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水処理業界の主要企業|専業・兼業メーカーの事業規模を比較【2026年版】

水処理を担うのは、栗田工業・メタウォーター・オルガノなどの専業企業です。連結売上高は専業のなかでは栗田工業の4,089億円 (2025年3月期) が最大で、メタウォーター1,791億円、オルガノ1,633億円が続きます。ただし、荏原のようにポンプが主力で水処理・環境が一部という兼業の企業もあり、連結売上をそのまま水処理の規模とは見なせません。各社の事業規模と得意領域を整理します。

主要企業の事業規模と得意領域

水処理の専業企業を売上高で並べると、栗田工業を筆頭に、メタウォーター・オルガノが1,000億円を超える規模で続きます。栗田工業やオルガノは連結売上のほとんどが水処理のため、連結売上が事業規模の目安になります。一方、兼業の荏原は環境セグメント (874億円) の一部、月島ホールディングスは水環境事業 (927億円) が水処理に当たり、連結売上とは分けて見る必要があります。表では、水処理に近い数字が分かる企業はその金額を、そうでない企業は決算期とともに示しています。

栗田工業
売上高 (連結、決算期)
4,089億円 (2025年3月期)
主な事業領域・特徴
水処理薬品・水処理装置・超純水の専業大手 (海外比率51.9%)
メタウォーター
売上高 (連結、決算期)
1,791億円 (2025年3月期)
主な事業領域・特徴
上下水道の設備と運転維持管理 (O&M)
オルガノ
売上高 (連結、決算期)
1,633億円 (2025年3月期)
主な事業領域・特徴
電子産業向け超純水・水処理装置に強い
月島ホールディングス
売上高 (連結、決算期)
水環境事業927億円 (連結1,392億円・2025年3月期)
主な事業領域・特徴
水環境 (汚泥処理・下水道) が中心。化学・食品向けの機械事業も持つ
野村マイクロ・サイエンス
売上高 (連結、決算期)
964億円 (2025年3月期)
主な事業領域・特徴
半導体向け超純水装置に特化 (海外比率約70%)
前澤工業
売上高 (連結、決算期)
375億円 (2025年5月期)
主な事業領域・特徴
上下水道の機械・プラント (5月決算)
水道機工
売上高 (連結、決算期)
260億円 (2025年3月期)
主な事業領域・特徴
浄水場の設備・水処理プラント (三菱重工グループ)
荏原
売上高 (連結、決算期)
環境セグメント874億円 (連結8,667億円・2024年12月期)
主な事業領域・特徴
ポンプ (風水力事業) が主力の兼業。水処理・環境は環境セグメントの一部

栗田工業 — 水処理専業の最大手 (連結4,089億円)

栗田工業は、水処理薬品・水処理装置・超純水を手がける水処理専業の最大手です。連結売上高は4,089億円 (2025年3月期) で、専業各社のなかで突出した規模を持ちます。事業は、ボイラや冷却水向けの薬品などを扱う水処理薬品と、超純水装置や排水処理装置などを扱う水処理装置の2つが柱です。

特徴は、薬品と装置の両方を持つことです。装置を納入した顧客に薬品や運転管理サービスを継続的に提供する形で、安定した収益基盤を築いています。自治体向けの上下水道よりも、工場や電子産業向けの水処理に軸足を置いているのが特徴です。海外売上比率は51.9%と高く、半導体向けの超純水や産業向けの水処理で、アジアや北米などに事業を広げています。半導体の生産設備の投資を追い風に、電子産業向けの需要を取り込んでいます。

メタウォーター — 上下水道の設備とO&Mに強み (連結1,791億円)

メタウォーターは、上下水道の設備と運転維持管理 (O&M) を手がける専業企業です。連結売上高は1,791億円 (2025年3月期) です。日本ガイシと富士電機の水環境事業が統合して生まれた経緯があり、浄水場や下水処理場の機械・電気設備に強みを持ちます。

事業の中心は、自治体向けの上下水道です。設備を納入するだけでなく、施設の運転や維持管理を長期で受託するO&Mや、官民連携 (PPP) にも取り組んでいます。国内の上下水道は更新の局面にあり、老朽化した施設の改築や、人口減のなかでの広域化・効率化が需要となります。官公需の比重が高く、公共インフラの投資動向が業績に影響します。

オルガノ — 電子産業向け超純水に強い (連結1,633億円)

オルガノは、電子産業向けの超純水に強い水処理の専業企業です。連結売上高は1,633億円 (2025年3月期) で、東ソーグループに属します。事業は、超純水装置や排水処理装置などを扱う水処理装置と、薬品や電子材料などの機能商品の2つに分かれています。

