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STAT DETAIL · GLOBAL MARKET

太陽光発電の世界市場|世界規模の拡大と製造の中国集中【2026年版】

太陽光発電は、世界の累積導入量が2024年末に約2.2TW(テラワット、=2,200GW)へと、わずか2年で倍増する急拡大を続けています。導入でも製造でも主役は中国で、新規導入の約6割、太陽電池モジュール生産の85%超を握ります。かつて世界をリードした日本は、累積導入量ではインドに抜かれて上位国の中で5番目となり、製造からはほぼ撤退しました。世界の規模の拡大、製造の中国集中、そして世界の中で日本がどこに位置するのかを、直流(DC)ベースで整理します。

世界の累積導入量(2024年末)
約2.2TW
直流ベース。約1.18TWから2年で倍増(1TW=1,000GW)
出典: IEA PVPS Snapshot 2025
中国の新規導入シェア(2024年)
約6
世界の年間新規導入(約600GW)に占める中国の割合
出典: IEA PVPS
モジュール生産の中国シェア
85%超
2024年。全ての製造工程で中国が80%超、需要シェア(約6割)を上回る
出典: IEA
日本の累積導入量(2023年末)
91.4GW
直流ベース。中国・EU・米国・インドに次ぐ上位国5番目
出典: IEA PVPS Snapshot 2024

太陽光発電の世界累積導入量の推移(GW、直流ベース)

2022年末の約1.2TWから2024年末の約2.2TWへ。40年余りで到達した規模を、わずか2年で倍増させた
単位: GW
06251,2501,8752,5001,200221,600232,20024
出典: IEA PVPS Snapshot 2024(2022-2023年)/ Snapshot 2025(2024年、速報値)。いずれも直流ベースの世界累計(約N.NTWを丸めた公表値)
202220232024
世界累積導入量GW1,2001,6002,200
読み解き

太陽光発電の世界累積導入量は、2022年末の約1.2TWから2023年末に約1.6TW、2024年末には約2.2TW(2,200GW)へと急拡大しました。太陽光が最初の1.18TWに到達するには40年余りを要しましたが、その後わずか2年で規模が倍増したことになります。

拡大を牽引しているのは中国です。2024年の世界の新規導入量は約600GWで、そのうち約6割を中国が占めました。中国単独の累積導入量は2024年末に約1TW(1,000GW)を突破したとみられ、世界全体のおよそ半分に相当します。

世界の導入がこれほど加速している背景には、モジュール価格の大幅な下落があります。世界の導入費(加重平均)は2010年の1kWあたり約5,310米ドルから2023年に約758米ドルへと7分の1に下がり、太陽光は多くの国で最も安価な電源の一つになりました。価格低下が需要を生み、需要が量産をさらに促す循環が働いています。

主要国・地域の累積導入量(2023年末、直流ベース、GW)

中国が突出し、EU・米国・インドが続く。日本はインドに抜かれ上位国の中で5番目
単位: GW上位 5
0200400600800662中国268EU27170米国95.3インド91.4日本
出典: IEA PVPS Snapshot 2024(2023年末、全データ直流ベース)。中国は「662GW以上」の公表下限値
カテゴリ中国EU27米国インド日本
累積導入量GW662268.10169.5095.3091.40
読み解き

国別・地域別の累積導入量(直流ベース、2023年末)を見ると、中国が662GW以上と突出しており、世界累計(約1.6TW)のおよそ4割強を単独で占めます。これにEU27(約268GW)、米国(約170GW)、インド(約95GW)が続きます。

日本は約91.4GWで、かつては中国に次ぐ規模を誇りましたが、急拡大したインドに抜かれ、上位国・地域の中では5番目となりました(IEAはEUを1つの地域として数えています)。日本の政策統計が用いる交流ベースでは同時期に約71〜75.6GWで、直流ベースの方が変換前の定格出力で測るぶん1〜2割大きくなります。国際比較はこの直流ベースが基準です。

この並びが示すのは、太陽光の主戦場がアジアと新興国に移りつつあることです。日本は導入国としては依然として上位にあるものの、年間の新規導入ペース(約5〜6GW)は中国やインドと比べて緩やかで、世界に占める存在感は相対的に低下しています。

