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太陽光発電の導入量と発電比率|累積導入量の推移と再エネの主力化【2026年版】

太陽光発電の規模は、円建ての市場規模ではなく、累積導入量(GW)・年間出荷量(MW。1GW=1,000MW)・発電電力量に占める割合(%)で捉えます。日本の累積導入量は2024年末で約75.6GW(交流ベース)に達し、発電電力量の約9.8%(2023年度)を担う再生可能エネルギー最大の電源に成長しました。累積の導入量(ストック)が積み上がる一方、年間の太陽電池モジュール出荷(フロー)はFITブーム後に落ち着いています。導入量・出荷量・発電比率という3つの指標の関係と、それぞれの測り方の違いを整理します。

累積導入量(2024年末)
75.6GW
交流ベース。固定価格買取制度を機に拡大した国内の累積導入量
出典: 資源エネルギー庁
発電電力量比率(2023年度)
9.8%
再生可能エネルギー全体22.9%の中で最大の電源
出典: 資源エネルギー庁 電源構成
新規導入ペース
約5GW/年
近年の運転開始ベースの導入ペース
出典: 資源エネルギー庁
国内出荷量(2024年度)
5,470MW
太陽電池モジュールの年間国内出荷。ピーク(2014年度約9,200MW)から縮小
出典: 太陽光発電協会(JPEA)

太陽光発電の累積導入量の推移(GW、交流ベース。2030年度以降は政府目標・見通し)

実績(2022・2024年)から政府目標(2030・2040年度)とPV OUTLOOK 2050へ。累積の導入量は積み上がり続ける
単位: GW
0100200300400712275.624104302044040050
出典: 資源エネルギー庁(太陽光発電の導入量)/ 第7次エネルギー基本計画(2030年度104-118GW・2040年度204-281GW)/ JPEA PV OUTLOOK 2050(400GW)。2030年度以降は政府目標・見通しの下限値
年度20222024203020402050
累積導入量GW7175.60104204400
読み解き

太陽光発電の累積導入量は、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)開始を機に大きく拡大し、2022年度末の71GWから2024年末には約75.6GW(いずれも交流ベース)に達しました。直流ベースで集計する国際比較では2023年末で91.4GWと、中国・EU・米国・インドに次ぐ世界5位です。

将来については、第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)が2030年度に104〜118GW(発電シェア14〜16%)、2040年度に204〜281GW(同23〜29%)への拡大を見込んでいます。さらに長期では、太陽光発電協会のPV OUTLOOK 2050が2050年に400GW(発電量の36%)という見通しを示しています(2030年度以降は政府目標・業界見通しで、実績ではありません)。

グラフの棒は下限値を示しており、2024年から2030年度にかけて大きく積み増す必要があることが分かります。近年の導入ペースは約5GW/年で、2030年目標の達成には今後6年間で30〜45GW、すなわち5〜7.5GW/年のペースが必要とされています。

このグラフに関連するトピック

太陽電池モジュールの国内出荷量の推移(MW、年度)

FITブーム期の2014年度(約9,200MW)をピークに縮小し、近年は5,000〜6,000MW台でほぼ横ばい
単位: MW
02,5005,0007,50010,0009,216147,137156,341165,246175,507186,113195,128205,099215,085225,843235,47024
出典: 太陽光発電協会(JPEA)太陽電池出荷統計(年度、2014-2024)
年度20142015201620172018201920202021202220232024
国内出荷量MW9,2167,1376,3415,2465,5076,1135,1285,0995,0855,8435,470
前年比
読み解き

太陽電池モジュールの国内出荷量は、FIT開始後の導入ラッシュを背景に2014年度に約9,200MWのピークに達した後、買取価格の低下や大規模用地の減少とともに縮小し、近年は5,000〜6,000MW台でほぼ横ばいに転じています。2024年度は約5,470MWでした。

ここで重要なのは、年間の出荷量(フロー)と累積の導入量(ストック)は別の指標だという点です。出荷が横ばいでも、毎年新たな設備が運転を開始する分だけ累積の導入量は積み上がり続けます。年5GW前後の新規導入が続く限り、累積導入量は増加します。