強みは、半導体をはじめとするエレクトロニクス産業向けの超純水です。半導体の製造では大量の超純水を使うため、生産設備の投資が続くなかで需要を取り込んでいます。収益性の高さも特徴で、経常利益は316億円 (2025年3月期) と、この数年で大きく伸びました。産業向けの水処理を軸に、国内外で事業を展開しています。

月島ホールディングス — 水環境事業に強み (水環境927億円)

月島ホールディングスは、水環境と機械の2つの事業を持つ企業です。旧社名は月島機械で、持株会社体制へ移行しました。連結売上高は1,392億円 (2025年3月期) ですが、このうち水処理に当たるのは水環境事業の927億円で、残りは化学・食品などの産業向けの機械事業です。水処理の規模で見るときは、水環境事業の数字で捉える必要があります。

水環境事業では、下水汚泥の処理や資源利用に強みを持ちます。下水処理で発生する汚泥をエネルギーに変えたり、リンを回収したりする脱炭素・資源利用の取り組みは、下水道の新しいテーマとして注目されています。自治体の下水道事業に結びつく官公需 (自治体向けの需要) の比重が高い分野です。

野村マイクロ・サイエンス — 半導体向け超純水に特化 (連結964億円)

野村マイクロ・サイエンスは、半導体向けの超純水装置に特化した専業企業です。連結売上高は964億円 (2025年3月期) で、事業は超純水装置が9割を超える単一のセグメントです。半導体の製造に不可欠な超純水をつくる装置を、専門的に手がけています。

特徴は、海外での高い存在感です。海外売上高比率は約70%で、アジアを中心に各国・各地域で事業を展開しています。世界的な半導体の生産設備の投資を背景に、売上高は4期前の約304億円から964億円へと3倍近くに拡大しました。半導体という単一の需要に特化しているため、業績はエレクトロニクス産業の投資サイクルの影響を受けやすい面もあります。

前澤工業・水道機工 — 上下水道の機械・設備 (連結375億円・260億円)

前澤工業は、下水処理場や浄水場の機械・プラントを手がける専業企業です。連結売上高は375億円 (2025年5月期) で、沈殿池やろ過設備、汚泥処理設備、水道用のバルブなどを、自治体の上下水道向けに供給しています。決算期は5月で、ほかの多くの企業の3月期とは期間が異なります。

水道機工は、浄水場の設備に強い三菱重工グループの専業企業で、連結売上高は260億円 (2025年3月期) です。膜ろ過などの浄水処理の技術を持ち、自治体の浄水場の建設や更新を担っています。両社とも自治体の上下水道が主な需要先で、規模は専業のなかでは大きくありませんが、前澤工業は上下水道の機械全般、水道機工は浄水場というように得意分野を持ち、施設の更新や広域化を支えています。

荏原 — ポンプ主力の兼業、水処理は環境セグメントの一部 (連結8,667億円)

荏原は、ポンプなどの風水力事業や、半導体製造装置などの精密・電子を主力とする総合機械メーカーで、水処理を専門とする企業ではありません。連結売上収益は8,667億円 (2024年12月期) と大きいものの、その大半はポンプや半導体製造装置などです。

水処理・環境は、環境セグメント (売上874億円) に含まれます。このセグメントは、ごみ焼却などの環境プラントも含むため、水処理単独の規模ではありません。荏原は、連結売上の大きさをそのまま水処理の規模と見なせない兼業の代表例です。なお会計基準はIFRSで、日本基準の他社の売上高とは単純に比べられない点にも留意が必要です。ポンプや環境プラントの技術を通じて、水インフラの一部を支えています。

主要論点

各社の連結売上をそのまま比べてよいのか?

企業によって注意の度合いが変わります。栗田工業・メタウォーター・オルガノ・野村マイクロ・サイエンス・前澤工業・水道機工などの専業は、連結売上のほとんどが水処理事業のため、連結売上をおおむね事業規模の目安として比べられます (ただし海外事業も含みます)。

一方、兼業の企業は連結売上をそのまま水処理の規模と見なせません。荏原は連結売上収益8,667億円の大半がポンプなどで、水処理・環境はごみ焼却を含む環境セグメント (874億円) の一部です。月島ホールディングスも、連結1,392億円のうち水処理に当たるのは水環境事業の927億円で、残りは化学・食品向けの機械事業です。連結売上の大きさだけを見て「荏原が水処理最大手」と捉えるのは誤りです。

さらに、決算期も社ごとに異なります。前澤工業は5月、荏原は12月、ほかの多くは3月と集計の期間がそろわず、好不況の局面が半年ほどずれます。各社の規模は目安として捉え、水処理に当たる事業の単位や、得意とする領域で比較するのが適切です。

専業各社の強みはどこで分かれるのか?