太陽電池の製造工程別に見た中国の世界シェア

ポリシリコンからモジュールまで、全工程で中国が80%を超える。上流ほど集中が強い(IEA)
ポリシリコン
中国の世界シェア
約95%に接近
工程の内容と補足
原料工程。新疆ウイグル自治区だけで世界の約4割を占める
ウエハ
中国の世界シェア
約95%に接近
工程の内容と補足
インゴットから切り出す工程。中国以外の生産はごくわずか
セル
中国の世界シェア
80%超
工程の内容と補足
光を電気に変える中核部品。ベトナム・マレーシア・タイ等にも一部
モジュール(2024年)
中国の世界シェア
85%超
工程の内容と補足
パネルに組み立てる工程。東南アジアの拠点も多くは中国企業の海外展開

主要論点

なぜ太陽電池の製造は、これほど中国に集中したのか?

太陽電池の製造は、シリコンの精製からウエハ・セル・モジュールまでを大規模に垂直統合し、量産効果でコストを下げる装置産業へと変化しました。中国勢は、政府の手厚い支援と巨大な国内市場、安価な電力を背景に生産能力を一気に拡大し、ポリシリコンからモジュールまで全工程で世界シェア80%超を握るに至りました。

象徴的なのが、製造シェアが世界の需要シェアを大きく上回っている点です。中国は世界の太陽光需要の約6割を占めますが、製造能力はそれをさらに上回り、モジュール生産では85%超に達します。この供給過剰が世界的なモジュール価格の下落を招き、価格競争に耐えられない海外メーカーの撤退を促す、という循環が生まれています。

上流工程ほど集中が強いのも特徴です。ポリシリコンとウエハは中国のシェアが約95%に近づき、新疆ウイグル自治区だけで世界のポリシリコンの約4割を占めます。セルやモジュールはベトナム・マレーシア・タイなど東南アジアにも生産能力がありますが、その多くは中国企業の海外拠点で、中国系の関与という点では変わりません。

日本が世界順位を下げたことは、何を意味するのか?

日本の累積導入量は、直流ベースで2023年末に約91.4GWと、急拡大したインドに抜かれて上位国・地域の中で5番目になりました。かつて日本は太陽電池の生産でも導入量でも世界をリードしていましたが、製造からは2020〜21年にかけてほぼ撤退し、導入のペースも新興国に比べ緩やかになっています。

ただし、これは「日本市場が縮んだ」ことを直ちに意味するわけではありません。日本の国内の累積導入量(交流ベース)は年5GW前後のペースで積み上がり続けており、国土面積あたりの導入量ではむしろ世界でも高い水準にあります。世界順位の低下は、日本の停滞というより、中国とインドの急拡大の裏返しという面が大きいと言えます。

世界の中での日本の位置づけは、「発電設備を大量に作る国」から「発電設備を導入し、活用する国」へと変わりました。製造では当事者でなくなった一方、パワーコンディショナ・施工・発電事業・保守や、次世代のペロブスカイトといった領域で存在感を保っています。

世界の太陽光需要は、これからどこまで伸びるのか?

世界の太陽光の年間新規導入量は、2023年の約400〜450GWから2024年には約600GWへと拡大しました。IEAなどの見通しでは、脱炭素の流れを背景に導入は今後も拡大が続くとされていますが、そのペースは中国の政策や世界の系統・送電網の整備、価格動向に大きく左右されます。

当面は中国が主役であり続ける公算が大きい一方、導入の裾野は広がりつつあります。インドは累積で日本を追い抜き、中東やパキスタンなど新興国でも大型の導入が進んでいます。2024年にはパキスタンが約17GWを導入し、単年の導入国として上位に躍り出るなど、これまで目立たなかった国々の存在感が増しています。

もっとも、製造が中国に集中する構造は、供給網の安定という観点で各国の懸念材料になっています。米国(インフレ抑制法)、EU、インド(生産連動型優遇策)などが自国での製造回帰を後押ししており、製造の一極集中がどこまで緩和されるかが、世界市場の中期的な論点になります(見通しはIEA等の整理に基づき、断定はできません)。