なお、国内に出荷されるモジュールの約95%は海外生産で、日本国内での生産は限定的です。出荷量は市場に供給されたモジュールの量を示すもので、その生産地とは区別して捉える必要があります。

用途別の国内出荷量(2024年度、MW)

住宅用・非住宅用・その他の内訳。非住宅用のうち売電目的の発電事業(500kW以上)が約1,922MW
項目国内出荷量構成比シェア
住宅用1,421.126.0%
非住宅用(事業用・公共産業用)4,048.374.0%
その他(電力応用機器)0.60.0%
国内出荷計5,470MW5,470100.0%
読み解き

2024年度の国内出荷量5,470MWの用途別内訳は、非住宅用(事業用・公共産業用)が約4,048MWで全体の約7割を占め、住宅用が約1,421MWです。非住宅用のうち、売電を目的とした500kW以上の発電事業用が約1,922MWを占めます。

住宅用は前年度比で増加した一方、非住宅用は減少しました。大規模な発電事業用の案件は、適地の減少や系統接続の制約を背景に落ち着きつつあり、屋根置きや自家消費型の導入に軸足が移りつつあります。

太陽光発電の規模を測る5つの指標

導入量・出荷量・認定容量・発電比率は集計の対象と時点が異なる。同じ「規模」でも測り方で数字が変わる
累積導入量(交流ベース)
75.6GW
時点
2024年末
測り方・意味
国内の政策統計。変換後(交流)の出力で測る、国内の基準
累積導入量(直流ベース)
91.4GW
時点
2023年末
測り方・意味
国際比較の基準。太陽電池パネルの定格出力で測るため交流より大きい(世界5位)
年間出荷量
5,470MW
時点
2024年度
測り方・意味
年々のモジュール国内出荷(フロー)。累積導入量とは別の指標
FIT/FIP認定に占める太陽光
約73%
時点
2024年12月
測り方・意味
全認定容量のうち太陽光の割合。認定は運転開始とは別
発電電力量に占める割合
9.8%
時点
2023年度
測り方・意味
実際に発電した電力量に占める太陽光の割合

主要論点

なぜ導入量(累積)と出荷量(年々)で傾向が逆に見えるのか?

太陽光発電の規模を語るとき、累積導入量と年間出荷量はしばしば逆方向に見えます。年間の太陽電池モジュール出荷量は、FITブーム期の2014年度(約9,200MW)をピークに縮小し、近年は5,000〜6,000MW台に落ち着いています。一方、累積導入量は2022年度末の71GWから2024年末の約75.6GWへと増え続けています。

これは、出荷量が「その年に市場へ供給されたモジュールの量(フロー)」であるのに対し、累積導入量が「これまでに運転を開始した設備の総量(ストック)」だからです。出荷が横ばいでも、毎年新たに5GW前後の設備が運転を開始する分だけ、累積は積み上がります。

つまり、出荷の縮小は「市場が終わった」ことを意味せず、FITブーム期の急拡大から安定した導入ペースへ移行したことを示します。累積導入量が主力電源としての規模を、出荷量が足元の市場活動を表す、と使い分けることが重要です。

発電電力量に占める9.8%は、どこまで伸びるのか?

太陽光発電が発電電力量に占める割合は、2013年度の1.2%から2023年度の約9.8%へと上昇し、再生可能エネルギー全体(約22.9%)の中で最大の電源になりました。政府の第7次エネルギー基本計画は、2030年度に発電シェア14〜16%、2040年度に23〜29%への拡大を見込んでいます。

もっとも、比率の上昇には課題も伴います。太陽光は天候に左右され、昼間に発電が集中するため、供給が需要を上回る時間帯には発電を一時的に止める「出力制御」が一部地域で拡大しています。比率をさらに高めるには、送配電網の増強と、蓄電池などの調整力の確保が欠かせません。

発電比率は、導入量(設備容量)が増えれば自動的に上がるわけではなく、系統がその電力をどれだけ受け入れられるかにも左右されます。設備の量と、それを活かす系統・調整力の整備が、比率の伸びを決める両輪です。

導入ペース5GW/年は、2030年目標に届くのか?

