再エネ(太陽光)業界の市場規模・主要企業・動向
日本の太陽光発電は累積導入量が約75.6GW(2024年末)に達し、発電電力量の約1割を担う再エネの主力です。発電設備の製造は中国勢が中心で、日本勢は施工・発電事業や次世代技術で役割を担います。
太陽光発電業界とは、太陽電池(セル・モジュール)やパワーコンディショナといった発電設備の製造から、発電所の設計・施工(EPC)、発電事業の運営、保守(O&M)までを担う産業です。日本の累積導入量は2024年末で約75.6GW(交流ベース)に達し、発電電力量の約9.8%を担う再生可能エネルギーの主力に成長しました。一方で発電設備の製造は中国勢が中心となり、日本勢は施工・パワーコンディショナ・発電事業や次世代技術(ペロブスカイト)で役割を担う構造です。本ページでは、太陽光発電業界を、導入量と発電比率、バリューチェーンと日本勢の役割、主要企業、制度、系統制約、次世代技術の各軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
太陽光発電業界とは、太陽電池やパワーコンディショナの製造から、発電所の施工・運営・保守までを担う産業です。日本の累積導入量は約75.6GW(2024年末、交流ベース)に達し、発電電力量の約1割を担います。発電設備の製造は中国勢が中心で、日本勢は施工・発電事業・次世代技術で役割を持ちます。
- 太陽光発電は、固定価格買取制度(FIT、2012年開始)を機に大きく拡大し、累積導入量は約75.6GW、発電電力量の約9.8%を担う再エネ最大の電源に成長しました。
- 発電設備(セル・モジュール)の製造は中国勢が中心で、国内に出荷されるモジュールも約95%が海外生産です。日本勢の役割は施工・パワーコンディショナ・発電事業・次世代技術にあります。
- 2030年度の導入目標は104~118GWで、系統制約・出力制御・適地の減少・廃棄パネルの増加が普及拡大の課題です。
市場動向
累積導入量は2024年末で約75.6GW(交流ベース)、発電電力量比率は2023年度で約9.8%です。新規導入は近年概ね年5GWで推移し、太陽電池モジュールの国内出荷は年間約5,470MW(2024年度)です。年々の出荷はFITブーム後に落ち着く一方、累積の導入量は積み上がり続けています。
- 累積導入量は75.6GW(2024年末・交流ベース)/91.4GW(2023年末・直流ベース、世界5位)です。集計基準で値が異なり、直流ベース(太陽電池パネルの定格出力)は交流ベース(変換後の出力)より大きくなります。
- 発電比率は2013年度1.2%から2023年度9.8%へ上昇し、再エネ全体22.9%の中で最大の電源です。
- 新規導入は概ね年5GW。年間の太陽電池モジュール国内出荷は2024年度5,470MWで、ピーク(2014年度の約9,200MW)からは縮小しています。
競争環境
太陽光発電業界では、セル・モジュールの製造を中国勢が握る一方、日本勢はパワーコンディショナ(富士電機・オムロンなど)、施工・EPC(ウエストホールディングス・九電工など)、発電事業(レノバなど)、保守(O&M)で役割を担います。次世代のペロブスカイト太陽電池では積水化学・カネカ・パナソニックなど日本企業が開発を進めています。
- 製造は中国勢が中心で、世界出荷の上位はすべて中国メーカーが占めます。住宅用ではシャープ・京セラ・長州産業などが国内に残ります。
- 日本勢の役割は製造以外の領域にあります。パワーコンディショナ、EPC・施工、発電事業、保守(O&M)で存在感を持ちます。
- 次世代ペロブスカイトで日本企業が開発をリードし、政府も国産化・量産化を後押ししています。
市場規模推移
2022-2050 · 累積導入量 / 国内出荷量太陽光発電の累積導入量の推移(GW、交流ベース。2030年度以降は政府目標・見通し)
太陽電池モジュールの国内出荷量の推移(MW、年度)
日本の太陽光発電の累積導入量は、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)開始を機に大きく拡大し、2024年末で約75.6GW(交流ベース)に達しました。直流ベースで集計する国際比較では2023年末で91.4GWと、中国・EU・米国・インドに次ぐ世界5位です。発電電力量に占める割合も2013年度の1.2%から2023年度には約9.8%へ上昇し、再生可能エネルギー全体(約22.9%)の中で最大の電源になりました。