中期見通し

近未来1-2年

世界の累積導入量は年600GW前後のペースで積み上がり、早期に2.5TW超へ達する見通しです。中国が導入・製造の両面で主役であり続ける一方、モジュールの供給過剰と価格下落が続き、世界のメーカーの再編・淘汰が進みます。

中期3-5年

製造の中国一極集中に対し、米国・EU・インドが自国製造の育成を進めますが、コスト差は大きく、集中構造がすぐに崩れる可能性は高くありません。導入の裾野は中東・南アジア・アフリカなど新興国に広がり、世界市場はいっそう多極化します。

長期5-10年

太陽光は世界で最も安価な電源の一つとして、電力の中心的な担い手になる見通しです。日本を含む各国は、製造の海外依存をどう管理するか、そしてペロブスカイトなど次世代技術で製造の一部を取り戻せるかが、エネルギー安全保障上の課題となります。

よくある質問

世界の太陽光発電の導入量はどれくらいですか?
累積導入量は2024年末で約2.2TW(テラワット、=2,200GW、直流ベース)です。2022年末の約1.2TWからわずか2年で倍増しました。2024年の年間新規導入量は世界全体で約600GWで、うち約6割を中国が占めます。中国単独の累積導入量は約1TW(1,000GW)を突破したとみられ、世界のおよそ半分に相当します。
太陽光発電の製造で中国はどれくらいのシェアを持っていますか?
ポリシリコン・ウエハ・セル・モジュールの全ての製造工程で、中国のシェアが80%を超えます。2024年の世界モジュール生産では85%超、上流のポリシリコン・ウエハは約95%に近づきます。これは世界の太陽光需要に占める中国のシェア(約6割)を上回る規模で、供給過剰と価格下落の一因になっています(IEA)。
日本の太陽光発電は世界で何番目ですか?
累積導入量(直流ベース、2023年末)で約91.4GWと、中国・EU・米国・インドに次ぐ上位国・地域の中で5番目です(IEAはEUを1つの地域として数えています)。以前は中国に次ぐ規模でしたが、急拡大したインドに抜かれた点が変化の本質です。発電設備の製造ではほぼ撤退しており、世界の中での日本は「作る国」から「導入し活用する国」へと位置づけが変わっています。
直流(DC)ベースと交流(AC)ベースで数字が違うのはなぜですか?
直流ベースは太陽電池パネルそのものの定格出力で測るのに対し、交流ベースはパワーコンディショナで交流に変換した後の出力で測ります。変換時の損失などにより、直流ベースの方が交流ベースより1〜2割ほど大きくなります。IEAなどの国際比較は直流ベース、日本の政策統計は交流ベースが基本です。本ページの世界・各国の数字は、比較できるよう直流ベースで統一しています。
なぜ中国が太陽光発電の製造で強いのですか?
太陽電池の製造が、シリコン精製からモジュールまでを大規模に垂直統合し量産効果でコストを下げる装置産業へ変化し、政府支援・巨大な国内市場・安価な電力を持つ中国勢が生産能力を一気に拡大したためです。製造能力が世界の需要を上回るまで拡大した結果、価格下落が海外メーカーの撤退を招く循環が生まれています。
世界の主要な太陽電池メーカーはどこですか?
世界のモジュール出荷の上位はすべて中国メーカーで、ジンコソーラー・JAソーラー・トリナソーラー・通威太陽能・ロンジなどが挙げられます(2024年の業界報道による参考値で、首位のジンコソーラーで世界シェア1割前後)。日本メーカーはセル・モジュールの世界シェアでは上位に入らず、パワーコンディショナや次世代技術など別の領域で存在感を持ちます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    IEA PVPS Snapshot of Global PV Markets 2024 / 2025
  2. 2.
    IEA(Solar PV Global Supply Chainsほか)
  3. 3.
    自然エネルギー財団 / IRENA
  4. 4.
    業界報道(メガソーラービジネス等)
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