水処理の専業企業は、得意とする領域で強みが分かれています。大きく3つの方向があります。

1つは上下水道です。メタウォーター、前澤工業、水道機工が、浄水場や下水処理場の設備・運転管理を手がけます。自治体向けの官公需が中心で、施設の更新や広域化が需要です。2つ目は工業用水・超純水です。オルガノ、野村マイクロ・サイエンス、栗田工業が、半導体などの電子産業向けの超純水を供給します。半導体の投資を追い風に伸びている分野です。

3つ目は産業排水と薬品です。栗田工業やオルガノが、工場の排水処理や、ボイラ・冷却水向けの薬品を手がけます。栗田工業は薬品と装置の両方を持ち、装置の顧客に薬品やサービスを継続提供する形で安定した基盤を築いています。同じ水処理でも、企業ごとに主戦場が異なります。

海外で存在感があるのはどこか?

海外への展開度合いには、企業ごとに大きな差があります。海外の比重が高いのは、栗田工業 (海外売上比率51.9%) と、半導体向け超純水に特化した野村マイクロ・サイエンス (約70%) です。

両社に共通するのは、半導体などのエレクトロニクス産業を海外で取り込んでいる点です。半導体の生産設備は、台湾・韓国・米国・中国などに広がっており、そこで使う超純水の装置やサービスの需要を捉えています。同じく電子産業向けの超純水を手がけるオルガノや栗田工業も、産業向けの水処理で国内外に事業を広げています。

一方、メタウォーターや前澤工業、水道機工は、国内の上下水道が中心です。上下水道は各国の公共インフラで、制度や事業者が国ごとに異なるため、海外展開は容易ではありません。水処理業界のなかでも、海外で伸びやすいのは産業向け、国内が中心なのは上下水道向けという傾向があります。

中期見通し

近未来1-2年

専業各社は、半導体向けの超純水上下水道の更新という2つの需要に支えられます。栗田工業・オルガノ・野村マイクロ・サイエンスは半導体の投資を、メタウォーター・前澤工業・水道機工は自治体の上下水道の更新を追い風とします。企業ごとに、どちらの需要に強いかで業績の動きが分かれます。

中期3-5年

国内では、上下水道の老朽化更新と広域化が続く需要です。人口減で新設は一巡していますが、施設の更新や、事業を効率化する広域化・O&Mの受託が専業各社の事業機会となります。同時に、下水汚泥のエネルギー化やリン回収といった脱炭素・資源利用が、月島ホールディングスなどの新しいテーマとなります。

長期5-10年

長期では、海外や成長分野への展開が各社の課題です。栗田工業や野村マイクロ・サイエンスは海外の半導体向けで先行しており、他社がどこまで続けるかが問われます。国内市場が成熟するなかで、各社が超純水・海外・脱炭素といった成長分野へ事業の重心をどう移すかが、中長期の競争力を左右します。

よくある質問

水処理業界の主な企業はどこですか?
水処理の専業企業として、栗田工業、メタウォーター、オルガノ、月島ホールディングス、野村マイクロ・サイエンス、前澤工業、水道機工などがあります。連結売上高は専業では栗田工業が4,089億円 (2025年3月期) と最大です。このほか、ポンプや環境プラントを手がける荏原も、環境セグメントで水処理に関わっています。
水処理業界で売上が最大の企業はどこですか?
専業では栗田工業が最大で、連結売上高は4,089億円 (2025年3月期) です。メタウォーター (1,791億円)、オルガノ (1,633億円) が続きます。なお荏原は連結売上8,667億円とさらに大きいものの、その大半はポンプなどで、水処理・環境は環境セグメント (874億円) の一部です。連結売上の大きさだけで水処理最大手を判断することはできません。
各社の連結売上と水処理市場の規模は違うのですか?
違います。各社の連結売上には水処理以外の事業や海外事業も含まれます。とくに荏原はポンプが主力で、水処理・環境は環境セグメントの一部です。そのため各社の連結売上を足し合わせても、国内の水処理市場の規模にはなりません。市場は統計や調査会社の推計で、各社の規模は事業セグメント単位で捉える必要があります。
海外で強い水処理企業はどこですか?
海外売上比率が高いのは、栗田工業 (51.9%) と、半導体向け超純水に特化した野村マイクロ・サイエンス (約70%) です。両社とも、半導体などのエレクトロニクス産業向けの超純水を、アジアや北米などで展開しています。一方、メタウォーターや前澤工業、水道機工は、国内の上下水道が中心です。
半導体向けの超純水に強い企業はどこですか?
オルガノ、野村マイクロ・サイエンス、栗田工業が、半導体などの電子産業向けの超純水に強みを持ちます。とくに野村マイクロ・サイエンスは超純水装置に特化し、海外売上比率が約70%と高いのが特徴です。半導体の製造では大量の超純水を使うため、生産設備の投資が続くなかで各社が需要を取り込んでいます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 有価証券報告書 (EDINET)
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