新規導入は近年概ね年5GWのペースで、太陽電池モジュールの国内出荷量は年間約5,470MW(2024年度)です。国内出荷はFITブーム期の2014年度に約9,200MWのピークに達した後、近年は5,000〜6,000MW台でほぼ横ばいに転じています。累積の導入量(ストック)は積み上がる一方、年々の出荷(フロー)は落ち着いている点が現在地です。
太陽光発電のバリューチェーンは、セル・モジュールの製造、パワーコンディショナ、発電所の設計・施工(EPC)、発電事業、保守(O&M)に分かれます。このうち発電設備の製造は中国勢が中心で、世界出荷の上位はすべて中国メーカーが占め、日本国内に出荷されるモジュールも約95%が海外生産です。日本メーカーの多くは2020-21年に国内生産から撤退しました。
一方で、パワーコンディショナ(富士電機など)、施工・EPC(ウエストホールディングス・九電工など)、発電事業(レノバなど)や保守では日本勢が役割を担い、製造とは異なる領域で産業を支えています。発電設備の製造シェアで日本勢を評価するのではなく、施工・運営・サービスを軸とした役割を正確に捉えることが重要です。
太陽光発電の拡大を支えてきたのは固定価格買取制度(FIT)で、2022年度には市場価格に連動するFIP制度も始まりました。導入量の拡大に伴い、系統(送配電網)への接続制約や、需給バランス調整のための出力制御が課題となっています。2030年度の導入目標は104~118GW(発電シェア14~16%)で、適地の減少や2030年代半ばに見込まれる廃棄パネルの増加も論点です。
技術面では、薄型・軽量で壁面や曲面にも設置できるフィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発を日本企業がリードし、政府もGW級の量産体制づくりを後押ししています。シリコン系で失った製造の主導権を次世代で取り戻せるかが、中長期の焦点です。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要太陽光発電のバリューチェーンは、上流のシリコン等の素材から、太陽電池のセル・モジュール製造、電力を交流に変換するパワーコンディショナ、発電所を設計・調達・施工するEPC、発電所を所有・運営する発電事業、稼働後の保守を担うO&Mへと連なります。発電容量の大半は事業用(非住宅)で、残りが住宅用です。
このうちセル・モジュールの製造は中国勢が中心で、日本国内に出荷されるモジュールも約95%が海外生産です。一方、施工・運営・保守は地域性が強く、日本企業が担っています。製造で日本勢を過大に評価せず、役割を正確に捉えることが重要です。
日本メーカーはかつて世界の太陽電池製造をリードしましたが、2010年代に中国勢の大規模量産と価格競争に押され、三菱電機(2020年)、パナソニック(2021年)、ソーラーフロンティア(出光興産、2021年)が国内生産から撤退しました。住宅用ではシャープ・京セラ・長州産業などが残ります。
代わりに日本勢は、パワーコンディショナ(富士電機・オムロンなど)、EPC・施工(ウエストホールディングス・九電工など)、発電事業(レノバなど)、O&Mといった領域で役割を確立しています。発電設備の製造シェアでは語れない、施工・運営・サービスを軸とした産業構造です。
太陽光発電の拡大は固定価格買取制度(FIT、2012年度)と、後継のFIP制度(2022年度)に支えられてきました。導入が進むにつれ、系統(送配電網)への接続制約と出力制御が課題となり、主力電源化には系統の増強と蓄電池などの調整力が求められます。2012-16年度に導入された事業用太陽光(約29GW)は2032-36年度に買取期間の終了を迎えます。
次世代では、日本企業が強みを持つフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実用化が進み、政府もGW級の量産体制づくりを後押ししています。また2030年代半ばに見込まれる廃棄パネルの増加に向け、リサイクル体制の整備も進められています。
業界の3大論点
なぜ日本メーカーは太陽電池の製造から撤退したのか?
