される構造です。富士フイルムHD (4901) はIFRS適用のエレクトロニクスセグメントとして展開、CMPスラリー・洗浄液も含む多製品ポートフォリオでEUVレジスト単独の受益度はセグメント内訳開示確認が必要です。JSRは最終公開FY2023時点でEUV/ArFレジスト + CMPスラリーが主力で、非上場化後も技術ポジション維持。

各社の中期計画開示でEUVレジスト需要拡大への対応 (生産能力増設、顧客との共同開発) が明示されています。具体的な各社EUVレジストシェア値は各社IRの最新開示確認が必要で、本ページの範囲外です。先端ロジック顧客 (TSMC・Intel・Samsung・Rapidus) との関係性は装置メーカーページとAI/HBM需要ドライバーページで並行整理しています。

JSRの非上場化は業界にどのような影響を与えるか?

JSRの2024/6/25上場廃止 (JIC傘下非上場化) はフォトレジスト4強構造の業界再編の象徴的事例です。産業革新投資機構 (JIC) のテイクオーバービッドにより成立した非上場化で、技術ポジションは維持される一方、上場時の四半期開示が終了して財務情報の限定的開示局面に入りました。

非上場化の業界含意は3要素です。①材料企業の長期投資・R&D集中化 (上場プレッシャーから解放され先端世代の長期R&Dに集中可能)、②政策資金 (JICは経済産業省関連の政府系投資機構) による国内材料ecosystem強化、③業界再編の伝染効果 (装置・材料業界の他企業も同様の経営再編可能性)。本L2のcomparison-tableからJSRが除外されている形態は、上場3社との対称比較の困難性を反映しています。

投資判断としてはJSRの財務開示の限定性で個社業績trendの追跡が困難になる一方、フォトレジスト4強構造自体は維持される見通しです。装置・材料業界全体でのM&A動向 (海外勢の日本企業買収可能性、政府系資金による国内材料企業のnon-public化等) は中期的に注視が必要な論点です。

中期見通し

近未来1-2年 (2026-2027)

2026-2027年はAI半導体・先端ロジック・HBM量産拡大によるEUVレジスト需要拡大局面で、東京応化工業 (専業) は直接受益、信越化学・富士フイルムHDはセグメント拡大で間接受益。JSR (非上場) も技術ポジション維持で需要拡大局面の受益が見込まれます。中国勢のフォトレジスト国産化政策の動向 (米中対立による地政学リスク) が下方シナリオの要素です。

中期3-5年 (2028-2030)

2028-2030年は2nm・1.4nm世代の本格量産 + ASML High-NA EUV装置の本格導入で次世代EUVレジスト需要が継続拡大、フォトレジスト4強の事業規模も同方向に伸びるshared growthシナリオが基本です。中国勢の国産化進展、業界再編 (JSR同型の追加非上場化) の可能性は中期的に潜在しています。

長期

2030年以降はAI・量子コンピューティング等の新規領域での次世代パターニング材料需要が継続拡大、フォトレジスト業界全体は緩やかな成長を維持する見通しです。新材料 (化合物半導体・酸化物半導体等) の本格普及で次世代パターニング材料の世代交代が起きる可能性もあり、4強各社の長期戦略は新材料事業との両立 (信越化学・富士フイルムHDは化合物半導体材料も展開) で対応する方向です。

よくある質問

フォトレジストの世界主要メーカーは?
日本の信越化学工業 (4063)・JSR (旧4185、2024/6非上場化)・東京応化工業 (4186)・富士フイルムHD (4901) が世界4強で、4社合計で世界市場の約9割を占めます。海外勢は米DuPont・独Merck KGaAで残り約1割を構成、新規参入は技術蓄積と先端ロジック顧客との緊密な共同開発関係の重さからほぼ存在しません。
JSRが非上場化した経緯と業界への影響は?
JSRは2024/6/25に産業革新投資機構 (JIC) のテイクオーバービッドにより上場廃止、JIC子会社傘下で非上場化しました。最終公開連結売上 (FY2023、2024/3期) は約4,089億円規模。フォトレジスト世界トップクラスの地位は維持されている (業界調査ベース) ものの、上場時の四半期開示は終了。フォトレジスト4強構造は非上場化後も維持される一方、業界再編の象徴的事例として装置・材料業界の経営再編可能性を示唆します。
EUVフォトレジストとは?
EUV (Extreme UltraViolet、極端紫外線) フォトレジストは3nm・2nm世代の先端ロジック量産で使用される次世代フォトレジストで、ASML製EUV露光装置で使用されます。波長13.5nmの極端紫外線に対応した光感応性材料で、信越化学・JSR・東京応化工業・富士フイルムHDの4強が世界市場の大半を占めます。AI半導体・先端ロジック・HBM量産拡大で需要が構造的に拡大する成長領域です。
4強の事業構造の違いは?
信越化学工業 (4063) は電子材料セグメント (シリコンウェハ + フォトレジスト + マスクブランクス、3月期決算)、東京応化工業 (4186) はフォトレジスト・高純度化学薬品専業 (12月期決算、ほぼ全社が半導体材料)、富士フイルムHD (4901) はエレクトロニクスセグメント (フォトレジスト + CMP + 洗浄液、3月期決算、IFRS適用、多角化企業)、JSR (旧4185) は非上場化 (フォトレジスト + CMPスラリー、ライフサイエンス事業も多角)。各社の決算期・会計基準が異なるため単純比較には注意が必要です。
フォトレジスト業界の単独売上はどう把握すべき?
本L2 narrativeでは上場3社の全社連結売上のみを表示しており、フォトレジスト単独の事業規模は各社IRの電子材料/エレクトロニクスセグメント開示の確認が必要です。東京応化工業は専業のためほぼ全社売上=フォトレジスト + 高純度化学薬品事業、信越化学・富士フイルムHDは多角化企業のためセグメント内訳開示確認が前提です。JSRは非上場化後の財務情報限定的開示で、業界調査ベースの推計が必要な状況です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET経由 上場3社 (信越/東京応化/富士フイルム) 連結財務 (年次)FY2019-FY2025連結売上、信越/富士フイルム=3月期、東京応化=12月期、富士フイルム=IFRS適用
  2. 2.
    JSR (旧4185) 有報FY2023 (2024/3期)2024/6/25上場廃止前の最終開示、フォトレジスト + CMPスラリー + ライフサイエンス事業
  3. 3.
    各社IR (Annual Report / 統合報告書)信越化学 電子材料セグメント開示 / 東京応化工業 専業全社開示 / 富士フイルムHDエレクトロニクスセグメント開示 / JSR業界調査ベース整理
データ出典
EDINET経由 上場3社 (信越/東京応化/富士フイルム) 連結財務 (年次)JSR (旧4185) 有報FY2023 (2024/3期)各社IR (Annual Report / 統合報告書)
📄 資料DL💬 無料相談