近年の太陽光発電の新規導入は、運転開始ベースで概ね年5GWのペースです。第7次エネルギー基本計画の2030年度目標(104〜118GW)を達成するには、資源エネルギー庁の整理によれば、今後6年間で30〜45GW、すなわち5〜7.5GW/年のペースで導入を続ける必要があります。

現状の5GW/年は目標の下限に近く、上限(118GW)を目指すには導入ペースの加速が求められます。しかし、大規模な地上設置に適した用地は減少しており、これまでのようなメガソーラー主導の拡大は難しくなっています。

そのため、政府は住宅・建築物の屋根への設置(新築戸建の6割設置目標)、営農型太陽光、駐車場(ソーラーカーポート)など、新たな導入場所の開拓を進めています。目標達成の鍵は、適地の制約の中でいかに導入ペースを維持・加速できるかにあります。

中期見通し

近未来1-2年

累積導入量は年5GW前後のペースで積み上がり、発電比率も緩やかに上昇する見通しです。一方で、系統の受け入れ余力の制約から、一部地域では出力制御が拡大しています。導入の軸足は、大規模な地上設置から、屋根置きや自家消費型へと移りつつあります。

中期3-5年

2030年度の導入目標104〜118GW(発電シェア14〜16%)に向け、導入ペースの維持・加速が課題となります。系統用蓄電池の導入や、市場価格に連動するFIP制度の活用が進み、太陽光を需給バランスに貢献する電源としていく取り組みが本格化する見通しです。

長期5-10年

第7次エネルギー基本計画は2040年度に204〜281GW(発電シェア23〜29%)を見込み、PV OUTLOOK 2050は2050年に400GWという見通しを示しています。2012〜2016年度に導入された設備が買取期間の終了を迎える2032年以降、既設設備の長期運転継続と、廃棄パネルのリサイクル体制の整備が課題になります。

よくある質問

日本の太陽光発電の導入量はどれくらいですか?
累積導入量は2024年末で約75.6GW(交流ベース)です。固定価格買取制度(FIT、2012年開始)を機に大きく拡大しました。直流ベースで集計する国際比較では2023年末に91.4GWで、中国・EU・米国・インドに次ぐ世界5位です。
交流ベースと直流ベースで導入量の数字が違うのはなぜですか?
直流ベースは太陽電池パネルの定格出力で測るのに対し、交流ベースはパワーコンディショナで交流に変換した後の出力で測ります。変換時の損失などにより、直流ベースの方が交流ベースより1〜2割ほど大きくなります。日本の政策統計は交流ベース、IEAなどの国際比較は直流ベースが基本です。なお本ページの75.6GW(交流)は2024年末、91.4GW(直流)は2023年末と時点も異なるため、両者の差は測り方の違いと時点の違いの両方を含みます。
発電電力量に占める太陽光の割合はどれくらいですか?
2023年度で約9.8%(資源エネルギー庁の電源構成)です。2013年度の1.2%から上昇し、再生可能エネルギー全体(約22.9%)の中で最大の電源になりました。政府は2030年度に発電シェア14〜16%への拡大を見込んでいます。
出荷量が減っているのに導入量が増えるのはなぜですか?
年間出荷量は「その年に市場へ供給されたモジュールの量(フロー)」、累積導入量は「これまでに運転を開始した設備の総量(ストック)」で、別の指標です。出荷がFITブーム後に横ばいでも、毎年新たに5GW前後の設備が運転を開始する分だけ、累積導入量は積み上がり続けます。
太陽光発電の市場規模は金額でいくらですか?
太陽光発電は円建ての市場規模を示す統計が薄いため、本ページでは導入量(GW)・出荷量(MW)・発電電力量比率(%)で規模を捉えています。金額で見る場合は、導入費が地上設置で1kWあたり約28万円(2023年)まで低下しており、発電コストも下がり続けています。金額の市場規模を無理に推計するより、これらの指標で把握するのが実態に即しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    資源エネルギー庁 太陽光発電について / 電源構成
  2. 2.
    太陽光発電協会(JPEA) 太陽電池出荷統計
  3. 3.
    第7次エネルギー基本計画
  4. 4.
    IEA PVPS Snapshot 2024
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