日本メーカーは2000年代に世界の太陽電池製造をリードしていましたが、2010年代に中国勢の大規模量産と価格競争に押され、相次いで国内生産から撤退しました。三菱電機は2020年に太陽電池の生産を終え、パナソニックも2021年に撤退、出光興産グループのソーラーフロンティアも2021年に国内生産を終えました。現在、国内に出荷されるモジュールの約95%は海外生産で、住宅用にシャープ・京セラ・長州産業などが残るのみです。
背景には、太陽電池の製造が、シリコンからウエハ・セル・モジュールまでを大規模に垂直統合し、量産効果でコストを下げる装置産業へと変化したことがあります。中国勢は政府支援と巨大な国内市場を背景に生産能力を拡大し、世界出荷の上位を独占するに至りました。製造の付加価値が中国に集中する構造の中で、価格で正面から競うのは難しくなっています。
そのため日本勢は、製造から、パワーコンディショナ・EPC(設計・施工)・発電事業・保守(O&M)といった領域へと役割を移しました。これらは地域性が強く、品質や運用ノウハウが効く領域です。製造シェアで業界を語るのではなく、日本勢がどの役割で価値を出しているかを正確に捉えることが重要です。
太陽光は「主力電源」になれるのか? 系統制約と出力制御の論点
太陽光発電は発電電力量の約9.8%(2023年度)まで上昇し、再生可能エネルギー全体の中で最大の電源に成長しました。第7次エネルギー基本計画は2030年度に104~118GW(発電シェア14~16%)、2040年度に204~281GW(同23~29%)への拡大を見込み、政府は太陽光を再エネの中心に位置づけています。ただし「主力電源」として確立するには、いくつかの課題があります。
第一に系統制約です。太陽光は天候に左右され、昼間に発電が集中するため、送配電網の容量や需給バランスの調整が必要になります。供給が需要を上回る時間帯には、発電を一時的に止める「出力制御」が一部地域で拡大しています。主力電源化には、系統の増強と、蓄電池などの調整力の確保が欠かせません。
第二に長期の運転継続です。2012-16年度に導入された事業用太陽光(約29GW)は2032-36年度に買取期間の終了を迎え、買取後も発電を続けられるかが論点になります。適地の減少や地域との共生も課題です。こうした制度・系統の整備が、太陽光が安定した主力電源になれるかを左右します(見通しは資源エネルギー庁などの整理に基づきます)。
次世代ペロブスカイトは日本勢の巻き返しになるか?
ペロブスカイト太陽電池は、結晶を溶液にして基板に塗布することで作る、薄型・軽量のフィルム型太陽電池です。従来のシリコン系では設置できなかった建物の壁面や曲面、耐荷重の小さい屋根にも設置でき、新たな導入場所を開く技術として期待されています。日本企業が強みを持つ印刷・塗布技術を生かせるため、シリコン系で失った製造の主導権を次世代で取り戻せるかが注目されています。
開発では、積水化学工業がフィルム型の量産に向けた取り組みを進めるほか、カネカ・パナソニック・東芝なども開発を行っています。政府もペロブスカイトを次世代型太陽電池と位置づけ、2030年までのGW級の量産体制づくりや、導入目標・価格目標の策定を後押ししています。国産で生産できれば、供給網の安定にもつながります。
もっとも、量産時のコスト低減や、屋外での耐久性の確保はこれからの課題で、実用化は途上にあります。現時点で「確立した主力技術」と断定はできませんが、日本勢が世界に先行できる数少ない領域として、官民で開発が進められています(技術動向はNEDOなどの整理に基づきます)。
よくある質問 (FAQ)
日本の太陽光発電の導入量はどれくらいですか?
太陽光発電の市場規模は金額でいくらですか?
なぜ日本の太陽電池メーカーは少ないのですか?
主要な太陽光発電の企業はどこですか?
FITとFIPは何が違いますか?
太陽光発電の課題は何ですか?
ペロブスカイト太陽電池とは何ですか?
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